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特定秘密保護法案、「何が秘密?それは秘密!」のとんでもない悪法

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今回はいつもと違ってお堅い話ですが、どうしても書かずにはいられませんでした。
今国会で審議中の「特定秘密保護法」(以下、『秘密保護法』)案です。

これについては朝日や毎日二紙がその危険性を連日報じていますが、東京新聞の最近の記事でも分かりやすくその危険な本質を書いていました。
ちなみに11月16日には、とうとう日本経済新聞も社説で反対の意思表示をしていました。財界の広報紙の日経でさえ反対せざるを得なくなったということです。

この秘密保護法案、自民党政府は「外交や防衛など国の安全保障にかかわる重要な情報を守るため」とその必要性を強調しています。それを聞いたら多くの人は「国を守るためには秘密保護も仕方がない」と思うでしょうが、この法案を作る狙いは別のところにあると11月1日付・東京新聞の記事が指摘しています。

以下、その記事を要約しながら紹介することにします。

秘密保護法案の対象となるのは、
 1.防衛
 2.外交
 3.特定有害活動の防止
 4.テロの防止
の4つの分野とされています。

しかし1と2についてはすでに法律があります。
防衛分野では2001年10月に改正された「自衛隊法」と、日米間では「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」(1954年施行)および「日米地位協定に伴う刑事特別法」」(1952年施行)があり、それ以外にも既存の法律があるので十分カバー可能です。
外交関係では、「外務公務員法」」(1952年施行)に加えて国家と地方両方の公務員法があるので、今新たに法を作る必要は全くありません。

それでは、今回の秘密保護法案が本当に意図しているのはなんでしょうか。それは3の「特定有害活動の防止」と4の「テロの防止」にあります。これを担当するのは警察です。

この法案を作成したのは内閣官房内閣情報調査室(内調)。その職員290人のうち、約90人の生え抜き職員以外は、各省庁からの出向者です。このうちトップの室長をはじめ一番多数が警察。さらにその主軸となっているのは公安警察です。
公安警察の前身は、前に感想を書いたこまつ座の「組曲虐殺」の特高警察そのものですね。

法案の別表には秘密とする情報の対象が定義されていますが、これがまったく定義になっていない。というのは、別表の最後に「その他の重要な情報」という一文が入っているからです。官僚の嫌らしいところで、これでオールマイティ、実質的に対象が無制限です。

ところで、この秘密保護法案で対象と想定される情報件数はどれくらいだと思いますか?

これがなんと、現段階で41万件とのこと。

これは、11月18日放送のNHKの「ラジオあさいちばん」という番組中の「ニュースアップ」で報じられていたものです。
現在でも驚きの件数ですが、この法案が通ってしまえば、公安警察の活動をはじめ、国民の目に触れさせたくない情報はすべて官僚の裁量だけでどんどん指定できてしまいます。
その歯止めとして「指定に当たっては総理大臣が承認する」とした野党の修正案すら自民党は拒否。もっとも修正を受け入れたとしても、担当官僚が書類を山のように机上に積み上げて「さあ承認を」といえば、首相がいちいち眼を通して決済するのは不可能だと思いますが。

おまけに指定された情報が公開されるのは最長30年先。でも例外規定があり、今日の日経朝刊ではそれが60年先とも報じられています。30年でも責任者はとっくに辞めて責任を問われることはないと思われるのに、60年先となれば実質永久非公開と同じです。

公安警察の活動は現在でもベールに包まれていますが、それでも少しずつ違法な捜査活動が露見しています。最近ではイスラム教徒を監視していた捜査情報がネット上に流出。警察協力者のリストも明らかにされて問題となっています。

今でも問題なのに、この法律ができてしまえば、公安警察の活動がさらにおおっびらになり、「合法化された違法捜査」が大手を振ってまかり通ってしまいます。
福島第一原発事故ではメルトダウンが隠ぺいされ、SPEEDIの情報公開も必要な時期に公開されませんでした。法律の成立後はますます政府に都合の悪い情報は「その他の重要な情報」として公開されなくなるでしょうね。原発関連では、事故や放射能汚染の状況、その対処方法、原発の構造や周辺地図、使用済み核燃料やMOX燃料の輸送等、全てが非公開にされる危険が指摘されています。それを知ろうとしただけで逮捕できるのですから恐ろしいです。マスコミも委縮して何も報道しなくなります。


繰り返しになりますが、秘密保護法の危険性の根本は、警察トップをはじめ行政のトップ、すなわち官僚が恣意的に秘密の範囲を指定できること。
予算や人員、活動内容などを一切国民の目から隠して、国会でさえ監視やコントロールできなくなってしまいます。
要するに防衛や外交についての秘密保護は現行法規で十分カバーできていますが、安倍政権が狙っているのは自分の政策に反対するものをすべて「特定有害活動の防止」とか「テロ防止」として取り締まるために公安警察を野放しにするということです。

「集団的自衛権の行使」「積極平和主義」を掲げて戦争への道を開きくためNSCを新設し、反対する国民はすべて秘密保護法で取り締まる。
本当に戦前への回帰が始まろうとしています。安倍首相は自分の祖父・岸信介が戦犯となったことがよほど悔しいのでしょうね。で、孫である自分が再び同じような方向にふたたび日本を導いて、祖父の「汚名」を雪ごうとしているのでしょう。首相は普段から、日本の過去の侵略行為をあいまいにして、「侵略かどうかの歴史的評価は後世の歴史家に判断を任せる」などと述べていますが、法制定後は肝心の重要公文書が闇から闇へと葬られてしまって、後世の歴史家も正しい判断や検証ができなくなりますね。

本当に今、日本は危険な分岐点に来ていると思います。
私も遅まきながら周りの人に呼び掛けて、何とか成立させないために微力ですが行動したいと思います。

皆さんもこの法律について、よく考えていただければと思います。

最後になりますが、毎日新聞に面白い記事が載っていました。以下、参考までに全文引用します。ただし読みやすいように改行しています。

余録:少年忍者を主人公にした漫画「ワタリ」…

毎日新聞 2013年11月17日
少年忍者を主人公にした漫画「ワタリ」に「死の掟(おきて)」という話が出てくる。下層の忍者たちは掟を破ると支配者から殺されてしまう。ところがその掟の中身とは何なのか、支配者以外は誰も知らないのだ
▲「その掟を知らねば掟の守りようがないではござりませぬか」。忍者たちは見えない掟に恐れおののき、疑心暗鬼になり、支配者に服従するしかない。実は掟とは支配者が衆人を都合よく統制するために編み出した秘密のことで、その秘密を知った者は消されていくのだ
▲ならば現代の「死の掟」となりはしないのか。国会で審議が進む特定秘密保護法案のことである。情報を行政機関だけの判断で特定秘密に指定し、その秘密の中身が何かを国民は一切知ることができない。秘密を知ろうと近づけば、場合によっては逮捕され、処罰される
▲作者は「カムイ伝」「サスケ」などで知られる漫画家の白土三平(しらと・さんぺい)さん(81)。プロレタリア画家だった父や軍国主義教育を受けた自身の体験を踏まえ、権力支配の有りように鋭い批判の目を向けた作品が多い。彼の目に法案はどう映るのか
▲「(特定秘密という)わからないもののために罰せられるというのは理不尽。背景にはこの法案を作り上げた精神や雰囲気のようなものがあるはずで、それが広がっていくようであれば大きな問題です」。白土さんはそう懸念する
▲「ワタリ」では、忍者たちが最後に団結して支配者を捕らえ、掟の呪縛(じゅばく)から解き放たれる。「理不尽なことを押しつけてくるものに対して、我々国民の側は正当に防衛する権利を行使できるはずです」。白土さんは世論の高まりに期待する。

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