10月14日にバウホールで「第二章」を観てきました。
直前にスカイステージのニュースで初日の様子を見て面白そうなので、物は試しとココをチェックしたら、なんと結構な数のチケットが売りに出ていました。
価格も販売締め切りの前日とあって売り急がれたのか、@4,000円という良心的な設定でラッキーでした。ここの販売システムはしっかりしているので安心ですが、問題は申し込みから代金支払いまでの時間がわずか30分しかないこと。(笑)
今回は午後8時過ぎに申し込んだので、バイクで近くのコンビニに走りました。
連休最後の日でしたが、今回も道路はスイスイ。余裕で到着。まだ正門横の工事は続いていましたが、何やら建物もできつつありました。
ところで私たちのバウホール観劇は11年ぶり。2004年のヨメさんの発病後は初めてのバウホールになります。それで客席へのアクセスが心配でしたが、ちゃんと後付けのエレベーターが設置されていてOKでした。
時間が来たら鎖を外してくれました。
バウホールの席は12列の最下手の席でしたが、客席の傾斜が強く舞台が見やすいので快適でした。
今回の「第二章」はストレートプレイで、原作がニール・サイモン。脚本・演出は石田昌也。このセンセイ、最近はいい仕事していますね。
1977年には映画化されています。ヨメさんはその映画を見たことがあるといっていましたが、私は未見。どんな話か全く知らないままの観劇でした。以下、いつものとおり敬称略です。
幕が上がると、舞台は主人公の書斎。
大変な蔵書の量で、大学の図書館のように天井まで届く大きな書棚に本がぎっしり。思わずダブリンのトリニティカレッジを思い出しました。
ちなみにこの書斎の左にジェニファーのアパートのセットがあり、この2つの部屋を要領よく切り替えながら話は進行します。短期間の公演にもかかわ らずよくできたセットでした。書斎にさりげなくかかっている絵はすべて轟悠の描いた本物の絵だそうです。
その書斎に、12年連れ添った妻を亡くしたショックから立ち直れずにいる小説家、ジョージがいます。
兄思いの弟レオが悲しみを癒すためにあの手この手の励ましを試みますが功を奏さず、ジョージは折に触れ妻を思い出してはメソメソと涙に暮れる日々を送っています。
レオは傷心の兄を恋で癒そうと次々と女性を引き合わせるが、ジョージにとってそれはお節介以外の何物でもありません。
一方、6年間の結婚が破たんして、元夫との生活に時間を浪費してしまったことへの後悔と、他方、パートナーを失った寂しさを抱えつつむなしい生活を送る女優、ジェニファー。こちらも、親友のフェイが紹介する男性たちには一向に魅力を感じられずにいます。
今回の芝居は、亡き妻を忘れられないジョージと、失った時間を取り戻したいが新しい伴侶を探すのには臆病になっているジェニフアーが、一本の間違い電話をきっかけにはからずも“デートをすることになるところから展開していきます。
その後スピード結婚後に破綻の危機があって、それを再び2人が乗り越えてめでたしめでたしという結末になります。まあ、話としては予測可能でシンプルですね。
でもこの話、劇場で買ったプログラムではコメディとなっていますが、笑いの連続といった気楽な展開ではありません。
人生の「第二章」を前に、過去にとらわれてなかなか前に踏み出せないで立ちすくむジョージとジェニファーの、不器用で手探りの恋。その行方を出演4人の「言葉のボクシング(脚本家石田昌也の弁です)」で綴っていく正真正銘のストレートプレイでした。
余談ですが、俗に「妻と死別した男に後妻で入るのは難しい」といいますが、今回の芝居のストーリーでもそれがいえますね。男の脳内では亡妻は実際以上に美化された存在になっていますから、それと比較される後妻さんは大変です。でも夢咲ねねはそんな貧乏くじの役まわり(笑)を頑張って演じていました。
逆にジョージは、ダメダメ・マッチョ男の代わりなのでハードルは低く(笑)、かなり有利ですね。
以下、4名の出演者に沿って薄ーい感想を書いてみます。
まずはジョージ役の轟悠から。
↓プログラムより
数多くの「エリザベート」の公演を観ても、いまだに轟悠を超えるルッキーニは観たことがありませんね。彼女の演じた、狂気に満ちた鬼気迫る感のあるアナーキスト・ルッキーニは、今も目に鮮やかです。
でも、この「第二章」を観る前に、この人について「好きか嫌いか?」と聞かれたら、迷わず後者と答えたでしょうね。
というのは、ルッキーニ後の彼女の演技は、セリフの言い回しがなにか勿体ぶった感じが強くなって、喉を締め付けながら喋っているようで苦手でした。歌もうまいに違いないけど「ドヤ歌」(PAT出願中(笑))で魅力が感じられないのです。演技も固くてダイナミックレンジが狭そう。
しかし今回の観劇で大幅に好感度アップしました。まず苦手ではなくなりましたね。劇中では表情も豊かで、喜怒哀楽も自然で見直しました。ただセリフだけはやはりこもる感じが残っていて聞き取りにくいところもありましたが。
今更ながら、彼女、笑った顔などかなりきれいですね。(殴)
今回の芝居では3台の電話機が重要な役割を果たしています。2人の電話しあうシーンが多いです。
劇中、ジェニファーと初めて「試験デート」するあたりは軽妙な演技で面白かったです。
この人、まじめな性格なのか演技が固くなりがちですが、今回のような肩の力が抜けた役のほうがあっているのかも知れません。
次はジェニファーの夢咲ねね。
↓プログラムより
もともと我が家では(といっても二人だけですが)、夢咲ねねは基本何をやってもストライク(笑)ですが、今回のようなストレートプレイでも完全に合格点。いつもの「ブリブリ演出の呪縛」がなく、のびのびとした演技がよかったです。声も自然な感じで聴いていて気持ちがよかったですね。
超ブリッコが彼女の本領ではないことがよくわかりました。(笑)
これも電話する場面
こちらはジョージを励ますジェニファー
フィナーレではあの「セ・マニフィーク」を髣髴とさせる弾けぶりで客席を魅了していました。
今回も本当に気持ちよさそうに歌って踊っていました。
彼女、低めの声の方が力があって耳に心地よい声です。完全に娘役を脱皮して女役を好演でさらに好感度アップです。
今回の公演では轟悠との対比を考えてペッタンコの靴で通していましたが、それでも手足の長い恵まれた肢体でスタイル抜群、とくにフィナーレのダンスは圧巻でした。もっと観たかった。
弟レオ役は英真なおきです。
この人も星組組長時代から我が家では好感度大でひいきの1人でした。今回も兄思いでちょっとチンピラ風で軽妙な役柄をよく演じていました。セリフはいつもの「英真なおき風」ですが、それがいい味になっていました。
この人の組長挨拶はいつ聞いても「シミジミ感」にあふれていて、組子に慕われるのも納得の気持ちのこもったいい挨拶でしたね。
フィナーレでは歌ウマぶりを思う存分披露してくれました。ただ、カーテンコールでは出遅れたのか、照れ笑いしながら登場して、一人端っこで「反省」ポーズして笑いを誘っていました。
4人目はフェイ役の早乙女わかば。
まだ若いのに、そして経験もあまりないだろうに、堂々と3人を相手に頑張っていました。ヨメさんは「良くなっている!」としきりに感心していましたが、私は良くなるも何も、これまで全く知りませんでした。
でも、宝塚芝居と違って「俗世間(笑)」でも十分通用する演技で、3人に伍してよく演じていましたね。期待の娘役ですね。
ということで、コメディというよりけっこうシリアスな恋愛ものになっていましたが、心配された脚本家の十八番の「き
わどいセリフ」(笑)も許容範囲に収まっていて、なかなか完成度の高い舞台でした。ただ、「じぇじぇ」などの現代用語は満載。(笑)
こんな面白い舞台がバーゲン価格で観られて大満足でした。
そして最後のフィナーレでは、そんな地味な印象を吹っ飛ばすノリノリのショーになっていて、本当にお得感たっぷり。
これを機に、バウ公演もチェックすることにしました。今回はバウホール公演だけですが、ぜひ他の劇場でもやってほしいと思います。おすすめです。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
おまけはフィナーレの映像です。
客席降りもたっぷり↓
幕が下がってきました
幕が下がってきても手を振ってくれています
直前にスカイステージのニュースで初日の様子を見て面白そうなので、物は試しとココをチェックしたら、なんと結構な数のチケットが売りに出ていました。
価格も販売締め切りの前日とあって売り急がれたのか、@4,000円という良心的な設定でラッキーでした。ここの販売システムはしっかりしているので安心ですが、問題は申し込みから代金支払いまでの時間がわずか30分しかないこと。(笑)
今回は午後8時過ぎに申し込んだので、バイクで近くのコンビニに走りました。
連休最後の日でしたが、今回も道路はスイスイ。余裕で到着。まだ正門横の工事は続いていましたが、何やら建物もできつつありました。
ところで私たちのバウホール観劇は11年ぶり。2004年のヨメさんの発病後は初めてのバウホールになります。それで客席へのアクセスが心配でしたが、ちゃんと後付けのエレベーターが設置されていてOKでした。
時間が来たら鎖を外してくれました。
バウホールの席は12列の最下手の席でしたが、客席の傾斜が強く舞台が見やすいので快適でした。
今回の「第二章」はストレートプレイで、原作がニール・サイモン。脚本・演出は石田昌也。このセンセイ、最近はいい仕事していますね。
1977年には映画化されています。ヨメさんはその映画を見たことがあるといっていましたが、私は未見。どんな話か全く知らないままの観劇でした。以下、いつものとおり敬称略です。
幕が上がると、舞台は主人公の書斎。
大変な蔵書の量で、大学の図書館のように天井まで届く大きな書棚に本がぎっしり。思わずダブリンのトリニティカレッジを思い出しました。
ちなみにこの書斎の左にジェニファーのアパートのセットがあり、この2つの部屋を要領よく切り替えながら話は進行します。短期間の公演にもかかわ らずよくできたセットでした。書斎にさりげなくかかっている絵はすべて轟悠の描いた本物の絵だそうです。
その書斎に、12年連れ添った妻を亡くしたショックから立ち直れずにいる小説家、ジョージがいます。
兄思いの弟レオが悲しみを癒すためにあの手この手の励ましを試みますが功を奏さず、ジョージは折に触れ妻を思い出してはメソメソと涙に暮れる日々を送っています。
レオは傷心の兄を恋で癒そうと次々と女性を引き合わせるが、ジョージにとってそれはお節介以外の何物でもありません。
一方、6年間の結婚が破たんして、元夫との生活に時間を浪費してしまったことへの後悔と、他方、パートナーを失った寂しさを抱えつつむなしい生活を送る女優、ジェニファー。こちらも、親友のフェイが紹介する男性たちには一向に魅力を感じられずにいます。
今回の芝居は、亡き妻を忘れられないジョージと、失った時間を取り戻したいが新しい伴侶を探すのには臆病になっているジェニフアーが、一本の間違い電話をきっかけにはからずも“デートをすることになるところから展開していきます。
その後スピード結婚後に破綻の危機があって、それを再び2人が乗り越えてめでたしめでたしという結末になります。まあ、話としては予測可能でシンプルですね。
でもこの話、劇場で買ったプログラムではコメディとなっていますが、笑いの連続といった気楽な展開ではありません。
人生の「第二章」を前に、過去にとらわれてなかなか前に踏み出せないで立ちすくむジョージとジェニファーの、不器用で手探りの恋。その行方を出演4人の「言葉のボクシング(脚本家石田昌也の弁です)」で綴っていく正真正銘のストレートプレイでした。
余談ですが、俗に「妻と死別した男に後妻で入るのは難しい」といいますが、今回の芝居のストーリーでもそれがいえますね。男の脳内では亡妻は実際以上に美化された存在になっていますから、それと比較される後妻さんは大変です。でも夢咲ねねはそんな貧乏くじの役まわり(笑)を頑張って演じていました。
逆にジョージは、ダメダメ・マッチョ男の代わりなのでハードルは低く(笑)、かなり有利ですね。
以下、4名の出演者に沿って薄ーい感想を書いてみます。
まずはジョージ役の轟悠から。
↓プログラムより
数多くの「エリザベート」の公演を観ても、いまだに轟悠を超えるルッキーニは観たことがありませんね。彼女の演じた、狂気に満ちた鬼気迫る感のあるアナーキスト・ルッキーニは、今も目に鮮やかです。
でも、この「第二章」を観る前に、この人について「好きか嫌いか?」と聞かれたら、迷わず後者と答えたでしょうね。
というのは、ルッキーニ後の彼女の演技は、セリフの言い回しがなにか勿体ぶった感じが強くなって、喉を締め付けながら喋っているようで苦手でした。歌もうまいに違いないけど「ドヤ歌」(PAT出願中(笑))で魅力が感じられないのです。演技も固くてダイナミックレンジが狭そう。
しかし今回の観劇で大幅に好感度アップしました。まず苦手ではなくなりましたね。劇中では表情も豊かで、喜怒哀楽も自然で見直しました。ただセリフだけはやはりこもる感じが残っていて聞き取りにくいところもありましたが。
今更ながら、彼女、笑った顔などかなりきれいですね。(殴)
今回の芝居では3台の電話機が重要な役割を果たしています。2人の電話しあうシーンが多いです。
劇中、ジェニファーと初めて「試験デート」するあたりは軽妙な演技で面白かったです。
この人、まじめな性格なのか演技が固くなりがちですが、今回のような肩の力が抜けた役のほうがあっているのかも知れません。
次はジェニファーの夢咲ねね。
↓プログラムより
もともと我が家では(といっても二人だけですが)、夢咲ねねは基本何をやってもストライク(笑)ですが、今回のようなストレートプレイでも完全に合格点。いつもの「ブリブリ演出の呪縛」がなく、のびのびとした演技がよかったです。声も自然な感じで聴いていて気持ちがよかったですね。
超ブリッコが彼女の本領ではないことがよくわかりました。(笑)
これも電話する場面
こちらはジョージを励ますジェニファー
フィナーレではあの「セ・マニフィーク」を髣髴とさせる弾けぶりで客席を魅了していました。
今回も本当に気持ちよさそうに歌って踊っていました。
彼女、低めの声の方が力があって耳に心地よい声です。完全に娘役を脱皮して女役を好演でさらに好感度アップです。
今回の公演では轟悠との対比を考えてペッタンコの靴で通していましたが、それでも手足の長い恵まれた肢体でスタイル抜群、とくにフィナーレのダンスは圧巻でした。もっと観たかった。
弟レオ役は英真なおきです。
この人も星組組長時代から我が家では好感度大でひいきの1人でした。今回も兄思いでちょっとチンピラ風で軽妙な役柄をよく演じていました。セリフはいつもの「英真なおき風」ですが、それがいい味になっていました。
この人の組長挨拶はいつ聞いても「シミジミ感」にあふれていて、組子に慕われるのも納得の気持ちのこもったいい挨拶でしたね。
フィナーレでは歌ウマぶりを思う存分披露してくれました。ただ、カーテンコールでは出遅れたのか、照れ笑いしながら登場して、一人端っこで「反省」ポーズして笑いを誘っていました。
4人目はフェイ役の早乙女わかば。
まだ若いのに、そして経験もあまりないだろうに、堂々と3人を相手に頑張っていました。ヨメさんは「良くなっている!」としきりに感心していましたが、私は良くなるも何も、これまで全く知りませんでした。
でも、宝塚芝居と違って「俗世間(笑)」でも十分通用する演技で、3人に伍してよく演じていましたね。期待の娘役ですね。
ということで、コメディというよりけっこうシリアスな恋愛ものになっていましたが、心配された脚本家の十八番の「き
わどいセリフ」(笑)も許容範囲に収まっていて、なかなか完成度の高い舞台でした。ただ、「じぇじぇ」などの現代用語は満載。(笑)
こんな面白い舞台がバーゲン価格で観られて大満足でした。
そして最後のフィナーレでは、そんな地味な印象を吹っ飛ばすノリノリのショーになっていて、本当にお得感たっぷり。
これを機に、バウ公演もチェックすることにしました。今回はバウホール公演だけですが、ぜひ他の劇場でもやってほしいと思います。おすすめです。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
おまけはフィナーレの映像です。
客席降りもたっぷり↓
幕が下がってきました
幕が下がってきても手を振ってくれています