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宝塚雪組公演『るろうに剣心』、観てきました!

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順番では宙組の感想その2を書くつもりでしたが、2度目の観劇は郵便局の2階席貸し切り公演。とてもじゃないが障害者のヨメさんは抽選で当たった席へは行けず、スタッフに依頼して障害者席に替えてもらって何とか観劇というありさまでした。なので、気もそぞろで、つい感想も書きそびれていました。←苦しいいいわけ^^;

そうこうしているうちにいつしか花組「そろうに」の観劇となって(殴)、その出来があまりにもよかったので、とうとう宙組のその2はボツになりました。大変申し訳ありません。

当日、交通渋滞を気にしながら早めに出発。でも高速に乗るまでは混んでいましたが、阪神高速はいつになく空いていて、予定通り10時前には劇場へ。木曜日でしたが、平日でも多くの立ち見が出ていました。
最近、あまりプログラムを買っていなかった私たちですが、今回は期待も込めて買いました。
幕が上がるまでの間、客席でそれを読んでいましたが、今回のプログラムはいつになく豪華でした。

真ん中あたりには珍しい折込写真ページもあったり、小池先生の話もいつもより長くて内容も面白く、読み応えあり。


ということで、シェイクスピアならぬ「そろうに剣心」の感想です。
まず観劇を終えての印象から。

私の事前予想は大外れでした。
観る前は、「どうせコミック&映画のダイジェスト版だろうし、企画が安易でオリジナリティないねー」などとエラソーなことを言っていましたが、観終わればそんな浅はかな先入観など見事に吹き飛ばされて、タカラヅカ版にふさわしい小池先生のオリジナリティあふれた脚本に脱帽。

もちろん、映画でおなじみの道場乗っ取りの場面とかありますが、途中からタカラヅカならではのストーリーに変わり、テンポが速く小気味よい展開にいつの間にかドップリ浸かっていました。登場人物が多彩で、話もどんどん膨らんでいくのにわかりやすく、なにより映画よりも面白い! 大したものです。

そして配役がまさに宛書の手本でした。


早霧せいなは手練れの剣心役にぴったりで、まさに余人をもって代えがたい。


陰のある人物像ながら各所で弾けるところもあり、ひとたび剣を持てば殺気漂うシビアな表情に一変。






目玉の殺陣も、キレのいい剣捌きが見ごたえ十分。
ヅカでよくある、まるでスローモーションのような脱力系の殺陣とは大違い。(笑)
今回大道具さんも大奮闘で、冒頭の竹林での殺陣のシーンでは、早霧せいなの見事な太刀に合わせて孟宗竹が次々と切り倒されていくところが実によくできていました。でもうまく倒れるかなとつい注視モードになったり。(笑)

↓似合いのコンビです


咲妃みゆも健気な道場主・神谷薫を頑張って務めていました。

最近の娘役に類例のない愛くるしい容貌なのに歌はしっかりしているし(普通なかなか両立しない(笑))、身のこなしにキレがあり、演技もメリハリが効いていて、とくに表情豊かな感情表現がリアル。私は彼女の可憐な容貌とか訥々とした語り口と、それに似合わぬしたたかな実力に、ある種の乖離というかチグハグさを感じて、いつも何か馬鹿にされているような気がしています。(殴)




 

加納惣三郎の望海風斗もよかったですね。

彼女は今の各組男トップには希薄な、逞しさとか強さがあるので、加納惣三郎はまさにハマり役。

この加納惣三郎という人物は、原作者の勧めで小池先生が創作した役ですが、決して添え物ではなく、この人物が話の展開に大きな役目を負っています。
私も二番手のための、間に合わせの役かと思っていましたが、とんでもない勘違い。今回の舞台で一番濃くてインパクトのある大きな役でした。






望海風斗は貫禄さえ感じる安定感のある演技で、堂々の二番手ぶりでした。

彼女が演じる維新後のジェラール山下を見ていると、まるで久生十蘭や小栗虫太郎の作品に出てきそうな妖しさ満載の人物です。そういえば咲妃みゆが人質になるところも、まるで蜘蛛の巣にかかった蝶のように耽美的で、両者の小説の一コマのようです。

あとの配役もよかった。
ヨメさんと帰り道の車中で話していたのですが、今の雪組、男役が人材豊富ですねぇ。鳳翔大や彩凪翔、彩風咲奈に月城かなとと、いつのまにか豊富に品揃え。(笑) 
まず剣心に心酔する佐之助役の鳳翔大が、まんま歌舞伎のように見得を切って登場する場面が面白い。これもトクな役です。鳳翔大はちょっと凰稀かなめに似ていると思ったり。
そういえば今回、歌舞伎仕立ての場面が各所にあって、どれもいい見せ場になっていました。小池先生の遊び心が楽しいです。

新撰組出身で、維新後は警部補になった(結局時代は変わっても同じ商売か)斎藤一を彩風咲奈、




加納と共にアヘンで大儲けしようとする武田観柳の彩凪翔、






そして元隠密の四乃森蒼紫を月城かなと(目下一番の有望株ですね)と、

それぞれ個性のある役で、出番も多く大活躍。
とくに、物凄くマズそうに煙草を吹かす(殴)彩風咲奈が面白かった。でも彩風と彩凪、字面が似ていてややこしいですわ。(笑)

今回退団する大湖せしるの女医・高荷恵も、彼女のキャラクタにうまくマッチした役でよかったです。


でもこれが見納めとなるのは残念です。退団と言えば桂小五郎の蓮城まことも同様で惜しいです。新しい世界で頑張ってほしいですね。
一方、比留間喜兵衛&井上馨の美城れんと、

山県有朋の夏美よう

の専科二人はちょっと出番が少なくてもったいなかったですね。
毎回美城れんが出る舞台ではつい姿を追ってしまいますが、今回はちょっとしどころがなくて気の毒でした。

今回の話で、小池先生が登場人物に「庶民にとって維新前も維新後も暮らしは良くならず、薩長がおいしいところを独り占めしている」と言わせているのもよかった。維新のどさくさまぎれで政治の要職に就いた流れが今も後を引いているのにはうんざりしている私にとって全面同意です。

衣装は相変わらず豪華でした。島原の遊郭の場面など、何度も使うわけではないのに衣装もセットもコストがかかっています。
フィナーレも見ごたえがありました。芝居の方でも盛りだくさんで十分楽しめたのに、ショーでもいい出来でお得感満載。ただし音響は悪かったです。上手端に近い席だからか、とくに早霧せいなの歌の場面で音量が大きすぎて聞き苦しい。大音量で歌が割れてしまって、音響効果は完全にマイナス。

言い忘れましたが、今回の客席降りは通路で芝居もしていて楽しかったです。通路席で観劇予定の方は乞うご期待です。

というわけで、本当に望外の良作になっていました。チケットが早々と即完売というのも当然ですね。それでも未練がましく公演後にチケット窓口に行きましたが、たった1日だけ火曜日の3時公演にS席がかろうじてあっただけで、リピートは到底無理でした。

今年のタカラヅカ最優秀作品候補です。

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