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こまつ座 『國語元年』 観劇メモ 朝海ひかるも好演していましたが‥

兵庫芸文センターで、久しぶりにこまつ座の芝居を観てきました。『國語元年』です。
芸達者ぞろいなキャストでした。中でも一番の関心は朝海ひかる。退団後舞台で観るのは初めてだったので、楽しみでした。
ただ、余裕の演技で変わらぬ姿を見せてくれましたが、彼女の力量からするといささか役不足で、ちょっと物足りなかったですね。
でも本当に充実したキャストで、芝居の面白さを堪能しました。
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話は明治維新後の標準語制定をめぐる話です。

あらすじです↓
時は明治七年。
維新で廃藩置県となったが、日本の話し言葉はテンデンバラバラだった。維新までは、農民たちは原則各藩に縛り付けられていたので、話し言葉は藩ごとのお国訛り丸出し。
そこで明治政府は、文部省官吏の南郷清之輔に対して、全国統一の話し言葉を制定するよう命令を下した。
しかしその南郷家では、家長の清之輔が長州出身、その妻と、同居している妻の父は薩摩出身なので薩摩弁。
そして三人の女中たちは、江戸・山の手言葉の女中頭と、その配下の女中が下町のべらんめえ、もう一人の女中は羽前米沢のズーズー弁。
おまけに車夫は遠野弁、そして書生は名古屋弁。さらに南郷家に押しかけてきたお女郎は河内弁、そしていつのまにか居候を始めた貧乏公家は京言葉。
最後は会津藩士が押し込み強盗で入ってきて、さながら南郷家は日本の言語状況の見本となっていた。

とまあこんな感じで、とにかく方言が乱れ飛び、台詞の洪水です。

ただし、私がすんなりわかるのは女中頭の江戸山の手言葉と、同下町べらんめえ、そして女郎の河内弁ぐらい。あとは名古屋弁がなんとか聞き取れますが、その他はかなりあやふやなリスニング(笑)。それだけでも、維新前後の混乱がわかりますね。

ということで感想ですが、主人公・文部省官吏の南郷清之輔を演じる八嶋智人は大した役者さんでした。
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NHKの連ドラでおなじみになりましたが、失礼ながら舞台でこんなにしっかりした演技ができる人とは思っていませんでした。
帰宅後ググッてみて、まず分かったのは私の無知さ。(笑)
バラエティ番組をはじめドラマや映画、ナレーターまで幅広い活躍ぶりでビックリでした。それと、テレビでの活躍に比べると舞台での経験はそれほど多くはないようですが、台詞も演技もしっかり芯があって、舞台役者完成度が高く、感心しながら観ていました。こまつ座の芝居によくあうキャラクタだと思いましたね。
彼が何度も試行錯誤を重ねて標準語制定のための案を練るところが見せ場になっていました。

今回初めて観てびっくりしたのが、女中頭・秋山加津役の那須佐代子。
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役としては、もとは旗本の奥方だったが、夫が彰義隊に参加したため没落し、自宅だった南郷家さの屋敷に住んでいるという設定です。当然抱いているであろう、世が世ならばと思う気持ちを押し殺して、でも元の身分の矜持はしっかりと持って仕事に励む秋山加津が光る演技でした。女中の身ながら、実際は彼女が南郷家を仕切っていました。
観劇の途中からまたまた私の脳内の自動追尾機能が勝手に立ち上がって、視線は常時彼女にロックオン状態。(笑)
また舞台で観たいと思った女優さんでした。

で、ようやく朝海ひかるです。
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そもそもこの舞台を観ようと思ったのは、こまつ座公演というのが第一ですが、朝海ひかるの出演というのも大きかったですね。いえ別に、「あの人は今?」みたいな週刊誌的関心でじゃなくて(笑)、退団後の彼女の舞台は初めてだったので期待していたのです。ほんとです。(←ムキになるところが怪しかったりして(殴))

役は南郷清之輔の妻・光。おっとりとして上品でたおやかな妻ですが、話す言葉は薩摩弁。このあたりのギャップも面白く、演技は余裕綽々、劇中の歌でも変わらぬ歌唱力を披露していました。でもちょっと役不足ですね。台詞も少ないし、話の進行にそれほど絡んでいないし。
もう勿体ない感大ありでしたね。でも全員で歌うアンサンブルになると俄然本領発揮。とくに澄んだ高い声が耳に残りました。

ちなみに彼女、終演後のアフタートークにも出ていました。私たちはいろいろ面白いエピソードなどを披露してくれるかと期待していたのに、あまりしゃべらないのが残念でした。
八嶋智人と竹内都子の間に座っていたので、今に話をリードしてくれるのだろうと思っていても、話題を振られたら応じるものの、いつまでたっても自分から話を切り出さないのが超意外。在団時もこんなに控えめだったのかなと思ったり。でこれに関連して思ったのが舞羽美海。在団時は他の娘トップと同様、男トップの影で日陰に咲く花みたいな風情でしたが、退団したら一変、スカステなどでもよくしゃべっているし、表情も別人のようで、あの楚々とした娘トップは何処へ?と、今昔の感に堪えない昨今です。(殴)

それはさておき、今回の芝居は最初に書いたように芸達者ぞろいでしたが、たかお鷹の演じた貧乏公家・裏辻芝亭公民(うらつじたみてい きんたみ)も超絶品。
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違和感ゼロの京言葉で、落魄の身でも気位だけは高く、でもしたたかな打算も透けて見えるという人間臭い役を怪演していて、登場するなり客席を沸かしていました。この人もずっと舞台を追い続けてしまいました。

あとは、組曲虐殺にも出ていた山本龍二が魁偉な容貌を生かした(殴)押し込み強盗(笑)でド迫力でした。
でもただの悪人ではなく、彼も彼なりに維新の犠牲となった哀しい事情がわかり、つい同情してしまったり。この役、組曲虐殺でのどこか哀愁の漂う刑事役にも通じるいい味が出ていました。
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同姓同名の男にだまされて南郷家に押しかけてきた女郎役の竹内都子の河内弁がやはり耳に馴染みました。(笑)
でも今では、さすがにあんな河内弁は地元でもあまり聞くことはないですが。
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持ち前のコメディセンスがよく生かされていて、いい登用でしたね。

こまつ座ですっかり常連の久保酎吉は朝海ひかるの父・南郷重左衛門(ということは主人公は入り婿?)。
この人もいい味の演技で、これまで観たこまつ座の芝居の中では一番役にハマっていました。よかったです。
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この人がプログラムで、
「この芝居の舞台となった明治7年は、徴兵制が始まった頃。精之輔の台詞にも軍隊を作るには共通語が必要だとありますが、軍国主義への足音も示唆している戯曲です。そのあたりが民意とかみ合わないまま政治が進んでいく”今”に通じる気がします。」と記していますが、まさにこの芝居を今上演する意味がよく伝わってきました。

今回もいつものこまつ座公演と同じで、他の役者さんもみんなレベルの高い芸達者ぞろいで、見ごたえがありました。
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しかし、話の結末は結構悲惨。(笑) 

結局、主人公の案はどれも不発に終わり、それがもとで清之輔は精神に異常をきたして東京癲狂院に収容され、明治27年秋に病死。
それとともに一族は離散し、妻・光は清之輔の入院後に鹿児島に戻り、明治12年に病没。
その父・南郷重左衛門は明治19年に田原坂で討死。秋山加津も南郷重左衛門とともに鹿児島に行き、身に付けていた技術を活かして和裁教室を開き、明治20年に死去します。ほかの人々もそれぞれの人生を送ります。

で、肝心の標準語がどういう経過でできたかは劇中では明らかにされていませんが、途中で出てくる、参勤交代のために各大名が作った各藩の方言と江戸言葉を対比した単語帳のようなものがベースになったのでしょうね。
井上ひさしの次の言葉がそれを示唆しています。

使っている人の言葉のそれぞれが日本語で、その総和が日本語なのだ 井上ひさし

ということで、ちょっと感想としては肩透かし感があって、幕が下りてヨメさんはたった一人スタンディングしていましたが、私は立てなかったです。^^;

さて、いつもと同じ締まらない感想になりましたが、ここまでご覧いただきありがとうございました。

次は梅芸の『夜への長い旅路』ですが、これはもうとても私の手に負えない舞台でしたが、なんとかアップします。(^^;
でも期待しないでください。(殴)



梅田芸術劇場で『夜への長い旅路』を観て。 疲れました。(^^;

『夜への長い旅路』は20世紀アメリカの劇作家でありノーベル賞作家でもあるユージン・オニール作の戯曲ということで、
妻メアリーを麻実れい、その夫ジェイムズは益岡徹、長男ジェイミーは田中圭、次男エドマンドを満島真之介という配役でした。
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もちろん観るといったのはヨメさん。麻実れいさん目当てです。(笑)
でも観劇日が近づくにつれ、「シンドイ話みたい」と弱気になっていましたが、いまさらそんなことを言われてもね。(笑)
当日は道も空いていて、40分で梅芸に到着。いつもの店で昼食後、劇場前に行きました。開場時間となって、劇場スタッフに案内されて車椅子で客席へ。観客層はけっこう年齢の幅が広かったですね。

以下、感想です。といってもいつにも増して薄い感想ですが、ご容赦ください。例によって敬称略で、画像は当日購入のプログラムから。

今回の芝居は、原作者のユージン・オニールの実人生を舞台化したような話で、日本文学でいう「私小説」ジャンルに入るような作品です。私は、昔読んだ島尾敏雄の「死の棘」のような印象を感じながら観ていました。
とにかく家族4人が、果てしなくののしり合い、非難し、悲嘆にくれたかと思うと和解し、さらにまた傷つけ合っています。これが延々と続くので、最初は緊張感をもって観ていましたが、しだいに体内の防御反応が働き出して、瞼が‥。(殴)

チラッとヨメさんの様子をうかがうと、じっと見入っているので私も慌てて眼を見開きましたが、それも長くは持ちません。(^^;

とにかく話が進まない。演出家の熊林弘高自身が、「この戯曲には物語がない。」と言っていますから確かです。(笑)
麻実れいも同じくプログラムで「山手線みたいに台詞がぐるぐると繰り返される。起承転結がない」と語っていますが、いつまでたってもエンドレステープを聞いているように話が止まったまま。そして登場人物はひたすら口論し、誹謗中傷し、時には和解してもまた諍いを始めます。途中、幕間を挟んでもその状況が変わらないので、もうこちらも限界状態。(笑)

だんだん瞼が重くなってきて、でも一方では、ヨメさんに気付かれないように観ているフリもしなくてはならないし(殴)で、ますます台詞を聞くどころではなくなりました。もうこれは観劇どころではなく、苦行そのもの。

同様な人がいないか周りを見渡すと、結構おられましたね。とくによく寝ていたのは私の右隣の男性客。(笑) 幕間になる前からすでにガックリ頭を垂れておられました。で私は、かくてはならじと姿勢を正したものの、ついコクッとな。何度かそれを繰り返していたら幕間になり、ホッとしました。
さすがにヨメさんも、「やっぱりシンドイ話やね」。

まあ今年観た麻実れいの舞台では、ほぼ「昔の日々」同様の眠い芝居でした。(殴)

ところで先のお隣さん、幕間に席を立ってしばらくして戻ってきましたが、座るなり就寝モード。(笑)
そのまま、ほぼお眠りでしたが、驚いたのは舞台が終わってから。
カーテンコールになった瞬間、彼氏はムクッと起きて、爆竹拍手を開始。(笑)
もうこちらはその鮮やかな変わり身に感心するばかり。この人、後日友人などに会ったら、「いゃあ、いい舞台だったよ」とかいうのでしょうかね。まるで本日5人目の役者さんといってもいい変身ぶりに脱帽でした。(笑)

まあこんな感想ばかりでは何なので(殴)、少しばかり役者さんごとの感想です。

まず主役の麻実れい。
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こんな脚本なのによくやっているなあ(殴)と感心しました。薬物依存の妻メアリー・キャヴァン・タイロン役をリアルに演じていました。この人、いつも思うのですが、緩急自在の台詞回しが見事で、とくに低い小さいつぶやくような台詞でも明瞭に聞き取れるところがすごいです。
それと、どんな役でも自分のキャラクタによく馴染ませているところも感心します。演出家にとって本当に得難い存在でしょうね。

その夫、ジェイムズ・タイロン役が益岡徹です。
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テレビではおなじみですが、芝居は今回初めてお目にかかりました。難しい脚本で、ほとんどしゃべりっぱなしという舞台ですが、頑張っていました。台詞もいいし、演技もリアルでわざとらしさがないし、これでもっと物語性があったらと、残念でした。

もう一人初めてだったのは長男ジェイムズ・タイロン・ジュニア役の田中圭です。
若々しく見えますが、プログラムによれば芸能界デビューは2000年とのことで、結構ベテランなんですね。
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今回の演出家とは2度目とのことですが、感情の起伏の激しい台詞をこなしていて、頑張りはよく伝わってきました。(笑)

最後は次男エドマンド・タイロン役の満島真之介。
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この人は、「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~」 蜷川バージョンで初めてお目にかかって、その後も「おそるべき親たち」でも好演していたのでおなじみですが、今回も頑張っていたとはいえ、話が話なのでもったいなかったですね。まあこんな難解な話も、役者としての経験上無駄ではないと思いますので、今後またお目にかかれることを期待します。

ということで俳優陣は頑張っていたものの、こちらは最後まで話が見えないままの幕切れで、残念でした。

帰りの車の中でも二人とも話は弾まず、もう気持ちは次の観劇に切り替えていました。(笑)


宝塚 花組公演 『新源氏物語』&『Melodia-熱く美しき旋律-』を観て 遅すぎの感想です^^;

新源氏物語を観てきました。といっても観たのが10月22日なので遅すぎですが、芝居のほうがどうもあわないというか、あまり面白くなかったので、感想を書く意欲がわきませんでした。

以下、感想です。いつものように敬称略。画像はスカステのナウオンステージの画面撮り(モアレ多発です^^;)とプログラムから。
この新源氏物語、ご存知の通り一口に言えば女性遍歴の話です。和製ドン・ファン、またの名をドン・ジョバンニ。
まあ絢爛豪華な平安の王朝絵巻といっても、話の芯を取り出したら、義母から始まって、次々にいろんな女性と浮名を流し、果てはまだ幼い少女を拉致監禁して自分好みの女性に仕立て上げるという、今なら即逮捕確実な話です。(殴)

光源氏の守備範囲の広さには感心しますが(笑)、そんな主人公でも、女性遍歴に至る心理描写が掘り下げていたらまだしも、どうなるかと場面に見入っていても、まるで紙芝居のように次々にコーラスとともに場面が変わるのでちょっと興醒め。話としても結局ただの女たらしにしか見えず(殴)、期待がはぐらかされて途中からちょっと気分も白けてきました。(笑)

ただし、その場面転換のコーラスはみんな美声ぞろいで、しかも寺田メロディ全開で聴きごたえは十分。さらに筋書きはともかく(笑)、舞台は絢爛豪華で、ひな壇のような階段の使い方も面白いし、衣装も豪華で見ごたえあり。
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トップコンビを先頭に、花組メンバーの頑張りもよく伝わってきましたが、なにせ日本物にありがちなスローな展開な上に、元が長編小説なので、登場人物は多いもののキャラクタは描き切れず、芝居としてはダイジェスト版になったのが残念でした。
でも、後日他の人の感想を聞いたら、「よかったですぅ~♪」だったので、受け取り方はさまざまですね。

でもショーの方は良かったです。
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中村一徳作・演出ですが、スペインをメインにラテンカラーの強い舞台でした。最近ラテンもののショーが続いていたので、最初はまたかと思いましたが、構成がよく練られていて、場面展開が新鮮でした。それと、やはり歌ウマの生徒が多いので聞きごたえもタップリ。
柚香光とデュエットダンスを踊るスペインの女Aの鳳月杏も魅力的でした。
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個人的に今回の公演は鳳月杏の活躍が印象に残りました。パレードのエトワールは乙羽映見のピンチヒッターで仙名彩世が安定した伸びのある美声を聞かせてくれました。

というわけで、これで感想はお終い。
というのもアレなので、薄いですが、以下主なメンバーの芝居とショーの感想です。

まず光源氏の明日海りおです。
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本当にこんな主人公だったら何でもアリが許されるのかもと思ってしまうほど説得力のある美男子。加えて歌も上々と来たら、最強の光源氏ですね。
花乃まりあとの相性もいいです。
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ショーの方もダイナミックなダンスや、しっとりとしたデュエットもあってよかったです。
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藤壺の女御の花乃まりあも大人の女性をうまく演じていました。とくに面白かったのが桐壷帝の汝鳥伶が光源氏の子供を抱きながら、光源氏と藤壺の女御を前にネチネチと(笑)二人の仲を責めるところ。
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自分の犯した罪にさいなまれる様子がリアルで、まさに針の筵そのものでした。
最近花乃まりあはちょっとやせ過ぎで、頬もこけているのが気になりますが、この場面では逆にそれが効果的だったりして。(殴)

それと、汝鳥伶がまるでギリシャ悲劇の登場人物のようで、その内面の苦悩がよく伝わってくるいい演技でした。
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ショーの花乃まりあです。
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今回の公演で一番インパクトがあったのは六条御息所と柏木の二役に起用された柚香光ですね。六条御息所が登場したときは思わずオペラグラスをとって注視しましたが、かなり怖かった。(殴) 二度とアップでは観ませんでしたが。(笑)
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嫉妬の炎を燃やす役なので当然ですが、どことなくぎこちない感じもあって、やはり柏木のほうが観ていて安心でした。芝居でもショーでも歌が格段によくなっていたのも好印象でした。
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惟光役の芹香斗亜は、すっかり二番手が定着した役どころで、堂々とした歌唱力とさわやか演技で目立っていました。
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各所で笑いもとっていて、光源氏の随身として芹香斗亜にぴったりのおいしい役どころでした。ショーでも活躍、フィナーレのパレードでは大きな羽根を背負っていました。
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源氏の親友・頭中将の瀬戸かずやも明日海に寄り添うもうけ役でした。
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ショーでも活躍。
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ファントムの新人公演以来秘かに応援している(笑)鳳真由も、芝居では出番が少なかったものの、ショーでは随所で美声をタップリ聞かせてくれました。
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でも、娘役のほうは、役の数は多くても登場時間が短くて人物が描き切れていないので、あまり印象に残らず。結局花乃の藤壺以外はよくわからない役ばかりでした。葵の上の花野じゅりあも出番が少なくてガッカリ。仙名彩世の朧月夜とか、朝月希和の女三ノ宮もしどころのない役でもったいなかったですね。

ということで、帰途の車中でヨメさんと感想を交換。

今回の公演は、明日海りおの圧倒的な美男子ぶりには見惚れるし、他のメンバーも全員頑張っていたし、先のとおり花組の歌ウマぞろいにも感心したものの、リピートは出来ないなという結論に至りました。(笑)
でも芝居はともかく、ショーはよかったので一度は観てください。(説得力ないか^^;)

パンフレットです↓
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今回もここまでご覧いただきありがとうございました。次はこれも遅すぎ^^;のミュージカル版「CHESS THE MUSICAL」の感想です。

シアター・ドラマシティで『CHESS』を観て

今回の「CHESS THE MUSICAL」は、1986年初演のミュージカル『CHESS』の日本版で、2013年に日本で上演されたのは『CHESS・イン・コンサート』だったので、ミュージカル版としてはこれが本邦初公開とか。

私たちはコンサートバージョンは観ていないのでその違いは分かりませんが、今回のミュージカル版は日本初公開ということと、安蘭けいが出るということで興味はありました。

でも気が付いたら先行販売も終了、多分チケットはないだろうとほぼ見送り決定でしたが、9月に他の劇場に行った際、たまたま宣伝パンフを見て、「まだ宣伝しているということはチケットアリ?」と梅芸のサイトをチェック。案の定、結構いい席が残っていました。
というわけで10月22日(遅い感想です^^;)にシアタードラマシティに出かけました。

事前に調べたら、キャストが安蘭けい / 石井一孝 / 田代万里生 / 中川晃教 / AKANE LIV / 戸井勝海 / 天野朋子 / 池谷京子 / 角川裕明 / 高原紳輔 / 田村雄一 / 遠山裕介 / ひのあらた / 横関咲栄 / 大野幸人 といずれも歌ウマぞろい。(ミュージカルなので当然か)
そして使われている曲はすべてABBAのビョルンとベニーの作詞・作曲になるもので、それにプラス『ジーザス・クライスト・スーパースター』、『エビータ』などで有名なティム・ライスも作詞と舞台化に参加しているとのことで、大いに期待していました。
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当日は高速道路はがらすき、予定よりかなり早く劇場につきました。

開場時間になってスタッフに案内されて車椅子で客席へ。
舞台はチェスの盤面を模した黒白のセットが配されていました。

で、感想の結論から。
今回はコンサートバージョンではなく、ミュージカル版ということですが、ちょっとそんな感じはなかったです。しいて言えばミュージカル風コンサートといった印象でした。台詞が少なくて、ストーリーがほとんど歌でつながれていくので、話のディテールがわかりにくい。^^; しいて言えばフレンチミュージカルな感じです。

フレンチミュージカルと言えば、以前観たフランス版「ロミオとジュリエット」を思い出しますが、ロミジュリは話が分かっているので、台詞が少なくても全く無問題でした。でも今回はまったく知らない話。舞台上で楽曲とともに話が進んでいっても、そのディテールがよくわからない。ということで、結局登場人物の誰にも感情移入できないままでした。

物語としては、「米ソ冷戦」時代に、「亡命」をテーマに展開していくお話です。登場人物は実話をベースにアレンジしたとのことです。

『ワールド・チェス・チャンピョンシップ』が開催された北イタリア・メラノとタイのバンコクを舞台に、アメリカ人のチェス・チャンピオンで世界チャンピオンのタイトル保持者のフレディことフレデリック(中川晃教)と、恋人でマネージャーのフローレンス(安蘭けい)、そして挑戦者のソ連代表のアナトリー(石井一孝)と彼のマネージャー(実はKGB)モロコフ(ひのあらた)が、チェスの勝負に両体制の威信をかけた駆け引きを繰り広げ、それに審判のアービター(田代万里生)、アナトリーの妻のスヴェトラーナ(AKANE LIV)が絡むという展開です。
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でも、上に書いたように、そんな細かい登場人物間の駆け引きがわかり難く、観始めて戸惑ったのですが、なんといってもABBAの楽曲がどれも素晴らしく、途中からこれはコンサートと割り切って(笑)、聴きほれていました。

どの曲も本当に名曲ばかり、しかも幅広いジャンルにわたる変化にとんだ曲なので感心しながら聞いていました。おまけにそれを歌うのが安蘭けいをはじめ歌ウマな俳優ぞろいなので、高いチケットの値打ちはありました。(笑)

そんな中でも私的に一番気になったのがAKANE LIV。
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神月茜時代とは別人の印象で(殴)、長身が映えて、舞台に立っているだけで目を引くのに歌がまた説得力のある美声。ずっと目で追っていました。でもあまり出てこなかったのが残念。(笑) 
観劇しながら思い出しましたが、この人、2011年5月に観た『MITSUKO~愛は国境を越えて』でもイダ役で好印象でしたが、今回はさらにいい役者さんになっていてよかったです。

安蘭けいはやはりド安定な歌で、安心して聞いていられました。ただ、やはり歌が中心なので、演技としては心理描写などは限界
があってちょっと残念。
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まあ感想としてはこんな感じで超簡単!!(殴)、でもABBAのいいコンサートに行ったということで二人で納得して(笑)、満足して帰途につきました。


さて次は『パッション』です。どうなりますやら。

兵庫芸文センターでミュージカル『パッション』を観て 大感動の観劇でした

ミュージカル「パッション」を観てきました。
何ともすごい作品でした。
まず台本が素晴らしい。使われている楽曲がどれも素晴らしい。その上に、出演者全員の歌と演技が完ぺきで、さらに、その出演者の力を存分に引き出した演出家の腕の冴えに脱帽です。当然フィナーレは大感動。何の躊躇もなく即座にスタンディングしたのは久しぶりでした。(笑)
ということで、今回の「パッション」は、今年の演劇大賞ミュージカル部門金賞の最有力候補です。何の大賞かって?言わずと知れた「思いつくまま演劇大賞」!(殴)

今回の観劇はF列上手側の席でした。いつもは悪くてもB列。
ところが今回の公演は、先行予約の日に劇場のWebにログインしたら、いきなり残席表示がE列始まり。もうガックリでしたが、その席さえあっという間になくなって、なんとかゲットできたのはF列。まあそれだけ人気が高い=いい作品と自分を納得させていました。ところが、当日劇場に行ってみたら、あろうことかF列は前から二列目!
そうです。オケボックスで前四列がつぶされていたのです。(笑)
ということで一気に上機嫌モード(殴)で開演を待ちました。その間に公演プログラムもゲット。持ちやすい大きさで値段も800円とリーズナブル。
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今回観ようとヨメさんと決めたのは、井上芳雄と和音美桜が出るからです。これだけで観る価値大有りということで、楽しみにしていました。

ということで感想です。いつものとおり敬称略。(画像は当日購入のプログラムから)
幕が上がると、舞台上にベッド(今回はベッドが鍵になっていますね)が置かれていて、二人の男女が同衾しています。やがて女の方が上半身を起こし、裸の背中を客席に見せます。この衝撃シーンには本当に驚きました。その後女はするりとベッドから出て、ガウンを羽織って‥となりますが、けっこうハラハラしました。(笑) この冒頭シーンがまず大ドッキリ。

女はクララ(和音美桜)で、男はジョルジオ(井上芳雄)。二人は目下熱愛中ですが、騎兵隊所属のジョルジオ大尉は、勤務地が変わったことをクララに告げます。突然の異動話に驚くクララに、「毎日手紙を書くから」とジョルジオはなだめます。

この展開から始まって、以後二人の愛情の強さを示す歌の場面が何度も挿入されて、すっかり私たち観客は二人の関係に感情移入してしまいますが、実はこれは台本の罠。(笑)
二幕目からは、そうした二人の関係に対する私たち観客の印象は大きく変わっていきます。

冒頭のミラノから辺鄙な田舎の駐屯地に赴いたジョルジオですが、そこで上官リッチ大佐(福井貴一)から彼の従妹フォスカ(シルビア・グラブ)に引き合わされます。フォスカは心身ともに病んでいますが、新任のジョルジオに一目惚れして一方的に思いを募らせ、ストーカーのように追いかけ始めます。

しかしクララとの愛に夢中のジョルジオはフォスカが疎ましく、冷たくあしらって相手にしません。しかしそんなジョルジオも次第に‥‥。
という話ですが、まず先のドッキリシーンで宝塚時代の印象を一変させられた和音美桜ですが、歌の方は正当進化で(笑)、「レディ・ベス」のアン・ブーリンからさらに磨きがかかった素晴らしい歌を聞かせてくれました。
曲自体も美しく、彼女が歌い始めてすぐに「これぞミュージカル!」というワクワク感が一気にこみ上げてきました。それに応える井上芳雄の歌も見事で、まさに相思相愛を絵に描いたような場面でした。
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という具合に一幕目はクララがヒロインですが、二幕目になるとジョルジオとフォスカの会話のシーンが増えてきて、それにつれて次第にフォスカの身の上も分かってきます。逆にクララは実は人妻で、二人は不倫関係にあることも分かってきます。
それで私たちも、初めはジョルジオのフォスカに対する冷たい態度に全く同感だったのが、ジョルジオの気持ちの変化とともににだんだん変わってきて、彼女がかわいそうになってきて、最後に二人が結ばれて、その二日後にフォスカがこの世を去る場面では客席のあちこちでハンカチで眼を拭う姿が見られ、私もついホロリとな。
まあよくできた台本でした。
二幕の芝居でヒロインが入れ替わるという展開の妙と、それを巧みに演出した宮田慶子(私は新神戸オリエンタル劇場の「サラ」以来でした)の力量がさすがでした。
ということで、各出演者別の感想です。

まず主人公のジョルジオ大尉の井上芳雄。
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いつもこの人の演技を観て思うのは「さわやかさ」です。『モーツァルト!』の感想でも書きましたが、やはり彼の持ち味はさわやかさですね。『組曲虐殺』『イーハトーボの劇列車』でも、役柄は全く異なりますが、共通していたのはその印象でした。
とくに後者の宮沢賢治はさわやかな学生服&東北弁が印象的でしたが、今回もスッキリさわやかなジョルジオでした。台詞もその一つ一つに自然な説得力があって、私たちもつい感情移入してしまって、彼の心情をフィルターにしてヒロイン二人を見るという展開になりました。
そしてなんといってもやはり伸びのある歌。絶品でした。ソンドハイムの名曲とがっぷり組んで、見事に歌いこなしていて聞きごたえ十分。今後の観劇が楽しみです。

次はクララの和音美桜。
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兵庫芸文センター初登場ということですが、私たちにとっては『レディ・ベス』のアン・ブーリン以来の舞台でした。
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やはり歌唱力は大したもので、繊細な表現力は素晴らしい。今回は歌もたっぷりで久しぶりに堪能しました。
彼女が宝塚を退団したときは非常に残念でしたが、退団後の活躍を見たら、今となっては早く辞めてよかったのかなとも思えてきたり。
でも今回、純情な女性役と思っていたら、純愛と思っていたら実は人妻の火遊び。ジョルジオを手玉に取りながら自分の生活は死守するという(笑)けっこう打算的な人妻だったので、ちょっと役としては気の毒だったり。(笑)
でも舞台ではジョルジオをうまくたぶらかしていて(殴)、私たちも騙されました。(笑)

そしてフォスカのシルビア・グラブ。
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初めてお目にかかる人かなと思っていたら、プログラムによればこの兵庫芸文センターの「Into tHe Woods」に出ていたということ。でもその時はあまり印象に残らなかったのですが、今回のフォスカは本当に熱演でした。病に侵されて弱り切った猫背の体から振り絞るように話す台詞。
初めは、ストーカーまがいにジョルジオに付きまとうフォスカを観て「なんとか早く手を切らないと」と私たちも焦っていましたが(笑)、やがて過去に結婚していて、相手の男に騙されて持参金も両親の財産もすべて奪われて、それがもとで両親は亡くなり、自身も心身を病んで、唯一の身寄りの従兄に引き取られて居留地にいるという事情がわかってきます。
このあたり、シルビア・グラブのリアルで抑制のきいた演技でうまく展開されていて、芝居としての大きな見どころになっていました。
最後の方でジョルジオが彼女を見舞う場面で、か細い声で「来てくれたのね」というフォスカの言葉が身に沁みました。さらに「あなたには幸せになってほしいと思っていたのよ」という言葉でとどめを刺されました。
そして二人は愛を確かめ合って、その二日後、彼女はあの世へと旅立ちます。そして主人公は魂を病んで病棟に‥。
でも最後は、主人公がフォスカの思い出とともに生きていくことを示唆する結末となっていました。
この舞台、最初のクララとのベッドシーンと、最後のフォスカのベッドの場面との対比が印象に残りました。

ちなみにこのミュージカルのベースは、映画「パッション・ダモーレ」ですが、その映画の原作は19世紀のミラノの雑誌に連載された「フォスカ」という小説だそうです。作者はイタリア人のイジニオ・ウーゴ・タルケッティで、小説のモチーフは作者の実体験とのことですが、実は作者が死亡したため小説は未完で、結末は友人の作家が仕上げたとのことです。

あとは福井貴一のリッチ大佐もよかった。
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この人の舞台は『familia~4月25日誕生の日~』以来ですが、フォスカを思いやる気持ちと、でも私情を入れずジョルジオに接する上官として役柄を活かす味のある演技でした。リッチ大佐がジョルジオと決闘して敗れる場面がありますが、わざと負けたのかジョルジオが強かったのか、今も結論が出せません。(笑)

今回の舞台では、どの役者さんも歌がうまかったですが、中でも伊藤達人のトラッソ中尉がまさにオペラ歌手な歌を披露して驚かせてくれました。これから歌がみんなこんなオペラふうになるのかと思ったほど。(笑)
その他の出演者もみんな歌ウマぞろいでしたが、中でも「モーツァルト!」のアンサンブルメンバーでもあった獣医バッリ中尉のKENTAROをはじめとする将校+コックの5人組が大活躍。狂言回し兼アンサンブルとして見事な五重唱を聞かせていました。

ということで、舞台はおわりましたが、実は観劇した11月15日がこの公演の大千秋楽でした。
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なので、ただでさえ大感激なのに、主演の井上芳雄をはじめヒロイン二人のトークショーみたいな挨拶もあって客席も大盛り上がり。観客全員、スタンディングでその熱演にエールを送りました。対する井上芳雄も、機知にとんだ面白い挨拶で楽しませてくれました。その中で、「大千秋楽ということでいろんな思いがあって、普段歌詞を間違わないので有名な私ですが、今日は三か所も間違いました」と告白して笑わせてくれました。

続いて和音美桜も挨拶し、この公演の稽古開始からの思いを話してくれましたが、いろんな苦労があったのか、話の途中から目からこぼれるものが‥。
そしてシルビア・グラブの挨拶。内気なフォスカと違って、素の彼女はかなりガハハおばさん(殴)みたいでしたが、そんな彼女も話し始めてすぐ「あ、ヤバイ、ヤバイ!」と話を中断。流れる涙を拭っていました。そんな様子を見てさらに観客も大感激。鳴りやまぬ拍手で答えていました。
本当に、久しぶりに心から感動した舞台でした。

何度目かのカーテンコールで例の五人組が登場し、KENTAROが舞台上から客席に謎かけ。
「パッションとかけて」
「パッションとかけて」
「野菜の育たぬ土地と説く」
「その心は?」
「菜園(再演)が必要です」
これには全員大笑い。そして見事な五重唱で締めていました。

本当にいい舞台でした。音楽も贅沢な生演奏で、舞台の完成度を高めていました。
再演されることになったら絶対観たい作品です。
もし機会があれば、ぜひ皆さんもご覧ください。
おすすめです。

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宝塚月組公演 月組公演 『舞音-MANON-』『GOLDEN JAZZ』 満足の舞台でした


11月26日に、月組公演『舞音』―MANON―(植田景子脚本、演出)&『GOLDEN JAZZ』(稲葉大地作、演出)を観てきました。
芝居もショーもいい出来で、見ごたえ十分でした。今回の観劇で一番の目玉はショーでの愛希れいか以下選抜メンバーの超ダイナミックなダンスと、珠城りょうの二番手確定の大きな羽根(笑)。とくに珠城りょうが、フィナーレで大きなピンクの二番手羽根を背負って階段を下りてきた姿にはビックリ。

ではまず『舞音』の感想から。といってもいつもの独断と偏見に満ちた感想なのでご了解ください。男トップ大絶賛ではないので、贔屓にされている方はスルーが吉です。例によって敬称略です。

脚本ですが、やはり宝塚で今一番安定した力量のある植田景子だけあって、よくできたストーリーでした。登場人物のキャラクタにも生徒の持ち味が十二分に生かされていました。
ところで最初、『舞音』と聞いて「マノン・レスコー」を思い出しましたが、今回の作品もそれをベースにしているものの、舞台は1929年の仏領インドシナのベトナムに移し、さらにオリジナルな話としてベトナムの民族独立運動を絡ませた作品になっています。

ただし、貴族のエリート青年将校が、奔放な女性の魅力に振り回されて進むべき道を誤るという話は『マノン・レスコー』だけでなく『激情』にも通じる感じで、初めはけっこうデジャブ感がありました。中盤には「もう結末が読めてきたな」と思っていたら、後半、民族独立運動が主題になってくるとそんな予測は大外れ。(笑)
そして最後の舟の場面ではついホロリとな。演出家の術中にハマってしまいました。(笑)

植田景子は作品のために装置の松井るみとともに取材で現地に出向いたとのことですが、ベトナムの歴史にも十分気を配っていていい脚本でした。

話の冒頭、1929年夏のサイゴンの港で、白の軍装の青年がせり上がってきて、当然龍真咲かと思ったら、実はシャルル2(笑)の美弥るりか。その後、同じ格好の龍真咲扮するシャルルが登場するあたりはけっこう凝った導入でした。
でも凝ったプロローグの割にはその後の美弥・シャルル2の意味がよく伝わらず(プログラムでは愛と官能の象徴だとか)、もったいない存在でした。台詞も最後の場面だけという設定のはかわいそう。「風‥」のスカーレットみたいに対話させたらとか、モノローグを被せて登場させたらとか思いましたが、それではベタ過ぎか。(笑)

パッション』で超ドッキリさせられたベッドの場面がこの「マノン」でも出てきましたが、前者の衝撃度と比較したら今回はかわいいものです。まあ宝塚の限度でしょうね。(笑)
そんな熱愛の二人ですが、すぐマノンの兄クオン(珠城りょう)に見つけられて引き離され、さらにマノンが娼婦で、パトロンの元に戻ったことが分かってシャルルはあきらめるが、偶然サイゴンで再会して二人の愛は再燃し、マノンの歓心を買うためシャルルは悪に手を染めて転落の一途に‥。というところまではよくある話ですが、後半、インドシナ独立運動が発展して、フランス政府の弾圧も激化、その嵐に2人が巻き込まれていくところから新たな展開となります。ここで運動を取り締まる警察長官のギョーム(星条海斗)がカッコいい。颯爽とした悪役で(殴)、スーツ姿がバッチリ決まっていました。

という雑感はこのくらいでまずシャルルの龍真咲から。
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やはりこの人は我が道を行く演技。(笑) 
マノンに誑かされて(殴)身を持ち崩し、退廃と苦悩の日々でも表情はあまり苦悩していなくて、いつものカッコよさを意識したゴーイングマイウェイな演技。宝塚のトップともなればそれは当たり前なのでしょうが、あまり相手の演技とキャッチボールをしないような感じですね。そんなブレないところがファンには魅力なのでしょうが。
でも、私には苦悩や喜び、怒り、嘆きといった表情の変化がよくわからなかったので、ちょっと感情移入しにくい主人公でした。
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マノン役の愛希れいかは良かった。
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飛び切りの美貌というわけではないのに(殴)、魅力的なヒロインになり切っていて、シャルルが一目で虜になるのも無理ないというマノンでした。舞音じゃなくて「魔音」のほうがいいと思ったくらいです。(笑) この人は『1789』を観てから私の印象が一変しました。
でもマノンが、シャルルに大金を浪費させていく場面では、ただの悪女で嫌な感じでしたが(笑)、スパイ容疑で捕まって有罪決定で流刑地に向かうあたりから一変して、悲愴な囚人姿が胸を打ちました。でもマノンが、シャルルを単なる金づる扱いしていたところからいつ真の愛の対象とするようになったのか、その心理の変化の描写がちょっと少ない感じがしました。プログラムではシャルルの手紙が決め手となっていますが、それではちょっと遅すぎな感じです。(笑)
まあこのあたりの心理描写の少なさは、一本物ではない時間的な制約があるでしょうね。
それでもなお、流刑地への船着き場から始まって、シャルルが負傷したマノンとともに霧のハロン湾に船出する最後のシーンにかけては、涙・涙の名場面となっていました。まんまとしてやられました。(笑)

マノンの兄クオン役の珠城りょうは、妹のヒモ的存在です。でも、存在感があるのに役的にはあまり話に絡まないのが残念。私はクオンはただのヤクザな男ではなく実は革命運動の重鎮だったりとか期待していましたが、やっぱりただのヤクザな男で(笑)最後もあっけなくて、ちょっと残念。でも華奢な男役が多い月組ではこの人の存在感は新鮮です。(笑)
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親友クリストフ役の凪七瑠海は、『舞音』への手紙の橋渡し役など果たしてくれて、シャルルのいい友人です。でも話に大きく絡むわけではない印象の薄い役です。最近の彼女はこういう役が多くて、ちょっと気の毒ですね。
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もっと残念なのがシャルル2の美弥るりか。
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『1789』では悪役シャルル・アルトワ役でインパクトのあるいい演技を見せてくれたのに、今回は最初から最後までずっと無言で踊るだけ。セリフはラストの一言のみとあんまりな仕打ち(殴)。シャルル2効果もあまり感じられなかったです。
余談ですが、今後この二人の処遇が気になりますね。

専科から古巣への出演となった警察長官ギョームの星条海斗ですが、一目でわかるスーツの粋な着こなしで鈍い私でもすぐ分かりました。目深にかぶった帽子もカッコいい。これからも専科で活躍してほしいですね。秘かに応援しています。こんなところに書いていたら秘かでもないか(殴)。

民族独立運動のメンバーはマダム・チャンの憧花ゆりのをはじめ、みんな後半に活躍しますが、中でもホマの海乃美月が宝石泥棒とか冤罪証言とかインパクトのある役で印象に残りました。

この作品は演出家の好みを反映した外部の女性スタッフが活躍しています。
作曲のジョイ・ソン、装置の松井るみ、衣装の前田文子、振り付けの大石裕香と多彩・多才な顔ぶれです。音楽と衣装はよかったですが、松井るみの舞台装置は前作の『アンドレア・シェニエ』とは打って変わった抽象的で象徴的なデザインでした。
私としてはバウホールの舞台みたいな感じで、ちょっと寂しかったですが、ヨメさんは激賞していました。(笑) ただラストのハロン湾の舟の場面はよかったです。観ていて「王家‥」のボートの場面を思い出しました。
振付は特徴があまり感じられなくて、印象が薄かった。^^;

しかしベトナムが最終的に民族解放を成し遂げるのは、舞台の時代設定から実に40年も後のことになりますね。

ショーの『GOLDEN JAZZ』は、最近大活躍の稲葉大地のジャズをテーマとした華やかな作品でした。
出だしから手拍子が起きて、好評販売中のミニタンバリンも加わって観客もノリノリ。曲も馴染みやすい選曲でいい構成でした。客席降りでは通路側のヨメさんが3度もハイタッチしてもらって大喜び。
ショーでは「rhythm」が今回の最大の見どころでした。昨年の星組のショーで「カポネイラ」が大好評だった森陽子がまた振付を担当し、今回も圧巻のダンスシーンを展開していました。
とくに愛希を中心にしたアフリカンテイストのダンス場面では、こちらが心配するほど体を酷使する激しいダンスが続き、圧倒されました。珠城りょうなど男役陣を従えてメーンで踊る愛希の切れのいいダンスが素晴らしかったです。身体能力の高さは現娘トップの中では群を抜いています。
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すごかったです。

フィナーレのエトワールは星条海斗でした。そして美弥・凪七に続いて、珠城りょうが二番手の大きな羽根を背負ってパレード。びっくりしましたが、これまでぼかされてきた月組二番が確定したわけで、歌劇団の方針がようやく明確となってよかったです。

というわけで、芝居もショーも観て悔いのない良作で満足でした。ここまでご覧いただきありがとうございました。
これで私たちの今年のタカラヅカ観劇はおしまいです。本当に1年が早いです。(笑)

梅芸メインシアターで『プリンス・オブ・ブロードウェー』を観て

12月3日に梅田芸術劇場メインホールで「PRINCE OF BROADWAY」を観てきました。

財布に厳しいチケット(笑)なので気が進みませんでしたが、ヨメさんは早くから観る気満々だったので、付き合うことにしました。
まあ私も柚希礼音の退団後初ステージで、しかもブロードウェーの現役の実力派スター11人の共演ということで興味もあったので、何とかWeb経由でチケットゲット。それにしても高いよな~。(笑)

18列席だったので、ヨメさんは階段を上がれないだろうと、自分で車椅子スペースを依頼していました。でも当日実際に席を見ると、通路から5段ぐらい上がるだけだし、なんといっても車椅子スペースより見やすいので、ヨメさんも頑張ってチャレンジ。なんとか本来の席で観られました。
平日でしかも高いチケットにもかかわらず(しつこい!)、明らかに礼音目当てとわかる(殴)女性客で3階席まで埋まる盛況ぶり。おまけに宝塚の植田理事さんとか演出家の酒井澄夫さん、そして麻路さきさんもご観劇。麻路さんは私たちより後ろでご観劇でした。

ということで以下感想です。でも我ながらかなり薄~い感想です。いつもの通り敬称略。

当たり前ですが、やはりブロードウェーで第一線で活躍しているメンバーがウリなだけあって、歌もダンスも超素晴らしい。聞きなれたミュージカルナンバーでも、彼らが歌うと実に新鮮で情感タップリの歌でした。

そして目玉の柚希礼音ですが、よく頑張っていました。

特にダンスは、本場の一流どころに交じっていても全く遜色ない出来栄えでした。現役時代からさらに技量の進化したダンスは見ごたえ十分。よかったです。並んでいても見劣りしないばかりか、スタイルは柚希礼音が一番。体もしなやかで鍛錬のほどが窺えました。
ただ、歌は‥。^^; まあ比較するほうが無理なほど高水準の美声ぞろいなので、頑張ってはいても苦しい感じなのは仕方ないですね。また思ったほど出番も少なくて、ようやく出てきたと思ってもダンスだけだったりして。

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ご存知の通り(でも私は知らなかった(^^;)、今回の「PRINCE OF BROADWAY」は、ミュージカルといっても一つのまとまった話ではなく、ハロルド・プリンス演出の名作ミュージカルを、発表順に時系列で紹介していくオムニバス構成。
で、最初初めて観る「フローラ、赤の脅威」でカンパニー全員がそろい、柚希礼音も登場しますが、その後も私のようにミュージカルの知識のないものには初めての作品ばかりが続き、しばらく静観モードに。(笑)

でも「屋根の上のヴァイオリン弾き」から俄然息を吹き返して(殴)、「キャバレー」「オペラ座の怪人」と一気に眼と耳に馴染みのある作品続きでホッとしました。(笑)
ただ「屋根の上のヴァイオリン弾き」では、「トラディション」は良かったですが、「サンライズ・サンセット」がなかったのが残念。
そういえば今回は、どの作品も通好みの選曲で、これも私たちには物足りなく感じました。でも「オペラ座の怪人」は圧巻。「ウエストサイド物語」のあとの「フォーリーズ」では柚希礼音が華やかなショーガールで登場。本当にスタイルいいです。

今回一番驚いたのは「ライトガール」でのヤズベックのタップ。やはり宝塚で見るタップとは段違い平行棒(殴)で、汗を飛ばしながら踊り続けるヤズベックは鬼気迫り、圧巻でした。すごいものを観てしまったという感じでした。
「キャバレー」で柚希礼音はアンサンブルのピアニストを演じていましたが、いつ歌いだすかと期待していたのに歌わずに終了してまたガッカリ。(^^;

休憩を挟んで、「エビータ」になり、「アルゼンチンよ泣かないで」に感心したあと、「タイムズ・スクエア・バレエ」でブロードウェーに憧れるダンサー役で柚希礼音が登場。このダンス、本当に良かったです。彼女の本領発揮でした。

また「蜘蛛女のキス」では、蜘蛛の巣の前で主題歌を日本語で歌ってくれました。ただ、他のメンバーの高音までよく伸びる歌が続く中では、宝塚時代からの彼女の低い声の歌は目立つものの、ちょっと苦しい感じでした。

今回歌で一番感銘したのは「ショーボート」でした。「Can't help lovin' that man」を歌うブリヨーナとケイリーはさすがに聞きごたえ十分、大感動でした。これを聞いただけでもブロードウェーミュージカルの真髄が窺えて、高いチケット代も十分モトが取れた(と思いたい(殴))舞台でした。
でも商業的にはかなり苦戦していた様子で、幕間ではリピーターチケットの案内が何度も流されていました。やはり以前のフランス版ロミジュリ同様、チケット価格が原因でしょうね。

これで今年の観劇はすべておしまいです。来年は正月の宙組公演から。いい舞台だといいですね。

スパーダのキャブ詰まりで悪戦苦闘の日々

思いもよらぬエンジン不調でした
それは10月某日のこと。
いつになく早い秋の到来で世間はすっかりバイクツーリングシーズン。夏の間は暑くて乗る気にならなかった私も、久しぶりに乗ってみようとスパーダのエンジン始動。長い間乗らなくても、バッテリーは絶好調なので、いつものようにチョークを引いてセルボタンを押せば一発始動!のはずなのに、今回は何やらおかしい。でも元気なバッテリーのおかげで、思いっきり長回ししたら、ようやく始動。でも同時にいきなりガソリンが漏れて床に滴り落ちました。幸い漏れはすぐ止まりましたが、おかげでどこから漏れたのか不明。フロートバルブが一時的に固着していたのでしょうか。

しかし暖機終了しても、チョークを戻すとアイドリングが続かない。さてはとタンクキャップを開けてガソリンのにおいを嗅ぐと、見事に酸化していました。古いガソリン特有の酸っぱい匂いです。

考えてみれば、去年の早春に自宅周辺を15kmぐらい走っただけで、その後はガレージで休眠状態。給油したのは2年以上も前だったので、その間に劣化していったのでしょうね。
↓去年の姿です
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でも、アイドリングが続かないのは不良ガソリンのせいではなく、キャブのどこかが詰まっているからでしょう。

症状から、多分パイロットジェット関係の詰まりでしょう。とにかくアイドルストップスクリューを相当ねじ込まないとアイドリングが持続しない状態です。そしてエンジンはかかっていても、走るまでの力は出ず。
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ということで、応急作業の開始。
まずタンクから腐ったガソリンを抜いて、アドレス110とDioから計2リットルぐらいガソリンをおすそ分けしてもらって、スパーダに入れました。そして、ヨロヨロと近くのスタンドへ。ついでに腐ったガソリンの処理も依頼しました。満タンにして帰宅しましたが、その往復の間は、原付にも抜かれるほどの絶不調ぶりでした。(笑)

でもその日はそこまで。
別の日に、次なる手段として、手元にあったSTPのガソリン添加剤「STPスーパーガストリートメント」なるものをタンクに投入。早速20kmぐらい、効果やいかにと近くの山道を走ってみましたが、当然ながらほとんど効果なし。ボトルの能書きにはいろいろ書いてありますが、これで解決したら苦労しません。(笑)

その後、ヨタヨタでも走っているうちに詰まった変質ガソリンのガム質成分が溶けてくれるのではないかと、甘い期待で暇を見ては走っていましたが、いくら走っても本調子とは程遠い。平坦路なら何とか走っても、坂道になると途端に四苦八苦。そしてエンジンが温まっても、再始動には必ずチョークを引かないといけないというありさまでした。

ところで、こういうキャブのトラブル解決の王道は、分解して各ジェット類を清掃することです。でも、スパーダはVツインなのでキャブが二つ。これの分解となるとけっこう面倒くさい。(殴)
それでも若い時に、イーハトーブやダックスで散々いじったVMキャブなら構造も単純で、分解も簡単ですが、スパーダはホンダお好みのCVキャブ。
手持ちのマニュアルやパーツリストの分解図を見ても、結構複雑です。大体下手にバラして二次災害を起こしたら目も当てられない。(笑) 
それでも昔なら、怖いもの知らずでやったでしょうが、今はそんな気力も頭髪とともに消え失せて。(笑)

それで思い余って、禁じ手をやることにしました。純正マニュアルに厳禁と書かれている、高圧空気で詰まりを吹き飛ばす作戦です。なぜマニュアルで禁止されているかというと、キャブ上部のダイアフラムを破る恐れがあるから。でもいいんです。そうなったらそうなった時のこと。かなり自暴自棄です(殴)。

ということで11月の某日、作戦開始。
要領は、キャブのパイロットエアスクリューを抜いて、そこからエアーガンで空気を吹き込むというものです。
で、マイナスドライバーでパイロットスクリューを抜き取って、まず前側のキャブからエアを思いっきり吹いてやりました。フロート室内のガソリンがゴボゴボと音をたてていました。
次は後ろのキャブですが、こちらはフレームが邪魔になってエアーガンのノズルが入れにくい。なのでノズルを細いものに変え、少し曲げてなんとか噴射しました。こちらはゴボゴボいわないのはノズルが斜めになっているせいかと、その時は気にせず作業終了。

その後、前後キャブのフロート室のガソリンを抜いてみました。
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驚いたことに微細な砂粒程度の黒いゴミがガソリンに混じって出てきました。タンクの燃料コック上部にはフィルターが付いていので、なぜゴミが濾されないのか腑に落ちません。でも実際出てきたのですから仕方がない。(笑)

抜いてから元通りドレンスクリューを締めて、はやる気持ちを抑えて、規定通りパイロットエアスクリューを2回と1/4回転戻しにセットしてエンジン始動。
すぐエンジンはかかりました。♪
でもアイドルストップスクリューをかなり締め込んでいたので、エンジンが急上昇。あわてて同スクリューを緩めて1300rpmぐらいになるよう戻しました。

その後はアイドリングが極安定。チョークレバーを引かなくても走れるようになりましたが、まだ走り出し時とか坂道でのトルク感なし。かなりスロットルをあおらないと走りません。
でも先の添加剤も効いてくれるかなと、また折を見ては近場をテスト走行。50km程度走りましたが、まだ本調子ではありません。回転のレスポンスが悪く、定速走行していてもぎくしゃくし、坂道では止まりそうになります。

ここで思い出したのが、後キャブのアイドルストップスクリューの穴からエアを吹いたときにフロート室がゴボゴボいわなかったこと。
それで、某日、エンジンをかけてから前後キャブのアイドルストップスクリューを締め込んだり緩めたりしてみました。すると、前のキャブはスクリューの回転に応じてエンジンの回転が変わりますが、後キャブはまったく無反応。
やはり後キャブのパイロットエア系統のガソリン通路が詰まっていますね。
ということで、またアイドルストップスクリューの穴からエアを吹いてみましたが、やはりゴボゴボいいません。詰まったまま。(^^;

もう最後の手段です。
後キャブのドレンスクリューを緩めてガソリンを出してから、スクリューの穴から呉のクリーナーキャブを噴射し、しばらくしてから細ノズルのエアーガンで高圧空気を吹き込みました。このとき注意しないと、クリーナーキャブの液体がドレンスクリューの穴から漏れ出して、クランクケースの塗装を痛めます。キャブのフロート室の下には必ずボロ布を敷いておきましょう。

2度その作業を繰り返してから、元通りにしてエンジン点火。初めはぐずりましたが、すぐかかりました。そしてスロットルをブリップしてみたら、1か月ぶりの高レスポンス!!

すぐテスト走行しました。我が家の前は結構坂道ですが、10mぐらいむずかった後、滑らかに加速してくれました!しばらく忘れていた加速の良さ。それと低回転でもよく粘ること。久し振りにスパーダの優等生なエンジンフィーリングを味わいました。

その日は11月としてはかなり寒い気温でしたか、かまわずガレージを後にして、河内国分から王子→奈良の山麓線に出て竹ノ内街道を自宅へと走ってみました。もう感激でした。
まるで無段変速のようなトルクバンドの広さ。それと改めて操縦性の良さを認識。ルンルン気分(怖)で、いいバイクだなあと自己満足に浸りながら帰宅しました。そして無反応だったアイドルストップスクリューを規定値前後で回してみたら、ちゃんと反応がありました。
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キャブをバラさずに詰まりが取れてよかったです。

異常発生から解決まで1か月以上かかりましたが、これで胸のつかえもなくなりました。故障中は見るのもつらかった。(笑)

ただし、以上のような究極のズボラは絶対真似をしないでください。あくまで私の自己責任でやったことなので、同じようにやってキャブを損傷しても責任はとれません。
繰り返しますが、純正マニュアルには絶対キャブを分解せずに高圧エアを吹くなと書いています。ダイアフラムの破損やフロートレベルの異常を引き起こす危険性が高いですから。

やはり自信がなかったら、プロにまかせましょう。





宙組公演 『Shakespeare 』/『HOT EYES!!』 感想その1 上々の舞台に早速リピート決定です!

新年早々1月2日に、本年最初のタカラヅカ観劇してきました。観劇前は、芝居がシェイクスピアの伝記ということで、いったいどんな話になるのか予測できず、あまり期待出来ないまま大劇場に向かいました。今回は帰省した娘夫婦も同行でした。

正月でガラすきの道を快走して一時間かからず大劇場の駐車場へ。
今回は珍しく下手側13列での観劇です。開場前に、顔馴染みになっていたスタッフさんと新年のあいさつを交わして、ホッコリ暖かな気持ちで客席へ。
通常オンラインチケットでは上手側ブロックからの選択になりますが、体の不自由なヨメさんの利用するトイレは下手側なので、今回は助かりました。
ちなみにそのトイレ、ようやく自動ドアになったのはいいのですが、中のセンサー位置が全く不適当で、介助者に反応してドアがすぐ開くのは困ったものです。

という前置きはこのくらいで、感想です。
で、まず結論から。本当によかったです~♪ 一家3人感心しまくり。なぜ3人かというと、娘のダンナは日本語がわからないので評価に加われないから(殴)。まあそもそもタカラヅカ(というか演劇自体)に関心がなさそうだし。(笑)

私はシェイクスピアがどんな人だったのか全く知らなかった(知っていたのはヨメさんがアン・ハサウェイというぐらい)のですが、今回の公演でその個人史の概略がわかってよかったです。
とくに父親が皮手袋職人だったこととか、父親ともどもジェントルマンの象徴である紋章を得ることが悲願だったこととか、人間臭い一面がよく描かれていて、タメになります。(笑) また夭折する息子がハムレットというのも初めて知りました。
ただし脚本では省略されていることも多々あって、史実ではシェイクスピアの兄弟が8人いたとか、アンは8歳も年上の姉さん女房だったとか、アンとの間に3人の子供がいたとか、出来ちゃった婚だったとかは出てきません。(笑) まあ二本物の限られた上演時間では、これらが省略されても当然ですね。

観劇後に、泥縄ですがシェイクスピアについて少し調べてみましたが、その経歴についてはナゾの多い人物ですね。
もともとが庶民の出自なので当然ですが、結婚後ロンドンに出てくるまでの期間も、どこで何をしていたのか不明。
でもそんな空白の期間を、生田大和さんは想像力を存分に働かせて、色々なエピソードをちりばめて、面白い話に仕立て上げていました。
ストーリー全体は権謀術数渦巻くシリアスなものですが、その中に巧みに恋あり・笑いあり・涙ありの話を織り込んで、起伏に富んだ物語が作り上げられていました。本当に、よくこんなにうまく舞台化できたものだと感心しました。

タカラヅカで今を時めく小池センセイでも、ヒット作はベースになる作品があってこそで、全くの一から書き下ろしたオリジナル作品ではさほど成果がないのに(あくまで個人の感想です)、こんなに完成度の高い脚本を書くとは、生田大和さん、本当に大したものです。気が早いですが、次の作品にも大いに期待できます。(笑)
全体の感想では舞台装置もよかった。そして当然ながら衣装も豪華で、しかも庶民の衣装はリアル。音楽も耳に残るいい曲が多くよかったです。音楽と言えば随所にあるアンサンブルも素晴らしかった。

それでは出演者ごとに感想です。例によって敬称略です。最小限のネタばれアリなのでご注意を。

まずウィリアム・シェイクスピアの朝夏まなと。
歌も演技も文句なしで素晴らしい。主題歌「ウイル・イン・ザ・ワールド」がいつまでも耳に残ります。
彼女は「王家‥」でも頑張っていましたが、やはり彼女はこういう文人タイプの方が適役ですね。伸びのあるクリアな歌、演技も自然でリアルで説得力大でした。アンとの恋とその後の確執、彼女と息子を失った苦悩ぶりもよく表現されていました。観終わって「翼ある人々」にも通じる爽快さを感じました。

その妻アン・ハサウェイの実咲凜音も頑張っていました。歌もよく朝夏まなとと合っていて、演技も嫌味がなくナチュラル。この人については前トップ男役との関係とかいろいろ思うこともありますが、こと今回の舞台についてはその熱演ぶりが伝わってきて、本当に感心しました。当たり前ですが、役者は舞台での評価がすべてですね。

エリザベス1世の美穂圭子も素晴らしかった。まさにハマリ役。貫禄があって、表情もリアルで、歌はド迫力。シェイクスピアの生殺与奪権を握るおいしい役です。ショーでも活躍していて、大ベテランの面目躍如でした。いい役者さんです。

私的には宮内大臣一座の俳優ヘンリー・コンデル役の純矢ちとせもよかったです。
男役なのでいつもと違う化粧ですが、それがまた新鮮でよかった。ただ劇中劇での場面が短かったのが残念でした。もっと観たかった。
私はこの人が舞台に出てくるとホッとするというか、懐かしいというか(殴)、和んでしまいます。でももっと歌わせてほしかった。ヨメさんはこの人のエリザベス1世が観たいと言っていましたが、同感でした。
そういえば先の「翼ある人々」の伯爵夫人もいい味出していましたね。

ジョージ・ケアリーの真風涼帆は黒い役ですが、その黒さは登場しただけで伝わってくる好演ぶり(ホメています)。野心を秘めた貫禄十分の役で存在感があってよかったです。すっかりショーのフィナーレの大きな羽根にふさわしいポジションを占めていました。

サウサンプトン伯ヘンリー・リズリーの愛月ひかる。私はこの人を見ると、なぜかいつもしーちゃんこと立樹遥を思い出します。ポジションが近いからか、同じような長身だからでしょうか。それほど強いキャラの役ではないのですが、とにかく反射的に目が行く(殴)。 なぜそうなのか自分でもよくわからないのですが、とにかくいいから仕方がないですね。(笑)

ジョージの妻ベス役が伶美うらら。まあとにかくきれい。ショーでも目立つ美貌でした。ただ、手の動きや首の角度、しゃべり方はかなりアムネリスが入っている(殴)。彼女は歌がもっと伸びてくれたら最強の娘役なのですが‥。今後の精進に期待したいです。

あと、宮内大臣一座の俳優リチャード・バーベッジの沙央くらまや、メアリ・シェイクスピア(シェイクスピアの母)の美風舞良、トマス・ポープ(宮内大臣一座の俳優)の澄輝さやとなどの役も持ち味を生かしたいい配役でした。宙組の現在の体制をよく考慮した登用が光っていました。


次がショーですが、ちょっと残念な出来でした。
月組の上々のショーを観てしまった後なのでちょっと辛口になりますが、藤井大介さん、最近スランプ気味かな。大体なぜ全場面大階段を出しっぱなしにするのか意図不明。選曲も振付も目新しさが感じられず、ついコックリとな。(殴)
トップコンビや美穂圭子の歌などは聞きごたえがありましたが、全体としては凡作な感じになりました。

ということで、とりあえず第一回を観ての感想です。次は1月28日に観劇予定です。その感想もまた見ていただければ幸いです。



ホンダDioのベルトとウエイトローラの交換、効果絶大でした

今回のバイクいじりは、ホンダDio AF34のベルトとウエイトローラの交換です。

Dioの現在までの走行距離は推定27,000km超。なぜ推定かというと、Dioのオドメーターでは千Km桁表示のためで、これまでの使用状況からいくらなんでも37,000kmはないだろうということで、27,000kmに決定。(殴)
もともとこのDio、16年前に娘が新車購入して通勤等に使用していましたが、2001年に退職して不要となったので、私が引き取りました。引き継ぎ時はわずか1,500km程度の走行。その後、2005年購入のアドレス110とともにもっぱら通勤に使用し、退職後も週2回のボランティア出勤や買い物、Phantom2の空撮に活躍していますが、アドレスは晴天のみで、雨天走行はDioと、かなり差別的な扱いで虐待されています。(笑) それでもグレずに(殴)働いてくれるのが健気です。

Dioは燃料タンクの位置の関係で、しばらく乗らないとエンジンが始動し辛くなる以外は極めて快調でしたが、乗り続けて今年で早や15年。走行1万kmを過ぎたころからベルトとウエイトローラの摩耗により、最大速度がかなり低下してきていました。エンジンの回転に速度が伴わない状態です。スタートしてすぐ加速が頭打ちになってエンジンが空回りしているような感じでした。
もっと心配なのがベルト切れ。ということで、この2つを交換しようとずっと思っていましたが、なにせ「今日できることは明日に延ばそう」な私なので(殴)、ズルズルと先延ばししてきました。でもとうとう27,000kmオーバーとなって交換を決意。
暮れにベルトとウエイトローラ(すべて純正品)を発注しました。
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そして正月明けの12日、ようやく交換作業開始。準備した工具はユニバーサルホルダと電動インパクト、電動ドライバとラチェットレンチ、マイナスドライバです。

まずクランクケースカバーを開ける前作業で、エアクリーナカバーと
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それにつながるダクトを外します。
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ダクトを外すとき、先のゴムパッキンが固く、マイナスドライバでこじってようやく外しました。逆につける時も硬くて時間がかかりました。(奥からはめると楽なことに気付きました)
エアクリーナカバー類を外せばクランクケースカバー自体は8mmのソケット(一部10mmあり)で簡単に外れます。

カバー内部に溜まった真っ黒なダストを清掃します。
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ドライブプーリーのナットは、ドライブプーリーの歯車を利用して固定する工具を使えば簡単に外れますが、私は持ってないので、電動インパクトで外しました。
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そしてプーリーのドライブフェースを取り外し、ベルトを撤去。
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ベルトは側面の補強繊維が所々切れていて、一部裂けているところもありました。
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このまま乗り続けていたらあと何km持ったか。ただ、幅自体は思ったより狭くなかったですね。
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次にムーバブルドライブフェース裏側のランププレートを外すとウエイトローラが現れます。(でもこのあたりの写真は撮り忘れました。)
案の定、ウエイトローラのスライド部がかなり摩耗していました。
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速度が上がらないはずですね。
ムーバブルドライブフェースから古いローラを取り出して、ローラの取り付け部をきれいに清掃し、シリコングリスを塗布してからローラを組み込みます。ローラの装着には方向性があると書いているサイトもありますが、参考にした手持ちの3冊のホンダの整備マニュアル(スペーシー125とリード80、初代タクトのマニュアル)を見る限り、そんな記述は全くありません。(笑)

↓タクトフルマークのマニュアルから
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なので、私は適当に組入れました。(笑)

新品のベルトを取り付ける際は、ドリブンプーリーの横でベルトを絞って、プーリーを開いてからはめると簡単です。
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ドリブンプーリーのクラッチカバーも念のため外して
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クラッチシューのライニングを点検しましたが、まだ厚みは規定内でした。当分交換の必要はなさそうです。
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でも乗り方で摩耗状態は異なるのであくまで私の場合です。

元通り組み立てて、
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作業完了と言いたいところですが、手元にボルトが1本残っているのに気付きました。慌ててまたクリーナカバーを外して(ダクトの硬いゴムをやっと嵌めたのに^^;)、抜けていた場所を探して装着。やっと作業完了でした。慣れない姿勢で腰が痛かったです。歳です。(笑)

そしてすぐワクワクしながら周辺を試走。結果は効果てきめんでした。
交換前は「おわ」km/hになるまでかなり助走が必要だったのに、交換後はすぐメーターの針が振り切れてしまう困った状態(殴)になりました。
加速も極めて滑らかになりましたが、ウエイトローラの交換で、エンジンのトルク特性とプーリーの有効径の変化の組み合わせが、元の設計値どおりになったおかげでしょうね。
それと、巡航時のエンジン回転数が大幅に低下。予想通りとはいえこれも感動モノです。

しかし、近年のホンダのツーサイクルエンジンの耐久性にはつくづく感心しますね。(というか昔はひどかった^^;)
初代NSR-250Rの焼き付き多発(ディーラー情報でした)とか、すぐヘタったリード80のエンジンの頃から考えたら、27,000kmを超えてなお衰えないDioの元気さは隔世の感があります。ツーサイクル・エンジン技術の絶滅が本当に残念です。

ということで、Dioの懸案事項は解決です。今回の交換はコストパフォーマンス絶大でおすすめです。

電動アシスト車椅子、頼りになる介護ツールです!

思いがけず半身マヒとなったヨメさんの車椅子を押す生活になってもう12年。
今や車椅子は、公園散歩や観劇、買い物に手放せない移動手段です。
でも、私も歳には勝てず(笑)、坂道の多い公園などへの外出は、だんだん負担になってきました。

四季折々によく出かける万博公園や馬見丘陵公園は、広くてよく手入れがなされていて、花も多彩で気持ちのいいところですが、園内はけっこう長い坂道があって、押すのが大変です。距離は短いものの、花の文化園でも目玉のバラ園の途中に急な坂があるので、最近は行くのが少々気重に。

4年前の万博公園のコスモスの丘です↓
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でも、そんなヘタレな私に、悩み解消のヒントが。

それは以前アップした、神戸の布引ハーブ園での経験です。

行かれた方はご存知のとおり、ここは六甲山系の山の急斜面にレイアウトされたハーブ園で、頂上までロープウェイに行き、そこからハーブを鑑賞しつつ急な坂道を下り、ロープウェイの中間駅まで行くコースになっています。

かなりの急傾斜なので、普通の車椅子ではブレーキ操作が大変です。油断すると一気に走り出すので危険です。それで、車椅子利用者のために、頂上の案内所に無料貸し出しの電動アシスト車椅子が用意されています。自分の車椅子は係員が先にロープウェイの中間駅まで降ろして保管してくれます。よく考えられたシステムです。

当時利用した電動アシスト車椅子はナブテスコの製品で(というかほかに類似品はありません)、もう感動ものの便利さでした。押す力をアシストするだけでなく、制動力もアシストしてくれるので、何も考えずにハーブを鑑賞しながら坂を下れました。もちろん登りも軽々で、押す力をほとんど必要とせず楽でした。
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これは便利だと購入を考えましたが、値段は高く、重量も普通の自走式の電動車椅子よりは軽いもののちょっと重め。なので魅力的でしたが、利用はあきらめていました。

ところが去年、たまたまナブテスコのホームページを見ていたら、大幅に価格ダウンして重量も25%軽量化した新製品を発見。
これなら使えるとのでは♪と、資料を調べ、ヨメさんに車椅子を替えようと言いましたが、担当のケアマネさんは普通の電動車椅子の知識しかなく「お勧めできません」との返事。

でも、いつも利用している介護用品のレンタル会社のスタッフがこの製品をよく知っていて、ケアマネさんに資料を見せたり、実地にケアマネさんが試す機会を設けたりしてくれて、ようやくレンタルできることになりました。
ちなみにこのレンタル会社(パナソニック系列)のスタッフは、前職の介護関連企業で当該ナブテスコの製品開発に協力した経験があり、製品が改善されていった経過も話してくれました。

そして某日、電動アシスト車椅子が我が家に到着。

ハーブ園で使った製品と基本的に使い勝手は同じなのですぐ慣れました。試しにヨメさんを乗せて、家の周辺の坂道を押してみましたが、やはり感動ものの軽さ。押すと同時にアシストが効いて、平坦路では非常に弱いアシストが、坂道になるとスムーズにアシストされてほぼ押す力ゼロ!!
そして下りは、モーターの抵抗でブレーキが自動的にかかってゆっくり下っていきます。大したものです。
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本当に押している感じは全くなくて、私一人で歩いている感じです。とくに秀逸なのがグリップ部の勾配センサー。よくできています。わすが数ミリ程度のストロークなのに滑らかにアシスト力が制御される技術が素晴らしい!
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その後、大和民俗公園と馬見丘陵公園、万博公園に出かけてその威力を実感しています。
プリウスへの積載も、昔の鉄製車椅子程度の重量(バッテリーレスで16kg)なので問題なし。サイズも普通の車椅子と同じなのでプリウスの荷室にスッポリ入ります。
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ただバッテリーがニッケル水素で、軽量大出力のリチウムイオンでないのが残念ですが、価格面でこれは無理なのでしょうね。
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で、バッテリーですが、実際に使ってみたら、広い馬見丘陵公園を端から端まで回って、バッテリー残量を示すLEDの4段階の1つが消えたぐらいでよく持ちます。
↓馬見丘陵公園で早咲きの梅を見てきました
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これなら最近負担になってきた、万博公園の日本庭園を見てから花の丘まで行き、そこからアジサイ園に回って、最後にまた日本庭園の駐車場に戻る恐怖の(殴)長距離コースも余裕で行けそうです。
バッテリーは、帰宅後すぐ充電し、その後充電器から外して保存。出かける当日に補充電するというパターンです。

この電動アシスト車椅子、購入すれば18万円程度ですが、バッテリーのメンテなどを考えて介護保険でのレンタルにしました。月1,500円程度で利用できるので納得です。

これから老老介護がさらに増えてくると思いますが、電動アシスト車椅子はその負担軽減に大きく貢献してくれます。おすすめです。
できればカーボンフレームとリチウムイオンバッテリーの採用でさらに軽量化してくれたらいうことなしです。ただし値段は出来るだけ抑えてほしいですが。

ところで、普段の買い物ではやはり普通の車椅子で十分なので、それまでレンタルで使ってきたアルミ製の車椅子を買い取ろうとケアマネさんを通じて試算してもらったら、6万円との返事。ありえないです。ということでネットで検索。
デザインがよくて、ブレーキもドラム式で、足のステップが跳ね上げ式でコンパクトに収納できる優れものが2万円以下で買えることを発見。
商品名は「自走用車椅子 Beans(ビーンズ)」です。
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早速注文しました。2日後に配達されましたが、アルミパイプがポリッシュ仕上げでクッションもおしゃれ。ただ、駐車ブレーキのレバーの位置が介護者には遠すぎて不便なのが唯一の難点です。

ということで、車椅子は行く先に応じて使い分けています。どちらもおすすめです。


兵庫芸文センターで 『書く女』を観て -黒木華、大した役者さんでした

13日に兵庫芸文センターで二兎社公演『書く女』を観てきました。

作・演出は永井愛、主演は黒木華(くろき はると読みます)で、2006年に寺島しのぶ主演で上演された作品の再演です。

話は井上ひさしの『頭痛肩こり樋口一葉』と同じく、一葉の短い生涯がテーマですが、描き方は全く対照的です。

井上ひさしの脚本ではかなり自由奔放に(若村麻由美の幽霊とか(笑))樋口一葉を描いているのに対して、永井愛は一葉の実生活を忠実になぞり、彼女の文学が生まれる過程や彼女に関係する人々を描くとともに、文学作品の内容にも踏み込んだ脚本になっています。

でも恥ずかしながら、私は一葉の作品は全く読んでいない(殴)ので、そのあたりの話がよくわからずもったいなかったです。読んでおられる方はさらに面白かったでしょうね。

一方で二兎社とこまつ座に共通するのは、現代の偏狭なナショナリズムが幅を利かす社会風潮に対する強い危惧ですね。

前回観た「鴎外の怪談」でもそれがよく表れていましたが、今回も、日清・日露戦争に向かう当時の政治の流れを、現在の日本に蔓延している排外主義的な社会意識と重ねて、警鐘を鳴らしています。

ただし、現代の政治状況への危機意識はこの二人だけではなく、最近観た多くの舞台でも共通して感じ取れます。このあたりに現代の舞台人の良心が感じられて心強いかぎりです。

前置きはこのくらいにして感想になりますが、本当にいい舞台でした。
(写真は当日購入したプログラムから)

先に書いたように、永井愛の一葉とその作品に対する深い理解と共感が、脚本にも色濃く投影して話に厚みを加えています。

でも今回の私たちの収穫は何といっても黒木華。
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もう私などの予想を覆す完成度の高い役者さんで、感心しました。観るまでは、どうせ最近売りだし中の女優なので、その人気にあやかって登用したのだろうみたいな浅はかな先入観を持っていましたが、そんな邪推は完全に吹き飛ばされました。(笑)

幕が上がって、材木を階段状に敷き詰めたような舞台を、和傘を斜めに差した人物が交錯する演出がまず目を引きました。そのあと主演の黒木華が登場。すぐに、彼女の台詞にビックリ&感心しました。
結構細身なのに、よく通る声が舞台に響きます。演技も自然で、いいたたずまいです。
これがかなり衝撃だったので(殴)、幕間に公演リーフレットを読んだら、若いのに大変な経歴の持ち主で愕然としました。何に愕然としたかというと、私の無知さ加減。(笑)

そして、テレビで見るよりはるかに美人!(殴)なのにもビックリ。表情豊かで情感を込めた一葉で、いろんな所作も完ぺき、終始見惚れていました。NHKの連続テレビ小説にも出演していて脇役ながら存在感は大きくて印象に残っていましたが、ここまでとは思ってもいませんでした。大竹しのぶの再来みたいな感じです。

しかし、樋口一葉は本当に短命でしたね。
わずか24歳と6か月!でこの世を去っています。でもその作家生活は壮絶&濃密で、20歳未満で処女作「闇桜」を発表してから肺結核で亡くなるまでの間に22もの作品を書いています。
特に1894年12月の「大つごもり」発表から「裏紫」にかけての期間は「奇跡の14ヶ月」と言われていますが、まさに「生き急ぐ」という言葉がぴったりですね。それと、黒木華の若々しい容姿が一葉にぴったりでした。

一葉の母・樋口たきは木野 花。この人の舞台はこまつ座の「イーハトーボの劇列車」以来ですが、今回はこまつ座の『頭痛肩こり樋口一葉』の三田和代と似た役作りで、いい味を出していました。
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もともとしがない百姓身分なのに、夫とともに故郷を出奔後、俄か士族の端くれに列して下級官吏の身分を手に入れてから、なにかというと「ウチは士族なのに」と虚勢を張るたき。そんな母親をよく演じていました。

そういえば『頭痛肩こり‥』でも感じたのですが、今回の『書く女』でも女優陣の頑張りが目立っていましたね。

平岳大の半井桃水も、いかにも桃水はこんな人物だっただろうと思わせる説得力のあるいい演技でしたが、女性陣の迫力には負けている感じでした。でももう親の七光りなど完全に脱して、実力のあるいい役者さんになっていました。
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半井桃水については、私の生半可な知識で、若い一葉を誑かした嫌なヤツだぐらいに思っていましたが(笑)、彼が朝日新聞の特派員第一号として釜山にわたり、その経験を活かして朝鮮半島を舞台とした小説を書いていたとか、朝鮮半島の人々に同情を寄せていたとか、その体験から朝鮮半島の併合にも反対していたなど、私の知らない一面が紹介されていたのが新鮮でした。勉強になります。

桃水の妹・幸子役の早瀬英里奈はとにかく絵に描いたようなかわいらしさで目立っていました。彼女が出てくると舞台がパッと明るくなる得な存在でした。美人は得です。(殴)
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一葉の妹・くに役は朝倉あき。
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この妹も『頭痛肩こり‥』の邦子同様、しっかりものです。苦しい生活の下でも姉の小説家としての力量を信じていて、そのために自分を犠牲にしても家のために尽くすという健気な女性です。朝倉あきは、深谷美歩の邦子同様、一家の雑事を一手に引き受けて健気に働く妹をうまく演じていて、光っていました。

伊藤夏子役の清水葉月は一葉の終生の友として、折に触れて一葉を支える優しい女性です。初めて見る女優さんですがこの人も、一葉を陰に陽に見守り続ける姿が印象的でした。
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一葉のライバル・田辺龍子役の長尾純子も初めてお目にかかる俳優さんでしたが、最初は一葉のライバルとして張り合っていたものの、次第に力量の違いを見せつけられ、それでもメゲずにたくましくしたたかに生きる女性をユーモラスに演じていました。意地悪な役かと思っていましたが、そうではなくよかったです。敵役になったら面倒そうな人物でしたから。(笑)
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こうした女性陣の活躍ぶりに比べると、脚本上仕方がないですが、男優陣は少々影が薄かった。でも、出番は少ないものの(本当に終わりごろになって出てきます(笑))、古河耕史演じる斉藤緑雨はインパクトがありました。一葉と反目しあいながらも、互いに共通するものを嗅ぎ取っていたような二人の関係が面白かったです。男優陣では一番魅力的な人物でした。
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その他の男優では、平田禿木役の橋本淳も以前観た『海の夫人』ですでにおなじみだったので、勝手に親近感をもって観ていました。(笑)
不純な動機で一葉に近づいてきた悪いやつかと思っていたら、そうではなかったので好印象。(殴)

兼崎健太郎の川上眉山もよかったです。でもやはりこの芝居、男子の影が薄いなあ。(笑)
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最後になりましたが、音楽は作曲と生演奏担当が林正樹。
曲も演奏も素晴らしく、舞台を劇的に盛り上げていました。
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そして、結末となりましたが、もう大感激でした。不覚にもついホロッとな。

よくできた脚本と、それにこたえる芸達者のいい役者ぞろいで、それを最前列センターで観られて、本当に至福のひとときでした。

拍手しながら、ヘタレな私は立つタイミングを見計らっていましたが(殴)、そうしているうちにカーテンコールが二回で終わってしまってガックリ。ヨメさんも同様だったとみえて、「もうこんどは一人でも立つ!」と後悔しきりでした。

もし再演される機会があったら、今度はもう少し一葉の作品の知識も持って、ぜひ観たいと思いました。おすすめです。


そういえば当日のロビーではこまつ座の「頭痛肩こり‥」の再演がアピールされていました。今回は永作博美が一葉とのことですが、あとは前回と同じメンバーなのでまた観てみようかとヨメさんと話していました。唯一前回は小泉今日子が残念だったのですが、今回はどうでしょうか。

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宝塚雪組公演『るろうに剣心』、観てきました!

順番では宙組の感想その2を書くつもりでしたが、2度目の観劇は郵便局の2階席貸し切り公演。とてもじゃないが障害者のヨメさんは抽選で当たった席へは行けず、スタッフに依頼して障害者席に替えてもらって何とか観劇というありさまでした。なので、気もそぞろで、つい感想も書きそびれていました。←苦しいいいわけ^^;

そうこうしているうちにいつしか花組「そろうに」の観劇となって(殴)、その出来があまりにもよかったので、とうとう宙組のその2はボツになりました。大変申し訳ありません。

当日、交通渋滞を気にしながら早めに出発。でも高速に乗るまでは混んでいましたが、阪神高速はいつになく空いていて、予定通り10時前には劇場へ。木曜日でしたが、平日でも多くの立ち見が出ていました。
最近、あまりプログラムを買っていなかった私たちですが、今回は期待も込めて買いました。
幕が上がるまでの間、客席でそれを読んでいましたが、今回のプログラムはいつになく豪華でした。
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真ん中あたりには珍しい折込写真ページもあったり、小池先生の話もいつもより長くて内容も面白く、読み応えあり。
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ということで、シェイクスピアならぬ「そろうに剣心」の感想です。
まず観劇を終えての印象から。

私の事前予想は大外れでした。
観る前は、「どうせコミック&映画のダイジェスト版だろうし、企画が安易でオリジナリティないねー」などとエラソーなことを言っていましたが、観終わればそんな浅はかな先入観など見事に吹き飛ばされて、タカラヅカ版にふさわしい小池先生のオリジナリティあふれた脚本に脱帽。

もちろん、映画でおなじみの道場乗っ取りの場面とかありますが、途中からタカラヅカならではのストーリーに変わり、テンポが速く小気味よい展開にいつの間にかドップリ浸かっていました。登場人物が多彩で、話もどんどん膨らんでいくのにわかりやすく、なにより映画よりも面白い! 大したものです。

そして配役がまさに宛書の手本でした。
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早霧せいなは手練れの剣心役にぴったりで、まさに余人をもって代えがたい。
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陰のある人物像ながら各所で弾けるところもあり、ひとたび剣を持てば殺気漂うシビアな表情に一変。
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目玉の殺陣も、キレのいい剣捌きが見ごたえ十分。
ヅカでよくある、まるでスローモーションのような脱力系の殺陣とは大違い。(笑)
今回大道具さんも大奮闘で、冒頭の竹林での殺陣のシーンでは、早霧せいなの見事な太刀に合わせて孟宗竹が次々と切り倒されていくところが実によくできていました。でもうまく倒れるかなとつい注視モードになったり。(笑)

↓似合いのコンビです
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咲妃みゆも健気な道場主・神谷薫を頑張って務めていました。
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最近の娘役に類例のない愛くるしい容貌なのに歌はしっかりしているし(普通なかなか両立しない(笑))、身のこなしにキレがあり、演技もメリハリが効いていて、とくに表情豊かな感情表現がリアル。私は彼女の可憐な容貌とか訥々とした語り口と、それに似合わぬしたたかな実力に、ある種の乖離というかチグハグさを感じて、いつも何か馬鹿にされているような気がしています。(殴)
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加納惣三郎の望海風斗もよかったですね。

彼女は今の各組男トップには希薄な、逞しさとか強さがあるので、加納惣三郎はまさにハマり役。
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この加納惣三郎という人物は、原作者の勧めで小池先生が創作した役ですが、決して添え物ではなく、この人物が話の展開に大きな役目を負っています。
私も二番手のための、間に合わせの役かと思っていましたが、とんでもない勘違い。今回の舞台で一番濃くてインパクトのある大きな役でした。
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望海風斗は貫禄さえ感じる安定感のある演技で、堂々の二番手ぶりでした。

彼女が演じる維新後のジェラール山下を見ていると、まるで久生十蘭や小栗虫太郎の作品に出てきそうな妖しさ満載の人物です。そういえば咲妃みゆが人質になるところも、まるで蜘蛛の巣にかかった蝶のように耽美的で、両者の小説の一コマのようです。

あとの配役もよかった。
ヨメさんと帰り道の車中で話していたのですが、今の雪組、男役が人材豊富ですねぇ。鳳翔大や彩凪翔、彩風咲奈に月城かなとと、いつのまにか豊富に品揃え。(笑) 
まず剣心に心酔する佐之助役の鳳翔大が、まんま歌舞伎のように見得を切って登場する場面が面白い。これもトクな役です。鳳翔大はちょっと凰稀かなめに似ていると思ったり。
そういえば今回、歌舞伎仕立ての場面が各所にあって、どれもいい見せ場になっていました。小池先生の遊び心が楽しいです。

新撰組出身で、維新後は警部補になった(結局時代は変わっても同じ商売か)斎藤一を彩風咲奈、
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加納と共にアヘンで大儲けしようとする武田観柳の彩凪翔、
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そして元隠密の四乃森蒼紫を月城かなと(目下一番の有望株ですね)と、
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それぞれ個性のある役で、出番も多く大活躍。
とくに、物凄くマズそうに煙草を吹かす(殴)彩風咲奈が面白かった。でも彩風と彩凪、字面が似ていてややこしいですわ。(笑)

今回退団する大湖せしるの女医・高荷恵も、彼女のキャラクタにうまくマッチした役でよかったです。
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でもこれが見納めとなるのは残念です。退団と言えば桂小五郎の蓮城まことも同様で惜しいです。新しい世界で頑張ってほしいですね。
一方、比留間喜兵衛&井上馨の美城れんと、
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山県有朋の夏美よう
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の専科二人はちょっと出番が少なくてもったいなかったですね。
毎回美城れんが出る舞台ではつい姿を追ってしまいますが、今回はちょっとしどころがなくて気の毒でした。

今回の話で、小池先生が登場人物に「庶民にとって維新前も維新後も暮らしは良くならず、薩長がおいしいところを独り占めしている」と言わせているのもよかった。維新のどさくさまぎれで政治の要職に就いた流れが今も後を引いているのにはうんざりしている私にとって全面同意です。

衣装は相変わらず豪華でした。島原の遊郭の場面など、何度も使うわけではないのに衣装もセットもコストがかかっています。
フィナーレも見ごたえがありました。芝居の方でも盛りだくさんで十分楽しめたのに、ショーでもいい出来でお得感満載。ただし音響は悪かったです。上手端に近い席だからか、とくに早霧せいなの歌の場面で音量が大きすぎて聞き苦しい。大音量で歌が割れてしまって、音響効果は完全にマイナス。

言い忘れましたが、今回の客席降りは通路で芝居もしていて楽しかったです。通路席で観劇予定の方は乞うご期待です。

というわけで、本当に望外の良作になっていました。チケットが早々と即完売というのも当然ですね。それでも未練がましく公演後にチケット窓口に行きましたが、たった1日だけ火曜日の3時公演にS席がかろうじてあっただけで、リピートは到底無理でした。

今年のタカラヅカ最優秀作品候補です。

シアタードラマシティで『ETERNAL CHIKAMATSU』を観て 見ごたえたっぷりでした

3月5日、シアター・ドラマシティで『 -近松門左衛門『心中天網島』より-ETERNAL CHIKAMATSU 』を観てきました。谷賢一の脚本をデヴィッド・ルヴォーが演出、深津絵里&中村七之助のW主演という舞台。デヴィッド・ルヴォーといえば2014年に観た難解な「昔の日々」の悪夢を思い出しますが(笑)、今回はそうならないことを期待しつつ出かけました。
↓デヴィッド・ルヴォーです
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道路は空いていて、いつもより早く駐車場につき、余裕で昼食(家族亭です)。劇場入り口に戻ると、すでにこれまで見たことのない長蛇の列が出来ていました。ほどなくして開場となって、スタッフに案内されて車椅子用通路から客席へ。女性客が多かったのは中村七之助ファンの方々でしょうか。

『心中天網島』はご存知の通り近松門左衛門の代表作ですが、私はこれまで舞台を観たことがありません。というわけで、心中物=悲劇ということで、さぞ重苦しく深刻な話だろうな程度の観劇でしたが、結論としては脚本も演出も極めて明快でわかりやすく(笑)、すんなりと胸に響きました。

上演時間は途中20分の休憩をはさんで約3時間。
でも出演者の力の入った演技と、絶妙の生演奏で全く長さを感じない緊張感のある舞台でした。結末もいい意味で安易な予想が裏切られて、後味のいいものでした。満足。(笑)
そして観終われば、鳴りやまない拍手のカーテンコール。前回「書く女」で立ちそびれて後悔した私たちも、今回気合を入れていち早くスタンディング(笑)。でも本当にいい芝居でしたよ。

という前置きはこれくらいで、塩分控えめ・超薄味な感想です。でも少々ネタバレありなので、未見の方はご注意です。
画像は当日買ったプログラムから。いつもの通り敬称略です。
↓プログラムです
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客席に半鐘の音が響いて照明が消え、幕が開いて今流行のプロジェクションマッピングの映像が映されて、まるで映画のような幕開きでした。画面はニューヨークの映像からリーマン・ショックのニュースとなり、大阪・道頓堀のネオン街になって、舞台の設定が大阪とわかります。
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しかし最近のプロジェクタはきれいですな。私などがパワポのプレゼンで使っていた時とは大違いです。

そして深津絵里のハルが登場。
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彼女は借金のために売春婦となり、その完済のためにこれからどれだけの間、どれだけの男を相手にしなければならないかを細かく計算して嘆きます。まずこの場面がいきなりのインパクト。けっこう宝塚の石田昌也センセイ顔負け(笑)の際どいセリフが深津絵里の口からポンポンと出てくるのがびっくりでした。

↓プログラムの練習風景から
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ところで私が深津絵里に興味を持ったのは、wowowで三谷幸喜の『ベッジ・パードン』を観てから。
それまで『悪人』や『ステキな金縛り』で映画での演技は十分承知していましたが、舞台でも凡俗のタレントとは大違いの完成度の高い演技だったので、機会があれば観たいと思っていました。期待にたがわず今回も大した演技で、ベテラン・中嶋しゅうのヤリ手ババアとの掛け合いも面白かったです。
ただちょっと彼女は痩せすぎな感じで、ヨメさんは「『十二夜』の中嶋朋子みたい」と言っていました。私も同感で、もうちよっとふっくらしてほしいですね。まあ今回は生活に疲れた売春婦役なのであまり健康的なのもいかがなものか(殴)。

ハルは常連客のジロウと商売抜きの恋をしています。このジロウ役の中島歩(花子とアンの宮本龍一ですね)は、ビジュアル的には生活力ゼロのイケメン役で(笑)ピッタリですが、セリフがちょっと聞き取りにくいのが残念。

そう思いながら観ていたら、ジロウの兄・イサオ役の音尾琢真が登場。手切金を突き付けて妻子持ちのジロウとの離縁を迫ります。この人のセリフは良く通り、ホッとしました。演技も余裕綽々、観ていて安心感があります。
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そしてハルは散々イサオに罵倒され、それでも借金返済の足しになればと差し出された金を受け取ります。
しかし、やはり思いを断ちがたく、半ば自暴自棄になって街を彷徨い歩くうちに、幻の蜆(しじみ)川にたどり着き、そこに架かる橋の上で遊女・小春(中村七之助)と出会うところから、一挙に江戸時代にタイムスリップ、というか、一種のパラレルワールド風の展開ですね。
↓練習風景から
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舞台装置は、デヴィッド・ルヴォーの文法どおり、あの世とこの世をつなぐ橋を抽象化した極めてシンプルなもの。でもそれが、幽玄の世界にふさわしく、幻想的で過不足ない効果を上げていました。
また先に書いたように音楽もぜいたくな生バンドで、間断なく流れる絶妙な演奏と効果音の演出がよかったです。

現代ではババア役の中嶋しゅうは、江戸時代では狂言回しのようなジジイになっています。
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↓ババア役のほうです
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このジジイに案内されたハルは300年の時空を超えて『心中天網島』の物語に入り込み、眼前で展開される物語を傍観し続けます。ハルと私たちが同じ立位置で観る設定が面白かったです。ただそのために深津絵里がほぼ出ずっぱりとなるので大変ですな。
そして舞台上では、歌舞伎の“河庄”や“しぐれの炬燵”の世界が展開されていき、歌舞伎ファンならたまらないところでしょうね。

期待通り、深津絵里の演技は大したものでした。きめ細やかな演技と豊かな感情表現がリアルでした。それに対する小春役の中村七之助も、これぞ歌舞伎の女方といわんばかりの完成された様式美で、美しいなかにも鬼気迫るものがあって、圧倒的な存在感でした。
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↓練習風景から
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芝居のテーマは男女の「生と死」ですが、同時に「性と死」の世界でもあると思いました。
この不変のテーマを、300年の時代を往来しつつ描き出す、新しい視点の舞台にしてくれた谷賢一とデヴィッド・ルヴォーに感謝。

そしてそんな重いテーマでも、最後は希望を託せるホッとさせる意外な結末で、うれしい誤算。

おかげで温かな余韻に包まれて劇場を後にすることができました。脚本家の登場人物に対する優しいまなざしが感じ取れてよかったです。

もし再演されることがあったら、未見の方はぜひご覧ください。おすすめです。

星組公演 『こうもり』 …こうもり博士の愉快な復讐劇…と『THE ENTERTAINER!』、観てきました

3月31日に星組公演「こうもり」―こうもり博士の愉快な復讐劇」とショー「THE ENTERTAINER」を観てきました。
いつものように遅い感想です。m(__)m

観劇日はまさに春爛漫、青い空を背景に、花の道の桜ははや満開でした。月末の渋滞を考えて早く出たのですが、なんと9時半に到着。なので、桜の下で写真を撮ったりして花を楽しみながらゆっくりと劇場へ。
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劇場の土産物売り場に行ったら、うれしいことに、長らく販売中止になっていた超美味なタカラヅカフィナンシェを発見♪、さらにこれまた絶品の辻利兵衛の抹茶ラングドシャと合わせて確保しました。(笑)
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そして、いつもの弁当を買って劇場入り口に。驚いたことに、木曜にもかかわらず、すでに立ち見の長蛇の列ができていました。事前の情報ではチケットが余っているとか聞いていましたが、大違いでした。

今回の私たちの席は最近稀な下手側で、11列通路側の席(ショーの客席降りではヨメさんがハイタッチしてもらって大喜び)で見やすかったです。
まず102期生の口上から始まりました。
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芝居の方の「こうもり」は、ご存知ヨハン・シュトラウスのオペレッタですが、最初私はちょっと嫌な予感。
コウモリには以前の体験でいい印象がないし。(笑)
もっと大作を期待していたのに、メリー・ウィドウでやったばかりのオペレッタを何でまた?とちょっとがっかりしていました。それでも北翔海莉なので観逃す手はないよねと、ヨメさんともどもちょっと消極的な感じでの観劇でした。

という前置きはこのくらいで、以下感想になりますが、上記の思い込みは全く外れて、うれしい誤算でした。

とにかく楽しい!歌がすごい!北翔海莉 の薫陶を受けたせいか、星組のみんなが歌ウマになっている!
それでも初めのうちは、普通の芝居を観ている感じで、「なんかテンポが遅いなあ」とか「話がすすまない!」とか思ってみていましたが、コレ、間違いですね。

だいたいオペレッタは他愛のない話が多いので、話のつじつまをチェックするようなものではありませんね。
まあそれでも粗筋としては、公園で泥酔した北翔海莉のファルケ博士がニケの胸像に括り付けられ、翌日その姿が衆人環視の的となって町中の笑いものになり、ファルケ博士が張本人のアイゼンシュタイン伯爵に復讐(というより仕返しですね)するというものですが、もともと酔っぱらいのいたずらにいたずらで返すみたいなノリの単純な話。

それに途中から気付いて、以後気楽に楽しむことにしました。で、見えてきたのは北翔海莉は当然として、相手役の紅ゆずるのアイゼンシュタイン伯爵やアデール役の妃海風の歌が見違えるほどうまくなっていること。
この3人だけでなく、主な登場人物みんな、それぞれの歌が聞きごたえがあり楽しめました。演技も、まず北翔海莉と紅ゆずるのコミカルな応酬が絶品。とくに紅ゆずるのコメディセンスが抜群で、まさに水を得た魚でした。
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妃海風もいつの間に練習したのか、別人のような(殴)高音域の伸びにビックリ。長い公演期間なので喉が持つのかと心配になるほどでした。大したものです。
演技も表情豊かで、今の娘トップでは咲妃みゆに並ぶかわいらしさ(あくまで個人の感想です)がありますが、ナウオンとかでの話しぶりでは、かなり妃海風のほうが元気ですね。

全体の感想としては、まあとにかく文句なしに楽しい! 文芸大作とか、波乱万丈の歴史絵巻もいいですが、明るく楽しく歌もたっぷりという今回のような作品もいいですね。
↓当日購入したプログラム表紙です。
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で、さっそく幕間に、ヨメさんとリピートすべく日程をチェックしましたが、4月は観劇予定が多く日程に余裕がないし、大体チケットが希望のSの1階席が売り切れということで断念しました。まあショーのほうも盛りだくさんの楽しい出来だったので、一度観たらおなか一杯ということもありましたが。(笑)

幕開きは3年前の仮面踏会という設定で、こうもりのマント(でも黒くないです)のファルケ博士が登場して歌い出し、まずその歌に感心&安心。
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その後、博士と親友のアイゼンシュタイン侯爵(紅ゆずる)が酔っ払って公園に行き、復讐の発端となるいたずらの場面になります。でもそんなたかだか酒の上でのイタズラを3年も根に持ち続けて、復讐の機会をうかがうとはファルケ博士もいささかアレな感じですが、まあオペレッタとはそんなもんです。(笑)
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ということで以下個別の感想です。いつものように敬称略。(画像はスカステ・ナウオンステージと同ニュースから)
まず北翔海莉。
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とにかく持ち前の歌唱力全開で、大劇場の舞台空間いっぱいに歌声を響き渡らせています。まさに宛書で(というか本人の希望でもあったとのことですが)今のタカラヅカでは彼女以外に考えられない演目です。

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アデーレ(アイゼンシュタイン侯爵家の侍女です)役の妃海風も、いつの間にこんなに歌えるようになったのかとビックリの見事な高音域の歌で、不覚にも(殴)思わず拍手してしまいました。ただ、こんなに頑張って声が枯れないかとつい心配になりますが。
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侍女の質素な衣装から豪華な舞踏会の衣装まで、それに合わせたクルクル変わる表情が楽しませてくれました。
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紅ゆずるは、得意のコメディセンスを存分に発揮していますが、あまり期待値が高くなかった(殴)歌が長足の進歩。
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普段あまり褒めることのないヨメさんも幕間に「うまくなっているね~」と感想を漏らすほど。
冒頭の酔っ払いの場面から、これぞ二番手!の存在感で北翔海莉と息の合った掛け合いを見せてくれました。アイゼンシュタイン侯爵も彼女以外に考えられない役になっていました。
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ほかに目についた役では、まず北翔海莉と相性のいい(と私が勝手に思っている)専科の星条海斗が演じるオルロフスキー公爵(ロシアの皇太子)。
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星条海斗はそれほどしどころのある役ではないのですが、有名な「シャンパンの歌」を歌ったり、いかにも皇太子といった威風堂々(笑)の存在感がよかったです。

そして十輝いりすのフランク刑務所長がよかった。
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とぼけた刑務所長がいい味です。
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舞踏会では怪しげなフランス語を披露して客席を沸かせました。
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でもこの二人に挟まれて立つと、北翔海莉が本当に小さく見えます。(笑)

弁護士の七海ひろきや、
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アイゼンシュタイン侯爵家の執事アルフレード役の礼真琴は出番が少なく(何しろ獄に入れられてしまうので^^;)、
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あまりしどころのない役なのが残念。

↓これはショーの一場面
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でもこの二人も、コメディセンスのある軽妙な演技が板についています。そして礼真琴は何といっても歌が抜群の安定感。
サイン色紙をもらってからなぜかファンになった現金な私です。(殴)

実は今回、一番私の印象に残ったのは、ロザリンデ(アイゼンシュタイン侯爵夫人)の夢妃杏瑠です。
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夫の浮気に疑心暗鬼となる妻ですが、怒った表情がなんともかわいらしくて(殴)、なぜか応援したくなりました。最近はスカステでよくお目にかかりますが、舞台でこの人に注目したのは今回が初めて。登場場面が少ないですが、頑張っているのが好感度大で、ついオペラで追ってしまった。(笑)

あと、ファルケ博士の恩師ラート教授役はせっかくの専科から汝鳥伶ですが、この人もソロを歌った以外はあまり出番がなかったのがもったいない。でもさすがの存在感でした。この人の持っている特殊拡声器?(声の特定の波長だけを狙った相手に送るとかもっともらしく説明していました(笑))がツボです。
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ショー「THE ENTERTAINER!」はスぺクタキュラーというだけあって、初舞台生を動員した人海戦術の相乗効果もあって、見ごたえ十分・お得感タップリ。歌もたっぷり聞かせてくれて、豪華なアンサンブルも素晴らしく、これが作・演出担当の野口幸作の大劇場デビュー作とは思えない完成度。観終えてもう次作が楽しみになりました。

プログラムによれば去年の秋から半年にわたって野口の企画を元に北翔海莉と意見交換を重ね、「今の星組にふさわしい内容で、北翔海莉以外では絶対に上演不可能なショー」にするという点で完全に両者の意見が一致したとのこと。
まさに期間限定の究極の宛書なショーで、テーマはまさに「すべて見せます北翔海莉」(笑)。
私が一番面白かったのは、第3章での、ランドセルみたいなカバンを背負ったみっちゃんの姿。
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当時観劇してからずっと私の胸に溜まり続けてきた、「みっちゃんにどうしてこんな役をやらせるのか」という積年の恨みが完全に払拭されました。(笑) 小さな恨みです。(笑)

前後しますがもちろんオープニングも見どころで、北翔海莉が星のゴンドラに乗って舞い降りてきます。
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そして全員が白の燕尾にドレスのゴージャスなプロローグに。この場面がおしゃれで、これだけで期待感が高まりました。

プロローグが終わるとすぐに102期生のラインダンスというのも新鮮です。でも、この場面で大階段を見て「あれ、今回も大階段多用?」とチラっと不安になりましたが、102の人文字を描くためと分かって安心しました。(笑) 
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ロケットのピンクの衣装が、劇場前の満開の桜を連想させてきれいでした。

そしてスターにあこがれる北翔が厳しいオーディションとレッスンを経験し、先のランドセルから赤ん坊、そしてヤブ医者役を経て、ついには主役に抜擢されるという展開です。

なんと妃海風が北翔海莉の歌のレッスン教師です(笑)↓
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そして、最後はあっと驚くスパニッシュの場面。この変身が鮮やかです。野口先生、やってくれますね。
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黒燕尾姿の男女の群舞でクライマックスに。
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このあと北翔がひとり残って、せり上がってきた透明なピアノで弾き語りを披露する見せ場に至る構成の妙が心憎いです。でも小心な私はピアノ演奏についハラハラしたり。(笑)

退団する十輝いりすと↓
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デュエットもよかったです。
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ジュピターです。
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紅ゆずるも場面をたくさんもらっていて、先のとおり歌も立派な出来栄え。やれば出来るもんですね(殴)。
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コミカルな演出といえば、星条海斗と十輝いりすがまさかの女装コンビで登場。一瞬私は凍りつきましたが、それもすぐに慣れて(笑)、よく見ると二人ともなかなかの美女(殴)。とくに星条海斗の美脚にはヨメさんもいたく感心していました。
天を衝く(殴)お二方の美脚も披露されて、
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でもやはりこちらのほうが安心(笑)
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本当に久しぶりに見るいいショーでした。ショーの全般にわたって稀代のエンターテイナー・北翔海莉のすべてが堪能できる仕上がりで、まるで退団ショーかと錯覚してしまいそうでした。
テンポもよくて本当にショーの醍醐味をたっぷり味わえました。期待の新人ショー作家の誕生です。

↓おまけです。
これが最後のナウオン収録となる十輝いりすに出演者から花束贈呈です。
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少し前に退団と聞いて、十輝いりすの素朴な飾らない人となりが惜しく、いまだに「クラップしようぜ」が忘れられない私です。退団は残念ですがこれからも応援したいです。色紙はもらっていませんが(殴)。



兵庫芸文センターで新国立劇場主催・鄭義信三部作の第一作「焼肉ドラゴン」を観てきました

4月9日に、兵庫芸文センター・阪急中ホールで、新国立劇場主催で鄭義信(チョン・ウィシン)氏脚本による「焼肉ドラゴン」を観てきました。
この作品は、4月29日に同じ劇場で観た「たとえば野に咲く花のように」と、6月に観劇予定の「パーマ屋スミレ」とともに新国立劇場 演劇2015/2016シーズンの鄭義信 三部作公演を構成する作品です。

ただ、これまで私は鄭義信さんの舞台は一度しか見たことがなく、その作品「しゃばけ」が超しつこいギャグの演出と、主演の役者の不出来で、面白かったもののあまりいい印象ではなかったので、題材には魅力を感じても(三作一度に購入すると割引も大きかったし(殴))、あまり期待せずにチケットをゲット。
でも、実際に「焼肉ドラゴン」を観てもう目からウロコ状態、現金なもので続く29日の「たとえば野に咲く花のように」は一変して期待にワクワクしながら劇場に向かいました。

本当にこの二作、題材こそ違ってもいずれも極上の舞台で、芝居の面白さが凝縮された濃密な脚本でした。しみじみ、チケットを買ってよかったと思いましたね。見逃していたら、残り少ない私の人生に大きな禍根を残すところでした(笑)。

ということで、まだあと一作残っていますが、今回はまず三部作VOL.1「焼肉ドラゴン」の感想から。ネタバレありなのでご注意を。

結論から言うと、この作品、重いテーマながらも、随所に笑いがちりばめられて、在日コリアン版「三丁目の夕日」の懐かしさと、「屋根の上のバイオリン弾き」の悲哀も感じさせてくれる味わい深いものでした。
まだ「パーマ屋スミレ」が残っていますが、とりあえず今年の芸術大賞演劇部門の最優秀賞有力候補間違いなしです。何の賞かって?
言わずと知れた「思いつくまま芸術大賞」(殴)!!。
(っていいながら、このところ2年ばかりトンと結果発表していませんね。m(__)m)

まず始まりがユニーク。

開場とともに客席にいくと、もう舞台上では芝居が始まっていました。

超リアルな焼肉店の店先では、七輪からホルモンの煙が立ち登り、アコーディオンを弾く客と、それに合わせて歌い踊る数人の客。焼肉の煙は客席まで漂ってきます。
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舞台のセットは本当に細部までリアルで、店の換気扇は油煙に汚れ、店内に貼られたポスター類もレトロ。店の前の一本の水道栓からはちゃんと水が出て、一家の母親が米を研ぐ場面では、釜の中に米が入っていたり、飲んでいる酒は白濁したドブロクだったり。細かくチェックするのも楽しかったりします。随所に出てくる流行歌や人気CM、当時の事件なども雰囲気を出していました。

物語は、大阪万博開幕直前の伊丹空港脇の在日コリアンの町で、太平洋戦争で左腕を失った店主・金龍吉が経営する焼肉店を舞台に、彼と先妻との間に生まれた二人の娘と後妻・英順、その連れ子の娘、そして、英順との間に授かった一人息子という一家をめぐる話です。

その一家と住民たちの、泣いたり・笑ったり・罵り合ったりの日常を描きながら、やがて押し寄せてきた時代の波に流されて、それぞれが別々の人生を歩みだすという話です。
ちなみに、頻繁に頭上を飛び過ぎる旅客機の爆音がリアルです。爆音からすると飛行機はダグラスDC-6で、Pratt & Whitneyのダブルワスプでしょうか(殴)。

そんな市井の片隅に生きる人々の生活を通して、
「日本人と在日だけでなく在日と韓国人、韓国人と日本人、さらには韓国内でも済州島が経験した独自の悲劇(注:済州島四・三事件)」(公演プログラムより)
という差別の構造が見えてきます。このあたりの描き方が本当に見事でした。

この舞台は、みんなが主人公です。

最初のうちは長男・金時生(大窪人衛)が狂言回しのような扱いだったので、彼が主人公かなと思っていましたが、後で触れますが途中であっけなく死んでしまったのでそうでないことがわかります。

結局、後の「たとえば野に咲く花のように」でも同様でしたが、登場する人物全員がしっかり存在感があり、それぞれの人生の主人公になっていて、役の大小にかかわらず、俳優にとってやりがいがある舞台だったと思います。

というところで、各俳優ごとの感想です。
いつものとおり敬称略。画像は当日購入したプログラムから。

まず次女・金梨花役の中村ゆり。初めてお眼にかかりましたが、いい役者さんですね。全然知らなかったのでちょっとWikiって(笑)みたら、多彩な経歴でビックリ。
細身ながら存在感のある演技だったのが納得できました。
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芝居の冒頭、店内には梨花と清本(李)哲男(高橋 努)の結婚を祝う装飾があります。でも、結婚届を市役所に出しに行った哲男の態度を巡って二人が口論となり、結局届は出さないまま。
やがて結婚そのものがワケありなのが見えてきます。このあたりの中村ゆりの演技が自然でうまかったです。
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哲男は大卒ですがどこにも就職できずブラブラしています。この哲男が時々生硬な演説をするのでちよっと気になりましたが、これも哲男の人となりを示すセリフだったことがやがてわかってきました。
この場面で私は、この舞台の設定とほぼ同時期に、在日コリアンの知人が大学を出たものの全く就職できなかったことを切実に思い出しました。

その梨花と、姉・静花(馬渕英里何)は哲男を巡って過去に複雑な経緯があることもわかってきます。この静花がこれまたリアルなたたずまいです。

長女として店を切り盛りして苦労する細身の姿が痛々しく見えましたが、でも決してか弱い女性ではなく、芯の強さも見えてきます。引きずる足が痛々しいです。
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そういえば今回観た鄭義信作品は、共通して女がみんな強い(笑)。
それにくらべたら、店主で父親の金龍吉(韓国の俳優ハ・ソングァン)をはじめ男どもはみんな影が薄い(笑)。観ながら、昔の私の見聞きした経験でも同様だったと思い出しました。本当にいろんなことが浮かんできた芝居でした。

でも第二次大戦で日本軍の憲兵だったときに左手を失って(脚本家の父の実話とのこと)、しかし韓国の独立で何の補償も受けられなくなって、日本各地を転々としながら一家の生活を支えてきた龍吉は決してその苦難を語りませんが、むしろその寡黙さで過酷な人生さがしのばれて、胸に刺さってきます。
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その妻・高英順を演じたのはナム・ミジョン。(プログラムでは42歳とのことですが、舞台では見事に老けていました。)肝っ玉母さんで、生活感にあふれた存在です。

役の上では戦後韓国から三女の美花を連れて来日した設定で、その美花役もチョン・ヘソンという韓国の俳優さんです。
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美花は現代っ子(死語です)で、姉たちとは違ってアッケラカンとしているのが面白い。

そして静花の婚約者・尹大樹役のキム・ウヌと、常連客の親戚・呉日白役のユウ・ヨンヤクも韓国の俳優さんでした。でもいずれも全く自然にカンパニーに溶け込んでいて、言われなかったら気づかないほど。
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彼らの台詞は舞台両サイドに字幕で表示されていましたが、これがまたリアルで効果的でした。
とくにキム・ウヌがとぼけた味の演技でよかったです。
途中、静花を巡って、哲男VS大樹の恋敵同士でマッコリの呑み合戦を始める場面は、鄭義信演出の真骨頂で笑わせてくれます。

でも同じ劇中で、尹大樹の会話を耳にした高英順が、
「あれは済州島の言葉ではないね」というところが、「済州島四・三事件」を暗示して胸を打ちました。こうした脚本のディテールが、当時の時代背景をよく描き出していました。

最初は、姉たちのドロドロした人間関係とは別に、それと並行するように弟・時生(大窪人衛が好演)が描かれているので、彼が主人公になのかと思って観ていました。
実際彼には一家の夢が託されていました。両親は苦しい生計をやりくりして、彼を有名私立に入れます。しかし現実はあくまでも非情で、彼は校内のイジメにあって不登校となり、留年の末、過大な両親の期待に耐え切れず、屋根から飛び降りて自殺。このあたりの、両親の空しい努力と、あっけない結末が悲しいです。

話は、長女が夫とともに朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)へ渡り、次女は韓国へ、そして三女は日本人(大沢健演じるクラブの支配人・長谷川豊)と結婚するところで終わります。このあたりの父親の姿は、「屋根の上のバイオリン弾き」を彷彿とさせてくれます。
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大沢健の長谷川豊は見るからに頼りなくいい加減な男で、歌手志望の三女をもてあそぶ嫌な奴と思っていたら、これが意外にいい人。(笑)
その妻役のあめくみちこもうまい俳優さんでした。二役の妹もコミカルで、いかにもな市の職員ぶりがよかった。
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この市職員は、店が国有地を不法占拠しているから、立ち退くように通告に来たのだが、ここで初めて龍吉は、「ここは俺が買った土地だ!土地を奪うなら、戦争でなくした俺の腕を帰せ、息子を帰せ」と怒りを露わにします。
しかしそんな声も無視され、強制収用で店内の什器や家財道具はすべて運び出されてしまいます。そして最後は、解体・整地を待つばかりの店から子供たちが旅立って行き、龍吉がリヤカーに体の不自由な妻と家財道具を載せて立ち去るところで終わりました。



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でも、話の終わりはまた、それぞれの登場人物にとって新たな物語の始まりでもあります。

リヤカーとともに旅立った老夫婦のその後の人生はどうなったでしょうか。
北朝鮮に渡った長女夫婦には「王道楽土」が待っていたでしょうか。
韓国に行った次女夫婦も、在日コリアンというハンディのもとで、「漢江の奇跡」を享受するにはまだ長い時間が必要だったでしよう。
日本人と結婚した三女も、決して平坦な人生とはいかなかったでしょう。

本当にいろいろな思いが掻き立てられる、余韻のある舞台でした。

観終えてカーテンコールとなって、もちろん客席は全員スタンディングオベーション。
客席はいつもの芸文センターとは違って年配の在日コリアンらしい人々も多く、みんな流れる涙を拭おうともせずに拍手を送り続けている姿が印象的でした。
彼らの拍手はまた、舞台に象徴された同時代の自分自身と、同胞たちへの拍手でもあったでしょう。

本当に観られて良かったです。
脚本演出の鄭義信さんがプログラムで述べていた、
「この三本の作品を通して、在日コリアンというものに対しての、なぜ日本で生きているのか、なぜ日本で生活をしているのかを垣間見ていただければと思っています。(略)」
という制作への思いがよくわかる作品でした。その意味では、日本人こそ観なければならない作品だと思いました。

余談ですが、プログラムに掲載されていた金時鐘さんの「済州島四・三事件」についての解説で、初めてこの悲劇を知ることができました。歴史に無知なのが恥ずかしいです。

しかし、最近の新国立劇場の企画には敬意を表したいです(もちろん兵庫芸文センターにも)。

前に観た「パッション」も本当に素晴らしい舞台だったし。微力ながら応援したくなりました。なによりチケットも大バーゲンといっていいほどリーズナブルだったし(殴)。

さて次は「ときには野に咲く花のように」の感想です。
そのあと「アルカディア」も観たし、その後には「グランドホテル」も観ましたが、書くことは多いのになにせ筆が進まない!

つくづく私の脳内リソースの貧しさを痛感します。

兵庫芸文センターで『たとえば野に咲く花のように』を観て

4月9日の「焼肉ドラゴン」に続いて、同29日に「たとえば野に咲く花のように」を観てきた感想です。
やはり前作に負けず劣らずいい舞台で、芝居の面白さがたっぷりの観劇でした。本当に観られてよかったです。でも来週末には次の「パーマ屋スミレ」が控えているのに、遅すぎ(^^;) 

今回も話の展開は全く予測できず。セリフはリアルで、次はこう言うだろう、みたいな陳腐なものは一切なし。しかも、それを演じる俳優もみんなうまい!ときているので、あっという間の観劇タイムでした。
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観た日は連休初日なので途中の渋滞が心配でしたが、なんと阪神高速はガラ空き!
これまでで最短時間を更新して劇場地下駐車場にたどり着きました。
チケットは三作通しの一括予約なので今回も同じ客席でしたが、観客は「焼肉‥」とは違って、いつものように女性客が大半でした。
ホールには花が飾られていました。

今回の「たとえば野に咲く花のように」、初演は2007年とのこと。

戯曲が生まれたいきさつは、公演プログラム掲載の鈴木裕美さん↓(初演に続き今回も演出担当)と
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鄭義信さん↓との対談の中で紹介されています。
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鈴木 「『たとえば~』は当時の芸術監督である鵜山仁さんから『ギリシヤ悲劇三部作』のひとつを演出してほしいというお話をいただいたところからスタートしました。
『アンドロマケ』というお題も、その時点で決まっていました。
もともと私はラシーヌ版の『アンドロマック』を読んでいて「なんだ、この面白い人たちは!」と思っていたんです。
神々なのに、好きだ!、嫌いだ!って夢中になっている人たち。
悲劇を、おもしろく書いて下さるのは鄭さんしかいない!と、戯曲の執筆をお願いしました。」

鄭  「アンドロマケは敵国の囚われ人であるわけですが、連れてこられた女という存在は、在日コリアンを彷彿させるし、トロイアとギリシヤの関係は今の日本と韓国に置き換えられる。
それで『たとえば~』を書き上げました。それまで、自分の少年時代を抽象的に書いたことはあったけれど、在日について具体的に触れたのはこれが初めてでした。」

あらすじです↓(公演プログラムより)
「1951年夏、九州F県のとある港町の寂れた「エンパイアダンスホール」。戦争で失った婚約者を想いながら働く満喜。そこへ、先ごろオープンしたライバル店「白い花」を経営する康雄と、その弟分の直也が訪れる。戦地から還った経験から「生きる」ことへのわだかまりを抱える康雄は、「同じ目」をした満喜に夢中になるが、満喜は頑として受け付けない。一方、康雄の婚約者・あかねは、心変わりした康雄を憎みながらも、恋心を断ち切れずにいる。そんなあかねをひたすら愛する直也。
一方通行の四角関係は出口を見つけられないまま、もつれていくばかりだった・・・。」

出演は以下の通りです
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今回も「焼肉~」同様に超リアルな舞台セットでした。

バーカウンターやその奥の酒瓶の並ぶ棚も厚みのある木製のしっかりとした作りで、家具や二階への階段、店界隈のセットもよく作られていて見ごたえがありました。タイムスリップに格好のお膳立てです。

今回もなぜか店の前には前回同様水道栓が一本立っていました。(笑)
その横の木製電柱には、傘のついた裸電球の街路灯と作業用足掛けがあり、架線も張られていて、根元には犬の小便除けの小さな鳥居さえ立てられている徹底ぶり。
開演前の時間に、凝りに凝ったセットをじっくり観ているだけでもワクワクします。
↓これは稽古用のセットですが雰囲気はお分かりいただけるかと
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最初の時代設定は1951年(昭和26年 朝鮮戦争勃発の翌年)盛夏。
「エンパイヤダンスホール」で働く3人の女たち。(以下画像はすべてプログラムの舞台稽古の写真から)
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そのうちの一人、戦争で失った婚約者への想いを断ち切れず働く在日朝鮮人の満喜が主人公です。
「満喜」という名は、脚本の元になった「アンドロマケ」が「アンドロマキ」とも称されているので(「トロイラスとクレシダ」ではアンドロマキですね)、アンドロマキ=満喜なのでしょうね。
演じるのはともさかりえ。
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最近では「花子とアン」に出ていましたが、舞台でお目にかかるのは初めてでした。
馴染がない役者さんなので、ほとんど期待もせず観劇したのですが、演技は文字通りなり切り芝居。台詞も立ち居振る舞いもいうことなし!で、見惚れました(美人だし(殴))。
かなりスレンダーで前回の「焼肉~」の馬渕英里何と似た雰囲気で、感情を押し殺して生きている姿も共通しています。

満喜は戦争で婚約者を失ってから、ただ惰性で生きているような日々を送っています。
「エンパイヤダンスホール」、実はダンスホールとは名ばかりで、実際は売春宿のようないかがわしい場所。そこで、何の当てもなく生きている満喜ですが、気怠さがよく漂っています。
でも体は売っても心は売らない。心は固く閉ざしていて、誰にも本心は明かさない。

そんな彼女でも、営業時間になって、衣装を替えて登場したらアッと驚くゴージャス美女。スタイルがいいので舞台映え200%!(笑)
康雄でなくても通ってしまいそうです。(殴)
仕事前のグダグダのだらしない服を着た姿とは全く別人で、このあたり女性演出家ならではの腕の冴え。

ダンスホールの経営者・伊東諭吉(博文+諭吉?)を演じるのは大石継太。
かなりおネエが入った人物で、商売に似合わない優しい男です。このやさしさで女たちを繋ぎ止めているのでしょうか。
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この俳優さんは「海の婦人」で初めてお目にかかりましたが、今回も独特の雰囲気の演技で、いい役者さんです。
そういえば「焼肉~」の「長谷川豊」も似たような優男でしたね。

そこに、商売敵のダンスホールの経営者・安部康雄が子分・竹内直也とともにやってきます。この二人、登場しただけで、それまでのユル~い雰囲気がかき消され、ヤバい殺気が舞台に充満。(笑)

安部康雄役は山口馬木也。
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十二夜」で初めて観た俳優さんですが、「グレイト・ギャツビー」の出演など今絶好調ですね。

康雄は兵隊上がりで、ガダルカナルなどの地獄の戦場を生き抜く中で身についた殺気と虚無的な表情がド迫力。経営する織物工場が朝鮮特需でガチャマン景気のボロ儲けでも、虚ろな気持ちは満たされず、自分もダンスホールを始めるが癒されない。
そんな康雄が店に来たのは、戦争に加担して儲ける康雄に反感を持った、満喜の弟が起こした行動への報復のためですが、そこで康雄は満喜と出会い、会った瞬間に一目ぼれ。それは満喜の眼に、自分と共通するものを見出したからですが、それ以降、康雄は彼女のもとに通い詰めるようになります。

康雄の子分・竹内直也を演じるのは石田卓也。

といってもそれまで全く知らなかった役者さんですが、すぐキレそうな危なさと、安部康雄の許嫁・四宮あかね(村川絵梨)に一途に恋する純情さをうまく演じていました。
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舞台経験はまだ少ないようですが、そんな感じはなかったですね。

その許嫁・四宮あかねを演じる村川絵梨も初めて観る舞台でした。
↓ 花が飾られていました。
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こちらは安部康雄に対する執着心がすごい。

満喜と康雄の間に強引に割り込んできて、ハンドバッグを振り回しながらの大立ち回りがすごいです。でも全く顧みられず、やがて恋しさは憎しみに変って、直也に「私が好きならあの人を殺して」と康雄を殺すよう唆すところなどは、ゾッとする怖さがあります。
女は怖いです(殴)。でも魅力的な俳優さんなので、いろいろ話題になっていますね。

この二人は康雄や満喜と違って全く影がなく、直情径行型の人間です。その一途さが怖いです。

一方康雄と満喜は、それぞれが戦争で負った心の傷で、葛藤が絶えない。この二組の関係の対比が面白いです。


満喜の同僚の二人、珠代と鈴子を演じていたのは池谷のぶえと小飯塚貴世江。二人とも生活感にあふれた演技でした。こういう芸達者な脇役は貴重ですね。

彼女たちと、海上保安庁の職員で米軍の命令で機雷掃海に駆り出される菅原太一(猪野学)や、
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当時の日本共産党に共鳴して、民族運動に参加している若者・安田(安)淳雨(黄川田将也)や李英鉄(吉井一肇)が繰り広げる様々な話が、1951年という時代を見事に浮き彫りにしていました。
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今回も(というか、こちらが先か)、「焼肉~」同様、ひっきりなしに朝鮮半島に出撃する米軍機の爆音が頭上に轟きました。最後にリヤカーが出てきたのも面白かった。

爆音とともに効果的だったのは、蜩の声と「虹の彼方に」。プログラムによれば蜩の声は満喜の死んだ婚約者の声を象徴しているとか。一方「虹の彼方に」は、登場人物全員の、なんとか今の境遇を脱したいという願いを象徴しています。

話は、あかねに迫られた挙句、とうとう直也が康雄を殺し、また一方、間違った戦争で機雷掃海任務中に駆り出された菅原太一が殉職(というより戦死)との報が届く‥という流れでクライマックスとなります。
まさにギリシヤ悲劇そのもの、これが結末かと、かなり緊張&ガッカリしましたが、なんと最後はどんでん返しで、希望の持てる結末となってよかったです。(笑)

しかしこの作品で再認識したのは、太平洋戦争が終わってわずか5年で再び日本近辺で戦争がはじまったこと。そして日本が、兵站・補給・出撃拠点=前線基地となり、機雷掃海では米軍の指揮下に日本人が作戦に直接従事していた事実。
そしてそれから60年以上たった今、憲法無視の戦争法の制定で、再び米軍に従って、世界中で戦争する国になってしまったこと。

私には、蜩の声は、「お前たちにとってあの戦争は何だったのか、もう忘れたのか」という死者たちの嘆きの声のようにも聞こえました。

しかしこうした重い感想とともに、今回も、登場人物の日常の暮らしの隅々にある笑いが、雑草のようにたくましく生きた、当時の人々の強い生命力を表していて、ある種の希望が見えました。

前回の「焼肉~」とは違って、今回は二組の男女の愛についての物語です。しかし、共通しているのはそれぞれの時代背景を克明に描くことで、記憶にとどめようする脚本家・鄭義信の強い意志です。題材こそ違え、どちらも時代のディテールまで書き込んだ脚本の面白さと、その時代を生きた人間を舞台に再現した俳優たちの演技力が楽しめた舞台でした。

鄭義信と井上ひさしはどちらも素材の選び方に共通した視点が感じられますが、調理法は全く違っていて面白いです。

来週6月18日の「パーマ屋スミレ」、ますます楽しみです。

最近の観劇感想・蔵出しシリーズVol.1です

5月から観劇が続いていました。
まず5月5日に森ノ宮ピロティホールで「アルカディア」を観て、続く7日は梅芸で「グランドホテル」。そして26日には宝塚大劇場で花組の「ミーマイ」。月が変わって6月4日は再びピロティホールで「8月の家族たち」。老体にはけっこう応えました。(笑)
で、感想ですが、一つずつ書くのは手に余るので、ここはまとめ書きでご勘弁を。(殴)

ということで、超簡単な感想をまず「アルカディア」から。Image may be NSFW.
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「英国演劇界を代表する劇作家トム・ストッパードの最高傑作」だそうで、その演出は栗山民也、そして主なキャストが堤真一に寺島しのぶ、井上芳雄、浦井健治、神野美鈴と豪華メンバー。これで面白くないわけはなかろうと、大いに期待しつつ出かけました。

でも。
よく分からない舞台でした。^_^;

もう私などの貧しい想像力では何が言いたいのかサッパリ理解不能。(殴)

話の時間軸は2つあって、時代設定の異なる二つの物語が交互に展開されていました。
共通するキーはバイロン。イギリス・浪漫主義時代の代表的な詩人で、超勝手気ままに生きた詩人です。私も若いときはけっこう好きでした。

でもそのバイロンを巡る謎というのがわからない。

「わからないから謎だろう」という突っ込みは置いといて(殴)、膨大な台詞を聞いていても、なにが問題なのかよくわからない。そんな舞台を観続けるのはかなりしんどかったです。

それで、何かヒントが得られるかもと、休憩中に読んだプログラムで寺島しのぶが、
「何回読んでも分からない本って久しぶりでしたね(笑)」と書いていたのでホッと一安心。(殴)

ただ、話の芯は分からなくても(笑)、寺島しのぶの演技は自然で、人物の実在感は際立っていました。
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もう一人、神野美鈴も舞台に現れただけでわかるたたずまいのリアルさ。この二人がよかったです。
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でも、期待の堤真一はちょっとがっかりでした。
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こもったような台詞で聞き取りにくく、せっかくの力演も空振り感があって、ヨメさんも「こんなはずでは」としきりに残念がっていました。

もうひとり期待していた井上芳雄も、今回はいつもと違って彼らしくない精彩を欠く演技。
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浦井健治も「トロイラス~」では好演していたのに、今回はあまり印象に残らず役不足な感じでした。

結局寺島しのぶの言う通り、脚本の問題ですね。役者も観客もどうにも乗り切れない脚本で、俳優たちの奮闘が報われず気の毒でした。


次は「グランドホテル」。
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こちらは定評のある脚本+豪華キャストなので、観応えたっぷり。

ナチスが台頭する前夜の1928年のドイツ・ベルリン。
その不安な時代背景のもとで、超一流ホテル「グランドホテル」で複雑に交錯する人々の姿を描いた、濃厚な舞台でした。音楽も、斬新で重厚な舞台装置も素晴らしく、やはり名作いわれるだけありました。
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私たちが観たのはグリーンチームで、エリザベータは安寿ミラです。
久しぶりに見た彼女ですが、よかったです。人気下降中の大女優の悲哀(役の話です、念のため(殴))がよく表現されていました。
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ラファエラは春野寿美礼の代打で樹里咲穂でしたが、当然とはいえこれまたいい演技。久し振りに彼女の舞台を観ることができてよかったです。土居裕子版も観たかったですが。

元会計士オットー・クリンゲラインは「CHESS THE MUSICAL」以来の中川晃教でしたが、余命いくばくもないユダヤ人の元会計士を好演していました。「CHESS~」よりもこちらの方が私たちにとっては印象的な演技でよかったです。
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成河バージョンだと少しキャラクタなども変わっているそうでどうなるか、これも観てみたかったです。

湖月わたるはエリザの死みたいな役のダンサーでした。寡黙なダンサーですが、複雑で凝った振付のダンスを完ぺきにこなしていました。
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脚本は話の組み立て方が本当によくできていますね。
それぞれの人物像と人生が巧みに絡み合いながら描かれていて、場面転換も小気味よく、とくに話の締めくくり方が絶妙。

私はこれまで観たことがなく、初めての話でしたが、こういう展開だと最後はこうなるだろうなと、タカをくくって予測していたら、全く違う結末でビックリ&感心しました。

その結末ですが、2チームで全く異なるものになっているそうで、私たちが観たグリーンチーム版では、最後にホテルの従業員が客の身ぐるみ剥いで荷物を奪い、ヒットラーの演説が流れてそれに心酔する従業員たち‥というものでした。

この結末、現代世界を覆う狭隘なナショナリズムの台頭とか、日本で漂い始めた憲法改悪などの暗い影にも警鐘を鳴らしているようで、
演出家トム・サザーランドの危機感の表れが反映した味わい深いものでした。

余談ですがこの日、月組の主要なメンバーも観劇していて、たまたま私たちの席の近くでも一人の月組メンバーが観劇していました。開演前、その席に美弥るりかが月組生とともに通りかかりましたが、まあ彼女の細いこと。よくあれで長い公演の舞台が務められるなあと感心しました。

次は5月26日のミーマイの感想です。極めて簡単です。m(__)m
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初演以来何度も観てきたのでかなり食傷気味で、どうせ陳腐なストーリーだし(殴)と、あまり期待せずに出かけましたが、実際に観たら、やはりよ~くできた話といい歌でしたね。話の展開も面白いし、大体、覚えていたはずの話が結構忘れていて意外に新鮮でした。(殴)

明日海りおのビルは、誰かの二番煎じみたいな印象はなくオリジナリティがあって、歌もいいし、ハマリ役でした。ただ最近とみに痩せてきているのが気になります。
街灯の下で歌う場面が、結構後の方だったのも意外。本当に覚えているつもりが忘れてしまっていたということを痛感。歳です。(笑)
花乃まりあも下町の娘らしい容貌で頑張っていました。キャラクタがよく合っていますね。スカステの練習風景でも涙を流して力演していたのには感心しました。
ただ、歌の場面なると少々物足りない感じも。
いつもの、ついホロリとなるはずの場面の歌がそうならず、「結構歌の場面が多いな」とか冷めて観てしまいました。いえ、あくまで私の個人的な感想です、ハイ。

私たちが観たのはBパターン。なのでマリア夫人は仙名彩世でした。ちょっと若い感じのマリア夫人ですが、頑張っていました。この役の出来不出来が劇全体の仕上がりにも影響したりしますが、今回はよく頑張っていて、ヨメさんは「よくやってる」と褒めていました。

逆にジョン卿は瀬戸かずやで老けた印象で落ち着いた人物なのでちょっとマリア夫人とは釣り合いにくいかな。パーチェスターは柚香光。彼女も頑張って笑わせていましたが、ここは歌も含めて鳳真由のほうが適役だったかも。

話が変わりますが、この公演で鳳真由が退団するのは本当に残念ですね。「ファントム」の新人公演の衝撃が忘れられないです。俗世間に出てからの活躍に期待したいです。

そして6月4日は本名の『8月の家族たち』。
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いい舞台でした! あまりの感動で、最後は迷わずスタンディング!(なぜか私たちだけでしたが(笑))
鄭義信三部作もよかったですか、この作品もそれに負けず劣らずの傑作。

以下、感想です。
最初のうちはちょっとテンポが遅いかなと思って観ていましたが、麻実れいの母・バイオレットが登場したぐらいから俄然引き込まれていきました。
この芝居、まずなんといってもキャストが豪華です。私はこれだけで観劇決定しました。(殴)
主な顔ぶれだけでも麻実れい、音月桂、秋山菜津子、常盤貴子、生瀬勝久、村井國夫、木場勝己、橋本さとしと錚々たるメンバー。
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セットは「1789-バスティーユ~」の松井るみ。これまでの彼女の作品とはガラッと違った、アメリカの田舎の大きな家がカットモデルのようになった手の込んだセットでした。

ベースになったのは同名の映画で、こちらは母役にメリル・ストリープ、長女役にジュリア・ロバーツ、次女役にジュリアン・ニコルソン、三女役にジュリエット・ルイス、そしてユアン・マクレガー、ベネディクト・カンバーバッチなどこちらも芸達者ぞろいのキャスト。

今回の舞台の原作はトレイシー・レッツ。上演台本と演出はケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)です。この人の脚本になる舞台作品を最初に観たのは『祈りと怪物~』でした。三姉妹ものがお好きです。

粗筋です。
物語の舞台は8月の酷暑のオクラホマ州オーセージの片田舎の古い大きな家。
詩人でアルコール中毒の父ベバリー(村井國夫)が突如失踪。その知らせを聞いて、実家に長女バーバラ(秋山菜津子)とその夫ビル(生瀬勝久)と娘のジーン(小野花梨)、次女アイビー(常盤貴子)が帰ってくる。

やがて三女のカレン(音月桂)が婚約者スティーブ(橋本さとし)を連れてやってくる。そして5年ぶりに母方の叔母マティ・フェイ(犬山イヌコ)と夫のチャーリー(木場勝己)も戻り、遅れて彼らの息子リトル・チャールズ(中村靖日)も到着。

そして久しぶりに集まった家族が目の当たりにしたのは、夫の失踪と薬物の過剰摂取で半錯乱状態となった母バイオレット(麻実れい)の姿。

最初は書斎?でのベバリーと家政婦ジョナ(羽鳥名美子)との場面から始まります。落ち着いた会話から始まるので、その後の衝撃的な展開は全く予想できず。(映画は見ていなかったので)
もともとこの作品は、2007年にシカゴの小さな地下劇場でスタートし、すぐに注目を浴びて、その年にはブロードウェイに進出。2013年に映画化されたトレイシー・レッツの幼少期の実体験を元にした、三姉妹とその家族たちの物語です。

まあなんといってもすごかったのは、薬物中毒の毒舌の母親バイオレット役を怪演した麻実れい。芸のダイナミックレンジの広さを改めて感じさせる演技に脱帽です。
劇中で、三姉妹とその家族の偽善をズケズケと暴く麻実れいの演技はド迫力でした。

母とは絶えず言い争う長女バーバラ役の秋山菜津子もいい演技。
私たちも以前のこまつ座の『キネマの天地』や『藪原検校』でお馴染みの役者さんですが、最近の『きらめく星座』での気丈な後妻ふじ役が印象に残っています。今回もいろいろ悩みの多い複雑な役を気丈に、かつ適度な生活感を見せながら(殴)演じていました。
いつみてもいい役者さんです。
常盤貴子の次女アイビーはバーバラと違って物静かで両親想い。長女や三女とは対照的な役柄です。初めて見る舞台でしたが、しっとりとした演技で好感度大。

音月桂の三女カレンは姉たちと違って絵に描いたようなアメリカンギャル。スラリとした肢体で弾けまくっていました。(笑) そんな彼女を見ていると、つくづく、宝塚の男役というのは在団中ずっと男を演じていたんだなと思いましたね。(笑)

母と三姉妹以外でも、叔母マティ・フェイの犬山イヌコ、家政婦ジョナ役の羽鳥名美子、バーバラの娘ジーン役の小野花梨がそれぞれの役に徹したいい演技でした。男優陣も生瀬勝久、橋本さとし、中村靖日、村井國夫、木場勝己などいずれも実力派揃いで、贅沢な舞台でした。
一見よくあるホームドラマのような始まり方でしたが、話が進むにつれて家族というものの本質というか、深層心理を抉り出すようなリアルな展開になっていき、そして最後は衝撃の事実が‥。

本当に見ごたえのある舞台でした。再演の機会があればぜひ皆さんもご覧ください。おすすめです。

ということで、次は鄭義信三部作の最後「パーマ屋スミレ」と月組の「信長」の感想ですが、まだ書けてない。^_^;
早く書かなくては‥。

観劇感想・蔵出しシリーズVol.2は「パーマ屋スミレ」と宝塚「NOBUNAGA/Forever LOVE!!」です

思いつくまま観劇感想・蔵出しシリーズVol.2です。遅くなっています。m(__)m

今回は、
①6月18日に観た、新国立劇場2015/2016シーズン 鄭義信三部作のVol.3「パーマ屋スミレ」と、
②6月23日の宝塚月組公演『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』&『Forever LOVE!!』のうっす~い感想です。
でもネタバレありで、宝塚は絶賛モードとはほど遠い感想(殴)なので、御贔屓な方はスルーしてください。

ではまず『パーマ屋スミレ』から。こちらは絶賛しています。(殴)
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劇場は毎度おなじみ西宮芸文センター・阪急中ホール。通し券なので今回もおなじB列のセンターブロック。
まず結論ですが、やはり見ごたえたっぷり。本当によかった。印象としては、こまつ座の舞台と共通した、これまで知らなかった世界が垣間見られるといった、脚本と演出の面白さが心に残りました。

今回の舞台セットは、三池闘争以後、さらに炭鉱経営の合理化政策が激しくなった炭鉱住宅に付属する理髪所。
例によって、店内外は超リアルな作りで、店内には前田美波里のレトロなポスターが貼られていたり、店の前には前二作の水道栓の代わりに、懐かしい手押しポンプが据えられていて、ハンドルを上下すればちゃんと水も出ます。(笑) 
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店の前に置かれた水の張られた金盥には、スイカと瓶ビールが冷やされています。店の前は祭りの提灯が連なっていて、祭りがあることを示しています。そしてなぜか店内の座敷には、老人が布団をかぶって寝ています。(初めはいきなりご臨終かと思ったり(笑))

話は、1963年に発生した、死者458人、一酸化炭素中毒患者839人と戦後最悪の犠牲者を出した三井三池炭鉱の炭塵爆発事故を背景に、理髪所で働くヒロイン高 須美(南果歩)と、その夫で炭鉱夫の張 成勲(千葉哲也)と、須美の父・高 浩吉(青山達三)や、須美の姉・高 初美(根岸季衣)とその息子・大吉(少年時代は森田甘路・長じては酒向芳)、三女の高 春美(星野園美)という一家を巡る話です。
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今回は、三部作中一番重い話でした。
でもそこは鄭義信の脚本。やはり今回も至る所に笑いと悲しみ、怒りと涙の場面が仕込まれていて、役者は大変ですが、観客にとったら笑いが気持ちを快く切り替えさせるので、メリハリのきいた展開になっていたのは前2作と同じ。

ということで主な出演者ごとの感想です。例によって敬称略です。


まず主演の南果歩。
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理髪所を切り盛りしているヒロイン高須美です。
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実は、私は南果歩の舞台を観たのは今回が初めてでした。でも大した演技力で、新鮮でした。完全に役になり切っていて、全身で感情表現していて、さすがの演技。
ほぼ出ずっぱりで舞台を駆け回るハードな役ですが、観ていて華奢な体のどこにこんなエネルギーがあるのかと心配になるほど熱の入った演技でした。
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劇中で「いつかは自分のパーマ屋を持ちたい。名前は私の名前からスミレにするの」と夢を語る姿がいじらしい。でも現実は夢とは程遠く、炭塵事故でCO中毒になって仕事に就けず、いつも家族に八つ当たりする夫の張 成勲(千葉哲也)との諍いが絶えない毎日。
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細い腕で一家を支えて頑張る姿がリアルです。

で、ここからいきなり余談ですが、観劇した日は大千穐楽でした。

12時半の開場時間となってホールに入ったら、まだ客席扉はしまっていて、15分ぐらいホールで待たされました。そのときヨメさんの車椅子の前を長身の男性が横切り、一目で彼の姿を見たヨメさんが、「健さん!」と言いながら手を振りました。相手の男性も軽く会釈してくれましたが、この時点では私は誰か気付かず。

係員の指示した場所に車椅子を停めて開場を待っていると、件の男性が戻ってきて、私たちのすぐ前に立ち止まりました。ほんの2mぐらいの距離なので、ようやく私も誰かわかりました。
渡辺謙さんでした。(ここだけ敬称プラスです(笑))

大千穐楽ということで来られたのでしょうが、客席ドアが開くまでの間、彼ほどのVIPが、私たちと同様に立ったまま、客席ドアの開くのを待つ姿が印象的でした。人柄が垣間見えた気がして、気持ちが和みました。でもあまりに近くに立っているので、こちらが落ち着かずドギマギ。(笑)

それはさておき、夫の張成勲役の千葉哲也もよかったです。
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本当に確かに実在してそうな人物で、今回が初演とは到底思えないカンパニーに溶け込んだ演技。
特に後半、事故でそれまでのように働けなくなって、雑用に従事して不本意ながら「髪結いの亭主」になり、会社や第二組合へのへの怒りも加わって自暴自棄となる姿が身につまされました。
彼は初演の「焼肉ドラゴン」でも哲男役を演じて好評を得たそうですが、さもありなんですね。さらに「鉈切り丸」では弁慶役で出ていましたが、今回の方がはるかに存在感がありました。

よかったといえば、須美の姉・高初美役の根岸季衣もピッタリの役でした。
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世渡り上手で計算高く、けっこう男好きで(笑)、でも家族思いの姉。「焼肉~」や「たとえば野に咲く~」には出てこないキャラクターが新鮮でした。舞台では初めてお目にかかりましたが、4年前にも同役で出ているということで、余裕の演技も納得でした。
あと、須美の父・高浩吉の青山達三や、初美の息子・大吉(少年時代は森田甘路・長じては酒向芳)、三女の高春美役の星野園美も4年前の公演から再演とのことで、安定した好演ふりでした。

↓大大吉と須美
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星野園美の三女春美は、前半の森下能幸演じる夫・大杉昌平とのラブラブな暮らしぶりが事故後一変するところを好演していました。
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そういえば今回も「焼肉~」と同じく三姉妹。
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姉妹ではないですが「たとえば野に咲く~」でも3人の女性が中心と、鄭義信作品はこういう設定がお好きなようです。

初美の内縁の夫・大村茂之役はもうおなじみの久保酎吉。
いろいろこの人の舞台を観てきましたが、今回の役が一番よかった。再演ですが、楽しんで演じているのがよく伝わってきて、こちらも楽しかったです。劇中で客席降りで、組合のビラを撒くシーンがありましたが、もらえなくて残念。(笑)

森田甘路演じる大人の大吉は全く狂言回しで、最初の導入部分で客席に向かって時代背景などを解説するのと、最後に出てくる以外は当然ながら筋に絡みません。
↓「焼肉~」と同じく大吉と大大吉も屋根に上っています(笑)
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酒向芳の子供時代の大吉(初美の息子です)はちょっとオネエが入っていて、将来は服飾デザイナーになりたいとか言っています。鄭義信流のコミカルな演出をうまく演じて笑わせてくれました。
余談ですが最近、WOWOWの放送を録画してあった「イニシエーション・ラブ」を見ていたらこの人の名があってびっくり。同じ人とは思えない演技でした。

結局、炭塵爆発でCO中毒になった張成勲たち炭鉱夫は、やっとCO法が成立してもほとんど補償がもらえず、やがて炭鉱は閉山となり、炭住も閉鎖。理容所も閉めることになって、一家はそれぞれの目指すところに旅立ちます。足に負傷した張成勲の弟・張英勲(村上淳)は社会主義建設に貢献するといって北朝鮮に向かいます。

旅立ちは例によってリヤカーで、と言いたいところですが、今回は軽三輪が使われていました。

この軽三輪、ポスターではダイハツ・ミゼットMP5になっていますが、舞台に登場したのはもっとマイナーな、三菱レオ・ベースの電動三輪車でした。この三輪車、実によくできていて、狭い舞台上をクルクル走り回って大活躍。
子供の時、たまに見かけていた私は面白かった&懐かしかった。(笑)
そのレオの目的地は、なんと大阪万博前の伊丹空港滑走路拡張工事現場。そうです、この話は、「焼肉~」の前段だったんですね。よく出来ています。

最後は「焼肉~」と違って桜ではなく紙吹雪の降りしきるところで終わりました。
今回もドラマチックな展開であっという間の舞台でした。

そして感動のスタンディングとなりましたが、カーテンコールでは主役の南果歩も涙・涙で応えてくれました。それどころか、さっとスマホを取り出して、拍手を続ける私たちを撮影したり、客席も入れて自撮りするなど大喜び。その後、何度も全員そろって拍手に手を振って応えてくれて、こちらも満足でした。

本当に良かったです。未見の方は、再演の折にはぜひご覧ください。おすすめです。

次は、宝塚月組公演『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』&『Forever LOVE!!』の感想です。
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といっても、信長の方はほとんど書くことがない。(殴)
観る前は、良く知った話だし、どんな風に宝塚化しているのかお手並み拝見、というスタンスで観始めました。「前田慶次」の再来になるかという期待もあったし。
最初のうちは、ロックミュージカルとのことで、フレンチミュージカル張りのド迫力な音楽で、ディテールなどお構いなしに話をグイグイ進めていくのかと思っていたら、そうでもなくてどっちつかず。
それどころか、どんどんトンデモな話になっていって、秀吉たちが公然と反旗を翻して信長に刃を突き付けたり、そもそも信長がどんな人物かの描写も少ないし、挙句は義経伝説みたいな本能寺のオチで、よく言えば破天荒、悪く言えばハチャメチャ、突っ込みどころ満載の脚本でした。^^;
まあ、フロイスの日本史のように、ロルテスを使って外からの視点で信長伝を書いてもよかっただろうし、いっそのこと史実にとらわれず、登場人物の名前だけ同じの、全く別のストーリーに仕立てても面白かったと思いますが、そこまでの割り切りがなかった。

話の構成も、いくら「天下統一を目指した英傑」といわれても、肝心の信長の人物像とか、人間としての魅力、歴史的な役割とかは描かれず、足利義昭とのドロドロした関係とか、比叡山焼き討ちとか、重臣たちの反抗とかが無駄に長いのも疑問でした。
かなり無理筋な結末なら、いっそもっと爽快な人物設定にすべきとも思いましたね。あのままだと、とても異国でうまく行くとは思えないので。(殴)

ということでほとんど話に入れないまま観ていましたが(ここまで悪口言う?^^;)、やはり龍真咲は最後までユニークでした。
私は以前から彼女の台詞まわしや息継ぎが苦手でしたが、今回は役に感情移入できないのでよけい気になりました。信長役は彼女のたっての希望だったそうですが、脚本のせいで信長像がよく見えないのが残念でした。
『舞音』とか『1789~』が非常に良かったので、よけいに惜しかったですね。
それと、大道具さんのガンバリがわかる装甲車のような象も、なんとも唐突で勿体なったです。でもよく作ったものですな。

愛希れいかの帰蝶はさすがに存在感があって印象的でしたが、信長との絡みの場面が少ないどころか、最後は斬られてしまうのだから、なんともはや。でも抜群の身体能力で薙刀を振りかざす殺陣は見ごたえあり。ただ如何せん、しどころのない役で気の毒でした。
ロルテス役の珠城りょうは存在感があって異人の衣装もよく似合っていて、私はルッキーニみたいな狂言回しで話をリードするのかと期待しながら観ていましたが、これまた中途半端な存在でした。
あとは家臣団の、凪七瑠海の光秀とか、美弥るりかのどう見てもサルには見えない美形の秀吉とか、
輝月ゆうまの前田利家など、それぞれよく頑張っていたものの、大勢に影響せず徒労。
そんななかで目立っていたのは、足利義昭を演じた沙央くらま。
まあこんな海千山千というか、権謀術数にたけた落魄した将軍をよく演じていましたねぇ。感心しました。でもショーでも出番が多く目立っていて、最後はエトワールも務めるなど、彼女も退団?と思うほどの頻繁な登用がナゾでした。

ということで、芝居のほうは退団公演なのにあまり惜別感がなく、ガッカリでした。
余談ですが、そのせいか今回はチケットの販売が思わしくなかったようで、歌劇団からチケットの販促メールが何度も繰り返し来て、それも退団公演では前代未聞の割引販売のお知らせで、ビックリしました。でも東宝では売り切れとのことでよかったです。

でも芝居の方の不出来と違って、ショー「Forever LOVE‼」は良かったです。(まあショーも不出来だったら暴動必至。(殴) )
幕が開くと、赤とピンクの衣装のラブジェントルマンがずらりと並んでいて客席もどよめき、ラブレディ―ズも加わったダンスのあと、豪華なガウンの龍真咲が登場してサヨナラショーの雰囲気たっぷりになりました。全体の構成も衣装の色もいい感じで、とてもこれが『HOT EYES!!』と同じ作者とは思えない。
ラテンの場面では龍と愛希のデュエットのあと、凪七・美弥・沙央の連続女装ダンスとなって面白かったです。ロケットの衣装も最近では一番きれいでした。ショー全体に選曲が好みのものばかりで、メリハリの効いた構成が気が利いていて、久しぶりに楽しめました。

ということで、このズボラな蔵出しシリーズはお終いです。次回からの観劇感想はあまりタイムラグのないように頑張りますので(やや自信なさげ(殴))、またよければお越しいただければ幸いです。

Dio(AF34)のバッテリー、とうとう昇天しました

2001年登録のホンダDio(AF34)のバッテリーがついに寿命となりました。

このバッテリーは2007年製造で、
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2009年にはスパーダとアドレス110とともにサルフェーション除去装置(以後バッテリーパルサー)を付けていました。
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そのあたりの経過はココに。

以後現在まで9年間、何の問題もなく使用してきましたが、最近になっていくら充電してもすぐ放電するようになってきました。例えば朝出かけて、夕方帰宅しようとセルボタンを押してもキュルキュルと息も絶え絶えの状態。
その度にキックで始動してなんとか帰宅しましたが、終いにはいくら充電してもセルが回らない状態に。
寿命ですね。以前のアドレス110やスパーダの昇天時と同じ症状です。

で、もう悪あがきせず、新品と交換することにしました。
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先に書いたように、2007年7月製造のバッテリーなので、ちょうど満9年使用出来たことになります。このバッテリーの中がどんな状態か知りたいところですが、密閉式で硫酸も入っているので、おとなしく廃品回収に出しました。

ちなみにアドレス110も9年でバッテリー交換。スパーダは乗る頻度が少ないからか、半分の5年で成仏したのが不満ですが、Dioとアドレスが10年近くもったので、まあバッテリーパルサーは有効だと思います。

交換した新バッテリーはこれ↓
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なんと元のバッテリーの半額以下、2000円しない超安値!!なので品質が心配ですが、ヨーロッパでは有名なメーカーらしいし、今のところ久し振りに体験する元気なセル回転なので、しばらく注意しながら使ってみます。

そして昨日、摩耗限度を超えていた前後輪タイヤも、近くのショップで交換。
タイヤの銘柄はダンロップのRUNSCOOT D307の300-10。
偶然見つけたこのショップ、最近少なくなった修理と整備が専門の店で、店主は若いですが(まあ私と比べたら、ですが(笑))、知識も豊富でアドレスやスパーダのメンテについても色々耳寄り情報を教えてくれ、なによりバイク好きで、話していて楽しかったです。


いうわけで懸案事項もなくなったので、当分は、ベルトとウエイトローラーの交換ですっかり快速になったDioの走りが楽しめそうです。

とはいっても、今度は前から発生していたしょぼいフロントサスの劣化が気になってきたので、Assy交換できるのならやってみたいとも思い始めたり。
やっぱり製造15年を超えると、トラブルのモグラ叩きは終わりそうもないですね。(笑)
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