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兵庫県立美術館で「ホドラー展」を観て

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2月某日、NHKなどでも宣伝している「ホドラー展」を観るため、兵庫県立美術館に出かけました。
平日の木曜日でしたが、高速道路は超空いていて、1時間で到着。
会場は立錐の余地のない超満員!なわけなくて、珍しく少なめな観客。車椅子での鑑賞には願ってもないことですが、チラっと不安も。(笑)
館内で記念撮影↓


今回は鑑賞に集中できるようにヘッドホン・ガイドは借りませんでした。ヨメさんは借りたそうでしたが、あえて気付かないフリ。(笑)
余談ですが、あのヘッドホンはどれも使い勝手が悪いですね。絵の前に立ったら自動的に音声が流れるようにしたらいいのにといつも思います。操作に気を取られて集中出来なくなるのが嫌ですね。

今回の展示会場は7つのセクションに分かれています。最初は「光のほうへ-初期の風景画」。
↓こんな絵が架けられています。

あと《インターラーケンの朝》とかも平凡ですがいい感じでした。

ところで今回も、展覧会に行こうと言い出したのはヨメさんです。
彼女はNHKの「日曜美術館」をいつも見ているので知っていたようですが、私はその時間帯は夕食の後片付けや風呂の準備で忙しくて見られず。なので、ホドラーなる画家の作品は全く知りませんでした。
ただその番組で、スイスを代表する画家とかの紹介がちらっと聞こえたので、2011年に観たあのセガンティーニみたいな画家かな程度に思っていました。

で、最初のセクションではそういう風景画もあったりしましたが、次の「暗鬱な世紀末?-象徴主義者の自覚」では一転して《死した農民》とか《病み上がりの労働者》などの暗い題材へと変化。
別にそういうモチーフでもいいのですが、なんか画風が私にはあわないなと思い始めました。描き方がどうも手抜きな感じ(殴)で気になります。ええ、単なる好みの問題なのですが、その好みが、実は私にとって決定的。(笑)

そういう違和感を抱きながら次のセクションの「リズムの絵画へ― 踊る身体、動く感情」に移動。
なにしろリズムの絵画!そして  踊る身体、動く感情ですからね。期待しながら絵に向かいました。

そして冒頭の展示は《オイリュトミー》↓

男たちがみんなうなだれて歩いています。葬送の列みたいです。(殴)
ちなみにオイリュトミーとは「良きリズム」だそうですが、よくわからなかったですね。鑑賞眼ナシですね。

でも次の《感情 III》はちょっと動きがあるかな。

でも顔をそむけながらなにかから逃げていくようで、あまり良さがわかりません。

そして《夕べの休息》↓

踊る身体とか動く感情とは対極の絵だと思って観ていました。

唯一テーマの意味が伝わってきたのが《恍惚とした女》↓

宣伝でも使われていますが、これだけは踊っていますね。モデルは画家の愛人でモデルを務めたヴァランティーヌ・ゴデ=ダレルでしょうね。

次は「変幻するアルプス ― 風景の抽象化」というコーナー。
《ミューレンからみたユングフラウ》です。↓

荒々しいタッチで、インパクトがあります。画家はユングフラウやシュトックホルン山群、レマン湖といったアルプスの風景を繰り返し描いていますが、みんないわゆる風景画とは異なって変わった絵が多いです。どれもユニークですが、も一つピンとこないです。

で、そんな乗れない気分のまま「リズムの空間化 ― 壁画装飾プロジェクト」で《木を伐る人》とかを観てから、「無限へのまなざし ― 終わらないリズムの夢」と回って、最後は「終わりのとき ― 晩年の作品群」。
ここでヴァランティーヌ・ゴデ=ダレルの癌発症後の肖像の習作や、死後の痩せ衰えた姿の絵を観せられてとどめを刺されました。(笑)
自分の子までもうけさせながら、冷徹な観察眼で突き放したように描く一連の絵にはちょっとついていけない感じでした。
画家とはそんなものだよと言われるかもしれませんが、私はダメですね。
観ながらちょっと小野小町の九相図を連想したり。まあそこまでグロではありませんが。

ホドラーは装飾画家からスタートしたとのことで、それが終生画風にあらわれていますが、彼のいう「パラレリズム」の原理とか、よくわかりませんでした。絵は理屈で描くものではないと思いますが、浅学菲才の私が分らないだけかもしれません。

観終わってから、阪神・淡路大震災から20年の節目となる日を含むこの期間中開催されている↓の展覧会を観ました。

震災をテーマに、コレクションを軸に借用作品も交えて展示されていて、
第1部 自然、その脅威と美[常設展示室6]
第2部 今、振りかえる-1.17から[常設展示室1・2・3]
第3部 10年、20年、そしてそれから-米田知子[常設展示室4]
という三部構成になっていました。

とくに第1部では、震災発生当時無防備に展示されていたコレクションがどのような被害にあったのか、その修復と展示方法の改善手法などがよくわかって興味深かったです。

常設展示も口直しに最適で(殴)、ホッコリした気分になっていつものカフェへ。

私はコレ↓

まあ値段相応で納得。

でもヨメさんのコレはちょっと落ちている感じ↓


まあ今回のホドラー展、混雑も他の展覧会ほどではなく観やすかったですが、知人には勧めなかったです。でも個人的な感想で、あくまで好みの話なので、今後展覧会に行かれる予定の方はぜひお出かけください。
ヨメさんは「変わっていて面白かった」と言っていました。(笑)


さて、いよいよ星組のサヨナラ公演観劇です。どうなりますやら。














宝塚星組公演 『黒豹の如く』・『Dear DIAMOND!!』を観て

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『黒豹の如く』と『Dear DIAMOND!!』を観てきました。
6年トップだった星組・柚希礼音と夢咲ねねの退団公演。しかも多くの名作を生んだ柴田侑宏の久々のオリジナル書き下ろしの脚本、加えてその演出は『黒い瞳』や『激情』、『凱旋門』など柴田作品を多く手掛けてきた謝珠恵とあって、大いに期待して出かけました。
木曜日なのに劇場は立ち見の出る盛況ぶりで、人気トップコンビの最後を飾る公演への期待の高さを物語っていました。


でその結果は…。

大ゴケ(泣)。
ショーはそうでもないのですが、芝居のほうはまあ最近お目にかかったことがないような凡作でした。脚本がダメ。

ということで、以下、ネタバレありでかなりの酷評になっていますので、未見の方はスルーが吉です。
いつものように敬称略。画像は当日買ったプログラムのスキャン画像とスカステ番組のキャブチャです。後者はボケボケですが、雰囲気だけでもどうぞ。


で芝居ですが、出だしはいい感じでした。

オットセイの玉乗りみたいな(殴)海の精のダンスから始まって、パイレーツな格好の柚希礼音が、船上でダイナミックで精悍なダンスを見せてくれて、導入は上々の出来でした。船をシンボライズしたセットもシンプルだが迫力があっていい感じです。
そのあと、第一次世界大戦終戦2年目の1920年11月11日のパーティー場面に変わり、英真なおき扮するアントニオの叔父バンデラス侯爵(名前のネタはアントニオ・バンデラスですか^^;)が狂言回しでストーリーの背景や人物設定を説明した後、柚希礼音のアントニオが登場。そして夢咲ねね扮するカテリーナと3年ぶりに再会というところから話が始まります。
ここまでは本当に上々でした。


わくわくしながら観ていた私は、「ひょっとして名作かも」と予感しながら、そのあとの展開を楽しみにしていたのですが‥。
盛り上がったのはここまで (泣) 。

話の核心になる3年前の二人のそもそもの関係が舞台上で展開されないまま、ナレーションや説明台詞に頼りながら話を進めていくので、急速にテンションが下がってきました。話が全然進まない。^^;

同じようなシーンの連続なので、まぶたが急速に重くなってきました。(笑)
最近にないことです。
でも横のヨメさんに気取られないように、必死になって抵抗しても、つい睡魔に負けて何度かコックリとな。
まあ後半は少し展開があったので、どうやら睡魔との戦いは終わりましたが、代わりに途中から結末の予測が出来てきたりして、かなり白けてきました。
残念でした。『激情』とか『琥珀色の雨にぬれて』とか数々の名作を生んだ柴田侑宏はどこに行ったのでしょうか。

大体、この話、本当に『黒豹』だったのは先祖で、本人も同じく黒豹といわれたといっても、舞台では大半が参謀部勤務。

時代設定も疑問で、そもそも1920年代のスペインは、のちのフランコ総統の軍事独裁政権の前身となる勢力が軍隊内に台頭しつつある時期。
そこで立身出世する主人公というのはいかがなものか。(笑)

まあ敵役のスペイン随一の大富豪アラルコン(紅ゆずる)が勧めるナチス軍への転身は拒否していますが、それを断られた報復としてアラルコンがカテリーナ(夢咲ねね)を誘惑するというのもリアリティゼロで、説得力ナシですね。

大体、将来を嘱望された気鋭の高級将校を、侯爵とはいえ一民間人が「恋人がどうなってもいいのか」と脅迫して翻意させようとするのはどうみても無理筋。(笑)
それと、話に薬味を効かせたつもりの「毒殺説」が最後までちゃんと説明されず、効果なし。
アントニオやカテリーナ、アラルコン以外の役はほとんどしどころがなく、周辺の人間関係がきちんと書込まれていないため、みんな苦労しています。
そのあたりは、Now On Stageでリアルに語られていて面白いです。「役作りしようにもつじつまが合わないので悩んだ」とか言っていたのが率直で可笑しかったです。これ↓、必見の番組です。(笑)


では個々の人物について。

まず柚希礼音のアントニオ。海賊姿からシルバーグレイの軍服姿まで精悍な風貌で舞台映えがしました。

↓元祖『黒豹』です こちらで話を作ってほしかった!




二代目↓はどこが『黒豹』なのか劇中で展開されないので、よくわからない人物でした。


でも人物描写が乏しいのに、柚希礼音はよく頑張っていましたが、先に書いたように肝心のカテリーナとの過去の恋愛の経過が描かれていないので、二人の関係がイメージできませんね。

サヨナラ公演だし大恋愛ものだろうと期待していくと大外れです。
でもこんな場面では息の合ったコンビぶりです。


それと、ナチスに協力しないというアントニオでしたが、結局激動のスペインでどういう立場だったのか、最後まで不明でした。
この舞台の背景となる時期のスペインは、ミゲル・プリモ・デ・リベラ将軍率いる愛国同盟による軍事独裁政権(1923年 - 1930年)の時代です。
この時代にアントニオが参謀長まで立身出世し、最後はモロッコに向かうということは、スペイン領モロッコで始まった植民地支配に抵抗する第3次リーフ戦争の鎮圧に参加するためということですね。ちなみにこの戦争で功をあげたのが、その後のスペイン戦争を経て長期にわたる軍事独裁政権を率いたフランシスコ・フランコで、スペイン軍はこのリーフ戦争では毒ガスまで使用しています。
ということで、その経過から見ればアントニオもなんともダーティな役割を担ったことになってしまい、同じ脚本家の『誰がために鐘は鳴る』とは真逆の歴史観の作品になりますね。
まあ何でもアリーナなタカラヅカなので、固い話はヤボかもしれませんが。

カテリーナの夢咲ねねも、今回の舞台では不完全燃焼な役でした。6年間の娘トップの舞台経験の成果で、大人の女性として、かつての恋人と再会して揺れ動く未亡人役を好演していましたが、この作品が最後かとおもうと残念感大アリでした。やはり回想シーンでもいいので、二人のなれ初めの場面が欲しかったですね。




そして最後が離れ離れ。これでは観ているこちらも肩すかしされた気分で不完全燃焼。主人公たちに感情移入できないまま幕が下りてしまいました。

敵役のビクトル・デ・アラルコンの紅ゆずるです。




権謀術数に長けたスペインの大富豪というにはちょっと貫禄不足な紅ですが、スカステでみた『風とともに‥』のレットバトラーよりははるかにいいと思いました。貫禄という点では十輝いりすのほうが役に合っていたかも。
この人の歌はけっこう出来不出来がはっきり分かれる感じですね。あくまで私の感想にすぎませんが。
悪役としてもっと迫力のある憎々しさや嫌な奴ぶりが出たらと惜しまれました。
どこかサラッとしたところが抜け切れないですね。プライドが傷つけられたというだけで悪事を企むというのでは、本気になれないのかも知れませんが。(笑)

セバスチャン・デ・ディアスの十輝いりすもかわいそうな役です。





舞台では貫禄もあり堂々とした押し出しで目立ちますが、人物設定が省略されすぎで気の毒です。最後のどんでん返しもセリフで説明されるだけでは全く効果なし。もっと説得力のある伏線がちゃんと敷かれていたら納得でしたが。

もっとしどころのない役がアントニオの部下ラファエル・デ・ビスタシオの真風涼帆。




これで組替えだと思うと残念でした。
壱城あずさ・天寿光希・礼真琴の3人組も英真なおきとともにナレーション役を務めていますが、まあそれだけでしかない、一山幾ら(殴)な役です。
その英真なおき。この人を見るたびに私は『王家‥』での組長挨拶が心に残っていますが、今回も彼女ならではの、味のある演技で印象に残りました。今では少なくなった組生え抜きのトップ・柚希礼音の退団は、彼女にとっても感慨深いものがあるでしょうね。

あと男役では、麻央侑希がアラルコンの子分役で、格好の良さで目立っていました。でも、まあそばにいるだけの役。まあスタイルの良さはショーでも一際目立っていましたが。

女役では、ダンサーでアラルコンの愛人アルヴィラ役の妃海風が濃いキャラクタでもうけ役でした。でも個人的にはこの公演で退団する音花ゆりにこの役をやって欲しかったですね。彼女の美声がもう聞けないかと思うと、本当に残念な退団です。
舞台装置も不満でした。最初に書いたように船のセットみたいなのはよかったのですが、あとはだんだんしょぼくなってきて、最後のほうはLED丸見えのチープな台だけ。全く盛り上がらず。

これが『激情』みたいに濃密でよく練られた脚本だったら、少々セットが簡素でも気になりませんが、今回のように薄い芝居だと余計手抜きに見えてしまいますね。ナポレオンとまではいかなくても、せめてアンドレア・シェニエぐらいの装置が欲しかったです。

ショーの方は、101年ということで柚希を101カラットの宝石に見立てたショー。




いきなり柚希礼音が銀橋から登場。ダンスは見ごたえありでした。


こんなフラフープみたいな場面もあり




途中以前の『ノバ・ボサノバ』公演でドアボーイを演じた柚希礼音が同じ場面を再現したりして楽しませます。衣装の色は柚希礼音のこだわりで以前の色を再現したとか。


夢咲ねねです


ブランコで登場




紅の妖艶なダンスや、礼真琴の歌も聞きどころです。


続くラインダンスでは麻央侑希がひときわ目立つスタイルの良さでセンターに立っていました。
その後柚希礼音が二階席に登場するサービスもあって客席は盛り上がりました。

こんな場面もあったり


でも途中までは、最近では珍しくサヨナラ公演らしさが感じられなかったのですが、舞台に神輿が登場してから一気にサヨナラショーモード全開。私の横の女性は思わず声をあげて拍手。




ただ、やはり全体として壮一帆稀凰かなめのときのように柚希礼音がソロで歌う場面が少なくて残念でした。
そうそう、音花ゆり、シャウトしたりして頑張っていました。専科に残ってくれたらと本当に残念です。
ということで、興行的には退団フィーバーで大成功でしょうが、いろいろ思うところも多い今回の観劇でした。

芝居の残念感・多大だったので、贔屓コンビの退団公演なのに帰りの車中でもガッカリであまり話題にはならず、次期トップの話題に切り替えて帰宅しました。(笑)
その次期トップ、これまた200%ありえないと思っていた仰天人事(100周年記念のどんな公演もイベントもかすむほどの青天の霹靂!!)ですが(笑)、基本的に長くみっちゃん贔屓だった私たちですので、今はいいトップぶりを披露してほしいと願うばかりです(笑)。

↓おまけです。
Now on Stage恒例の花束贈呈です。この二人、6年間本当に楽しませてくれました。






お疲れ様でした。そして新しいステージでの活躍を期待しています。

轟音ナショナル食洗機・NP-60SS5のポンプ交換です

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食洗機は旧ナショナルのNP-60SS5という型番で、その時期のナショナルの家電製品に共通したデザインの製品です。
購入したのは2005年の3月。その前年にヨメさんが倒れて、もっぱら私が家事担当となって、その負担軽減のため購入したものです。
これは買って正解でした。食器類、特にステンレス製品の仕上がりがビックリのきれいさで、大満足。

でも、何年かたって次第に動作音が高くなってきました。騒音源はポンプです。初めのうちはそれほど気にならなかったのですが、今から3年前ぐらいから、かなりうるさくなってきました。ベアリングが今にも破損しかねないような金切声をあげ始めました。
それで、壊れないうちにと、2013年8月にポンプを発注。型番はANP8C-4490で、私はパナセンスからゲット。






でも今は、上記型番で検索したらいろんな販売業者がヒットするので、簡単に入手できます。
部品交換するくらいなら新しいものに買い替えれば?と思われるかもしれませんが、最新のパナの食洗機はどう見てもダサダサなデザインで、とてもそんな気になりません。内部が見えなくなったし、外形は大きくなったのに庫内は狭い感じで、デザインも液晶表示もドアパネルからなくなってチープで、明らかに退歩している感じです。
ポンプの値段は当時で10,500円でした。

ただ、部品はすぐ届きましたが、交換の作業工程がもひとつ不明だし、音は高いもののまだ洗浄能力は落ちていないし、ヘタに交換して壊れてしまったら元も子もないと、そのままデッドストックに。まあ早い話が、自信がなかったということです。(笑)

でも最近のNP-60SS5の絶叫ぶりは半端じゃないです。もううるさいのなんの。居間のテレビの音量を大幅に上げないと聞こえないほど。今は寒いので窓を閉めていますが、それでも道路に出ても聞こえるほどうるさいです。これで窓を開けるようになったら近所迷惑も甚だしく、即通報されそうです。(笑)
まるで鉄工所で金属を削っているような、ギュイーーーンという野蛮な住宅地ではありえない音です。

でもう我慢の限界と、とうとう3月13日の金曜日(笑)に交換を決断。


以下、その交換作業です。でもこれを見て同様の作業を試みて、万一トラブルが発生しても、当局は一切関知しないのでそのつもりでご覧ください。(笑)

まず、コンセントから電源コードとアース線を外し、給湯ホース・排水ホースも外します。
それと、本体下にある排水ゴムキャップも外して、内部に残った水を排水します。これをやらないと、本体をさかさまにしたとき水で床が濡れます。


本体を床に敷いた新聞の上に逆さにして安置。
まず前部下のカバーを外します。ネジ2本と2か所の嵌合部を外してカバーを外します。




次に本体をさかさまにして、底のカバーを固定しているネジをゆるめて、カバーをとるとポンプ本体が現れます。


↓前部と底のカバーを止めているネジです。


まずポンプから出ているケーブルのコネクタを外します。ポンプ本体はネジ2本で固定されています。ホースは3か所ですが、ホース固定クリップは1か所だけ。






新しいポンプを取り付けます。
↓仮組状態です。この後元通りネジ2本で固定します。


肉厚の薄いサクションホースAはきちんとはめ込むのは少し手間がかかりました。


そしてカバー2種類も元通り装着して、排水ゴムキャップも取り付けたら作業完了。

10年間にたまったゴミやほこりもきれいに取り除いてから、元の場所に本体を設置。

再び給湯ホースや排水ホースを取り付けて、電源コードをコンセントに差し込んで、ドキドキの試運転です。


まあなんとも静かであっけないほど。
あれほど轟音をたてていたポンプモーターの音はほとんど聞き取れず、水の吐出音だけがシャワシャワと聞こえるだけ。ヒステリックな金切声から、やさしいささやきに変わった感じです。
新品当時はこんなに静かだったのかと、改めて感動。まあこれも前同様だとすれば数年の間だけでしょうが。

部品代が1万円余りと少々お高いですが、ちょうど10年使えたのでまあ良しとするか。
思ったより簡単な作業だったのがなによりで、所要時間は30分程度。

おかげで早く済んだので、午後はこのところ久しく飛ばしていなかったPhantom2・2機をつれて空撮三昧。(笑)

充実した1日になりました。(笑)


旧ナショナルの食洗機の爆音に悩まされている方は、ポンプの交換も一考されたらいいと思います。効果抜群です。


Phantom2いじりあれこれ その2 LEDライトを付けてみました

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以前から、前後左右対称形のファントムを飛ばしていて、どちらを向いているかわからなくなるのが不便だなと思っていました。

それと、実物の飛行機が着陸灯を付けて降りてくるところを、近くの飛行場周辺を通るたびに見ていて、いつもそのカッコよさに感じ入っていました。(笑)

それで、パナのクリップ型の小型LEDライトを両脚に挟んで飛ばしたりしてしましたが、


スイッチを入れ忘れたり、一灯タイプのLEDなので思ったより視認性が悪かったりして、数回で使用中止。

それで先日、いつもネットで見て気になっていた「LEDヘッドライト デコレーティブヘッドランプ ホワイト」なる商品をポチッとな。

今日はその取付と使用感想です。
送られてきた商品は一個700円程度で手作り感満載(笑)、パッケージもバルク品そのものの簡易包装。

発光部も思ったより小さな円板で、その上に小さなLEDが取り付けられて、カバーなしの発光体むき出しのまま。(笑)
そして電源コードは途中にスイッチの代わりにコネクタがついています。




電源コードは機体側面の放熱スリットを通して機体内に入れます。


LED発光部は付属のマジックテープで機体に取り付け。


で、肝心の電源への接続ですが、コードの先にはほとんど銅箔に近い極薄の銅板がついていて、バッテリーのソケット部に差し込むスリットが入れられています。
でも、隙間が大きくて接触不良。点いたり消えたりでストレスがたまります。それでバッテリーと接続する機体側のコネクタ金属部に半田付けすることに。
もちろんこんなズボラをせず、機体のアッパーシェルを外して内部で電源部に半田付けする方がスマートですが、めんどくさい。(殴)


ということで、電源コード先の銅箔にまず半田メッキ。


奥まで電源コードの接続部を押し込んで、チャチャっと半田付けして作業完了。
バッテリーを装着して点灯させました。


で、食洗機のポンプ交換作業の後、試験飛行へ。
明るさとか視認性とかも気になりましたが、この日は風が強くて、じっくり確認できる状況ではなかったです。^^;
こんな感じに見えます。
ちょっと不鮮明ですが‥。^^;






でも一番気になっていたバッテリーへの負担は有意な差がなかったです。
P2V+で飛行時間をモニターしながら飛ばしていましたが、15分飛ばして残り飛行可能時間が4分程度の表示。これは装着前とほぼ同じです。
もちろん上昇下降を頻繁に繰り返す、バッテリー負荷の高い飛行パターンではなかったので、断言できませんが。
まあ一安心です。これならコネクタを外して飛ばすことはしなくてもよさそうです。
ただ、むき出しのLEDの発光体は汚さないようにしないと、寿命が縮みそうです。

その日はV2とV2+それぞれ2回ずつ飛ばして帰宅。飛行エリアでは彼岸桜が咲き始めていました。
枝に触れないように恐る恐る撮りました。^^;


車も人もたまにしか来ない場所なので、春爛漫の桜を空撮するには絶好のロケーションでした。また満開の時に行ってみます。

今回装着したヘッドライト、所詮小さいLEDなので、少し離すと視認性が低下しますが、バッテリーへの負担を考えたらこんなものでしょう。

といいながら、今度日本橋に行ったら適当なLEDがないか探してみようと思っていたり。(笑) それとコネクタのオス・メスを逆にした方が何かと便利なのでコネクタも探してみようと思います。

3月17日追記:
初夏の陽気の中、飛ばして視認性を確認。
晴天での飛行で十分点灯が確認できました。無いと困るというほどではないが、着陸進入時に光っているのは癖になります。(笑)
それと、再度、飛行時間への影響をチェックしながら飛ばしていましたが、影響があるとしたら1分ぐらいかなという程度。この程度なら、使用している4個のバッテリーの経年変化の差で吸収できるぐらいの影響です。
P2+の飛行では、FPVモニタで表示される飛行可能予測時間を確認しながら飛ばしていましたが、2個のバッテリーとも以前と同じ20分前後でした。

というわけで、LEDライトは常時点灯でも問題なしと判断しました。


宝塚花組公演『カリスタの海に抱かれて』 『宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)』 観てきました その1

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それは一本の電話から始まった。

もともと私たちは花組公演のチケットは4月初めだったので、3月の観劇予定はなし。

で、3月初めに電話がかかってきたときは、まったくのサプライズ。
呼び出し音に、どうせよくある、年寄りをだまそうという何かの勧誘かと思ったのですが、なんと2月に応募したチケットプレゼントに当たったとの連絡でした。
はじめはブスッとした感じで応対をしていた私も、タダでチケットをもらえると聞いて、コロッと態度を豹変。(笑)
自分でも呆れる現金な変わりようで、応対しながらつい笑みもこぼれてきました。横で聞き耳を立てていたヨメさんも、いつにない私のニコニコ顔に興味津々。宝塚のチケットの話とわかって大喜びでした。
でもなんのプレゼントに当たったのかは、いろいろ差し障りがあるので秘密です。(笑)

私も思いがけず2度観られることになってうれしかったのですが、舞台の出来に期待と不安相半ばだったので、出来の悪い作品だと2度観るのはシンドイなあ(殴)とか、バチ当たりなことをいってみたり。

そんなこんなで当日出かけましたが、ちょうど春分の日の休日で、彼岸の墓参とも重なって、道路情報をチェックしたらあちこちで渋滞しまくり。慌てていつもより30分早く出発しましたが、やはり中国道・宝塚インター周辺の一般道で渋滞。
結局、いつもの倍近くかかってしまい、駐車場についたのは10時40分。大慌てで劇場に向かいました。

大劇場のロビーを見ると、どういうわけか観客の男率が高かったですね。で、客席に着いて振り返ったら、結構立ち見もあって、盛況の様子でした。

というどうでもいい話はこれくらいにして、以下感想です。少々ネタバレアリで、敬称略です。
画像はスカステ・花組ナウオンステージ↓のデジカメ撮りと、

当日購入のプログラムから。


で、まず芝居のほうの全体の感想です。


面白かった!!

はじめのうちは、「ああ常道の三角関係ものか」と分かったつもりで観ていましたが、話が進むにつれてそんな浅はかな予測をはるかに超える展開となり、いつのまにかドップリ舞台に引き込まれていました。

私たちにとって明日海りおのトップ公演は、空前のチケット難でエリザを見逃したので、これが初めて。さらに相手役の花乃まりあもこれまであまり注目していなかったので、つくづく観るのは今回が初めてでした。

なので新鮮な観劇でしたが、トップ二人のコンビネーションもよく、いい脚本(大石静)+手慣れた演出(石田昌也)の相乗効果で上々の出来栄え。話も久々の熱愛ものなので見ごたえがありました。


話は、フランス革命の前夜に、架空の島カリスタを舞台に、島を支配するフランス総督府の圧政と、それに抵抗する島民たちの闘いを軸に、その中で繰り広げられるトップコンビと芹香斗亜の三角関係の物語です。
宝塚お得意のフランス革命モノで、ナポレオンも登場したり。(笑) でもパリ民衆の蜂起の場面はなかなかの迫力です。
恋愛と友情の板挟みに苦悩する主人公シャルルと、彼に一途な愛を募らせるアリシア、親友で恋敵のロベルトの駆け引きがみものでした。

宝塚での大石静の脚本は二作目ですが、最初の作品は観ていません。その時の評判も覚えていないので、これが初見でしたが、宝塚の場面転換のツボを押さえたいい脚本でした。
最後がちょっとご都合主義かな?とも思いましたが、話の盛り上げ方がうまく、最後のプチ・ドンデン返しにもちゃんと伏線が張ってあったり、劇中の台詞も自然で聞きやすかったりで、グッドジョブ!!でした。2本物でもここまでよく練られた脚本になるかと感心しまくりでした。

そしてショーのほうもビックリの完成度。稲葉太地のセンスが光る仕上がりに感心しました。大体私はショーのことはあまりわからず、まあ添え物(殴)的に観ていますが、今回は別。まず衣装の色がいい。それと和洋のミックスの仕方もいいセンスしています。よくあるラスベガスの安物ショーみたいになりがちな「さくら変奏曲」も、稲葉太地はスタイリッシュな演出で魅せてくれました。

ということで個別の感想です。
まずシャルル・ヴィルヌーブ・ドゥ・リベルタ(長い!^^;)の明日海りお。

いきなり上手側からせりあがってきた姿は端麗です。歌も安定していて聞かせます。

人物設定はなかなか複雑で、裏切り者の汚名を着せられた父の子として島を追われ、フランスに渡って士官学校を卒業後、故郷カリスタの司令官として着任するという設定からして波乱含み。(笑)




総督の娘イザベラからダンスを誘われて戸惑います。


島の娘アリシアと出会います。


赴任したカリスタ島は小さな島とはいえ、フランス革命という歴史の激動は否応なく島民たちにも影響を与えはじめ、独立の運動も高揚してきます。明日海りおは歌も演技も立ち姿も申し分なし。
若いながらもフランスとカリスタとの無益な流血の衝突を回避するため心を砕く司令官をよく体現していました。


花乃まりあともよく似合っています。




いいコンビですね。

ただ、この日の明日海りおはどうしたことか滑舌が悪く、二回ぐらい台詞をかんだりしたのが気がかりでした。ヨメさんも気づいて途中で顔を見合わせたり。疲れから来る一時的なものなのか、次の観劇で要チェックです。
それと細すぎ。痛々しささえ感じるほどで、ちょっと心配ですね。

対する恋人アリシア・グランディー役の花乃まりあ。

飛び切りの美人とはいいませんが(殴)、演技は大したものですね。一途にシャルルに恋する素朴なアリシアをリアルに好演していて好感度大です。
勝気さと、きれいな服に憧れる可憐さが等身大にストレートに表現されていて、いい娘トップぶり。




アニータからロベルトと一緒になれといわれても納得できません。


本当に今後が楽しみなトップコンビですね。

今回最も衝撃的だったのがロベルト・ゴルジ役の芹香斗亜です。

観劇前にスカステニュースでチラッと見ただけでも、歌が別人かと思うほどの出来にビックリ。

そして実際に舞台に出てきた芹香斗亜はニュース映像以上の存在感でした。

あの頼りなげなライナス・コールドウェルはどこに行ったのでしょう。童顔に似合わない堂々とした立ち姿で、取っ組み合いしたらシャルルなど軽くノックアウトされそうです。(笑)









血気にはやる島民たちを説得します。


歌も立派に成長していて、演技も明日海りおにひけを取らず、恋敵を力演。変われば変わるものですねぇ。
堂々の二番手ぶりに脱帽です。

目立っていたといえばアニータ・ロッカの美穂圭子も圧倒的な歌唱力でした。片目をフランス軍に奪われてから心を閉ざしている孤独な島の女であるとともに、物語全体の狂言回し役でもあります。この人の存在感が、舞台を厚くしていました。ただ、ショーと合わせるとちょっと出すぎな感じも。(笑)
でも歌はやはり素晴らしいです。観ていてちょっと矢代鴻を思い出したり。

憎まれ役がセルジオ・グランディーの瀬戸かずや。

アリシアの兄で、復讐の血に飢えた男です。すぐ銃をぶっ放したがる危ない男です。

妻のベラ・花野じゅりあが残念な使われ方でした。もったいない!!


出番は一度きりですが、島の伝説的な英雄アルド・アルフォンソの高翔みず希もいい味出していました。火あぶりの場面の炎の演出が秀逸。石田昌也の演出の妙でしょうか。


もったいないといえば、クラウディオ・カレーラの鳳真由ももっと使ってほしかったですね。


逆に目立っていたのが、若きナポレオン役の柚香光。


こんなシャープなナポレオンもアリかなと思わせるほどのカッコよさ。




シャルルの要請を快諾するなど、もうけ役でしたね。


次はショーの感想ですが、とにかくきれいな舞台でした。
組にちなんで花をモチーフにした構成です。
衣裳の色合いがバッチリ好みでした。どぎつい原色の補色対比なカラーデザインが多い宝塚のショーは好みに合わないのですが、その違和感のあるショーがとにかく多い。(笑)
でも今回はシックな衣装でまず納得でした。場面の展開も新鮮でオリジナリティ充分、和を巧みに取り入れた音楽の構成も素晴らしい。
久々に見ごたえのあるショーで大満足でした。途中のダンクシュートな場面ではかなり焦らされましたが。(笑)

タンポポでもこんなきれいな黄色が使われていたり、


花乃まりあも頑張っていました。ダンスもなかなかのものでした。




お約束の黒燕尾もユニーク。


柚香光もかっこいい。ただ歌が‥。^^; 一層の精進を期待します。


そして最後のパレードで仰天のトドメ。芹香斗亜の羽根の大きいこと! これでもかの二番手宣言でした。(笑)

という感じで羽根のショックでショーの感想はいつにもまして簡単になりましたが(笑)、次回の観劇ではもっとじっくりと観て続きを書くつもりです。でも決して期待はしないでください。(殴)

以上で感想その1となりますが、事前の予想と違って芝居もショーも上々の出来で、お得感満載でした。しかもタダだったし。(殴)

当日は立ち見も出ていましたが、帰宅後チェックしたチケット仲介サイトでは、どうしたことか大量に良席がサバかれていたりしていて、かなりショック。思わずあのドン・カルロスを思い出してしまうほど。

でも本当にいい公演になっていますので、上記のサイトを利用するなりして(笑)、ぜひご覧になってください。絶対後悔しないと思いますよ。

ここからボヤキですが^^;、なによりショックなのは、先行販売で苦労してゲットした4月の同日のチケットよりいい席が定価かそれ以下で売られていること。二人でパソコンを動員して頑張ったのがなんだったのか、本当に悔しい。

あ、でも1回はタダで観られたのでいいか。(殴)

ということで、ここまでいつもと変わらぬ薄~い感想をご覧いただき、ありがとうございました。

神戸市立博物館『チューリッヒ美術館展』を観てきました

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2月18日にホドラー展を観てから3週間ばかり後の3月某日、また神戸に出かけました。目的は神戸市立博物館で開催中の『チューリッヒ美術館展』を観るため。
今回の展覧会はピカソ・シャガール・セザンヌ・モネ・ゴッホ・ドガ・ゴーギャン・カンディンスキー・ルソー・ダリ・マグリット・マティス・クレー・ミロと、ビッグネームぞろいの豪華さ!

展覧会のホームページでも、
圧巻!すべてが代表作
スイスが誇る美の殿堂チューリヒ美術館のコレクションを、日本で初めてまとめて紹介します。出品されるのは幅6メートルにおよぶモネの大作やシャガールの代表作6点に加え、ホドラーやクレーといったスイスを代表する作家の珠玉の絵画、さらにはマティス、ピカソ、ミロといった20世紀美術の巨匠の作品など、これまでなかなか来日の実現しなかった印象派からシュルレアリスムまでの傑作70点以上。スケッチや習作がほとんどない、まさに「すべてが代表作」といえるラインアップです。
と、これを見逃すと一生後悔しますよ、みたいな感じで宣伝しています。

ちなみに会期等は以下の通り。

■ 場所:  神戸市立博物館(神戸・旧居留地) www.city.kobe.lg.jp/museum/
       〒650-0034 神戸市中央区京町24
■ 会期:  2015年1月31日(土)〜5月10日(日)休館日毎週月曜日 ただし、5月4日(月・祝)は開館

■ 開館時間:午前9時30分〜午後5時30分 土曜日は午後7時まで

ということで、晴れの予報だったので、公園に行ったほうがいいかなと最後まで迷いつつ(笑)、神戸に行くことにしました。
でも美術展にしてよかったですね。途中の天候は予報に反して、どんよりした曇り空。

途中渋滞もなく、9時に出発して快走、1時間もかからず博物館に到着。近くのタイムズに駐車して館内へ。

木曜だったせいか会場もそれほど混雑しておらず、車椅子でも楽しく観ることができました。

来るたびに思いますが、神戸市立博物館は本当に車椅子にやさしい。
まあ障碍者手帳の提示で本人と付添1名を無料にしてもらえるというのもありますが(笑)、それよりなにより、施設の配置が利用者本位、館内は明るくトイレやエレベーターのサインもわかりやすく、適所に配置されたスタッフも親切。このあたり、兵庫県立美術館とはまったく対照的です。

でも今回の企画展は、日本スイス国交樹立150年記念催事の一環として、その兵庫県立美術館のホドラー展とタイアップしています。(笑)
なので、美術館でホドラー展の当日券を購入する際にチューリヒ美術館展の観覧券(半券可)を見せると100円引き、逆に博物館でホドラー展のチケットを見せると、チューリッヒ展のチケットが同額の割引になるとのことです。ただしホドラー展のほうが早く終わるので、相互割引も終了しますが。

今回も、マイペースで気楽に観るのがいいので、解説のヘッドホンは借りませんでした。途中でわかったのですが、解説マークの付いた絵も少ないので、あまり意味もない感じです。(笑)

会場内はそこそこの人出。でも並んで押し合いへし合いではなくて、車椅子を押しながらでも、周りにそれほど気兼ねせずに鑑賞することができました。
会場は14のセクションに分かれていて、本来は3階から観て、2階に行くというのがコースですが、私たちはエレベーターの階番号を確認せずに降りたため、2階から観てしまいました。^^;

ということで、変則的ですが「ムンク」コーナーから観始めました。ムンクといえば「叫び」でしょう。しかも今回の展覧会のキャッチフレーズが「すべてが代表作」となっているので当然「叫び」があるかと思ったら、これがムンク?な作品ばかり。でもいい絵です。(笑)
この肖像画↓など、とてもムンクとは思えないです。

解説ではこれを描いたのは生活のためでもあるとのこと。でも肖像画としてある種のインパクトはありますね。思わずこんな絵も描けるんや!でした。ちょっと以前のデュフィ展で見た肖像画に似た感じです。

続いて「表現主義」のコーナーではベックマンが目を引きました。
デフォルメが入っていますが、「マックス・レーガーの肖像」など、モデルの人柄がよくわかる気がします。


次の「フォーヴィスムとキュビスム」のピカソはいかにも!でしたが、「シャガール」のコーナーは意外というか新鮮なシャガールばかり。
この↓「婚礼」という作品も初めて観ました。

ユダヤ人だったシャガールは大戦中、ナチスの迫害から逃れるためアメリカへ亡命、その最中に、最愛の妻ベラを亡くしていますが、この作品は1945年の作品で、失意を乗り越えて妻との婚礼の記憶を描いたものだそうです。同じ画家の「戦争」や「窓から見えるブレア島」もいい絵でした。

2階の最後のコーナーは「シュルレアリスム」。
ダリが大好きな私は今回一番楽しみにしていました。でもダリの絵を観て思わず「ちっさー!」
絵柄はダリそのものですが、予想に反し35×27cmという小さい絵。ちょっとガッカリ。^^;


それと、同じコーナーのマグリットですが、私的には彼の代表作といばあの浮遊する岩の絵だったり、「顔のない人物」とか巨大なリンゴだったりしますが、展示されていたのは、「9月16日」という結構地味な絵でした。これもそれほど大きくない絵です。

で展示は終わりとなったので、ヨメさんとこれはおかしいねということで、近くのスタッフに聞いて入口を間違えていたことに気づきました。それで急きょ3階に移動。

会場で眼に入ったのはあのセガンティーニ。この画家の絵は2011年に佐川美術館で「特別企画展 アルプスの画家セガンティーニ -光と山-」で初めて観ましたが、なかなかわかりやすくて(笑)いい絵ばかりでした。
今回展示されていたのは「虚栄(ヴァニタス)」と「淫蕩な女たちへの懲罰」の2点。これは確かに代表作といえそうです。

で、その横があのホドラー。(笑)
確かに展示されていたのは代表作ですね。中で一番気に入ったのはこれ↓ 「日没のマッジア川とモンテ・ヴェリテ」です。

ホドラーの風景画では一番馴染めます。(殴)

でもモネとなるとちょっとね。


「睡蓮」だそうですが、もう朦朧としています。最近観たターナーの例↓のとおり、

多くの画家がその最晩年になると絵の輪郭がぼやけてきたりしますが、モネも同じ。大作ですが、よくわからない絵。

同じ場所にあったドガの「競馬」も、意表を突く作品。

チューリッヒ美術館の歴代の蒐集担当は只者ではないです。(笑)

次の「ポスト印象派」もかなりユニークでした。
ゴッホの「サント=マリーの白い小屋」とか↓


ゴーギャンの静物画や


セザンヌの「サント=ヴィクトワール山」など
アンリ・ルソーは「X氏の肖像」といういかにもな作品です↓


次の「ナビ派」ではボナールの「犬と一緒にいる女性」が印象的。


ということで、このチューリッヒ美術館展、かなり意外性のある作品が多くて、それなりに面白かったです。
先に紹介したキャッチコピーの「すべてが代表作」というのはちょっと強引ですが、それに続く説明文が「近代美術史を彩る巨匠たちの傑作や、画業を代表する名品ばかり74点が集結。」というのはまあまあ妥当かな。(笑)

でもこの美術展は、先のホドラー展とは対照的に、多彩な画家の多彩な絵が観られるので、かなりお得でお勧めです。

さて次の神戸行きは、2015年4月18日より開催される兵庫県立美術館「堀文子 一所不住・旅」展です。楽しみです。








ナショナル食洗機・NP-60SS5の騒音源は? ポンプを分解してみました

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3月13日にポンプを交換して以降、すっかり静かになった我が家の食洗機。
もう使うのに近所に気兼ねしなくてもよくなりましたが(笑)、そもそもなんであんな音がするようになってきたのでしょうか。

ということで某日、騒音源を調べるべく、保管してあった元のポンプを分解してみました。まあ単なる暇つぶしともいえますが。(笑)



電動ドライバーでチャチャッとネジを外してポンプのケースを分解すると、


丸いスプリングで止められたインペラー(羽根車)が見えました。


インペラーを手で回すと、別に引っかかりも感じられませんが、シャフトの止め金具をペンチで壊してインペラーを外しました。




モーターシャフトをよく見るとシャフトに3本筋がついています。グリス切れで潤滑不足になっていました。


そのうち一番上の筋を撫でると明らかに段付き摩耗しています。


こちらはポンプ内側のシール部




水密シールの外側。

運転時間が長くなるとともにグリスが減っていって、やがて潤滑不足でシャフトとシール・リップ部と擦れあって異音が発生するようになったのでしょうね。固いシャフトが減耗するほどですから、轟音も当然です。

インペラーを固定するのがEリングなどの一般的なものだったら、一定の間隔で分解してシール部のグリスを詰め替えたら問題ないのですが、そもそも食洗機などは定期メンテを前提にしていないので、結局部品交換しかないですね。

見たところ、まだモーター側(ポンプ外部)への水漏れはほとんどなかったですが、いずれ摩耗とともにシャフト部の隙間が大きくなると、常時水漏れ発生、やがてポンプ設置部の制御基板に水がかかってショートし、全損廃棄になったと思います。基板を売ってくれれば直せるかもしれませんが、ポンプで一万円超ですからね。

もっとも、水が漏れだしたらシール部が水で潤うので、逆に音自体は小さくなったかもしれません。
なので、この食洗機のポンプ交換時期は、騒音のピーク時までにということになりますね。

まあ運転パターンにもよりますが、我が家の経験では、朝夕2回の使用で8年から10年ぐらいまでに交換するのがいいようです。





宝塚花組公演『カリスタの海に抱かれて』 『宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)』 観劇 その2

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カリスタ、2回目観劇の感想です。
前回は予期しないラッキーチャンスが舞い込んでの観劇でしたが、今回はオンラインチケットの一般前売りで購入したもの。20列とかなり後ろの席でした。

ではいつものとおり、感想の前の前置きです。
4月初めのこの日は絶好の花見日和。渋滞が懸念されたので8時30分に出ましたが、所要時間1時間10分と、ほぼ順調に到着しました。やはり平日だったのが幸いでした。

着いてみると、やはり花の道も桜が満開、通行の花見客も多く、結構な賑わいになっていました。

桜の下に植えられた雪柳やローズマリーも咲いていてきれいでした。
時間があったので私たちも花の道で桜見物。




写真などを撮ってから劇場ロビーに向かうと、当日券を求める長蛇の列。「小学生は1,500円割引」とあって、列には子供連れも目立ちました。
これは人気があるのかないのか?
長蛇の列なので観たい人が多いというわけですが、一方で当日券がそんなにあるというのは売れていないということか?よくわかりませんね。(笑)
一階の客席はほぼ満席。さすがに立ち見までは出ていませんでしたが、平日でもよく入っていました。

さて前置きはこのぐらいで、感想です。いつものとおり敬称略。

さすがに2回目となると、初回みたいに話を追うのに必死みたいな感じはなく、余裕で舞台上の小芝居などもチェックできました。(笑) 

今回の観劇で私の一番ツボだったのは、冒頭のスッポンの場面。
軍服姿も凛々しく明日海りおが後ろ向きに登場します。
こんな表情でした。


島に足を踏み入れてあたりを見回すその表情が清々しい。ほほ笑みを浮かべて、懐旧の情と、新しい任務への気概にもあふれているようです。
しか~し!!、そんなはずはないですね。

カルロとその両親はその昔、石もて追われるごとく、カリスタを後にしています。
なにしろ父は札付きの裏切り者、そして息子カルロは、親友ロベルトと血の約束を交わしながら、それを破っての離島。普通なら不安と緊張でいっぱいのはずですね。そもそも士官学校出たての新米士官が自分からそんないわく因縁のある任地を希望しないだろうし。
でもね。それは素人の浅はかさというもの。(殴)

カルロには大きな計画がありました。(キッパリ)
父の汚名返上と、島民の悲願であるフランスからの独立。それを実現できるカギは、ちょうど彼が士官学校を卒業する時期に始まった偉大なフランス革命。
この革命の歴史的意義に強い共感と確信を持つ中で、彼は故郷カリスタの解放への展望をも見出したのです。
それが、冒頭の、自信に満ちた表情に現れたというわけです。しかも無用の流血を避けるため、革命政府に現地のフランス軍の無血撤退を保証させる手筈さえ整えていました。士官学校出の新米士官(それにしては大尉とは出世が早すぎ?)にしては大した度量です。
というのはあくまで私の妄想(笑)。
でもそう考えれば、本来二の足を踏むはずの上陸時の表情があんなにスッキリ晴れ晴れなのが腑に落ちます。(笑)

それともうひとつ、気になっていたのが前回の観劇で感じた滑舌の悪さですが、今回はかな~り良くなっていました。ほぼ気にならない感じ。でも一回だけ台詞を噛んでしまったのが残念ですが、これも回を重ねれば解消されるでしょう。

演技自体は自然で表情もリアル、そして歌は安定した歌唱力で聞かせてくれます。
カルロが相手に強く語りかけるとき、いつも人差し指を振っているのが面白いです。

アリシアの花乃まりあも、やりすぎたら蓮っ葉なジャジャ馬娘になりそうな役柄ですが、そうならずにひたむきにカルロを思う純粋でいじらしい乙女心をよく体現していました。


カルロを助ける場面です。

こういう人物像がはっきりしている役はやりやすそうで、実は結構難しい役ですね。
総督府に入りこんで動向を探る大胆さを持ちながら、きれいな服に憧れたりする娘心をうまく演じていました。

いいコンビになりそうです。いやもうなっているか。(笑)


それとやはり印象的だったのがロベルトの芹香斗亜。繰り返しになりますが、びっくりの成長ぶりでした。以前の頼りなげな(殴)印象は雲散霧消、大きく見えます。


裏切り者の息子カルロが信用できるのか迷いながら、賭けてみようとするロベルト。いい演技でした。


最後は新天地アメリカに向かうカルロとアリシアを、アニータとともに丘の上から見送ります。


で、このシーンを観ながら私は、これ続編も作ればいいのにと思ったり。
というのは、ナポレオンが最後のほうで、「いずれカリスタは私の庭になる」みたいなことを言っています。
それからすると、続編は革命の反動期、王となったナポレオンがカリスタを占領、またフランスの圧政下におかれるカリスタと、それに抵抗するロベルトが話の前段で、その窮状を知ったカルロは妻とともにアメリカで得た資金でカリスタにノルマンディばりの逆上陸、ナポレオンの軍隊を島から追い出す、みたいな話に出来ると思うのですが、石田さん、書きませんか?(殴)

まあ妄想はこれぐらいにして(笑)、今回、二度目の観劇でも、改めていい芝居だと思いました。台詞も筋書きも、流れがよくて、安心して感情移入して観られました。

ショーのほうは、今年8月8日~8月16日の第二回台湾公演に合わせて、和のテイストたっぷりな作りになっています。
で、こういうショーは、ともすればダサダサで野暮ったくなったりしますが、『宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)』は巧みに和と洋を織り交ぜた洒落たアレンジで、いいショーになっていました。
稲葉太地、このところ大活躍ですね。


明日海りおは豪華な衣装で登場、やはりきれいです。

途中で花魁からタキシードに早変わりするお約束の場面もあって楽しいです。

ショーでも息の合ったふたりです。




タンポポです。


そしてやっぱり目を引いたのが芹香斗亜。すっかり大人びて、変われば変わるもの。(笑)


やはりシュートが気になりました。(笑)


そして最後のパレード。一度見ているのに、大きさではトップコンビと同格の羽根が気になりました。最近ではあまり見ない二番手登用で、改めていろいろ考えましたね。

ここから蛇足。
しかし、ナウオンなどを見ていて思いますが、明日海りおは本当に控えめというか、自分の主張を押し付けないやさしいトップさんですね。よく、自説を開陳することに懸命なアグレッシブなトップもいて違和感を感じたりしますが、逆に控えめすぎなのももどかしくて、もうちょっとリーダーシップを発揮してもいいのではと思ったり。
でもどちらかといえば、私は後者のほうが好みですが。(笑)

というところで、カリスタの感想は終わりです。

さて、お次は土曜日に観てきた「十二夜」です。最近とみに物忘れがひどいので、記憶の消えないうちに(笑)、感想を書かなくてはと焦っています。
久しぶりの音月桂さんでしたが、これがとてもよかったです。いつアップできるかわかりませんが(殴)、また機会があったらご覧いただければ幸いです。

どうもありがとうございました。





梅田芸術劇場で『十二夜』を観て

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梅田芸術劇場メインホールで「十二夜」観てきました。


『十二夜』はシェイクスピア喜劇の最高傑作だそうです。

話はご存じの方も多いと思いますが、音月桂が一人二役で演じる、船の難破で離れ離れになった双子の兄妹が主人公。
その二人にからんで、妹が男に扮することで登場人物の間に生じるさまざまな勘違いと片想いが交錯するコメディですが、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのディレクターも務める、『レ・ミゼラブル』などで有名なジョン・ケアードがどう作り上げているのか、興味津々でした。
音月以外でも、小西遼生や、『おそるべき親たち』の中嶋朋子、そして『祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹~』の橋本さとしと、出演メンバーも豪華です。

土曜日の12時公演ということで、朝10時に出発。

この日は車も少なく、予定通りのコースタイム40分程度で駐車場に到着。地下一階のシアタードラマシティ近くで早めの昼食をとってから、車椅子を押して地上へ。
時間があったので劇場前で写真などを撮っていると、近くにいたスタッフの男性が声をかけてくれて、そのまま劇場内に案内されました。この劇場、ロビーにはエレベーターがないので、車椅子だと楽屋のエレベーターで入らなくてはならないのがプチ残念。
私たちの席は中通路から6列ほど上がったところだったので、慣れないヨメさんは一苦労。でも何とかたどり着けました。ただ後ろとはいえ、ほぼセンターで舞台はよく見えました。
見渡せば1階席は埋まっていました。けっこう男性客も多かったです。でもやはりメインホールは大きすぎの感ありで、ドラマシティのほうがいいかなと思ったり。
という前フリは終わりにして、以下いつも同様の薄味感想になります。

プロローグは最近はやりの幕なしのいきなりのスタート。
まず目に入ってくるのは舞台のセット。

デザインしたのは、衣装も担当したヨハン・エンゲルスです。当人は昨年11月、このデザイン完成させた直後に亡くなったそうで、まさに遺作となった作品です。衣装も豪華でしたが、セットも本当によくできていました。

舞台上には円形の、八百屋になった台が置かれていて、それを取り囲むように石の壁を模したセットが置かれています。


余談になりますが(えっ、もう余談?(笑))、このセットと、『十二夜』つながりで思い出したのが、16年前に訪ねた「ミナックシアター」。イギリス・コーンフォール半島の先端部に位置する野外劇場です。


どうですか?似ているでしょう。後ろ向きに立っているのは当日主演していたイギリスの有名女優、ではなくウチのヨメさんです。(笑)

さらに手作りのコンクリート+芝生の客席の下面には『十二夜』(Twelfth Night)と上演年の1933が刻まれていました。
観劇しながら思わずこの写真がよみがえってきました。

大西洋に突き出た断崖の上に作られたこの野外劇場は、ロウィーナ・ケードという女性が生涯の大半を費やして、たった一人の使用人とともに岩を削って舞台を作り、セメントをこねて芝生を植えるなどして客席を設けるなど、50年かけて手作りしたものです。

セメントに混入した砂は、切り立った断崖を90m下って海岸からバケツで運び上げたということです。私たちも海岸まで降りてみましたが、一度でどっと疲れました。(笑)
今回の舞台でも、はじめのうちは背景に海が見える設定になっていたので、観劇しながらさらに懐かしさが募りました。
みなさんもランズエンドなどに行かれた際は、ぜひ足を延ばしてみてください。

余談はこれくらいで(殴)、まず主役の音月桂から。
↓当日買ったプログラムから

雪組サヨナラ公演以来、本当に久しぶりの音月桂でしたが、変わらぬ容姿に安心しました。(笑)もともと宝塚時代から若々しい容貌がそのまま維持されているのにプチびっくり。劣化が少ないです。(殴)


とくに今回の演目が、彼女のキャラクタにぴったりでした。女が男に扮するとかはお手の物だし、しかももともと雪組時代から爽やかなボーイッシュなイメージだったので(あくまで個人の感想です)、演じる人物に自然になじめました。


セバスチャン/ヴァイオラ(シザーリオ)という二役の兄妹を、声のトーンや話法、身のこなしや細かなしぐさを使い分けて巧みに演じていて、当然とはいえ感心しました。いい役を選んだものですね。
立ち回りも決まっています。

劇の終盤に兄妹が同時に現れる場面があって、一瞬アレ、どうやっているんだろう?と思いましたが、そっくりなキャスティングをしてあって面白かったです。
↓オーシーノ公爵の小姓になったシザーリオ


プログラムで自身が言っているように、音月桂は退団後映像の方に関心があったとのことですが、今後はもっと舞台でも活躍してほしいですね。演技も歌も定評がある彼女の今後の活動が楽しみです。

次は、そのヴァイオラに勘違いして言い寄る伯爵家の令嬢オリヴィア役の中嶋朋子。

さすがにベテラン、うまいですね。喜劇とはいえ自然な演技で安心して観ていられました。
はじめのうちは、兄の喪に服するという理由で冷たくオーシーノを拒み続けているオリヴィアです。


私はそんな様子がまるでエリザベートみたいだなと思って見ていましたが、そのオリヴイアがシザーリオに出会ったとたん一目惚れ。
絵にかいたようなツンデレぶりで面白かったですね。シザーリオに身も世もなく夢中!なオリヴィアと、その強引な勘違いぶりに戸惑うシザーリオとの絶妙のやりとりが一番の見所でした。

ただ、お疲れなのか、役年齢(若き令嬢ですから)&実年齢より老けた感じ(殴)なのが気になりました。ただどこか大竹しのぶにも似た台詞の声は若々しくて、すぐ容姿は気にならなくなりましたが。

うまいといえばオーシーノの小西遼生も存在感たっぷりで、スノッブな公爵ぶりが板についていました。




貫録さえあって堂々としています。舞台では初めて見ましたが、セリフも明瞭、いい役者さんですね。

執事マルヴォーリオの橋本さとしは、騙されてイジられて笑いものにされる、かわいそうな役をうまく演じていて、客席から大きな笑いを誘っていました。




しかし、今回の公演でうまさが光っていたのは道化者のフェステを演じた成河。
台詞も歌も道化の仕草もうまい!!
のびのびと自由闊達、余裕さえ感じられました。大活躍でした。





陳腐な言い方ですが、滑稽さと悲哀が巧みに表現されていて、感心しました。
昨年観た『ビッグ・フェラー』でもIRAの若手メンバーの一人・ルエリ・オドリスコル役がピカイチでしたが、今回もそれに劣らぬ活躍ぶりでした。今後の活動に注目したいです。

それ以外の役者さんもそれぞれいい仕事ぶりでしたが、中にはちょっと台詞の不明瞭な方もおられて、ちよっとコックリとな(殴)としそうになったり。
ご存じのように、シェイクスピアの台詞は、一流の美文調で形容詞満載なので、聞き取りにくいと台詞が睡眠術の呪文みたいに聞こえてつい瞼が‥(殴)
でもそんな序盤をなんとか持ちこたえたら(笑)、中盤から一転俄然面白くなってきて、客席も笑いの連続。面白かったです。

最後は客席も大いに乗ってきていました。
カーテンコールの出演者全員の歌は鳥肌モノ。圧巻でした。


というわけで、シェイクスピアかと身構えて観劇に臨みましたが(なにしろ十二夜は初めてなので)、素直に楽しめて面白かったですね。なにより厚みのある俳優陣と、一流の演出に、重厚なセットと衣裳。上質な演劇を堪能できました。

音月桂の大阪演劇デビュー、成功して本当によかったです。



宝塚月組公演 『1789 -バスティーユの恋人たち-』を観て 感想その1

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かなり遅くなりましたが、1789観てきました。

出かけたのは木曜日。予定通り順調に走って駐車場へは9時50分に到着。
今回の席はPCで確保した10列下手側の席。かなり端に近かったのですが、まあ良席です。でも私の前に座ったのはかなり大きな男性客。それでちょうど舞台中央部が頭でブロックされてしまったので、こちらは首を絶えず動かさないといけないのが残念。(笑)

その感想ですが、よくできていました!見ごたえ大有り!
とにかく面白い。フランス革命についての視点がベルバラと全く違う民衆史観なのがまず気に入りました。

オリジナルはご存じ2011年にパリで初演されたフレンチ・ミュージカル。これを小池修一郎がほとんど別作品といえるぐらいに再構成しています。
梅芸で観たフランス版ロミジュリがそうだったのですが、フレンチ・ミュージカルは芝居としての構成は最小限で、ひたすら歌とダンスでぐいぐいと展開するドライな作りです。私はそれが新鮮ですっかりハマったのですが、その分話の筋が理解しにくいきらいがあります。

それでヅカ版ロミジュリでは小池先生が丁寧に作り直して、だれでもわかる話に仕上げられていました。歌詞も話が分かるように工夫したとか。
今回も、公式ホームページの制作発表会レポートにあるように、ロナンを軸に大幅に話が作りこまれています。ほとんど書き下ろしに近いほどで、小池流のサービス精神旺盛です。

あとで触れますが、舞台装置も重厚で豪華。衣装も、どこまでも華美な宝塚衣装としてはかなり汚しを入れてリアル(とくにシトワイアンの衣装。タイシルクだそうです)。さらに化粧もふだんの宝塚化粧としては異例の、立体感のあるリアルなもの(いずれも小池氏@ステージ・ドア談 以下関係者のコメント引用元は同じ)。

でも、観劇しながら、同じ小池演出のロミジュリと違って、かな~~り元のフレンチミュージカル寄りになっていると思いました。
その一端が音楽。ロック調の曲が多くて迫力があります。ただ音域の広い曲が多くて、歌うのは大変そうです。
音楽担当の太田健さんは、

「今回はコンピュータ(の音楽)を流しながら生演奏をミックスしているので、使える音や楽器が飛躍的に広がった。大人数で演奏していると感じてもらえるのではないか。またクィーンとかローリングストーンズ、マイケルジャクソンのようなリズムの曲があって楽しい」と語っています。確かにこれまでの公演とは違う音楽と、ド迫力な演奏にすぐ気づかされます。さらに西野淳の音楽指揮も情熱的でユニークです。


ダンスも大胆で新鮮な振り付けでインパクトがあり。とくに軍隊に対峙する民集の群舞のボディパーカッションが強烈でした。










その振り付けはこの人が担当しました↓。



関西発の表現系ジャズダンスチーム「Memorable Moment」のリーダー・KAORIaliveさんです。近作の「No war」を観た小池氏がぜひにと依頼したそうです。
最初は全員アザだらけだったとか。でも二回目の練習ではもう生徒たちがある程度こなしてきたと感心していました。
小池氏は「これまでもステージを見て面白かったので、何度か依頼したがスケジュールが合わなくて実現しなかった。今回は本当にドンピシャと思って依頼した」と言っていますが、選んだ彼も頼まれた彼女もいい仕事していますね。見どころの一つです。

それ以外のダンスシーンは、スカピン以来、宝塚版ロミジュリをはじめ多くの小池作品の振り付けを担当した桜木涼介さん。↓

前回はフランス版に影響されたので、今回はフランス版は見ずに全くオリジナルなものにするよう努めたとのこと。確かに新鮮なダンスシーンが目につきました。

そしてフィナーレショーのダンスはTETSUHARUさんが振り付け。↓

タカラヅカではロケットに代表されるように揃ってナンボの印象があるが、今回は個の集合としてのエネルギーを引き出したいと思ったとか。ただ、大階段を使うのは初めてなので、寸法を聞いたり、一番いい立ち位置を聞いたりして参考にしたとも。従来のタカラヅカにないバラバラな立ち位置の大階段がユニークでした。
それと、芝居ではからむことがなかったトップコンビのデュエットにも工夫したとか。

練習の様子です↓








そして本番↓

ということで、ダンスひとつとっても見所満載でした。本当に登用した小池センセイの意図が大当たりでしたね。アンテナ広い!

ストーリーは小池修一郎のベルバラというか、同じ人物が登場していますが、主人公に代表されるように民衆の視線からフランス革命を見ていて面白かったです。といっても、主人公を中心に話が進むというより、革命を軸とした群像劇という感じ。

観終わって、それまでの月組メンバーについての印象が大幅に塗り替わる結果となりました。
とくにアントワネットが上々の出来で、驚きの歌唱力でした。
さらに帰宅してから、スカステ「ステージ・ドア」を見て、「これはもう一度観ないわけにはいかないね」ということになって、某チケット仲介サイトでリーズナブルなチケットをゲット。(ということは売れていない?)
観劇前には思いもしなかったリピート決定となりました。

ということで、以下、とりあえず1回目の感想です。「ステージ・ドア」の話を引用しながら書いてみます。いつものとおり敬称略で、画像は「ステージ・ドア」から。

まずロナン役の龍真咲。

でその前に少し。
単に好みの問題ですが、私はこの人がかなり苦手。なので、トップ就任以来月はあまり観劇してきませんでした。とはいえ、前回の「パック」は懐かしの作品なので観ましたが、幸い役が妖精なのでそんなに苦にならず(殴)観られました。
そして今回はなんといっても今年一番の大作ということで観劇決定となりました。

101期生の初舞台生口上が終わり、いったん降りた幕が上がると、いきなりロナンがバスティーユ要塞襲撃の一番乗りとなる場面になります。そのあと、すぐに回想する形で展開していくます。
どんな役かなと思いながら観ていたのですが、そんなに濃い役ではなく(笑)、どちらかというと存在感が薄いです。
父を殺されて、復讐の鬼となって仇敵を追い詰めて復讐する展開かと思ったら、それは初めのうちだけ。




途中からは、革命の巨大なうねりに飲み込まれる群像の一人という立ち位置になっていきます。なので今回も苦手を意識せず、普通に観ることができました。(殴)

ちょっと歌の発声が昔の男性アイドル歌手っぽくて気になったりしましたが、基本的にド安定な歌唱力だし、役作りも、極貧の農民の息子が、見知らぬ街で戸惑いながらも革命に合流していく素朴な姿がよく出ていました。この人は抑え気味の演技のほうがいい感じです。

次はマリー・アントワネットの愛希れいか。


まあこんなに歌える人だったのかとびっくりでした。先に書いたように今回は音域がかなり広くて歌いにくそうな曲が多かったのですが、よく歌いこなしていました。

以前のロミジュリでは歌についての記憶がなかったので、本当に別人のような印象でした。大したものです。
歌の自信がもたらしているのか、演技も余裕の出来。






王妃の貫録さえあって、これまで娘役オンリーな印象があったのですが、今回は女役をうまく演じていてよかったです。

小池修一郎は、

「今回はこれまでのベルバラのそれとは違ったアントワネットで、大きな存在になっていて、愛希でないと背負えない」とか「愛希の歌唱力はふつうの娘役の群を抜いている」と大絶賛しているのが印象的です。

今回、愛希とならんで私的に再発見だったのが、ルイ16世の弟アルトワ役の美弥るりか。

一番黒くて濃い役でした。もう悪意と野心と謀略の化身です。それを毒々しいまでにインパクトのある美貌(あくまで私個人の感想です)で演じているので、もともとプチ気になる存在でしたが、これで一挙にお気に入りに追加。(笑)

これまではあまり印象的な役がなかったと思いますが、今回は登場シーンも多く、得な役でしたね。代表作といえるでしょうね。これであともう少し大きかったら‥。次作も期待の人です。

反対に残念だったのが、ペイロール伯爵を演じる星条海斗。

この人については、月組ベルバラの衛兵隊のアラン役の好演でプチひいきになったのが発端。
その後、月組『THE MERRY WIDOW』を報じるスカステ・ニュースで、ミルコ・ツェータ男爵を演じた彼女が、主演の北翔海莉への謝意を、真情に溢れた言葉で表していたのを見て、完全にトドメを刺されました。あんなに率直に、人目もはばからず(笑)身も世もなく感謝されたら、みっちゃんもついホロリとしたのも当然ですね。
この姿を見てから夫婦で勝手に注目してきたのですが、今回は主人公の父を銃殺する敵役ながら出番が少ない!!
残念でした。でもみっちゃんと入れ替わりの専科入りで、これから各組で活躍する姿を見られるので、まあいいとするか。

同じ専科ではルイ16世役の美城れんがさすがの出来でした。ただし、ちょっと可愛らしすぎるかな(殴)。自分がのちにそれにかけられるとも知らずに模型のギロチンを愛玩している姿で運命の皮肉を表したいのでしょうが、ちょっと演出がしつこいですね。でも存在感のある余裕の演技でした。

今回の作品で実質的なヒロインとなる、ロナンの恋人オランプを演じたのは海乃美月。

早乙女わかばとのダブルキャストですが、出番も多くておいしい役ですね。ロナンともよく合っていい役です。二度目の観劇は早乙女オランプなので、比較できるのが楽しみです。

あと、移籍してきた珠城りょうのマクシミリアン・ロべスピエールに期待していたのですが、歌はよかったものの、セリフがちょっと聞こえにくいのが残念。でも今後の期待の星です。

専科からの沙央くらま(弁護士ジョルジュ・ジャック・ダントン役)と、カミーユ・デムーラン役の凪七瑠海も頑張っていますが、

どうも三人トリオというのはどの公演でも一山いくらな扱いになるので、個々の印象は薄いですね。

逆にフェルゼン役の暁千星が目立っていました。これまであまり知らなかった人ですが、劇団の大抜擢にこたえて、歌も立ち姿も初々しさを見せながらもよくやっています。目立つ存在でした。それと最近の歌劇団の入れ込み方も目立ちます。(笑)

以上、とりあえずの簡単すぎる感想ですが、続きはまたリピート観劇後に書くことにして、あと印象に残ったのは舞台装置。

小池作品につきものの手の込んだセットがまず目を引きました。
担当した大橋泰弘は、

「今回のセットも小池先生独特のセンスで、とにかく原作とは違う独自のものを作ってくれということで、フランス版では映像中心で作っている小さな舞台なので、一からセットを作った」とのこと。
セットのリアルさは客席についてすぐ気が付きました。建物の石造りの質感が半端じゃないです。もう石そのもの。







場面転換も手慣れたものですが、もうひとつ、映像の使い方もそれとはすぐ気づかないほど巧みでした。ステンドグラスなど、初めは映像とは思わなかったです。
担当した奥秀太郎は

「フランス版を見て多用していたので、宝塚でもチャレンジしてみようと思いました。あれ?ひょっとして映像?みたいに思っていただけるようにミックスした」といっています。




というわけで、いつものとおりの超薄味な感想となりましたが、ステージ・ドアをみて作品への興味が倍増したので、初見で見落としていたことも含めて、もう一度この力作をよく観てこようと思います。

またご覧いただければ幸いです。ありがとうございました。



兵庫芸文センターで『シャーロック ホームズ2 ~ブラッデイゲーム~』を観て

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5月21日(木)に、兵庫芸文センター阪急中ホールで『シャーロック ホームズ2〜ブラッディ・ゲーム〜』を観てきました。
この公演の観劇を決めたのは、チラシにあった出演者の中に、一路真輝や別所哲也、橋本さとし、そして懐かしい春風ひとみの名前があったからです。

まあホームズと名がつけば探偵もの、だいたい中身は予測できるよねということで、出演者以外の予備知識はゼロ、ぶっつけ本番の観劇でした。いつものことですが。(笑)

最近は定位置になっていますが、今回も最前列での観劇です。ただこの席、よく見えるのはいいけれど、出演者が至近距離なのでこちらが少々気恥ずかしい。大体コックリできないし(殴)。それと、逆に舞台全体のイメージがつかめないのはちょっと難ありかな。でもまあ贅沢な話ですね。

ということで、以下、感想です。敬称略です。
画像は当日購入したプログラムより(@2,000円でした。高い!!)↓


まず結論から(笑)。
なんとも難しい舞台です。演じる役者にとっても、観ている観客にとっても難しいです。その第一が台詞。メロディに乗せて台詞が語られるのですが、複雑な旋律に乗せた長台詞が延々と続く感じなので、聴き取るのが大変です。まるでお経のような(殴)感じで、とくに一幕目がキツかった。(笑)

観客も大変ですが、やっている役者さんも大変だろうと思います。耳になじむ旋律とはいえないし、全体に早口なので、「よく覚えられものだな」と変なところで感心したり。

でも休憩を挟んで二幕目から動きが出てきて俄然面白くなりました。

ただ、題名から予測できるような、複雑な犯罪トリックを解き明かす緻密な探偵もの、ではないですね。むしろ犯人の背負った怨念とか、社会への挑戦から連続殺人に至ってしまう歴史的な過程がメインな話です。

でも出演者が芸達者で、芝居としてストーリーの展開の面白さよりも役者の魅力が勝っているといった感じでした。

最後のどんでん返しもそれほど効果的ではなかったし。
というわけで、そもそもスケジュール的に不可能でしたが、そうでなくてもリピートはまずなかったですね。でも一度は観るべき価値はありました。音楽も生演奏でよかったです。

で、出演者別の感想です。
まずワトソン役の一路真輝。

今回のワトソンは、ホームズの助手ではなく、かなり勝手に動いています。犯人と直接対決したりで、ホームズのほうが影が薄いくらいの活躍ぶり。
舞台上の一路真輝、変わらないねーといいたいところですが、やはり容姿は相応にお年を召されていました。(殴)

余談ですが、彼女を初めて舞台で観たのは、『はばたけ黄金の翼よ』のクラリーチェ。初々しくきれいな娘役が出てきたと思ったら実は男役で、臨時に娘役に抜擢されたと聞いてびっくりでした。その印象があったので、トップ就任後もどこか線の細い感じがあったのですが、ご存じトートで大ブレーク。大したものでした。

今回の舞台でもその歌唱力は変わらず、先に言ったように活発な役で、演じるのものびのびと楽しそうでピッタリでした。

そしてホームズの橋本さとしです。

この前、『十二夜』でマルヴォーリオを観たばかりで、ご縁があります。(笑)
で、プログラムを見たら今回の公演の稽古と『十二夜』への出演の期間がかぶっていたとのこと。大変ですね。よく務まるものだと感心です。
この芝居のホームズは、先にふれたように緻密な頭脳派探偵ではなく、かなり肉体派というか体育会系の探偵役です。だから、あまり知的ではないホームズ。(笑) 
でもそんな親しみのある人間臭い人物を演じていて、難曲ぞろいな歌も頑張っていて、芸達者の面目躍如でした。演技のダイナミックレンジが広いです。

この芝居の目玉キャストの一人がマリア・クララ役の秋元才加ですね。AKB48の出身だとか。
でも私は今回の観劇で初めて名前を知りました。(殴)

盲目の役で、聖母マリアのイメージの役だそうで、確かにそんな感じがよく出ていました。ベテランぞろいの役者さんの中でも臆せず、存在感もそれなり。でも歌はまだ課題が多いと思いますね。声はよく出ていると思いますが。

今回一番観たかったのが、春風ひとみ。

エミリー院長役ですが、過去の場面ででてくるだけで、出番は少ないです。もったいないです。院長のあとは、娼婦役のアンサンブルで登場(これが少々ドッキリな姿でした(笑))。
でも出番は少なくても、舞台に出てくるだけで存在感十分。懐かしいあの「マリア公爵夫人」が目前によみがえってきました。やはり再演を重ねても、いまだにこの人を超えるマリア公爵夫人にはお目にかかれないですね。

私たちの観た日は、役代わりのエドガーは小西遼生ではなく良知真次。

そういえば小西遼生も『十二夜』に出ていたので、やっぱり忙しかったでしょうね。
前者のエドガーも観たい気がしましたが、良知真次のエドガーも若々しくて似合っていました。この人も初めてお目にかかりましたが、難しい歌とダンスをよくこなしていました。演技も自然で、後半のプチどんでん返しにはうまくひっかけられた感じです。

一番魅力のある役だったのが、ジェシカ/オリビア役のまりゑ。

とくにダンサーのジェシカはスタイル抜群でゴージャス、”ロンドンの太陽”という形容詞のまんまで魅力的でした。一方オリビアは”お堅い鉄のパンツ(プログラムより)”な女性政治家。両極端な儲け役で、終演後のトークショーでも司会役として手際よくリードしていました。今後注目したいです。

そして最後は別所哲也。

この人とはFMの番組でおなじみですが、舞台を見るのは初めてです。
役名はなんとクライブ・オーウェン! 警部役です。
舞台が始まって、その名前を聞いてついニンマリ。
クライブ・オーウェンといえば、ご存じ『ザ・バンク 堕ちた巨像』とか『シャドウ・ダンサー』での演技が印象的なイギリスの俳優ですが、言われてみればどこか別所哲也と通じるものがありますね。
↓Wikipediaより

ということで、目の前の警部はクライブ・オーウェンが演じているんだと思いながら観ていました。(笑)
しかし、別所哲也は大した役者さんですね。歌も演技も台詞も味があります。歌など、観劇しながら、この人のファントムを観てみたいと思ったほど深い味のあるものでした。もう感心しまくり。最大の収穫でした。

今回のシャーロック ホームズは、タイトルに「ブラッディ・ゲーム」とあるように、謎解きよりは、血みどろの連続猟奇殺人とその背景を、過去にさかのぼって読み解いていくといった話でした。

ただ、繰り返しますが、台詞の大半が観客にも聴取パワー(笑)を求める難曲になっているので、話を追うだけでもけっこう疲れます。笑

それで兵庫芸文センターでのチケットの販売状況は、初日の幕が上がっても苦戦していたようで、トークショーでも出演者が口々に「またのご来場をお待ちしています」と言っていたのが印象的でした。

さて、この2日後は『1789‥』の2回目観劇でした。その感想はまたのちほど。

宝塚月組公演 『1789 -バスティーユの恋人たち-』を観て 感想その2

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5月30日に2度目の「1789 バスティーユ‥」観劇してきました。

今回も大した渋滞はなく、約1時間10分で駐車場に到着。大劇場に行くと、意外にも人影が少ない感じ。あれ?売れてないのかなと思いましたが、チケット売り場でチェックすると完売・立ち見のみとなっていました。まあ千秋楽間近なので当然ですが。

今回の席は前回より後方の16列です。でも通路側でセンター寄りと見やすい席で、舞台全体をよく見渡せました。途中の客席降りも楽しめてヨメさんも大満足。どういうわけか結構男客も多かったですね。

以下、感想です。もう話の筋はわかっているので、前回観られなかったディテールに眼を向ける余裕がありました。
いつものように敬称略です。

全体としては、やはり大作ですねぇ。

ナポレオンがかなり期待はずれだったので、小池氏久々のヒットという感じです。やはり、全くのオリジナル作品というのは難しいということですね。
それと前回でも書いたように、ロミジュリと比べるとかなりフレンチミュージカルに寄っている演出でした。ダンスの振り付けがダイナミックで、音楽も生演奏とコンピュータ音源とのミックスで実にパワフル。

二度目の観劇でも印象的だったのがなんといっても愛希れいか。
歌はもちろんのこと、演技もすっかり女役が板について、貫録さえ感じられる佇まいに感心しました。
画像はすべてナウオンステージから切り出したものです。


でも、例のルーレットでは思わず笑いました。あのベルばらの白馬車を見たときの、わけもなく笑いたくなる感じに似ています。
いったい何メートルくらいの直径になるのか、ドでかいルーレットです。

その軸になっているアントワネットが、通常のボールではなく直接チップを投げているところがヅカ風。細かいところまで手が込んでいて「ようやるわ」と思いながら見ていました。

本当に凝っていて、ルーレットが割れてアントワネットが別の衣装になって出てくるなど、意表を突く演出です。

小池一流のおもてなし精神全開でした。

ちなみに、この公演のナウオンステージで、専科に移籍する星条海斗がその心境を語っているのを横で聞いていた愛希が、ついホロリとする姿もよかったですね。さらに好感度アップです。(笑)

星条海斗が移籍について語っていると、

思わず涙ぐむ愛希↓


その星条海斗の立ち姿、ド迫力でした。専科にとどまってくれてよかったです。




今回注目していたのは役代わりのオランプ。今回は観たかった早乙女わかばでしたが、「第二章」で観て期待しすぎだったのか、よくやってたものの、それほど海乃美月との差は感じられず、逆に海乃の健闘ぶりがわかった感じでした。
出番が多くておいしい役ですが、脚本としてはロナンに対する愛が物足りないですね。

なんといっても大抜擢がフェルゼンの暁千星。
童顔ですが、歌も聴かせるし、立ち姿など堂々としていて大したものです。


脇役ながら味のある演技で好感が持てたのが、国務大臣ジャック・ネッケル役の光月るう。当時の新興ブルジョワジーを代表する銀行家として、国王の圧政を諌める姿を好演していて印象に残りました。過不足なく演じていて、その程の良さでかえって目立っていました。

国王ルイ16世の美城れんが、ギロチンのミニチュアを見て悦に入っているところは何度見てもかわいらしいです。↓

今回に限らず、この人が出てくるとなぜかホッとしたり。(笑)

ロベスピエールの珠城りょうは、華奢な男役の多い月組では、押し出しの良さで目立ちますね。




そして小柄ですが、美弥るりかがどこまでも腹黒い悪人で、しかも一際目立つ毒のある美貌とのコントラストが魅力的です。この人も女役になったらすごいことになるかも。


逆に目立たなかったのが沙央くらま。初回の観劇ではなかなか存在に気付かず、しばらく探してやっとわかったほど。今回もよくチェックしましたが、役柄も大きくないのでやっぱり地味でした。


地味といえばカミーユ・デムーランの凪七瑠海も歌で頑張っていましたが、やはりあまりし甲斐のない役でした。


最後にロナンの龍真咲です。(最後かい!)

今回の主役は、ストーリー的には引っ張る役ではなく、革命をめぐる群像の一人という位置づけ。あくまでも、主題である、貴族でも庶民でもひとつの命の価値は同じというテーマに沿った存在になっています。
だからオランプともそれほどの熱愛とはならず、最後は先頭に立って銃弾に倒れるというはかない役です。父の無念も晴らせなかったし。

ただ今回二回目を観て、やはりこの人の台詞や歌は苦手でしたね。
どの台詞でも言葉に感情が乗ってなくて「心ここに非ず」みたいな感じ(あくまで個人の感想です)。さらにいつも気になるのが息継ぎ。歌も頑張っていますが、発声が好みではないので、ちょっとなあと思いました。でも今回、プログラムは買いました。(笑)

というわけで、最後が少々ネガティブな感想になりましたが、作品としては久々の大作で、曲も良く、見ごたえ・聞きごたえ大アリで、お得感満載でした。二度観て正解でした。

さて次は「王家‥」です。期待していますが、何度もリピートした初演を超える出来になっているか、楽しみです。
あ、その前に6月6日に観た「海の夫人」を早く書かないと! ^^;

兵庫芸文センターで 『海の夫人』を観て

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6月6日(土)兵庫芸術文化センター・阪急中ホールで「海の夫人」を観てきました。
もちろん、観ようと言い出したのは、長年麻実れいファンを継続しているヨメさん。で、反対する理由もないので(殴)、パソコンで先行予約しました。でもこの先行予約、1月24日の話ですよ。1月!!
いくら先行でも程があると思いますね。昨日のことでも忘れるのに半年近く前!
でも、チケットは財布にやさしい5,000円です。(笑)

この公演は、新国立劇場での「JAPAN MEETS...─現代劇の系譜をひもとく─」シリーズ第十弾として、宮田慶子芸術監督の演出で5月15~31日まで上演されたのち、全国公演として兵庫芸文センターで1日だけ!上演されたものです。
しかし東京だと2週間以上の公演期間なのに、関西ではたった1日1回だけの上演。やはり関西は文化不毛の地なのか、人口を考慮しても、その差については考えてしまいますね。


原作は1888年に出版され、翌年ノルウェーとドイツで同時上演されて大成功をおさめたそうです。有名な「人形の家」につづく、社会的自立を求める女性と、それを阻む当時の世相をテーマとした社会劇です。

舞台装置は、巨大な簀子みたいな反り返ったウッドデッキが据えられただけのシンプルなもの。

あらすじです。

話の舞台は北部ノルウェーのフィヨルドに面した小さな町だそうです。

灯台守の娘だったエリーダ(麻実れい)は、初老の医師ヴァンゲル(村田雄浩)の後妻となり、先妻の二人の娘ボレッテ(太田緑ロランス)とヒルデ(山薫)とともに暮らしています。でもこの二人の娘との関係はギクシャクしていて、とくに妹ヒルデは反感をあらわにして全く馴染んでいません。
そしてエリーダは、ヴァンゲルとの間に設けた息子を生後すぐに亡くしてからは、精神が不安定となり、毎日海で泳いでばかり。そんなエリーダを周辺の人々は「海の夫人」と呼んでいます。
そこに、かつてボレッテの家庭教師をしていた教師アーンホルム(大石継太)や、胸を病んだ画家リングストラン(橋本淳)、便利屋バレステッド(横堀悦夫)といった人物がからんで一幕目の話が展開しますが、ここまではあまり波乱もなく、状況説明みたいなユル~い流れです。

しかし、そこに謎の男(眞島秀和)が登場して一変。二幕目からはサスペンス物みたいな緊張感のある展開となります。ようやく眠気は一掃されました。(殴)
その見知らぬ男はかつてのエリーダの恋人。その男から、この町を出ようと誘われるエリーダ。今の生活に満足できず、ずっと外の生活にあこがれてきたエリーダは動揺しますが......。まあ結末はまた再演もあるでしょうから言わないことにします。

ただ、今回の芝居のテーマはまだ完全に過去のものとは到底言えませんね。たびたび繰り返される政府与党要人の事態錯誤な「女は子供を産んで家で子育てしていればいい」発言や、今国会での派遣法改悪などを見るにつけ、労働者、特に働く女性にとって、この国のありようはイプセンの時代からほとんど進歩していないと痛感します。

ということで、全体の感想はここまで。薄いです。(殴)

以下は役者さんごとの感想です。これまた薄いですが、ご容赦ください。^^; 例のごとく敬称略です。
まず主演の麻実れい。

まあピッタリの役。他に誰が演じられるか思いつかないほど。というか、役のほうが麻実れいのキャラクタに乗っ取られているというか。(笑)

いつも気怠そうで、しかも心の奥底では何を考えているのかわからない謎めいた女性です。毎日泳ぎに行くのも人の目を欺く一流の韜晦でしょう。ただし、あの『炎 アンサンディ』で久々に全力投球、圧倒的な演技力を見せてくれた麻実れいなら今回の役は余裕しゃくしゃく、さすがに『ボクの四谷怪談』までとはいいませんが、かなりの省エネ・アイドリングで充分こなしていそうです(殴)。大体、かなり地のままで行けそうなキャラクタだし。
(笑) いえ、手抜きといっているのではありません。^^; それほど「炎‥」が凄かったということです。

対する夫役の町医者ヴァンゲルは村田雄浩。

テレビや映画、舞台と幅広い活躍で知られていますが、私は舞台でお目にかかるのは初めてです。初老の温厚な医者役がぴったりでした。この役も感情を表に出す激しい役ではないので、役者さんとしてはよくわかりませんでしたが、これまでの人生にほとんど疑問を抱くことなく生きてきた地元の医者というのはよく表現できていたと思います。この人、今回舞台で見て初めてかなり大柄なことがわかりました。

感心したのは姉妹役のボレッテ=太田緑ロランスとヒルデ=山薫。

ボレッテは、内には学問にあこがれ、社会に出て自己実現したい想いを秘めながら、誰にも言えず半ば諦観しながら生きている女性。これを
太田緑ロランスが自然な演技でよく体現していました。しっとりとしたリアルな演技で心に残りました。この人も舞台では初めて見ましたが、いい役者さんです。
妹のヒルデ役の山薫も、継母への反感から、生活のことごとくに反抗する多感な少女をうまく演じていました。クルクルと舞台を駆け回って、嫌な子供全開でした。(笑)

教師アーンホルム(大石継太)や、胸を病んだ画家リングストラン(橋本淳)、便利屋バレステッド(横堀悦夫)、謎の男(眞島秀和)も芸達者ぞろい。


大石継太はブログの記事を見直したら二度目の観劇になっていますが、前出の『ボクの四谷怪談』が誠にアレな作品でして(笑)、ほとんど記憶にありません。(殴)
でも今回のアーンホルムはいい味出ていました。いかにもその辺にいそうな人物です。画家の橋本淳は初めてです。この人もセリフ・演技いずれもまったく自然で達者なもの。
味のある演技といえば、便利屋バレステッド役の横堀悦夫も、出番の少ないのが残念ないい演技でした。そして、後半の要となる謎の男の眞島秀和。ミステリアスな登場から始まって、少ないセリフでも迫力のある人物になっていました。おもに映画やテレビドラマで活躍していますが、舞台でもなかなかの演技です。もっと舞台経験があるかと思っていましたが、去年の「ボクの妻と結婚してください。」以来二作目とか。

というわけでよくできた舞台でしたが、先に紹介したとおりいささか地味な話なので、観終わって余韻に浸るとまではいかなかったですね。帰途の車中でも、ヨメさんもいつもと違ってあまり感想を語らず。(笑)

私の印象としては太田緑ロランスが予想外の(殴)いい演技で心に残りましたが、芝居全体としては佳作といった感じです。

次はまた同じ劇場で観たこまつ座公演の感想です。そしてそのあとは「王家‥」も控えているので、しばらくかなりのプレッシャーな日々が続きます。^^;

兵庫芸文センターでこまつ座 『戯作者銘々伝』を観てきました

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まず劇場までのメモです。
往路は道路も大して混まず、いつもどおり約一時間で劇場に到着。ホールに行くと男性客が多かったです。
劇場入り口の花は西岡馬さんへの一つだけでした。

今回の公演の脚本はこまつ座公演といっても、井上ひさしの脚本ではありません。ひさし没後の新しい作品として、「劇団桟敷童子」の東憲司が、井上ひさしの短編集『戯作者銘々伝』と、中編小説『京伝店の烟草入れ』をもとに書き下ろしたものです。しかし今回観劇して、いくら原作があって、それをもとに戯曲化したといっても、出来上がった作品が井上ひさしワールドになるかというと、これがなかなか難しいですね。


そう思ったのは一幕目。
舞台には江戸時代の戯作本「黄表紙」の代表作の大きな表紙絵が並んでいます。全員三角頭巾を付けた亡霊たちが出てきて、井上ひさしワールド全開かと期待したのですが、




続いて戯作本ごとに、各作者とその内容を紹介するあたりから猛烈に眠くなってきました。
井上ひさしの脚本と違ってとにかくテンポが遅くて平板。
それでも初めは興味津々で観ていましたが、話が細切れで、セリフが説明的なのがつらいところで、だんだん集中力が持たなくなって、普段から睡眠不足気味な私は、ついコックリとな。(殴)
そのたびに、何事もなかったように姿勢を正しますが、しばらくするとまた頭がカクッ。^^;この調子で最後まで行くのかと心配になりました。

横で観ていたヨメさんはどんな退屈な舞台でも絶対寝ない感心な人ですが、さすがに今回は限界を超えていたようで、幕間に彼女が書いていたアンケートをチラ見すると、感想欄に「脚本がダメ」とキツイお言葉。(笑) 安心しました。(笑)

ところが、これが二幕目になると、打って変わっていい出来になっていてびっくり。眠気は吹っ飛んで、集中できました。

話は、中編小説『京伝店の烟草入れ』をもとに、幕府の弾圧でたばこ屋に転じた京伝(北村有起哉)と、前人未踏の3尺の大玉を打ち上げることに必死になっている花火師幸吉(玉置玲央)の物語です。
京伝がたばこ屋になるいきさつ、同業の戯作者との交わり、花火師との出会いと三尺玉の打ち上げに至る経過、そして最後にご禁制を破って打ち上げに至るクライマックスまで、前半とは全く異なる緊張感のある展開でぐいぐい引き込まれていきました。
素人の思い付きですが、この脚本は、二幕の『京伝店の烟草入れ』をもとに、一幕の話の要素などを適当に織り込んでまとめたほうがいいと思いました。そのほうが主題がはっきりするし、それに絡めて各戯作者を取り上げるというほうが、芯がしっかりしていいのではと思いました。

というところで出演者別の感想です。いつものとおり敬称略。画像は当日購入したプログラム掲載の練習風景から。
まず出演者の集合写真です。みんな亡霊です。おまけに手鎖の刑を受けていたりします。


主演は山東京伝の北村有起哉。

この人の舞台を初めて見たのは「黙阿弥オペラ」です。彼の演じる素浪人・及川孝之進のすっとぼけぶりが面白くて、一度で名前を覚えました。
今回の役も、幕府の圧力で筆を折らざるを得なくなって、いろいろそれに対して思うところもありながらチャッカリたばこ屋でももうけ、でも同じくご禁制の三尺玉の打ち上げには加担するという、なかなか複雑で屈折した人物像をうまく表現していました。はっきりとポリシーを持って抵抗するのではなく、それに順応しているように見えながら、しかし心の奥には熱いものも持ち続けている京伝に、井上ひさしの温かいまなざしを感じました。

今回の観劇で改めて歌唱力が印象に残ったのが新妻聖子。

『それからのブンとフン』の小悪魔役でその歌と演技にびっくりし、『炎立つ』でもそれを再認識したつもりでしたが、今回の舞台で改めて心に沁みこんでくるような歌に感動しました。本当に大したものです。ヨメさんも幕間に「うまいねー」と感嘆していました。
『それからのブンとフン』の小悪魔↓

『炎立つ』↓

もちろん歌だけでなく、演技も素晴らしかった!
今回の役は亡霊・百合・お園・板行屋・お菊の五役!でしたが、これがすべてなりきり演技。亡霊と板行屋(瓦版屋ですね)以外は戯作者の妻で、夫の一人は狂死、一人は石を投げられて非業の死、もう一人は自害して、所払いにあう妻役ですが、それぞれくっきりと演じ分けていて見応えがありました。
緩急・強弱・高低にメリハリの利いたセリフと表情が自在に変化するのを、ただただ感心しながら見入っていました。つい、こういう人が宝塚にいたらと妄想してしまったり。(笑) とくに私的に、この人の笑顔にはすごいインパクトを感じました。

他の役者さんでは、まず玉置玲央もよかったです。

4役を演じていましたが、やはり後半の花火職人・幸吉が心に残りました。ひたむきに三尺玉の打ち上げにこだわっていますが、それだけではなく、どこか孤独な陰のある人物をよく体現していました。少ないセリフでもよく伝わってきました。

熱演ぶりに感心したのは山路和弘。

今回は6役をこなしていますが、とくによかったのは春町の段の喜三二。新妻聖子のお園との掛け合いで、夫・春町が自害した後、彼女を陰になり日向になり支え続けた喜三二を涙を流して熱演するなど、迫真の演技でびっくりしました。
これまで舞台ではお目にかかっていませんでしたが、いい役者さんですね。

それ以外のキャストでも、版元・蔦屋重三郎役の西岡馬はもちろん、阿南健治や相島一之と、芸達者ばかり。


とくに、出番は短かかったものの、阿南健治の徒士役はぴったりのイメージでよかったです。登場しただけで、いかにも!な出で立ちに感心しました。


相島一之の式亭三馬や蜀山人も地味ながら味のある人物像になっていました。


というわけで、前半はつらかった舞台ですが、後半はグッとよくなって最後はまことにこまつ座らしい幕切れ(笑)で大満足。

とくに政府・与党の憲法違反の戦争法案ゴリ押しと、そのための言論弾圧が露骨に前に出てきた今の世相を批判するにふさわしい内容で、満席の客席と出演者が一体となった感動のスタンディングとなりました。
なので結果としてはいい作品ということになりますね。(笑) でも再演時はぜひ前半を見直していただきたいです。

いつものことですが、薄い感想をここまで忍耐強くお読みいただき、どうもありがとうございました。


さて次は宝塚大劇場の観劇感想です。

もう公演も後半になっていますが、なんとか千秋楽までには間に合わせ‥られるかな?(殴)

宝塚宙組公演 『王家に捧ぐ歌』 観てきました

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6月25日に、宙組公演『王家に捧ぐ歌』を観てきました。更新遅いです。(殴)

ちなみに最近の宝塚観劇はいつも木曜日。ヨメさんのデイケアサービス行きの予定がないのと、平日のほうがチケットがとりやすいというのがその理由。で、今回は先行予約をがんばったので、端ですが上手側7列。観やすかったです。
開演前に客席がざわつきだしたので見たら、花組トップコンビの観劇でした。^^;

さて、感想です。例によって敬称略。(画像はいずれもスカステ番組のキャブチュアと、プログラムからです)

さて今回の観劇、チケットをゲットした時からかなり複雑な気持ちでした。

なにせ『王家に捧ぐ歌』です。私のようにヅカファンとは程遠い人間でも、3回も観てしまったという名作。そのうち1回は、急な仕事で行けなくなったヨメさんに代わって一人で東京まで観に行ったりしたほど。

で、一番気がかりだったのは、ラダメス。
武闘派ラダメスには体育会系(笑)の湖月わたるがぴったりでした。なので、見るからに繊細な(笑)朝夏まなとに出来るのか?が最大の不安要因でした。「翼ある人々」で、酒場でチンピラにからまれてボコボコにされる弱いブラームスが脳裏から離れないし。(笑)
でも、朝夏まなとのほうが断然有利な点もあります。それは歌!歌さえあれば大丈夫とも思えたり。
あとはアイーダで、男役の安蘭けいだからこそ、野性味と強さが出たと思うので、娘役の実咲凜音では無理かなと。
ただこれは、スカステで見た限りですが、彼女はかなり男勝り&鼻っ柱が強そうなので大丈夫かなとも思えたり。(殴)


ただ伶美うららのアムネリスはOKでした。(笑)
王女にぴったりできれいだし、歌も檀れいに引けを取らない?し。(殴)


ところで今回の再演は、歌劇団サイトでも相当意識していましたね。盛り上げに頑張っていました。
公演発表です↓


さらに前夜祭を開いたり、







キムシン自ら、集合日に生徒を前に発破をかけているのもビックリです。

「今回は星組公演の再演ですが、初演のほうがいいねと言われたらみなさんどうですか?悔しいと思いませんか?」
まあなんとも露骨なプレッシャー。(笑)

朝夏まなと自身、研2のときに初演を観ていたので、再演の話があった時は
「湖月さんのイメージが強かったし、すごく骨太で男らしい役で自信がなかった。でも練習しているうちに自分の中にラダメスが入ってきて、やれるかなと思えるようになってきた」と同番組で話していました。まあ大変なプレッシャーだったと思いますね。

ということで、期待と不安相半ばでの観劇でした。

そして当日、幕が上がっても、初めのうちは「ここは汐美真帆のほうがよかったな」とかちょっと突き放して、初演と比較しながら観ていました。
でもそれもわずかな間。話が進むにつれ、いつのまにか舞台に引き込まれていって、終わってみたら、初演に劣らないというか、星バージョンとはまた違った見ごたえのある舞台に大満足。
とくに二人で地下牢に幽閉されていくところでは、ついホロリとな。(笑)
これ、初演では一度もなかった経験でした。チケットがあればまた見たいと思ったくらい。

今回の「王家‥」の成功は、なにより朝夏まなとの演技と歌唱力に負うところが大ですね。初演での最大の弱点が湖月の歌だと今も思っていますが、今回は完璧。なので、感情移入がしやすかった(笑)。初演時はせっかくのいい場面でも、わたるが歌いだすとつい正気に返ってしまったり。(殴)
そしてアイーダの実咲凜音も、初演に勝るとも劣らない歌だったので、二人の歌う場面は見応え聴きごたえ十分。やはり歌劇は歌が命。(笑)

それと、初演で残念だった凱旋パレードのグルグル回るショボイ振り付け(マイヤ・プリセツカヤの起用が疑問でした)がガラッと変わって俄然よくなっていたこと。ちなみに今回の振り付け担当スタッフに、当時星組で80期生(霧矢大夢とか彩吹真央が同期ですね)として出演していた百花沙里が羽山紀代美の推薦で加わっています。

その百花沙里はステージドアで、
「まーちゃんは88期生で、初舞台生だった彼女のロケットでは私がお姉さんでしたが、その初舞台生だった彼女が今大きな羽を背負ってと、なにか縁みたいなものも感じて胸が熱くなりました」と語っています。ちょっといい話です。

面白いのは、今回パレードの隊列を増やすために、初演時は8人で担いでいた神輿を大幅に軽量化して、4人仕様に変更したこと。



軽量化しても強度は十分とのことです。
剣も朝夏まなとに合わせて新造するなど小道具さんも頑張っています。また大道具も今回舞台セットをすべて新造していることなど、コストがかかっています。


でもなんといってもこの作品、全編に使われている音楽が寄与している点が大ですね。どれもいい曲で、それとキムシンの繰り返し多用の歌詞とあいまって、一度聴いたら忘れない。(笑)
今回の再演で改めて作編曲担当の甲斐正人の素晴らしさに感心しました。やはりミュージカルは使われている楽曲の出来がよくないとだめです。
その甲斐正人が朝夏まなとについて、

「朝夏さんはどちらかというと踊りが上手な方だったと思うんですけど、今回は歌の力が抜群になったと思うんですよ。線も太くなりましたし、素晴らしい男役トップ誕生だと思います」と語っています。

フィナーレもまたよかったですね。
この振り付けは羽山紀代美。フィナーレはふたりが地下牢から蘇るというテーマで始めるようにしたとか。ボレロから次第に明るい曲に変わって宙組らしさを出すようにしたとも言っています。
初演のフィナーレは覚えていませんが(殴)、随所に見ごたえのある場面があって、おトク感満載でした。同じタカラヅカでも「風と共に‥」などと比べたら満足感は大違い。
観終えてもう満腹という感じで(笑)、この日も多くの修学旅行生が観劇していましたが、いい公演に出会えて彼らはラッキーでしたね。

ということで、以下、配役ごとに感想です。

まず朝夏まなと。







よかったです!! わたるの武闘派ラダメスに対して、こちらは理知的な文人派ラダメスで、国と愛の板挟みで懊悩する姿がよく演じられていました。でも雄叫びの場面では、わたるに負けないド迫力でした。(笑) ほんとうに頑張っています。

上記の番組で朝夏まなとは、
「ラダメスはすごく骨太で男らしい役で私にできるかなと思ったが、練習を重ねるうちにラダメスが入ってきて、やれそうだと思えてきた」「星組の初演と同じものを目指してもできないので、私たち宙組の個性だったり雰囲気だったりで独自のものを作り上げたい」と言っています。
繰り返しになりますが、大ヒットの初演を受けて大変なプレッシャーな中での再演だったと思いますが、また別の魅力を持った舞台を作り上げていました。だからどの場面でも二番煎じな印象は全くなし。ラダメスがまったく異なるキャラクタなのが逆によかったのでしょうね。
キムシンは、朝夏まなとのラダメスについて
「役柄のとらえ方が真っ直ぐなんですね。ラダメスという役をあーだこーだと触るのではなくて、ラダメスという役をドンと捉えて真っ直ぐに演じてくれているんですよ」と激賞。本当にそう思いました。


また朝夏まなとは脚本の弱点についてもよく考えていて、
「二人の出会いの場面がないので、お互いの気持ちを表現できないと最後の場面が軽くなるので、実咲凜音と相談しながら二人の関係がわかるようにやっている」と言っています。
その成果で、最後は感動の結末となって、観ている私もついウルっとなり、あわてて周りを見渡すと、あちこちで目頭を押さえる女性客の姿が。(笑)


フィナーレでも、脱水機並みの高速回転のリフトを披露してくれました。(笑) 頑張りすぎが心配になるほど。

今回のフィナーレ、この二人のデュエットもなかなかの見所。


次は実咲凜音です。


ようやく男トップと文字通り相思相愛な役がまわってきましたね。(笑)

前トップとの間に漂っていた微妙~な雰囲気がなくなって、対談番組でも安心して見られます。(殴)
で、今回のアイーダ、歌はもちろん演技でもよくやってました。初演と比べてもまったく遜色なし。でも逆に、男役の安蘭けいがアイーダの高い音程の歌をよく歌っていたものだと改めて感心しましたが。

実咲凜音は結構自信もあったようで、「安蘭さんのアイーダは男役なので強いイメージだが、私は娘役として女役を演じるけれど自分自身強いイメージがあるので、頑張ってやっていきたい」と言っています。








負けん気の強そうな彼女のキャラクタをよく生かした演出で、アイーダは適役でした。伸びのある声が耳に残ります。

で、アムネリスの伶美うらら。
今の宝塚でこれ以上の適役はないと思って楽しみでしたが、ちょっとガッカリなところも。
もちろん気品のある容姿はぴったり。クララとはまた違う美しい王女です。

でも強く演じようとしすぎたのか、あるいはそれが演出家の意図なのか、キンキンした感じが前に出てきて、ちょっと期待外れ。嫉妬に狂う高慢な王女という感じが強すぎて残念でした。かなりコワい顔です。(殴)


初演の檀れいは容姿も立居振る舞いも気品にあふれたアムネリスで、ラダメスをひそかに慕う女心もよく表現していて、観劇しながらちょっとアムネリスがかわいそうと思ったりしましたが、今回はそんな同情が入る余地がなかったですね。そして歌も、同じく歌が不得手だった檀れいの頑張りには届かなかった感じです。
「翼‥」で一気に贔屓モードだった私たちはちょっと残念でした。

ウバルドの真風涼帆は、初演の汐美真帆を髣髴とさせる演技で、ピッタリ。

冒頭の亡霊?のシーンはちょっと違うかなと思ったものの、進行につれてしっくり違和感がなくなりました。
ダンスと歌は文句なしでした。宙組に来てさっそくの大作で、しかも途中からの稽古参加でしたが、よくこなしていて感心しました。

ただこの人、根が善い人のようで、ウバルドにはちょっと黒さが足りない感じなので、エリザのルッキーニみたいな狂気が入ったほうがいいかなと思ったり。

出番の少ない役ですが、今回なにかと目についたのがラダメスの戦友ケペルの愛月ひかる。

初演では立樹遥が好演していましたが、今回のケペルも誠実そうな人柄の同僚役を、さわやかに演じていました。同じような大柄で頼もしそうです。応援したいです。そういえば「翼ある人びと」のリストもよかったですね。

専科のベテラン一樹千尋のアモナスロと、






箙かおるのファラオ。いずれもますますの円熟味でよかったです。


一樹千尋は初演でも老獪で狂気を装いながら陰謀をめぐらして、同時に娘思いの囚われの王を絶品の演技力で演じていましたが、今回もより味わい深いアモナスロを見せてくれました。まさに余人をもって代えがたいとはこのことですね。

箙かおるも初演以上に頑張っていました。今回は初演と違い、オリジナルの高い音階の楽譜に挑戦するなど、今なお新しいことに挑戦しようとする姿勢には頭が下がります。最近あまり姿を見ないので、もう枯れてしまったのでは(殴)と心配してましたが、初演以上の頑張りが見られて本当によかったです。

役が少ないので気の毒だったのが純矢ちとせ。アイーダをいびる場面ではパシっとひっぱたいていました。(笑)

でもパレードではエトワールだったので納得&満足。

あともうひとり歌ウマが印象的だったのが美風舞良。エチオピアを想う歌の場面で思わずヨメさんに「あれだれ?」と小声で聞いたほど。これまで知らなかったのが恥ずかしい歌でした。エチオピアの歌、初演で聞いてからずっと心に残っていましたが、本当にいい曲ですね。

あ、あと一人(殴)、組長さんもよかったです。嫌なネセルがぴったりでした。いえ、褒めてます。(笑)


というわけで、空前の大ヒット作品の再演ということで、期待と不安の入り混じった観劇でしたが、観て本当に良かったですね。トップコンビ以下の宙組メンバーと、専科のベテラン勢の力で、作品に新たな魅力が加わって、初演とは違ったいい舞台になっていました。
チケットさえあれば絶対リピートしたのにと、残念でした。

初演をご覧になった方も、初めての観劇の方も文句なしに楽しめるいい作品です。お勧めです。

↓オマケです。






今頃になって「星逢一夜」&「ラ・エスメラルダ」の感想ですが‥

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雪組公演『星逢一夜』・『La Esmeralda』を観てきました。
といってもとっくの昔、7月23日の観劇なので、遅すぎ。(殴)
少し弁解させてもらうと、その週に身内の不幸があり、相前後して別のところからある原稿の依頼が入って、つい後回しになっていました。(^^;

とはいえ、この公演は期待の新人脚本家・上田久美子さんの大劇場初作品ということで、チケットをゲットした段階から期待値が上がりまくっていました。何せあの佳作「翼ある人々」の後ですからね。期待せずにはいられません。
ということで、渋滞の中を大劇場に向かいました。「王家‥」からそれほど期間があいていないのに、大劇場は結構久しぶり感が強かったです。

客席の入りはほぼ満席で、車いす用補助席も満席でした。

で、突然ですが、感想となります。(笑) 
でもこれが、絶賛モードとは程遠いかな~りなネガティブ感想だったりするので、今なお観劇後の心地良い余韻に浸られている方や、これから観劇を予定されている方は絶対スルーが吉です。
いつものとおり敬称略です。

兵庫芸文センターで観た『トロイラスとレシダ』、熱演には拍手。でもやはり難解でした。

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8月15日に西宮の兵庫芸文センターで『トロイラスとクレシダ』を観てきました。
シェイクスピア原作・翻訳/小田島雄志、演出は文学座の鵜山仁。世田谷パブリックセンターと文学座、そして兵庫芸文センターの共催の公演です。

私の観たシェイクスピアは「マクベス」、「タイタス・アンドロニカス」、「アントニーとクレオパトラ」、「ロミオとジュリエット」、「十二夜」の5作だけ。(^^;
今回の演し物「トロイラスとクレシダ」はどんな話か全く知りませんでした。
でもパンフレットを見たら、渡辺徹や江守徹をはじめとする文学座の豪華メンバーに加えて、「ビッグ・フェラー」で寡黙な消防夫マイケル・ドイルを好演していた浦井健治と、「モーツァルト!」で見逃した(笑)ソニン、「炎 アンサンディ」で好印象だった岡本健一や、ベテランの吉田栄作などが出演するとのことで、ヨメさんも「これは観たいよね」との仰せで、某日、先行予約の画面からポチッとな。
ただし、いつもと違ってこの公演、結構前評判が高いのか、先行予約ではA列があっという間に無くなって、ゲットできたのはB列。でもまあセンターブロックなので良しとしました。







ということで8月15日に、お盆休みの渋滞を気にしながら出かけましたが、なんと道中はウルトラスムース、一時間足らずで駐車場にたどり着きました。
早めの昼食を済ませて阪急中ホールに戻ると、人出がそれほどでもなくちょっと拍子抜け。花も一つだけという寂しさ。
舞台は円形の一段高い台のおかげで見やすい配置。帆船の帆のような布が二枚つるされていて、場面に応じてさまざまな形に変わるのが効果的でした。
ということで感想です。いつものとおり敬称略。画像は当日購入したプログラムを勝手にスキャン&トリミングしています。m(__)m

あらすじです。
舞台はギリシャとの7年に及ぶ戦争を続けているトロイ。
トロイ王プライアム(江守徹)の末の王子トロイラス(浦井健治)は、神官カルカス(廣田高志)の娘クレシダ(ソニン)に恋い焦がれている。その二人をクレシダの叔父パンダラス(渡辺徹)が仲介して二人は結ばれ、永遠の愛を誓い合った。
しかしトロイを裏切ってギリシャに寝返ったカルカスは、娘をギリシャの捕虜となっていたトロイの将軍と交換することを提案し、クレシダはギリシャに引き渡されてしまう。ギリシャの将軍ダイアミディーズ(岡本健一)はクレシダを一目見て気に入り、クレシダを口説く。ギリシャの陣営を儀礼訪問していたトロイラスは、ダイアミディーズの求愛をクレシダが受け入れる姿を目撃して惑乱する。他方、トロイ王の長男ヘクター(吉田栄作)は、膠着状態になった戦況にケリをつけようと、ギリシャ軍に一騎打ちを申し出るが‥

舞台は小林勝也の狂言回しから始まります。

この人も「ビッグフェラー」に出ていて、IRAから派遣された調査員を演じていました。そのときはそう感じなかったのに、今回は少々滑舌が悪くセリフも不明瞭で、ときどき噛んでいたりでプチ残念な出だしでした。ちょっと『藪原検校』の浅野和之を思い出したり。
でもその後、渡辺徹とのアドリブの応酬で客席を沸かせていました。渡辺徹を舞台で観るのは初めてですが(そもそも文学座所属も知らなかったし^^;)、ややおネエの入った女衒を軽妙洒脱に演じていて感心しました。一時激ヤセな姿をテレビで見たりして健康が心配でしたが、今はそんな気配は全くなし。むしろ心配なのはメタボかな?(殴)
とにかくテレビで見るのとは全く違う渡辺徹が新鮮でした。
 

そして話は、その渡辺徹の叔父パンダラスが仲介して、クレシダ役のソニンと浦井健治のトロイラスとの愛の場面へと変わります。

でも正直な話、ソニンを初めて生で観て、「エッ、こんな小娘だった?!(殴)」とプチびっくり。まあ単に無知なだけですが。
とっさに「レディ ベス」&「モーツァルト!」の平野綾を連想してちょっと不安でしたが、それもつかの間のこと。観ているうちになんとも驚愕のリアル演技に再度びっくり。大したものです。人間、先入観で安易に判断してはいけませんね。m(__)m
シェイクスピア劇につきものの、到底リアルな感情表現とは言い難い、古典的な美文調&形容詞満載の台詞なのに、よくまあこんなに気持ちの入った演技ができるものだと感心しまくりでした。脱帽です。

今や舞台に引っ張りだこというのもよくわかります。

ただ、この二人の話から、トロイとギリシャのそれぞれの将軍たちの話になると、展開は一挙にスローダウン。そして先のように美文調&形容詞満載の台詞が飛び交い続けるので、会話の内容を追いかけるのに疲れてきて、私の両瞼はプラス5Gくらいの重力がかかってきて、同時に頭にもプラス2Gの重力が波状的にかかってきて、耐えきれずについコックリとな。(殴)
でもそれは私だけではなかったようで、幕間でヨメさんも「なんか会話ばっかりで話が進まないね-。寝なかった?」と聞いてきたので、「いや全然」とキッパリ否定しました。(殴)
その後、そんな眠りを吹き飛ばしてくれたのは、松岡依都美のヘレンが登場するところから。このヘレン、戦争の原因になるだけあってコケティッシュで色っぽくて、すっかり目が覚めました。(殴)

女優といえばヘクターの妻アンドロマキの荘田由紀とヘクターの妹で予言者のカサンドラ役の吉野実紗も出番は少なかったものの印象に残りました。まあ男臭い舞台なので、女優さんが出てくるとそれだけで一服の清涼剤。(殴)
そしてカサンドラの予言どおりこのあと話は一路破滅へと進んでいきます。

荘田由紀と吉野実紗の二人が、必死にヘクターを戦地に行かせまいとする姿もリアルでよかったです。

今回の主人公のトロイラス役の浦井健治ですが、印象としてはソニンに負けていて(笑)、愛を得る場面でも完全にクレシダがリードしていて、手玉に取られていました。

実際は『トロイラスとクレシダ』ではなくて『クレシダとトロイラス』です。(笑)
トロイラスが、ギリシャに渡ったソニンが気になってユリシーズ(今井朋彦が好演しています)の案内で見に行って、クレシダとダイアミディーズとの会話に一喜一憂する姿もまことに気の毒でした。(笑)
「ビッグ・フェラー」とは全然違う役ですが、動揺し疑心暗鬼となるトロイラスをよく演じていました。


そのユリシーズな今井朋彦は、ちょっとゲシュタポ将校みたいな服装(そういえば今回の衣装は現代的なデザインの軍装とか女性の服と、古代の衣装が混在しているのが面白いです)で、演技もそういう味付けで目立っていました。ユニークな持ち味のいい役者さんですね。


クレシダに言い寄るギリシャの将軍・ダイアミディーズの岡本健一。

岡本健一は先の「炎 アンサンディ」で何役もこなして大奮闘でしたが、今回はトロイラス同様にクレシダの虜となって振り回される役です。ただ、今回は芸達者な役者による海千山千の将軍が舞台に大勢登場するので、クレシダとの絡み以外はあまり目立たなかったですね。(^^;

ヘクター役の吉田栄作は、一騎打ちのはずが、横田栄司のアキリーズの策謀で、寄ってたかって切りつけられて非業の死。

アキリーズの横田栄司↓

先述のように、ヘクターはカサンドラの予言で後半は死の影が付きまとっている役ですが、それをよく体現してどこか悲壮感のある演技でした。役に合わせて体を絞っていたのか、ちょっとやつれた感じなのもよく役に合っていましたね。

で、最後は御大・江守徹のトロイ王プライアムですが、舞台姿が私の中のイメージとはかけ離れた体型(殴)で、顔もちょっとむくんだ感じで、パッと見では誰かわからなかったです。(^^; 
声もドモホル‥のCMとは違って(笑)少し不明瞭なのが残念でした。まあ1966年からの文学座員ということで年かなと思ったりしましたが、調べたらまだ71歳。今の時代、ちょっと老けるには早いと思いますが、まあ個人差もあるのでなんとも言えませんね。今回は出番も最小限でした。

そして劇の結末は、舞台狭しと駆け回る迫真の殺陣の大立ち回り。演出の鵜山仁が目指していたという「崩壊のエネルギー」全開で、最後は死屍累々。タカラヅカのスローモーションな殺陣(笑)と違ってド迫力でした。
この凄惨な結末は、プログラムの記事に「この作品は、国際紛争に加担しようとしている日本人が今まさに見るべき劇に思えてならない。」とあるように、憲法違反の戦争法案をゴリ押しして、わざわざ売られてもいないケンカを買いに行く安倍内閣に対するタイムリーな批判にもなっていました。

ただこの劇は、「トロイラスとクレシダ」という題名から連想する甘美な恋愛ものとは程遠く、主役?二人+ダイアミディーズのその後がどうなったのか、結末が示されないまま終わったのは驚きでした。それと、あれほど愛を誓い合ったはずのクレシダの心変わりも謎で、やはり発表以来問題作とされ続けてきたのもよくわかりました。
というわけで、最後は出演者の熱演に客席から大きな拍手が送られましたが、腑に落ちない幕切れとあって、全員総立ち!には至らなかったです。
私たちとしては、ソニンの演技力などの収穫がありましたが、やはり難題で不完全燃焼な結果となりました。

さて、あと数日で星組公演観劇です。好評のようで楽しみです。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

宝塚星組公演 『ガイズ&ドールズ』、面白い舞台に即リピート決定!です

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宝塚星組公演「ガイズ&ドールズ」、面白かったです。

8月27日、新・星トップ北翔海莉の大劇場初舞台に期待しながらムラに向かいました。
途中少し渋滞がありましたが、なんとか予定時間内に大劇場駐車場へ。ただし障害者駐車スペースが満杯。でもかろうじて入り口近くが空いていたのでなんとか駐車できました。この日は確かに車椅子の方が多かったです。
劇場内はもう多くの方でにぎわっていて、ホールも活気がありました。公演の人気を表しているようです。これが不人気な公演だと、どこか虚ろな雰囲気が漂っていたりしますね。

さて今回は北翔海莉のトップ就任初の大劇場公演ですが、これまで長く彼女のトップ就任を期待していた私たちにとって、感無量・万感胸に迫る(はちと大げさかな)な観劇でした。

もう10年ぐらい前になりますが、職場でヅカファンな同僚女性と話していて「北翔海莉もトップになる実力があると思うけどね」と言ったら、「昭和の香りプンプンですね」と軽くいなされました。それまで感想などでは一致することも多かったのでちょっと意外でしたが、「あーそんな見方もあるのか」とも思ったり。ただその後、長く二番手ポジションだったのが、だんだんその保持が怪しくなってきて、とうとう専科入り決定となってからはこちらも吹っ切れました。(笑)
ところがその後、よもやのトップ就任発表というドンデン返し。100周年記念のどんなイベントもかすんでしまう大ビックリ。世の中、何が起こるか本当にわからないですね。
でも彼女も現在研18。あと何回公演できるかなと他人事ながら心配になります。(^^;

余談ですが、開演前トイレに行くと、携帯で大きな声で通話中の男性がいました。
「ええ、今回は招待ということでセットしています」とか「本人も本当によくやってきたと思います。まったく縁もカネもないところで、ひとりで長い間頑張ってきて、ようやくここまで来られましたので‥」とか話していました。ひょっとしてご家族とか?

それはさておき、当日は立ち見とまではいかなかったものの、ほぼ満席でした。私たちの席は7列上手端に近い席。

舞台の両袖の通路には、1950年代のニューヨーク・ブロードウェーの街頭が再現されていて、凝った作りの公衆電話ボックスのセットや、

レンガ塀に貼られたリアルなテレビや車の宣伝ポスターと落書きなどがあって、雰囲気たっぷりでした。見ているだけで期待感が高まってきます。

さて、感想です。いつものとおり敬称略。(画像はプログラムの部分スキャンとスカステ・ナウオンステージのキャプチャーです。)

幕が上がってちょっと古めかしいなと思ったのはオープニングが長くてスローテンポなこと。でもセットや舞台を往来する人物の多彩さ、いい出来栄えの舞台装置で、'50年代のニューヨーク・ブロードウェーの雰囲気たっぷりです。行きかう人々を観ているだけでも楽しい。

話は単純で、ニューヨーク・ブロードウェーの裏町に生きるギャンブラーや小悪党たちの世界と、そこでの二組のカップルの恋愛関係を描いたミュージカルコメディですが、やはりアメリカの良き時代を反映してみんな人情味のある人物ばかりです。


で、まず主役スカイ・マスターソンの北翔海莉から。


冒頭の場面でいきなり登場した北翔の歌は、期待どおりの伸びやかな美声で気持ちよく聞けました。これだけでもう作品の出来が予測できます。(笑)
(ただ彼女、前から気になっているのが会話の声ですね。やや鼻にかかった、軽い風邪気味な声(殴)が今回も気になりました。ただそれが歌になるとまったくクリアになるのが不思議です。)


オペラで見ると、ちょっとお疲れか眼の下のクマがちょっと目立っていました。やはりいろいろ心労もあるのでしょうね。(殴)
それと、たまに彼女の演技はどこか頭で作っているように思えて、心ここにあらずな印象を受ける時がありました。でもそれも束の間、舞台は娘トップの妃海風との絶妙の掛け合いが楽しくて、また細かい感情の駆け引きも自然で、安心して観ていられました。

二人とも相手を思う気持ちとその変化がよく表現されていて、見ごたえがありました。
ハバナに連れ出すのに成功したスカイです↓サラは酔っぱらっています。





歌声の組み合わせもよくて、息の合ったいいコンビぶりです。やはりトップの第一条件は歌ですね。


フィナーレも魅力たっふりで、歌も堪能しました。耳福なひと時でした。


その救世軍のお堅い女軍曹サラ・ブラウン妃海風ですが、外見に似合わない(殴)度胸の演技にびっくりしました。ナウオンステージとかで見ていると、上級生から突っ込まれたらすぐ顔を真っ赤にしているのに、舞台では堂々の演技。

大したものです。それに歌もよかったのでバランスのいいコンビになっていました。



最初はギャンブラーなんかとんでもない!だったのが、だんだんスカイに傾いていくところが面白いです。わざとらしくなくしかもしっかりした演技で、黒木瞳よりこちらのほうがはるかに好みです。観劇前は苦手なタイプと思いこんでいましたが、今回の好演で一変して好感度急上昇。(殴)

つぎはネイサン・デトロイトの紅ゆずる。
最近(といっても去年です)スカステで「風と‥」全国公演のニュースを見て、あんまりなレット・バトラーぶりだったので、かなり我が家では評価が低下していたのですが、今回彼女がナウオンで「風はガチガチの型芝居でやりようがなかったが、今回はいろいろ自分で演技ができてよかった」みたいなことを言っているのを聞いて一安心。そのとおり今回はのびのびと演じていてよかったです。
歌劇団ももういい加減に古色蒼然とした型芝居の「風‥」とか「ベルバラ」は打ち止めにしないとダメです。賞味期限がとっくに切れています。

今回のネイサンは、彼女の持ち味がよく出ていて、安心して観られる出来で本当によかったです。歌もよかったし。
ここにきて彼女も再評価の機運です。

ただ、最初はちょっと横山やすし風なところもあったりしましたが(殴)、話が進むにつれそんな気配もなくなって、アデレイドとの呼吸もピッタリ。
二人の絶妙な掛け合いはこの作品の大きな見どころの一つです。






でも今回最大のびっくり&収穫は、そのアデレイド役の礼真琴でした。




リピートを決めたのも、私的には礼真琴の絶品演技なアデレイドをもう一度観たいというのが最大要因。(殴)
まあとにかく脱帽の演技。昔映画でモンローがよく演じていたような、かわいらしくていじらしくてセクシーな役どころを完璧に演じていて、完全に周りの女役を食っていました。(笑)
台詞ももちろんのこと、早口言葉みたいな難しい歌を、男役と全く違う高い女声で完ぺきに歌っているのには本当に驚きました。大した力量です。男役では少し小柄だし、ビジュアルが少し地味目な印象(殴)だったのですが、もともとダンスも歌も演技力も高水準な人ですから、今回のアデレイドではまさに水を得た魚。弾けまくっていました。
彼女はプログラム中でも役作りについていろいろ書いていましたが、その通りの演技になっていて感心しました。興味のある方はぜひプログラムを買って読んでみてください。(笑)
歌が男役時とはガラリと違う声で、伸びもあって感心しました。もう彼女が出てくると勝手に目がロックオン状態、自動追尾モードに入っていました。(殴)
フィナーレのショーでも紅ゆずるとのダンスが絶品。最初上手通路から登場しますが、これがまたすごいスタイルです。初め誰かわからなかったほど。
脚色・演出の酒井澄夫から「清く正しくセクシーに」とか「素を出さず色気を出せ」といわれたとか。難しい注文ですが、彼女の演技はその通りの出来で、セクシーでも下品でないのはさすが。(笑) 下品なのも嫌いでないですが。(殴)







その他の出演者もみんな生き生きと演じていました。中でもやはりナイスリー・ナイスリー・ジョンソンの美城れんがよかった。

美城れんは歌も絶品、演技も余裕、もうタカラヅカにはなくてはならない存在になっていますね。マンホールに窮屈そうに出入りする姿も笑いを誘っていました。
ベニー・サウスストリートの七海ひろきと、ラスティー・チャーリー役の麻央侑希を引き連れた凸凹トリオがウケていました。


七海ひろきはちょっと出番が少なくて物足りない役です。


 

そしてビッグ・ジュールの十輝いりすです。

文字通り大きいです。周りの出演者を睥睨しています。(笑)

ところで、余談ですが、この「ガイズ‥」、私は未見の作品とばかり思い込んでいました。
でも途中で十輝いりすが「クラップやろうぜ」と言うのを聞いて一挙に記憶が戻ってきました。実は大地真央と黒木瞳バージョンを観ていました。(殴)
そのときのビッグ・ジュールは旺なつきでしたが、これがインパクトがあって、当時観終えてからも「クラップやろうぜ」がしばらく耳について離れませんでした。その印象からすると、今回の十輝いりすの「クラップやろうぜ」はちょっとおとなしめで物足りない。体に合わせて(殴)もう少しドスを利かせてほしい。(笑)
でも強面なのにテディベアを離さないとか、人情味があちこち垣間見えて、台詞は極少でも面白い人物です。
あと結構目立っていたのがブラニガン警部の美稀千種です。

ただ初めのほうで台詞が滑ったり、ちょっと聞き取りにくかったりしてプチ残念。リピートではよくなっていることを期待します。この役、夢乃聖夏がやったらまさにハマリ役だったでしょうね。

組長さんもよかったです。出番は少なくても存在感があり、ピッタリの役と演技でした。


少ない出番というとアーヴァイド・アバーナシーの天寿光希ももったいないし、

壱城あずさも食い足りない役でかわいそうでした。

そうそう、ちょっとツボだったのが、スカイがレストランでの食事のあと、代金をテーブルに置いて立ち去るところ。その紙幣をウェイター(名前は分かりません)が数えて、ニヤリと笑いながらポケットに入れる場面。この作品では、各場面でみんなそれぞれ楽しい小芝居をしています。

というわけで、やや古さはあっても文句なしに楽しい脚本で、出演者のバランスもよくて、私的には一番いい「ガイズ‥」になっていました。みんな歌ウマぞろいなのも気に入りました。そんな幸福な余韻に浸りながら、帰途につきました。
このあたり、雪組公演の後味の悪さとは対照的。現金なもので、帰宅後さっそくチケット仲介サイトを物色。(笑) 数日後、リーズナブルな価格の良席を発見、リピートが確定しました。

みっちゃんの大劇場デビューとして、まずは上々の出だしでよかったです。おすすめです。観ないと損します。(笑)

今回も拙い感想を最後までご覧いただき、ありがとうございました。

星組公演『ガイズ&ドールズ』再び-ますます面白くなっていました

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8月27日に観てから、とにかく楽しい舞台だったので、帰途の車中で再観劇の合意に達しました。(殴)
そして、ヨメさんとチケット仲介サイトを探索、まもなくリーズナブルな価格のチケットを見つけてポチッとな。
9月13日に観てきました。私たちの観た11時公演は貸し切り公演で、スポンサーはセディナ。
でも前日までセディナとは何ぞや?でしたが、三井住友グループのクレジットカード事業会社なんですね。ちっとも知らなかった。(^^;

当日の道中は往復とも稀に見る交通量の少なさで、1時間きっかりで大劇場に到着。劇場はまだ閑散としていて、弁当を買うにも販売開始時間になっていませんでした。で、ロビーを見わたすと、セディナさんのブース?があって、チケットの席番号の抽選で当たる賞品などが置いてありました。


結構賞品がよくて、次回星組公演(コウモリですね)のSS席最前列中央にペアでご招待とか、豪華です。


幕間に抽選発表があると書いてありました。「何か当たるといいね」と私がいうと、ヨメさんは「そんなんあたらへんわ」。
二人の性格の違いがよくわかるでしょう? でも最下段の、列関係なし席番号だけの抽選なら当たるかもと、未練な私はひそかに期待していました。(笑)

前回は上手側端の席でしたが、今回は下手側の端。車椅子利用には下手側のほうがいいのですが、先行予約で当たるのは上手側ばかり。久しぶりの下手側でした。幕の見え方も違うし、

レンガ塀も新鮮でした。




で、ようやく感想です。いつにもましてとりとめのない話ですが、よろしければお付き合いください。以下敬称略です。

まず最初は北翔海莉のスカイです。やはり公演の回を重ねて自信がついてきたのか、余裕たっぷりの歌でした。迫力のある歌声にさらに磨きがかかって、聞きごたえ十分でした。

それに加えて、貸し切り公演ならではアドリブでも楽しませてくれました。最初のタクシーの場面では「支払いはセディナカードで!」。
そして(前回私が勘違いしていましたが、実際はサラではなくてアデレイドとの同席場面での)ホットボックスでの支払いでも「支払いはセディナカードで!」。ウケていました。(笑)
一番面白かったのは、舞台の後半、北翔海莉が、十輝いりすのテディベアを取り上げて客席に投げるような仕草をしたところ。一瞬まわりが驚いて、それを見た北翔海莉が自分で吹いてしまって、しばらく笑いが収まらず、後ろに下がって帽子で笑顔を隠していました。それを見た客席も大笑い。
その後すぐ立ち直って、真顔で演技していましたが、私は百戦錬磨な彼女でもこんなことがあるのかと、素の彼女を垣間見た感じでちょっと得した気分でした。
演技もメリハリがはっきりしてきて、ますますよくなっていました。

サラ・ブラウンの妃海風はやっぱり初演のキャストよりもいいですね。ハバナ行を巡って、スカイへの想いとか自分の気持ちの変化がよく表現できていて、ヨメさんもすっかり気に入った様子で「妃海風は良かったね」と褒めていました。学年差はあってもいいカップルで一安心。(笑)

ただ、前回はほめすぎだったのが歌で、アデレイドと一緒に歌う場面だとまだ発展途上な感じがしました。今後に期待しましょう。

ネイサン・デトロイトの紅ゆずるは今回観て、やはりハマリ役だと思いました。裏町を仕切るバクチうちの頂点にいても、実は小心者で軽くて頼りなくて、どこか憎めなくて優しいところもあるネイサン。

初演のウタコもよかったですが、今回の紅ネイサンもアリだと思いました。

結婚しても礼アデレイドの尻に敷かれて幸せな生活を送れそうです。(笑)

そのアデレイドの礼真琴です。私はリピートで一番楽しみにしていた役ですが、本当にうまいもんですね~♪
演技に過不足なくて、こういう役にありがちなやり過ぎ感が全くなくて、歌も恐ろしくうまい。
「ミンクを持って帰る男(TAKE BACK YOUR MINK)」などの曲は、何度聞いてもすごいです。
男役で、短時間の稽古でよくこんなに完ぺきに女役をできるもんだと感心しながら観ていました。それとダンスも見ごたえがあります。私的にはアデレイドが一番おいしい役だと思っています。大したものです。
男役をやっているといい意味で演技に強さが出て、今回のような役でも臆せず存分に弾けまくれるのでしょうね。演出も適切で、いい感じでした。
ショーの紅とのデュエットも期待通りで、ダンス巧者の本領発揮でした。


で、幕間になって、ヨメさんに付き添って障がい者トイレに行く途中、プレゼントの抽選結果のアナウンスがありました。歩くのに必死なヨメさんを見守りながらなのでよく聞こえなかったものの、どうやら私の席番号7が当たったように聞こえました。
その後、席に戻って昼食を済ませてから、「礼真琴だといいね」と言いながらチケットを持ってロビーに確認に行きました。やはり当たっていて、礼真琴のサイン入り色紙でした。(笑)

これで~す♪↓

帰宅後座席表で数えてみると、大劇場の7番は40席ありますね。直筆ということですから、40枚書いたのでしょうか。
ただ、何と書いてあるのか文字がちょっとわかりません。(笑)

今回の観劇でもう一人印象に残ったのがナイスリーの美城れんです。やっぱり絵になる!それと歌も味がある!
ベニーとラスティを従えて、舞台を歩き回る姿はまさに「余人をもって代えがたい」。(笑)

この役を2002年に大空祐飛がやったというのはちよっと想像できませんね。

前回あまり触れなかったですが、今回観て壱城あずさのハリーも結構目立っていました。サングラスがよく似合って、ちょっと強面のワルのギャンブラーです。 アーヴァイトの天寿光希の善人そのものの役と好対照でした。

十輝いりすのビッグ・ジュールは、前回かなり台詞が軽く感じましたが、今回は強くなっている印象でした。ただ彼女は、声が体に似合わず(殴)やさしいですね。これがもっと押し殺したような低い声で「クラップやろうぜ」と言ってくれたらさらに迫力が出ると思いますが。

初演の旺なつきがかなりインパクトがあったので、つい比較してしまいます。

あと前回記していなかったことでは、クラップ集団のアンサンブルの見事なこと。大したものです。この公演、本当にどの歌も聞き応え十分でした。それと、使われている曲がまた耳に残るいい曲ばかり。

ただ、2回観た後で、ヨメさんが残念がっていたのは二幕目からのダンスの振付です。これは初演のほうがよかったとしきりに言っていました。あのバスティーユのKAORIaliveだったらどんな振付になっていただろうかとも。でも私は初演を観たことさえ忘れていたので(殴)、このあたりの違いは分りませんが。(笑) 確かにKAORIaliveならまた別の見せ場を作ってくれたとは思います。

話は前後しますが、この日は貸し切り公演なのに立ち見も出ていて、30人ぐらいが観劇されていました。リピートのお客さんも増えているのでしょうね。

ということで、観終わって二人とも大満足。
前回見落としていたディテールもじっくり観ることができて、楽しいアドリブとラッキーなプレゼントで値打ちのある観劇でした。
古い作品でも、「ミーマイ」などと違ってあまり題材に古さを感じないのもよかったです。シリアスな文芸大作ももちろんいいですが、こういうハッピーな気分にしてくれる楽しい作品も宝塚には欠かせないですね。
芸達者揃いな現星組ならではの面白い出来で、久しぶりに幸せな気分で帰途につきました。

これに続いて、次作品もいい出来になることを願いたいですね。(チト題材が不安ですが(笑))

ここまでご覧いただきありがとうございました。

免許更新、驚きの超スピード交付でした!

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少し前に免許の更新案内が来ました。更新期限は10月まで。でも先延ばししてもいずれはやらないといけないので、某日出かけました。

更新場所は光明池運転免許試験場。近くの警察署でも更新できますが、講習や交付が後日となるため、以前から即日交付の光明池に行っています。


上記のように大阪では門真でも即日交付出来て、距離は門真のほうが短いのですが、道路状況から考えたら光明池になりますね。
ということで、快速アドレス110で行くことにしました。ちなみに車だと駐車場が満車の恐れあり&有料なので、バイクがお勧めです。

当日は快晴、ヨメさんをデイケアサービスに送り出して、8時45分に出発。
持っていくものは運転免許証と筆記用具、更新連絡書(ハガキです)。それと更新手数料として3,300円(私は一般運転者です ^^;)。

外環状線の富田林から金剛団地を経て府道34号線に入ります。以後は渋滞もなく、高速道路ばりの快適な道になり、泉が丘で光明池に分岐、府道38号線を快走。でもこの区間は覆面パトカーが多数生息しているので、いい気になって走っていると痛い目にあいます。免許更新に出かけて違反ではシャレにならないし。(笑)

家を出てから45分で試験場に到着。バイクの駐車場はまだ空きがありました。
9時半に更新手続き開始。まず手数料の印紙購入から。持参した更新連絡書をみせて、印紙代を払います。

係の人が印紙を貼ってくれます。親切です。

その後、健康状態の告知書に記入、免許証記載内容に変更がなければ次は暗証番号の設定。
これは免許証のICチップのデータ照会のために必要です。

任意の四ケタの番号2つを入力して、出力された登録用紙を持って免許証のコピーコーナーへ。係員がコピーします。このあたり、次から次に係員に誘導されてけっこう慌ただしい。(笑)

次は視力検査。
光明池では通常の視力検査の後、同じ機械で深視力検査を行います。
実はこの深視力検査が、一番苦手。普通免許や二輪免許では関係ないのですが、それ以外の免許にはもれなくついてくる検査です。要するに大型車などでバックする際、サイドミラーで後方の確認をしますが、このときちゃんとミラーで遠近が把握できるかどうかの検査。で、私はなぜか大型免許も持っているので(笑)この検査が必須。でも毎回全く自信なし。^^;

検査法は「三桿法」といいます。検査時に、検査機内部に見える三本の棒のうち中央の棒(桿といいます)が前後に移動するので、被験者は三本の桿が並んだらボタンを押します。そのとき中央の桿が誤差内に入っているかどうかで検査します。
もともと初めて大型免許を取った時も手こずったし、最近では前々回の更新時でも、何度もやり直してやっと合格。
ただ直近の前回は、規定の3回検査でパスでしたが、あまり自信なし。(笑) どうもじっくり見すぎてタイミングが合わない感じです。

それで、事前にいろんなサイトを調べたりしました。けっこうみなさん苦手な方が多いようで、さまざまなことが書かれていますが、私にはどれもピンとこないものばかりで、結局参考にならず。
そして案の定、検査の1回目では、「ダメ!ちょっとここから見て」と手招きされ、検査官席から見るとこれが大外れ。で、気を引き締めて再度挑戦したら、その後は3回とも規定内でOKでした。でも、やはりまだ確信がないですね。(笑)
まあ今ではほとんど出番のない大型免許なので、次回更新時には返上してもいいかなと思ったり。

視力検査が終わると、写真撮影の時間と場所を書いた小さな紙を渡されました。
受け付け開始からここまで20分!。恐ろしく早いです。さっそく指定された集合場所に行くと、もうたくさんの人が集まっていました。


持参した7インチタブレットで本を読んでいると、手順の説明があり、名前を呼ばれて写真撮影。このとき、先の暗証番号の登録用紙が必要になります。撮影が終わると講習場所を記した札か渡され、すぐに移動。撮影時間が10時5分で、講習開始が10時15分。まさに分刻みです。
講習テキストです↓

講習は1時間ぐらいで、終わってめでたく新免許証を受け取りました。
参考までにその後、ICチップの内容を見られるという機械で確認しましたが、これはパスする人が多かったですね。

というわけで、到着後1時間45分で更新は終了。まあ行政手続きの鑑のようなスムーズさで感心しました。更新日にもよるのでしょうが、出向いて更新した甲斐が大アリでした。

次は5年後ですが、深視力検査、どうしようかな。

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