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万葉文化館 『小西保文 人間愛〜人びとへのまなざし〜』 哀しみの向こうにあるもの

小西保文という洋画家をご存知でしょうか?
私は全く知りませんでした。前回万葉文化館を訪れた時、この作家の画展の開催予告を見ていましたが、すぐ忘れていました。
最近私の頭はほぼ揮発性メモリ化しているので、よほどのことが無い限りみんな瞬時に消去されていきます。(笑)

そして今回、その画展を観に行くことになりましたが、前回の展示がかなりトホホな館蔵展だったので、聞いたことのない作家だし、村おこしのため奈良県吉野郡川上村が設けた芸術村で活動していたとのことで、まあローカルな絵画活動をしていた人の展覧会だろうなと軽く考えて出かけました。

この日は連休の最後の7月21日でした。いつもより早く着いたのに、駐車場には結構な車の数。展覧会の初日だったので、関係者の車かなとか言いながら駐車して、開館時間まで庭園の花を見に行くことにしました。
花の少ない時期ですが、それでもハギやナデシコやユリ、ヤブカンゾウ、キキョウなどが咲いていて、シモツケも咲き始めていました。
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時間になったので玄関先に戻ると、大勢の親子連れ。列を作って玄関前の受付に並んでいました。ガラスコップにサンドブラストで模様を描くイベントが行われるとのことで、その受付待ちの列でした。でもそれらの参加者が絵画展のほうに流れてくることはなかったですね。今回も初日のセレモニーにもかかわらず、展覧会の観客は少なかったです。

で、車椅子を押して奥の展覧会場に行き、入口の大きなポスターを見てびっくり。
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予想とは全く違って、これまで観たことのない作風の本格的な洋画です。ヨメさんもびっくり。まだまだ無知な私たちです。

そして会場内に入って、まず展示作品をざっと見渡しただけで、その迫力に圧倒されました。大和の農山村を描いたローカルな画家だろう程度(殴)に思っていたのが恥ずかしかったですね。
会場では、すでに親族(ご子息)による関係者を対象としたツアーガイドみたいなものが行われていました。会場のボランティアのスタッフに勧められて、私たちも途中参加。まもなくそれが終わったので、再び入口に戻って最初から観なおしました。

描かれている人物の背後の世界は、よく観ると英語だったり日本語だったりで国籍不明ですが、どれも郷愁に満ちた懐かしい風景です。
7UPならぬ8UPの看板があったり、昭和の香りプンプンなホーロー看板があったり。でも基本はヨーロッパとかアメリカンな光景。
作家が訪れたヨーロッパやアメリカの下町の風景の雰囲気が色濃く現れていました。

全体に、作品に登場する人物はみんな寡黙で、その表情には深い哀愁や諦観が漂っています。老若男女みんなひょろりと痩せていて、疲れ果てた感じです。裸婦も描かれていますが、肋骨が浮かび上がっていて痛々しさが目につきます。
とくに前半の作品はどこまでも暗く、胸を打ちます。

↓これは最初期の作品『少年立像』です
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初期の作品では『餐』がよかったです。

作品は人物画がほとんどで、初期には母親らしい女性もよく描かれていますが、そのどれも赤い服を着ているのは作者の原風景にある母親像なのでしょうか。
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描かれた人物の顔つきは、最初期以外はどの作品にも共通する細面の憂い顔です。その視線は決して正面を見ず、左右にそらされています。顔つきはアフリカなどの木彫りの工芸品の面を連想しました。

どの作品も哀愁や孤独さ、寂しさ、悲哀に満ちていますが、一方では今回のテーマにうたわれているように、作者の温かなまなざしが感じ取れて救いもありました。悲しみや辛さに耐えていても、決して絶望はしていないのがわかります。

そんな作品も、画業の後半になると画風に明るさが出てきます。絵も大きくなっていました。会場を観てまわりながら、ふと同様に辛い境涯にあった藤沢周平の作品の変化に通じるものを感じました。

作者は自らの作品上の人物について、かつて雑誌に寄稿して次のように書いています。
「描いて半年も経つと、自分の絵でも割と冷静に見ることができる。そこで自問自答が始まる。
画面上の人物は一体どういう人たちなのか、などと考える。(略)
別にわざわざ底辺の人たちを描いているわけでもないけれども、恨むこともなく、悲しむでもなく、力むこともなく、ひたむきに生きる姿みたいなものに惹かれるのかなあ、と思ったりする」
これは46才の時の文章だそうです。

作者自身、小学生時代に両親を亡くし、父方の親戚の世話になりながら旧制中学校を卒業し、神戸に出て地方貯金局に働きながら定時制高校を卒業したものの、間もなく結核を病み、5年間の療養所生活を余儀なくされるなど、幼くして「不条理・混沌の中に身を置く」生活を強いられ続けてきました。描かれた人たちは、作者のそんな生活の中での思いと、同時代を生きた市井の人々への共感が対象化されていると思います。

小西保文の絵にはよく車が描かれています。シトロエンDSみたいな車とか、フェアレディとかスバル360のような車がよく登場しています。ただ、作家自身は免許を持たなかったとのことです。
また画面の隅には、必ず猫や犬、コーラの缶などの小物が描きこまれていて作者のユーモラスな一面がうかがえます。
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小西保文は川上村から誘われて、最後の10年間ちかくは前記の故郷に創作の拠点を移して活動を続けました。前記の会場での親族の解説では、アトリエが格段に広くなったので、絵も大きくなったということでした。絵のサイズだけでなく、色調もハッキリわかるほど明るくなっています。

そして絶筆となった『窓辺の家族』がすばらしい作品。彼のモチーフのすべてが描きこまれていて、本当に集大成と言える作品でした。
画面下の方で膝に寄りかかっている小さい人物が主人公とのこと。
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2008年7月に肝臓がんの宣告を受けながらも、画集の編纂を続ける一方で絶筆となった作品を完成させ、9月22日に二紀展にそれを搬入、生前に「お別れ会」も済ませて10日後に亡くなったそうです。壮絶な創作への執念だったと思います。77歳の生涯でした。

ミュージアムショップで購入した画集です。作家のすべてがよくわかるいい画集です。
表紙です↓
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裏表紙です↓
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今回の万葉文化館の絵画展は、久々に(笑)見応えあるいい企画展でした。初日なのに観客の少ないのが気になりましたが、一つのテーマを追求し続けた異色の画家の素晴らしい画業がよくわかる展示になっていました。
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みなさんも明日香方面に行かれる機会があれば、ぜひご覧ください。おすすめです。

いつか記念館にも行ってみたいです。


さて、星組公演観劇が目前に迫ってきました。良い舞台だといいのですが。




宝塚星組公演『The Lost Glory ―美しき幻影―』『パッショネイト宝塚!』 観てきました

ナポレオン以来久々の星組。期待して出かけました。
途中の阪神高速松原線で渋滞との道路情報で少々心配しましたが、渋滞区間はわずかで、着いて見たらいつもと同じ時間。10時前には劇場に向かって車椅子を押していました。

大劇場はもうけっこうな賑わいで、当日券は完売。木曜日なのに立ち見まで出る盛況ぶりでした。

先日来、花組エリザのチケット確保に悪戦苦闘の挙句、結局入手できなかったことといい(泣)、この人気はやはり100周年効果でしょうか。それにしてもエリザのチケット難は異常です。全く無いのではなくて、あちこちで大っぴらに定価の三倍近くで売られていたり。組織的にダフ屋が入ってきているのかと思いたくなるほどです。

愚痴はさておき、今回も、暑さしのぎにジェラートショップ「ボヌール」で三色の「バラエティ」を食べてから劇場へ。
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席は8列の下手側。端っことはいえオペラ要らずの良席でした。

開演前、急に客席がザワつきだしたので見ると、花トップコンビの観劇でした。終演後も、二人が出て行くのを見送りましたが、思った以上に明日海りおの肩が薄く、ちょっと痛々しい感じ。体力勝負のトップなのに今から痩せていて大丈夫かなと思ったり。

前置きはこれくらいで、少々ネタバレありのいつもの薄い感想ですが、よろしければお付き合いください。以下、敬称はすべて略しています。


『The Lost Glory―美しき幻影―』はシェイクスピアの「オセロ」をベースに植田景子脚本・演出でミュージカル化したものです。彼女自身がイメージモチーフといっているように、結末など大幅に変わっているので実質は別の話ですね。

ショーの方は稲葉大地 作・演出の「パッショネイト宝塚!」。楽しいラテンショーで観どころ満載でした。

で早速ですが、芝居のほうの感想です。
よかったです。少なくとも破綻していない。いやこれかなりの賛辞ですが。(笑)

でも、もしチケットがあったとしても、リピートはないですね。(やっぱりホメてないか。(殴))
でもショーの方は、ショー音痴な私でも絶対リピートしたいと思ったいい出来でした。

芝居は前半がちょっと単調な感じで退屈でした。
あまり変化のない、同じような場面が続いて、説明台詞も多かったし。それで、アレ、このまま最後まで同じ調子かなと、不吉な予感がしてきました。もちろん話はそれなりに展開されていきますが、話の「山」と「谷」の差が小さく、ちよっと期待が空振りという感じでした。
もともと今回は、星組公演ということもありますが、あの『アンドレア・シェニエ』の植田景子脚本・演出なので、これは何をおいても観なくてはと期待していたので。

でも、そんな不安も、株の大暴落あたりから俄然面白くなって解消。やはりなんでも順調というより悪くなる方が面白い。(殴)

話の時代背景は、第一次世界大戦後、空前の好景気に沸く1929年のニューヨーク。舞台に林立する摩天楼のセットが、ペットボトルの集合体なのも、その後の大量消費時代の幕開け&バブル経済を象徴していますね。ちなみに舞台装置は「アンドレア‥」以来おなじみの松井るみですが、今回はちょっと期待外れでした。

主人公はギリシャ移民から身を起こし、アメリカで実業家として成功をおさめた建築王のオットー(原作ではオセロですね)。扮するは久々の星組特出の轟悠。

私は「第二章」でも書いたように、轟悠は大の苦手でした。(笑)
でも「第二章」で見なおしましたが、あれはドラマシティ公演。今回のような特出で主役降臨の公演はかなり抵抗がありました。ただ今回も、「第二章」同様に、台詞や歌が以前のような(たとえば『長崎しぐれ坂』みたいな)無理に声を押し殺したような発声の勿体ぶった印象は消えていて、丁寧で役のツボを押さえたいい演技でした。
ただ体の絞りすぎなのか、年なのか(殴)ちょっとやつれて見えるのが辛いですね。もう少しふっくらしてほしいです。
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でもそのおかげで若い妻への疑心暗鬼・猜疑心に苛まれる苦悩のシーンや、↓
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信頼していた部下に裏切られて衝撃を受ける場面ではリアリティが出ていたともいえるし、黒くパワフルな野心にあふれたイヴァ―ノ(原作ではイヤーゴ)役の柚希礼音との対比も際立っていますが。

そして久しぶりに観る黒い役の柚希礼音は期待通りの出来。
柚希礼音のイヴァ―ノは、オットーの信頼が厚いものの、イタリア系移民の父親の妾の子という出生のコンプレックスから逃れられず、さらに後進のカーチス(真風涼帆)に昇進を出し抜かれて、一気にワル役全開となります。その契機となったカーチスの昇進発表時の彼の表情が凄いです。(笑)

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以前ドラマシティで観た『永遠の祈り−革命に消えたルイ17世−』での悪役が強烈でした。主演の湖月わたるを喰ってしまう存在感で、これが最初の衝撃でした。そしてスカピンのショーブランが圧巻の悪漢(笑)。どちらも眼のチカラが強かった。
最近見たスカステのNow on Stageで、柚希が今回の役作りについて話していましたが、イヴァーノについて「初めはいい人だったが、だんだん悪くなっていく人物にしようか」とか迷っていたが、演出家から「最初から悪役全開で」といわれて変えたとか。

ちなみに、これから観劇される方はこのNow on Stageをご覧いただくといいと思います。いろいろ苦労話が語られているので観どころが増えて舞台がさらに深く楽しめると思います。私は先に見ていなかったので後悔の日々。

さて柚希イヴァーノは、演出家期待通りの渾身の黒さで、早々にオットーに宣戦布告しています。
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そしてオットーを陥れるために次々に策略をめぐらし始めます。

ただ、この芝居、やはり二人トップな舞台なので、焦点がはっきりしない話になってしまったのが残念。もういいかげんに「トップ降臨」はやめてほしいですね。
それと、イヴァーノの「裏切り」を際立たせるためには、二人が相互に信頼し合っていた頃や、そもそも二人が出会った馴れ初めなどのエピソードがもっとあったほうがいいと思いました。

大富豪キャンベル一族の令嬢で、オットーと結婚するディアナが夢咲ねねですが、歌がもうビックリの大進歩でした。まあうまくなるものですねぇ。こんなに伸び代があったとは。
今までは、そつなく歌えているものの、どこかで声が裏返ったりかすれたりするのではと(笑)、ハラハラ感がつきまとっていましたが、今回の歌はどれも素晴らしい。安心していられました。
たいしたものです。こんなに歌えるのかとヨメさんと顔を見合わせていました。

演技は「第二章」でも確認済みですが、今回も余裕のディアナでした。
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細かい表情の変化に感心しました。
一方的に愛を打ち明けせれて戸惑う場面とか
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基本は育ちのいい令嬢ですが、後半、オットーの妄想を表現したコケティッシュなタンゴダンスシーンではガラッと変わった大人の女性の一面を見せていました。

↓そのセクシーなダンスです。あくまでオットーの妄想ですが‥
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スカステの対談番組では絵描きでもある役ということでしたが、それは最後の場面でわかりました。そこでのねねの台詞、轟悠の実生活での趣味とひっかけてあって、思わず笑ってしまいました。

イヴァーノの策謀でディアナの不倫相手に仕立てられるカーチスは真風涼帆。
女たらしで派手な立ち居振る舞いで陽性の目立つ役です。
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それと対照的なのが、紅ゆずる扮するディアナの初恋の相手ロナルド。歌も演技もひ弱そうで内気で陰気で臆病な(笑)若者でした。
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紅は、家庭教師のころから一方的にディアナを想い続けています。それを利用したイヴァーノにいいように操られていきます。
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そんな一途にディアナに恋焦がれる小心者の役をよく演じていました。あまりこれまで観たことが無い頼りなさそうな紅が新鮮です。(笑)

でもそれが二番手?な紅の適役かというと、微妙ですね。(笑)大体出番も少ないし。
派手な人物設定のカーチス役のほうがまだやりようもあったと思いますが。

今回意外な収穫だったのがウォルター・ライマン役の十輝いりす。貫禄の富豪ぶりでした。
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そして歌も今まで観た中で一番の出来だと思いました。
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こんな恰幅のいい、貫禄十分な人物に「株は大丈夫」と断言されたら、誰でも信用してしまいそうです。
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そして歌唱力ではなんといってもパット・ボローニャ役の礼真琴ですね。

役としてはほとんど筋に絡まない小さなものでしたが、歌では一番目立つ存在でした。礼音の歌も聞かせますが、声質では礼真琴の方がきれいで、正統派の歌唱力を再認識しましたね。
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今回の舞台で一番期待外れな役だったのがサム役の美城れん
台詞も少なく歌はなし。オットーとの生活の描写もなしで、せいぜい「花を渡してくれ」と頼まれるぐらいの役ではしどころなし。
せっかくの演技も歌も生かせていない。勿体ない話です。
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衣装はアルマーニが全面協力したそうですが、かなり普段のタカラヅカ衣装とは違いますね。

さてショーの『パッショネイト宝塚!』は、ラテンもの。
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このショー、ラテン物が苦手な私でもつい見入ってしまうほどテンポのいい展開で、見せ場も多く印象に残る作品でした。ダンサー柚希を先頭に、星組メンバーのチームワークの良さが稲葉大地によって十二分に引き出されていてGood Job!!

プロローグからいきなりダイナミックなダンスが始ります。

以下、順不同でショーの場面から
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↓ねねとわからないほどの黒塗りです(笑)
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ショーで使われている曲は、前回の雪組同様に耳によくなじむ「マシュケナダ」や「黒いオルフェ」「キサス・キサス・キサス」などおなじみのナンバーが続くのがうれしいです。懐かしのメロディです。(笑)
↓キサス・キサス・キサスがいい感じでした
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トップコンビのダンスも見ものです。
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しかしなんといっても凄かったのが、中詰めのあと柚希と礼真琴を中心に踊るダイナミックなアフロブラジリアンダンスのカポエイラ。
この場面は本当に圧巻。森陽子の振り付けが斬新で、タカラヅカでもこんなことが出来るんか(殴)と感心しました。ヨメさんもモロに感激していました。

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息があった二人のダンスでした。

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というわけで私の感想では異例なことですが、ショーの方が高得点という結果になりました。でも芝居もよくできています。(説得力無いかな(笑))

ぜひみなさんも劇場まで足をお運びください。おすすめです。



さて、次は昨日観てきたレディ・ベス。いろいろ感じることの多い舞台でした。

最近物忘れが激しいので、早く書かないと‥。^^; でもいつになるかな。(殴)



梅田芸術劇場で『レディ・ベス』を観て感じたこと

私たちが観たのは8月2日の12時の公演でした。
地下1階のレストラン街で昼食をとってからメインホールに向かいました。

この劇場には観客用エレベーターはありません。なので、事前に連絡していた劇場スタッフに案内されて、裏口の楽屋のエレベーターまで行って劇場に入りました。席は障害者用スペース。上手側通路端に車椅子を止め、私はその横の折り畳み椅子に座りました。
1階席はほぼ満席。でも2階席はけっこう空席が目立ちました。逆に3階席は結構埋まっていましたね。

以下、とりとめもない感想です。少々ネタバレありです。例によって敬称は略させてもらっています。

この作品は、『エリザベート』『モーツアルト!』を生んだゴールデントリオ(脚本・歌詞 ミヒャエル・クンツェ、音楽・編曲 シルヴェスター・リーヴァイ、演出が小池修一郎)という触れ込みなので、大いに期待していました。ちなみに『エリザベート』はとElisabeth、『レディ・ベス』のエリザベス1世はElizabethで一字違い。よほどこのトリオはエリザベスがお気に入りなようです。

まず全体の感想というか印象から。

上質な舞台です。まず役者が粒ぞろい。みんな歌の水準が高く、安心して聞いていられます。そして演技も説得力があります。舞台装置も衣装も豪華で重厚。生演奏がまた素晴らしかったし。
ただ、脚本としては盛り上がりに欠け、途中??な部分があって白けたところも。それと使用されている音楽が先の通り名手・シルヴェスター・リーヴァイということで期待していましたが、『エリザベート』のようにインパクトのある耳に残る曲がなかったのが残念です。
同じような例では、ジェラール・プレスギュルヴィックで期待していた『眠らない男・ナポレオン』の音楽もがっかりだったし、有名な作曲家といってもいつもヒットを飛ばすわけではないということですね。

『レディ・ベス』は今回が世界初演だそうで、それだけでも期待していました。ただ、私たちが観たのは残念ながらベスが花總まりではなく平野綾のほう。大体どんな公演でもWキャストというのは気に入らないですね。チケットが偏って、希望の配役の公演が観られないし。
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もうこの点でかなりガッカリ感があったのですが、それでも先のとおり基本的に豪華な出演者なので、気を取り直しての観劇でした。(笑)

幕が上がって舞台には天文時計をモチーフとした傾斜したターンテーブルと、同じモチーフの宙に浮くリングが舞台にセットされています。モデルとなったのはヘンリー8世ゆかりのハンプトンコートにある天文時計とのこと。
ターンテーブルの傾斜が不安なストーリー展開を暗示しています。
このセットは非常にうまくできていて、映像も交えながら場面転換に効果を上げていました。
上で演技する役者が大変ですが、さすがにみんな危なげなく演じていました。
(以下の画像はすべて当日購入のプログラムより)
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衣装も豪華。宝塚と違って派手ではないが、いぶし銀のような色合いで上品で重厚なデザイン。
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まず、荘重な衣装に身を包んだロジャー・アスカム(ベスの家庭教師ですね)役の石丸幹二が登場。天文時計のセットの横で歌い始めただけで感動しました。
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男の声もいいものですね。(笑) 力強い、よく響く美声が舞台から客席に流れだすと、それだけで名作の予感が。ひよっとして、あの名作フランス版ロミジュリの再来となるかと期待しながら観ていました。
ロジャー・アスカムについては、今回観劇した石丸幹二のほうが好みだったのでラッキーでした。
繰り返しますが、「レディ・ベス」の出演者全員が歌のレベルも高くて聴きごたえがありました。
これで『エリザベート』とか『ロミジュリ』や『ファントム』などのように、すぐ覚えられる曲があれば言うことなかったのですが。
なんといってもミュージカルですからね。

歌でいえば、今回もっとも印象に残ったのはアン・ブーリンの和音美桜でした。もう絶品です。これを聞けただけで本望。余裕たっぷりの、深くてどこまでも伸びる美しい歌声でした。
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といっても、事前知識ゼロな私は和音美桜が出ているとはツユ知らず、幕間にヨメさんに「アレ誰?うまいねー」と聞いて呆れられました。
彼女は宝塚時代でも早くから歌と演技で目立つ存在でしたが、今回久しぶりに聞いて、その美声にさらに磨きがかかっていることに驚嘆しました。こんな逸材を十分活かせなかった歌劇団の人事のあり方には、当時も本当に疑問に思ったものでした。

私にとってはこの二人の歌が今回の舞台でのベストでした。(二人でベストかいと言わないように(笑))

もったいなかったのが涼風真世でした。出番の少ない、筋に絡まない端役で、実力からしたら彼女にこそメアリーをやらせたかったですね。もちろん歌は変わらぬ歌唱力で聞きごたえがありました。
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レディベスの平野綾は、歌はよかったのですが、ビジュアル的に私にはとても王女には見えなかったのが残念でした。
ファンの方には申し訳ないのですが、どう見ても彼女は庶民顔で、王女のお世話係にしか見えなくて(殴)、最後まで感情移入できなかったです。ここはやはり花總で見たかったですね。
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といっても、私は宝塚時代から花總まりはなじめなくて(横顔を見ていると夜な夜な箒にまたがって飛びまわっていそうで(殴))、実力は初演のエリザベートでよくわかっていましたが、どちらかというと早く辞めたらいいのに(殴)と思っていました。
でも今回はエリザベートつながりで(笑)、彼女のベスが観たかったですね。

花總まりが適役なのはこれを見ても一目瞭然ですからね↓
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そっくりです。(笑) 
(↓これもプログラムから)
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でも花總まり、いったい実年齢はいくつになるんでしたっけ。

話の方ですが、新約聖書をベスが読んでいることが問題とされて、これは「ドン・カルロス」の異端審問法廷の再現かと思ったがそうでもなく、王権争いのドロドロとした血なまぐさい話が続くかと思ったら途中からロミジュリそっくりの逢い引きシーンになったりとどうもトーンが一定していないので、観ていて違和感がありましたね。
とくに架空の人物・ロビンが違和感の最たるものでした。重厚なストーリー展開がロビン(山崎育三郎)の唐突な登場で急に軽くなって、しかも登場する必然性が全く理解できませんでした。
ロビンとベスが魅かれあうのもよくわからず。ただの世間知らずの王女が、大道芸人兼吟遊詩人な若い男に軽チャーショックを受けてひっかけられたみたいな話(笑)で、必然性が感じられなかったですね。
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「ローマの休日」ふうなところもあったり。脚本家の想定ではロビンはシェイクスピアだったりするとかでよくわからない人物設定でした。ベスとロビンが塔の上下で話す場面では、音響の悪い客席端では「ロビン」が「ロミオ」に聞こえなかったりしてもう意味不明。(殴)

それと、最後で腹違いの姉のメアリー(吉沢梨絵)と和解するのもあっけなくて、ただ病で気弱になったメアリーが王位を譲ったみたいな感じでした。
吉沢梨絵のメアリーも歌・演技ともよかったですが、私としてはやはり本命の未来優希のド迫力な歌が聞きたかったですね。

それと異常にいい役だったのが平方元基のスペイン国王・フェリペ。宗教問題にも異様に寛大で(笑)、ベスを救ったのはひとえに彼の功績となっているのも「ほんまかいな」と思ったり。今回一番の儲け役でした。

ということで、事前の期待が過剰だったのと、本命キャストではなかったのであまり絶賛していない感想になりましたが、舞台としては、先に書いたように粒ぞろいの水準の高い歌唱力の役者と、豪華な衣装、よくできた舞台装置で決して損はしない作品になっていました(と思いたい)。


いろんな意味で、なかなか柳の下にいつもドジョウがいるわけではないと思った今回の観劇でした。



洗濯物に着いていた黒い物体のナゾ

7月17日の午後、昼に洗濯してベランダに干してあったシーツを取り入れようとしたときのこと。

洗濯竿にぶら下がったシーツに黒いものが着いていました。

干した時にはなかったその黒いもの、平らな布切れのようにも見えました。なんでこんなものが付いているのかなと不審に思いながら、指を触れたら、なんとパタパタと動きながら足元に落ちました。
まさか動くとは思わなかったのでびっくり。もしや蛾?と思いましたが、真っ黒な蛾は見たことも聞いたこともありません。蝶ならカラスアゲハが有名ですが、飛び方が不細工で、どう見ても蝶ではないし。

蛾といえば以前も書きましたが、我が家にはオオミズアオとか↓
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ヤママユガとか↓
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が飛んできます。これらの蛾も動作が緩慢でしたが(何しろ成虫になると絶食するそうで)、今回ほどではありません。
ついでに子ダヌキも↓来られました。(笑)
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今回のその黒い物体というか生き物は、そのまま動かず、じっとしています。

何だろうと近づいてよく見ると、小さな頭と耳がついていました!
ということはどうやらコウモリですね。
私はコウモリを至近距離で見たのは初めてです。以前よく夕方になると忙しく飛び交うコウモリ群をよく見かけましたが、最近はそれも余り見なくなったし。だいたい結構早く飛び回っているので、どんな姿なのかもわからず。

しかし今回のコウモリ君、動作が緩慢で、以前見かけたような俊敏に飛び回っている姿とはかけ離れた情けない状態です。ひょっとして病気かなと思ったり。
だとすればはなはだ迷惑ですが、まあせっかくの珍客のご訪問なので(笑)、洗濯物を取り込んでからデジカメで撮影してみました。

何とも小さいです。
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洗濯バサミと比べたらよくわかりますね。
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ベランダで死なれては困るので何とか立ち退いてもらおうと針金ハンガーでつつくと、のそのそと這って、隅にあったプラスチックのチリトリの下にもぐりこみました。

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余りつついたら、そのストレスで死なれては困るしと、そのまま様子を見ることに。

で、撮影後、ネットでコウモリについてちょっと調べてみました。
Wikipediaによると、
「コウモリ(蝙蝠)は、古語に『かはほり』、『かはぼり』(いずれも蚊を食べるからですね>私)と呼ばれたものが転訛したものである。別名に天鼠(てんそ)、飛鼠(ひそ)がある。
コウモリ目は約980種程が報告されているが、その種数は哺乳類全体の4分の1近くを占め、ネズミ目(齧歯類)に次いで大きなグループとなっている。』ということです。
そして日本でもコウモリの種類の多さは同じで、
『日本では、移入種を除く約100種の哺乳類のうち、約3分の1に当たる35種(種数は分類説により若干変動する)をコウモリ類が占めており、約4分の1に当たるネズミ目(齧歯類)24種を抑えて、最多の種数を擁している。(中略)このうち、オオコウモリ類は熱帯性で、日本では小笠原諸島と南西諸島にのみ分布する。』とのこと。

でもそんなコウモリも今急速に数が減っていて、環境省の調査では多くの種類が絶滅危惧種となっているそうです。しかも蚊などの昆虫を主食にしていて益獣とか。

ただ怖いことに、日本にはいないものの、小型のコウモリの中では少数ですが血液食、つまり吸血コウモリも実際にいて、それが吸血鬼ドラキュラにつながったのでしょうね。

それで西洋では嫌われてきましたが、中国では古来から縁起物とされていて、その影響で日本でも縁起のいい生き物になっていました。
実際に日本石油は1980年代初頭まで商標としていたし、自治体の市章や、長崎のカステラ屋の商標、また家紋にも使われていますね。そういえば今も売られている煙草に「ゴールデンバット」もあります。

それ以外にもいろいろ調べていると、ウチに来たのは「アブラコウモリ(別名イエコウモリ)」のようです。真っ黒な色はまだ子供だったからのようで、成長すると褐色になるとか。
習性はやはり夜行性で、日中は市街地の家屋の瓦の下とか羽目板と壁の間、戸袋の中、天井裏、換気口など建物の隙間などに隠れて休息するそうです。

ということでコウモリ君は多分休息中で、ネボケていての緩慢動作だったようです。ちなみにドラキュラの活動が日没から日の出までの間で、夜明けとともに死体に戻るとされているのも、このコウモリの習性に由来しているのでしょうね。
なので、日が陰ってきてから、日暮れとともにすばやく飛び立てるように(笑)、チリトリの下から出してベランダの縁に載せておきました。(笑)
その際もピクリとも動かなかったので心配でしたが、寝る前に再びベランダに行くと、いなくなっていました。

無事飛び立ったようです。よかったです。いくら小さくても動物の死骸にさわるのはいやですからね。
なんでシーツに張り付いていたのか不明ですが、とにかく眠りたかったのでしょう。

最後に、このアブラコウモリだけは市街地で生息して唯一増えているそうで、苦情も増えているそうです。もうひとつ、野生動物全般に共通のことですが、人畜共通感染症のウイルスなどを持っている可能性があり、接触は要注意とのこと。

そういえば、アフリカで今猛威をふるっているエボラ出血熱は、オオコウモリのウイルスが人間に感染したことから始まったといわれていますね。詳細はココをどうぞ。

ということはあのシーツ、もう一度洗わないといけないか‥。

車椅子であべのハルカス美術館・デュフィ展へ

先日、あべのハルカス美術館での『デュフィ』展に行ってきました。

今回はいつもと違い、車椅子で電車に乗って出かけることにしました。電車でのお出かけは彼女が10年前に倒れて以来初めてです。
といっても数年前に、一度リハビリで二人で隣の駅まで電車に往復乗ったことがありますが、これは短時間の杖歩行で、往復しただけでした。車椅子で目的を持って出かけるのは今回が初めてです。

出かけたのは8月24日でした。
もともとデュフィ展については、開催を知って以来ずっとヨメさんが行きたそうにしていました。でも私はハルカス周辺の道路事情がゴチャゴチャしているので余り気が進みませんでした。
でも本当に行きたそうなので、JRで行くことに挑戦することにしました。

でも、これがなかなか簡単ではありません。

自宅から駅まで健康な人なら7・8分で行ける距離ですが、結構急傾斜の坂道なので車椅子での往復は無理です。
なので駅までまず車でヨメさんと車椅子を運び、私が車を家に置きに帰って(駅周辺にはタイムズなどもないので)、ふたたび徒歩で駅に行くということになります。
でも炎天下の歩道でヨメさんが私を待つのも大変だし、私も坂道を走るのは老体にこたえます。(笑)

それで、究極のズボラですが(笑)、私が車を置きに帰ってから原付に乗り換えて駅まで戻り、駐輪場に預けることにしました。料金は1日250円とリーズナブル。
うまく障害者の乗り降りするスペースが駅前広場にあったので、そこで車椅子とヨメさんを降ろしてすぐ自宅のガレージに戻り、Di0で駅横の駐輪場へ。この間5分もかかりませんでした。

そして車椅子を押して駅のエレベーターで改札口まで上がって切符を買い、また下がって地上のホームへ。でもこれ、かなり無駄な動きに感じますね。
というのは、以前エレベーターができるまでは、駅のインターホンで駅員さんを呼んでホームに入れてもらい、同時に乗車証明書を受け取って、それを目的地の駅の改札で見せて精算するというやり方でした。こちらのほうがよほど合理的だと思うのですが、それでは駅員が一時不在となるので、現在のように変えたのでしょうね。

切符は、本人と付添い1名が半額となるので、駅員さんの指示で小人用を2枚購入。

スムーズに事が運んだので、予定より1便早い電車に乗れました。
それと予想していたよりホームと電車との段差が小さかったので、車椅子の前を少し上げるだけで楽に乗り込めました。降りるときはバックで。
ヨメさんは久しぶりの車窓からの景色を喜んで見入っていました。

でも今回は天王寺についてからがややこしいことになっていました。まずホームのエレベーターで跨線橋に上がり、ぐるっと9番ホームに回って中央口を出て、駅構内のエレベーターで地下鉄御堂筋線の改札口方向へ。そしてまたエレベーターで地上に上がり、ハルカス前の歩道を左に進んで、ようやく美術館専用のエレベーターに乗るという経路です。
美術館はハルカス内の施設ですが、一般のハルカスのエレベーターでは行けないので、こんなややこしい手順になります。初めてなので各エレベーターの位置が分からずウロウロしました。

ようやく16階の美術館に着いて、切符売場へ。手帳を見せたら半額にしてくれました。

美術館入り口にはすでに結構な人の列ができていました。10分ほど待って定刻となり中に。

今回の展覧会はフランス人の画家ラウル・デュフィの回顧展です。
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といっても、デュフィとはどんな画家か、全く知らなかったです。名前は聞いたことがあるかな程度。(笑)
開館直後なので入口周辺はたくさんの人で混み合っていました。

画家の初期の展示作品はそれほど特色のある画風ではなく、普通の油絵です。いろんな画家の影響でコロコロ変わっています。
でもだんだん個性が出てきて、最後は独自のスタイルを作り上げていきます。

でもこの画家は、生涯を通してわかりやすい画業ですね。とくに後半になると色彩も明るく、軽快なタッチで、富豪に依頼されて描いた肖像画ですらデザイン画みたいな感じです。野獣派に分類されるということですが、やさしい野獣ですね。(笑)

余談ですが、少し以前に見たフランス映画『ル・アーブルの靴みがき』の舞台ル・アーブルの港が、今回展示されていた多くの作品に描かれていて興味深かったです。画家の生誕の地とか。

展示は4章に分かれていました。
第1章は「1900-1910年代 −造形的革新のただなかで」というテーマで、ラウル・デュフィが独自の画風を模索する過程の作品が展示されています。上に書いたように、いろいろな画家の影響が観てとれて興味深い展示でした。
初期の作品「マルティーグ」(1903年制作)です↓ 
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第2章は「木版画とテキスタイル・デザイン」。
挿絵に使われた木版画や布地の柄、クロッキーが展示されていました。多才です。生活の糧を得るためでもあったのでしょうが。
木版画「ダンス」(1914年制作)です↓
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第3章は「1920−1930年代−様式の確立から装飾壁画の製作へ」
この時期になって画家は自分の進む道がはっきりしたのでしょうね。以降の作品に共通する明るい色彩の絵になっていきます。
でもデュフィは画家というよりイラストレーターといったほうがシックリしますね。(笑)
展示としては最も充実した見所の多いコーナーでした。

「サン=タドレスの大きな浴女」(1924年制作)
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風景画の建物などは軽いタッチで描かれていますが、人物デッサンが正確なことが印象的でした。
「突堤ニースの散歩道」(1926年頃)
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「イェールの広場」(1927年制作)
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「馬に乗ったケスラー一家」(1932年制作)家族の肖像画ですが、全員体格にあった馬に乗っているところがユニーク(笑)↓
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「パリのパノラマ」(1924-1933年制作)まるで横尾忠則です。(笑)
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「ゲルマ袋小路のアトリエ」(1935年制作)
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「アンフィトリテ(海の女神)」(1936年制作)大きな浴女と共通するモチーフです。
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この時期の集大成というべき作品が、パリ電気供給会社の社長の依頼で、パリ万国博覧会電気館の装飾壁画として描かれた「電気の精」です。残念ながら画像はありません。ぜひ会場でご覧ください。電気にちなんだ歴史上の人物が描かれているので面白いです。
それと画面からあふれる楽天的な技術至上主義が、この時代の一面をあらわしていますね。
この頃に多発性関節炎発症を発症しています。

第4章は「1940−1950年代−評価の確立と画業の集大成」です。
暗示的な黒い貨物船シリーズなどを制作する一方で、華やかな色彩の花も描いています。

「アネモネとチューリップ」(1942年頃)
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「アイリスとひなげしの花束」(1953年制作)
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前後しますが「マキシム」(1950年制作)です
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デュフィは1953年3月23日にフランス、フォルカルキエで心臓発作のため亡くなったそうです。享年75歳。墓地はニース市の郊外にあるシミエ修道院にあるとのことです。

観終わっての感想です。
繰り返しになりますが、デュフィは気楽に楽しめる画家ですね。明るい色彩と軽快な筆遣い。分かりやすく洒落た画面構成。重く余韻を引きずるようなテーマの作品はほとんどなく、観ていて気が晴れ晴れする作品ばかりでした。こういうのもアリだなと思いました。

会場のハルカス美術館ですが、巨大建築物のオマケ程度に思っていましたが、まあまあスペースはギリギリ確保されていましたね。
でもエレベーターが障がい者にとってやや分かりにくいです。

会場の混み具合は大したことなくて、特に後半の展示になると空いていて、ヨメさんは車椅子から降りて杖歩行で観まわれたほど。
中高年の観客が疲れて休憩し始めるので、ゆったりしてきます。(笑)
それとどの展覧会でもそうですが、11時頃が一番観客が減ってくる時間帯ですね。私たちは車椅子なので交通の便もあって早行き・早帰りが必要ですが、柔軟に対応できる健康な方は、生真面目に開館時間前に行くより、一時間ほどずらすのが吉です。

この展覧会、大阪では9月24日まで開かれています。あべのハルカスの建設については壮挙というより暴挙だと思っていますが(笑)、今後デュフィの作品を網羅的に見られる機会はそうないと思いますので、ぜひご覧になるようお勧めします。
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バイク・バッテリー、寿命はやはり10年?

今回バッテリーが昇天したアドレス110が、我が家に来たのは2005年7月。でもアドレス110は2サイクルエンジン廃止のあおりで、その1年以上前の2004年4月に製造中止になっていました。なので、バッテリーも同時期に製造されたものかと思っていたら、突然死のバッテリーには2005年2月の製造日の刻印がありました。店頭在庫だったのでてっきりバイク本体の製造時期と同じかと思いこんでいましたが、間違いでしたね。
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アドレス110が来てから定評のある優れた運動性に満足していましたが(云われているような加速のもたつきもないです)、やはり2008年ごろからバッテリーがおかしくなってきました。いくら充電してもすぐバッテリーが上がり気味になり、セルモーターがよく回らなくなってきたのです。そろそろ寿命かと交換を覚悟していた矢先に、インターネットでバッテリーパルサーの存在を知りました。
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幸い近くに販売代理店があったので早速入手して、バッテリーをはずしてパルサーを装着、2日間補充電しました。
効果はてきめんで、その後はバッテリー上がりとは無縁。健康そのものになりました。

ついでにスパーダと
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Dioにも付けました。
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上記の画像で「充電」とあるのはパルサーの消費する電流を補うためのものです。
それとパルサーは私の使っているもの以外の商品でも同様の効果があると思います。

ただしスパーダは5年で今回のアドレスと同様の突然死となりました。まあそれでもほとんど乗る機会が少なくてほぼ動態保存状態で、使用条件としても良くなかったので5年でもいいかと。余り乗る機会のないバイクは時々フロート充電だけではなくて、14.5Vぐらいで活入れ充電してやった方がいいかもしれません。

でもDioの方は6年経過しても元気です。夏場は自動チョークの関係か、チェックバルブ装着後も長く乗らないとセルの長回しが必要なときもありますが、平気でセルボタンが押せます。アドレスと同様の寿命だとしたら、あと4年ぐらいはいけるかな。

ところでバイクのバッテリーは最長でどれくらいもつものでしょうか。
バッテリーの極板等の物理的な強度は、加えられる振動等の負荷にもよりますが、某所ではJISで10年と定められているとかの記載があったり。ただし私の調べた範囲ではJISでそんな記述は見つけられなかったのですが。

まあパルサーを使い始めるまでは3年、4年も持てば御の字というのが私の経験でしたから、パルサーの効果は明白ですね。

でもスパーダの時も今回も、突然バッテリーが昇天してしまって、そうなったらもう何をしても充電できないというのはどういうことでしょうか?
内部の電極板などが物理的に破壊されてしまったのか、原因を知りたいところです。バッテリーを解体すれば死因なども分かるかもしれませんが、硫酸を環境中に放出するのは最悪だし、手間もかかるのでこのまましかるべく処分することにします。

というわけで早速バッテリーの手配にとりかかりました。といっても国産の同等品はアホ高い値段が付いているので、台湾製をポチっとな。
元のバッテリーは古河ですが、新しいものは台湾ユアサ製。約半額と十分リーズナブルな価格でした。
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私のアドレスは最終生産型ですが、そのひとつ前のUG110SK1からバッテリーが若干容量の大きい(ただし外形サイズは同じ)ものに変わっています。もともと付いていたFTZ5L-BSは少々変ったタイプですが、今でも普通に入手可能です。

2日後に配達されました。早いです。
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バッテリーと電解液が箱に入っていました。電解液の入ったポリエチレンボトルをバッテリーに差し込めば6セルに一度に注入できます。
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バカな私は、電解液ボトルのシール用アルミ箔をはがし始めてから気づきましたが、バッテリーの注入口がアルミ箔を突き破るような形になっているので、プラスチックのカバーを外してそのままボトルを突き立てれば電解液は注入できます。
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完全に入ったら、シール用のカバーを押さえ込んで完了です。すぐブクブクと音が聞こえてきて、本体も厚くなってきます。
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電圧を測ったら12.55Vありました。
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そのままアドレスに搭載して、パルサーと充電用ソケットのコードと、車体の+と−のケーブルをバッテリーに接続、作業は完了です。
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セルボタンを押すと、クランクシャフトが一回転したかどうかというぐらいの瞬間始動。

その日は出かける予定がなかったので、念のためそのまま補充電開始。
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後日、アドレスでお出かけしましたが、バッテリー点火のためか、新品バッテリーだと始動後のアイドリングも早く安定して、充電負荷が軽減されたのかフケ上がりも良くなった気がします。ええ、気がするだけです。(笑)

しかしパルサー装着でバッテリーのサルフェーションが防止出来て寿命は確実に伸びていますが(プリウスの補機バッテリーにもつけていますが、4年たってもディーラーの検査では良好とのことです)、スパーダや今回のアドレスみたいに突然死するのはどういうことなんでしょうね。

オマケです↓。去年メットインスペースの照明をLED化しました。少しばかりの省エネです。
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クアッドコプター Phantom2 で鳥人になってみました

最近テレビ番組を見ていると、どうやって撮影しているのだろうと思われる映像がよくあります。
お寺や神社の境内を空撮している映像とか、景色を空中から撮影しているものとか。どれもへりコプターでは無理な低高度の空撮映像です。
少し前まではその手の映像はモーターパラグライダーの独壇場でした。

で、あるとき私がいろいろお世話になっている某掲示板で、クアッドコプターなるものを知りました。
プロペラが四つなのでクアッドコプター。最初の印象はアメンボみたいで少し違和感がありましたが、その飛行性能はプロ仕様です。

最初に書いたようなテレビの空撮映像のうち、このクアッドコプターで撮ったと思えるものがたくさんありますね。モーターパラグライダーよりはるかに手軽で安価に空撮できるのが強みです。

で、私もついポチっとな。(笑)

送られてきた商品は今時の小洒落たパッケージにきちんと梱包されていました。

飛ばすのに必要なものはすべてセットされています。オプションの予備バッテリーと予備プロペラもついてきました。

ただ、この製品、残念なことに日本のメーカーの製品ではありません。昔は日本といえば模型王国だったのに。
そのせいで正規の説明書は英語と中文で書かれていて、それはカラー印刷ですが、日本語の説明書はそれを訳したものでモノクロ印刷です。日本語も結構怪しかったりします。(笑)

でも製品はしっかりしています。そして機能がすごいです。
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何らかのトラブルで送信電波が途切れたらルンバみたいに離陸した場所に戻ってくるとか、GPSで少々の風が吹いていてもピタリと空中停止ができるとか、機体の姿勢に関係なく三軸ジンバル(カメラの取付台ですね)で映像は安定を保つとか、GPSデータを入力したら自動飛行も可能とか等々。

実際にプロの使用に耐える品質で、各分野で急激に普及しているようです。
さらに最新版はスマホでライブ映像が確認できて、各種のコントロールも可能です。コントローラーにはスマホ固定用のクリップもついていました。私は老眼なので、7インチのASUSのタブレットを取り付けましたが、晴天の日差しの下ではさすがに液晶画面は見づらいですね。なので私は今のところせいぜいカメラのオンオフで使うぐらいです。日よけのバイザーをつければいいかも。
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さて、某日、近くの公園で初フライトに挑戦しました。

この公園、急斜面を整地して作られたので、アプローチの道が急傾斜。花見と盆踊り以外は利用する人がいない公園です。でも安全のため先客がいたら中止するつもりで草をかき分けて登って行ったら、案の定、誰もいませんでした。周辺道路も朝晩は抜け道として通る車がありますが、昼間は極めて少ないです。

さて、クアッドコプターを飛ばすための準備は極めて簡単です。

完全に充電した本体用バッテリーと、コントローラーの電池の確認、Wifi用のレンジエクステンダーの充電さえ済んでいればOK。

でも初めてなので少し緊張しながらコントローラーとエクステンダーの電源オン。
次に機体の電源を入れ、コンパスキャリブレーションを完了。プロペラを回転させて、スロットルスティックを上にあげれば離陸します。ちなみに同スティックを中正位置から下に下げると降下し始めます。安全のため最大降下速度は最大上昇速度の半分に設定されています。上がるのは早く、降りるのはゆっくりです。
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で、10メートルぐらい上がったところで記念撮影。何もしないでいるとその場でぴたりと静止飛行してくれるので、デジカメをケースから取り出して撮影準備するのも余裕です。
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飛ばして初めてわかりましたが、このPhantom2、安定性は抜群です。少々の風でもGPSモードなら空中にピタリと停止。そこで機体を回しながら撮影したら、まるで三脚に固定しているようです。

ぐっとあげてみたらかなりの上昇速度。みるまに小さくなっていきますが、エレベーターのように上がるだけで横方向の移動はありません。風向きに気を付けながら周辺を撮影しました。
画像は動画から切り出したものです。もちろん静止画も撮れます。
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見下ろした画像です。↓
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この日は10分ぐらいずつ3回飛行させて終了。操縦性も素晴らしく、初めてのフライトで狭いベンチ上に着陸することに成功。
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その次からはハンドキャッチで降ろしました。でも危険性もあるのでマネしないでね。

調子に乗って別の日に高高度での空撮に挑戦。

初回と違って天気が不安定で曇天でしたが、飛行の安定性は変わらず。そこで思い切りあげてみました。
(レンズのせいで丸く変形しています。)
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山は信貴生駒山系の南端です。
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川は大和川です。
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性能的にはもっと上げられますが、小さすぎてどちらを向いているか分からなくなったので、見えるギリギリの高度でホバリング。周囲を空撮しました。

そのあとはもっと低い高度に下げて、旋回や場周飛行の練習です。
まあなんとも飛ばしやすくて、昔のラジコンヘリに比べたら隔世の感がありました。
バッテリーは一充電25分持つということですが、やはりいくら操縦が容易とはいえそれなりに神経を使っているので、10分も飛ばしたら十分です。

送信機(コントローラー)の電源をオフにしたら自動で離陸地点に戻ってきてくれますが、やはり怖いのでまだ試していません。(笑)
着陸させてから、7インチタブレットにSDカードを挿して動画を再生してみました。まあ何ともきれいな動画が取れていました。大したものです。デフォルトの画質設定で10分程度の動画で800〜900メガバイト程度でした。

自宅に戻って液晶テレビで見たら、まるで自分が鳥になったかのよう。(笑) 
それと、団地内の土砂災害警戒地域に指定されている箇所の周辺の水路などもよくわかりました。地上からはなぜ地域指定されているのかわからなかったところです。

でも本当にすごい時代になったものです。こんな高性能の空撮機材が、だれでも普通に手に入り、容易に飛ばせる時代が来るとは思ってもいませんでしたね。

まあ容易な分、飛ばす側のモラルとマナーが問われると思います。それと、保険への加入は必須ですね。

でもルンバといいこのクアッドコプターといい、なぜ日本のメーカーが作れないのでしょうか。


大阪市立美術館で『こども展』を観てきました

ハルカスでビュフィを観て、次は万博公園や花の文化園にでも出かけようかと思っていましたが、今はどこも見ごろの花が少なく断念。と思っていたらヨメさんが『こども展』を観たいとのこと。

はじめは何で子供の描いた絵など観たいのかなと怪訝に思いましたが、子供が描いた絵ではなく、こどもを描いた絵の展覧会だったのですね。(笑)

で、会場は大阪市立美術館。天王寺公園の中にある美術館です。初めて行ったのは「ボストン美術館 日本美術の至宝」(大阪展)でしたが、早いものでもう一年以上前のことになります。
このときはかなりの観客で混雑したので、今回はどうかなと思ったのですが、まあとにかく行ってみようと、出かけることにしました。

朝9時すこし前に出発。阪神高速の天王寺出口を出たらすぐ駐車場の入口です。天王寺公園の地下にある駐車場内はまだガラ空きでした。
障害者スペースに停めましたが、場内の案内表示板に従うと美術館への出口はそこからかなり離れています。
最初はその案内板に従ってその出口まで車椅子を押して行き、車もその付近まで移動させようと私はまた車に戻りました。そして車を移動させていると、ヨメさんの車椅子が誰かに押されてこちらに来るのが見えました。押してくれているのは清掃作業をされている女性スタッフです。
近づいたらヨメさんが「あの出口は階段しかないので、もとの障害者スペースの横にあるアベチカ入り口横のエレベーターでないと車椅子は地上に上がれないらしいよ」と。
件の女性、それを教えてくれた上に、わざわざ元の位置まで車椅子を押してくれたのです。本当に親切でした。
私もお礼を言って、再び車を戻し、アベチカ通路のエレベーターで地上に出ました。考えてみれば前回もそうしたはずなのにすっかり忘れていました。

公園の入場口で手帳を見せたら、本人と付添の私は無料にしてくれました。

公園ではもう秋バラが咲き始めていました。前回は建設途中だったハルカスが園内から見られます。

美術館に着いたら観客の長蛇の列ではなく、閑散としています。

美術館でふたたび手帳を見せて展覧会場へ。入り口で音声ガイドを借りて中へ。外の様子と違って中にはそこそこの観客が来ていました。ちなみに音声ガイドは竹内まりやの解説で聞き取りやすく、途中彼女の歌も入っていたり、解説内容も的確でお値打ちでした。

展覧会の正式名称は『こども展 名画に見るこどもと画家の絆』でした。展示は序章から第6章まで7つのエリアに分けられています。
展示作品は全部で87点。


入り口では閑散としていても中はそこそこの先客がいました。

『序章』で眼に入ってきたのはクロード=マリー・デュビュッフの作品です。いずれも正統派の肖像画です。

『第1章 家族』ではデュビュッフの『デュビュッフ一家の肖像、1820年』が古典的な精緻な画法でよかったです。でも解説にあったように家族の視線がバラバラなのが面白いです。
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裕福そうな上記作品とは対照的なのがアルフレッド・ロールの『故郷を後に』でした。
ぐったりと元気のない子どもを心配そうに覗き込む農民のような夫婦の姿が胸を打ちます。まるでロシア・移動展派の作品みたいな絵です。

『第2章 模範的な子どもたち』ではアンリ・ルソーの『人形を抱く子ども』が異彩を放っていました。
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どうみても子どもに見えなかったり。(笑)

それと全く異なるリアルな作品が、アンリ・ジュール・ジャン・ジョフロワ(長い名前です)の『教室にて、子どもたちの学習』です。子どもたちがさまざまな表情や姿で生き生きと描かれていて、資料的にも興味深い絵でした。当時の学校教育の一面がよくわかる絵です。
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このコーナーで一番好きな絵はアンリ・デティエンヌの『娘、あるいはS嬢の肖像』です。
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まるでメアリー・スティーンバージェンを少女時代に描いたらこうなったみたいな絵です。(笑)

『第3章 印象派』ではベルト・モリゾの『庭のウジェーヌ・マネとその娘』も印象に残るいい絵でした。
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でもこのコーナーの一番の目玉はやはりルノワールですね。
『遊ぶクロード・ルノワール』とか
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『ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども』をはじめ4点も展示されていました。
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ただ私的にはルノワールってみんな同じ人物に見えてしまうのですが、『ジュリー・マネの肖像』についてはユニークで新鮮な人物像で気に入りました。

次は『第4章 ポスト印象派とナビ派』
ポスト印象派とはセザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンとその周辺の画家を指すとのことですが、この展覧会のテーマの子どもとなるとゴッホは生涯独身で子どもはなく、ゴーギャンも家族と別居状態になって子どもを描いていないということで、残るはセザンヌですが、その作品は大阪では展示されていません。なのでちょっと羊頭狗肉な感ありです。(笑)
多かったのはモーリス・ドニの作品で4点が展示されていました。
このコーナーではエドゥアール・ヴュイヤールの2作品が好みでした。とくに『ジェヌヴィエーヴ・ベルネーム・ド・ヴィレール』がなぜかインパクトがあってよかったのですか、絵葉書にはなっておらず残念でした。

『第5章 フォーヴィスムとキュビスム』はマティスやドラン、ピカソと巨匠の作品が展示されていました。
まあピカソはやはりピカソなので(笑)ちょっと好みではありませんが、↓の絵はいいと思いました。『ポーランドの衣装を着たクロード』です。
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あと、アンドレ・ドランの『画家の姪』もこのコーナーでは逆に普通な絵(笑)で、かえって目立っていましたね。
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最後は『第6章 20世紀のレアリスト』。
キスリング、パスキン、フジタなどのエコール・ド・パリの画家たちの絵をはじめ、20世紀の具象画が展示されていました。
ここではやはりレオナール・フジタの作品が人気でしたね。↓はそのひとつで『フランスの48の富』と
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『機械化の時代』です。
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『機械化の時代』では当時のフランスの最新の工業製品の代表として斬新なデザインで注目されていたシトロエンの乗用車や、飛行機のシュド ボートゥールがかなり正確に描かれています。
どちらの絵もユーモラスな描き方で、フジタとしては明るい楽観的な印象の絵でした。

作品を観終わって、思ったより内容の充実した展覧会だったので、観に来た甲斐があったと二人とも満足でした。観客も時間が早かったので少なくて観やすかったし。私たちが帰る頃(11半頃です)になって多くの人が詰めかけていました。
駐車場では料金が出口の受付で割引処理してもらえて感謝でした。やはり車で来られるというのは手軽でいいですね。

この展覧会、10月13日まで開かれています。19世紀から20世紀にわたる巨匠たちの描いた子どもの絵をテーマとした展覧会、ぜひご覧ください。




兵庫芸術文化センターの「炎立つ」。いい舞台でした。 

9月15日に兵庫芸文センターで『炎立つ』を観てきました。前回の『日本の面影』観劇以来3か月ぶりです。
12時開演なので早めに出発。劇場地下に駐車してからホールへ上がり、そのまま劇場近くで昼食を済ませました。

再びホールに戻ったら結構な会場待ちの人の列。ホールに並べられた花の写真などを撮ってから、私たちも列に加わりました。
ほとんどが片岡愛之助さんに送られたものですが、三田和代さんや益岡徹さんへのものもありました。
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私たちの席はJ列の下手側。傾斜が急になっている席ですが、ヨメさんは頑張ってたどり着きました。でもその分観やすくてよかったです。

で、観劇の感想です。いつものとおり敬称は省略させてもらっています。以下の画像は当日購入したプログラム(舞台衣装バージョンです)からの抜粋です。

舞台は古材のような材木で階段状作られています。役者さんたちは大変そうです。
衣装とかも簡素で、カツラもつけず地毛のまま。でもそれが途中からまったく気にならなくなるほど内容の濃い舞台でした。
演奏は宮野弘紀・浦田恵司・金子飛鳥の3人。効果的な音楽演奏で舞台を盛り上げていました。音楽担当は金子飛鳥です。

時代は約1000年前。「前九年の役」と「後三年の役」が背景になっています。
当時東北を支配していた蝦夷の末裔・安倍氏と清原氏が反乱を起こし、それを源義家が平定し、その後藤原清衡が平泉を中心に100年の間平和の楽土を築くまでの話です。
ちなみに『役』とは、蒙古襲来の文永の役とか弘安の役のように異民族との争いに使う言葉とのことで、安倍氏や清原氏との戦いは朝廷にとっては異民族との戦いだったのですね。

今回の舞台での演出家の視点はあくまで大和民族ではなく蝦夷の立場に立っていて、その上で朝廷との対立とキヨヒラ(清衡)とイエヒラ(家衝)の血みどろの抗争を描いています。

冒頭の舞台では、長い戦のあと荒れ果てた東北の大地に一本の杭を打ち込むキヨヒラ(清衡)の姿が。
これはプログラムで演出担当の栗山民也が記しているように、
「広場の真ん中に、花で飾った一本の杭を立てよう。そして人を集めよ、そこに祭りが始まる。」(J・J・ルソー)という言葉からきています。まず第一に東北復興への強い願いが込められていると思いますが、同時に不毛な戦いではなく平和な楽土を築きあげたいという演出家の強いメッセージが感じられました。観るものによってさまざまな解釈ができる象徴的な場面です。
余談ですが、私はこの広場と祭りというフレーズで、『イーハトーボの劇列車』の中の台詞のひとつを思い出しました。

さて舞台はこの場面のあと、一挙に戦乱の時代へと遡っていきます。

芝居が始まってすぐ、コロスの使い方の巧みさが眼につきました。
まるでギリシャ悲劇に登場する巫女のような舞台衣装です。
コロスのメンバーは4人で、一倉千夏・上田亜希子・坂本法子・山崎薫。いずれも歌い、語り、戦闘場面では立ち回りさえ演じ、さらに他の登場人物にも扮して大活躍でした。
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4人のコロスを率いるのが巫女カサラ。新妻聖子が見事に演じていました。
この人はこまつ座の『それからのブンとフン』ではあっけらかんとした小悪魔役でしたが、圧倒的な歌唱力で凄いインパクトでした。
今回もアラハバキの予言を伝える巫女として半ば魑魅魍魎な存在ですが、歌が絶品な出来。
歌い上げる曲はもちろん、ささやくような抑えた歌でも澄んだ透明感のある歌声で胸に沁みました。本当に大したものです。
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「ブンとフン」ではこんな感じ↓
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主人公・キヨヒラ(藤原清衡)を演じるのは片岡愛之助です。初めて観る役者さんです。
さすがに歌舞伎役者だけあってよく通る声。役柄は三宅健演ずる弟・清原家衡のような激しい性格ではなく、過酷な運命にひたすら耐える役ですが、人間味のあるキヨヒラを抑揚の効いた演技で描き出していました。
この人は歌舞伎の名門の出ではなく、ゼロからスタートして歌舞伎役者になったとのことですが、懐の深いいい役者さんですね。
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敵役の三宅健のイエヒラ(家衡)ですが、なぜか声があの『鉈切り丸』の森田剛に似ているなと思っていたら、どちらもV6のComing Centuryのメンバーとか。
芸風もよく似ています。ただどちらも私には若すぎる声がちよっとひっかかりましたが、森田剛に負けない全力投入の演技で頑張っていました。身体能力高いです。この点も森田剛と共通しています。イエヒラ役自体、鉈切り丸と似た境涯設定の人物ですね。
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清衡と家衡が兄弟でも姓が違うのは異父兄弟ゆえ。そしてこの二人が朝廷の定めた新たな国割りのために相争うことになります。それを伝えるのがベテラン益岡徹のヨシイエ(源義家)。ちなみに今回の劇の台本では役名がすべてカタカナ表記。これは劇で訴えたかったことを、できるだけ純化してつたえようとする演出家の意図によるものでしょうね。

益岡徹のヨシイエは、歴史に残る勇将として有名な源義家とは違って、キヨヒラ・イエヒラに対する温かな眼差しが感じられます。とくにキヨヒラには同情的です。二人の母ユウの三田和代とともに、いい演技で舞台に厚みを与えていました。
ヨシイエの益岡徹です↓
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そしてユウの三田和代↓
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出番は多くなくても、圧倒的な存在感を見せたのがアラハバキの平幹二朗。
アラハバキとは東北・蝦夷の荒ぶる神です。意外なことに平幹二朗は人間でない役を演じるのは初めてとのことですが、登場しただけでその大きさと迫力のある存在感が圧倒的でした。
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ちょっとコミカルに怪演しています
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あと、キヨヒラの父・ツネキヨ(藤原経清)役の松井工とか↓
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キヨヒラの妻キリの宮菜穂子も出番の少ないのが残念ないい演技でした。

ちょっとがっかりだったのが狂言回しのイシマル役の花王おさむ。
狂言回しというのはなかなか難しい役どころですね。今回のイシマルもしっくりこない演技で、終始違和感がありました。特に滑舌が悪いというわけではないのですが、不自然さが付きまといました。
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それで思い出したのが、こまつ座公演の『薮原検校』で浅野和之が演じていた「盲太夫」という狂言回し。全く同じでした。はじめは同じ役者かなと思ったほど。今回の公演で唯一残念だったところです。

舞台を終えて、最後に関西での千秋楽となるので主役の片岡愛之助の挨拶がありました。
これがほとんどこまつ座公演かと思うほど(笑)現在の世相に対する危機感と、高まる戦争への危惧と平和への強い願い、東北の復興への思いが込められていていいものでした。
途中の休憩をはさんで計2時間10分の上演時間でしたが、舞台に凝縮された演出家をはじめスタッフのメッセージと、それを見事に体現して演じきった役者たちに対して、満席の観客は惜しみないスタンディングで応えていました。
いい舞台でした。
観終わっての感想は、繰り返しになりますが本当にこまつ座の秀作劇を観たような充実感。よかったです。

もう全国公演は終わってしまいましたが、未見の方は再演の機会がありましたら是非ご覧ください。おすすめです。








冷蔵庫でカスピ海ヨーグルトを作ろう

喉元過ぎれば‥というとおり、冬には夏の暑さが恋しくなって、夏になると冬の寒さが気持ちも引き締まっていいなあと思ったり。でもやはり日本はなんといっても春と秋が暮らしやすいですね。ただ年々温暖化のせいか、春と秋が短くなっているような気がします。

幸い今年は、基本的には去年のような記録的な猛暑ではなく、我が家でエアコンをつけなければならなかったのは4日だけでした。

その夏の高い気温がメリットになるのが、カスピ海ヨーグルト作り。
気温の低い秋から冬、春の間はカスピメーカー(カスピ海ヨーグルト製造機です)でヨーグルト作りしていますが、夏になるとこれが不要。
容器に牛乳とヨーグルトの種を入れて部屋の隅に置いておくだけでヨーグルトができます。

(ヨーグルト作りの経過についての記事はココで)

カスピ海ヨーグルトの発酵に適した温度は20~30℃とされています。他のヨーグルトに比べてかなり低いです。
ですが、実用上は27~30℃前後ですね。カスピメーカーの設定温度は27℃になっています。
ただ私の経験ではもう少し高い29℃ぐらいが一番いいみたいで、しっかり発酵したヨーグルトができます。でも30℃を超えるとカスピ菌が弱って、かわりに雑菌などが増殖しはじめるのでよくないとのこと。

そして今ごろになると、日中でも最高気温が25度前後しか上がらないので、ヨーグルト製造機を使わないと時間がかかって発酵がうまくいきません。
でも、こういう中途半端な気温の範囲だと、カスピメーカーにとっても温度調節が苦手なようで、夏のように室温で自然発酵させたものと比べたらユルイ感じです。

でもこの時期だからこそ使えるワザがあります。カスピメーカーを使わなくても気温の低さを補ってくれるあるモノを利用するのです。
そしてそれはどこの家にもあります。その近くにヨーグルトの容器を置いておけば、勝手にヨーグルトができます。

そのあるものとは?
冷蔵庫です。冷蔵庫でヨーグルトを作る! 何と逆説的で甘美な響きでしょうか(殴)。
でももちろん中に入れるのではありません。庫内温度が27℃もある冷蔵庫だったら壊れています(笑)。

でどうするかというと、冷蔵庫の外、背面の熱を利用します。

最近の新しいタイプではわかりませんが、うちの古~い冷蔵庫だと、夏~初秋にかけて背面付近の温度は常時30℃以上あります。
でも夏場以外では、周囲の気温が低いのでそこまで上がりませんが、今日のように最高気温が25度以上あると、まだ冷蔵庫の近くに置くだけで、カスピ海ヨーグルト(普通のヨーグルトはもっと高い温度が要るので無理です)は作れます。

で、早速作業開始。種菌は10年以上前にフジッコで買った乾燥種菌から作ったものです。

1.まずカスピメーカーの容器に6分目ぐらいの牛乳を入れて、電子レンジで2分間予熱します。
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2.次に、冷蔵庫で保管していた種菌を、かき混ぜながら少しずつ牛乳に入れます。清潔なスプーンでまんべんなく溶かしていきます。
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3.混じりやすくなるように、事前にティースプーンで瓶の中で種菌をよくかき混ぜて、流動的になるようにします。
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4.混ぜ終わったら↓のように牛乳を足して容量調整。足すときもよくかき混ぜます。私は内蓋すれすれまで入れています。

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5.冷蔵庫の背面付近に容器を置きます。ステンレスの台で冷えないように、木の板の上に載せます。
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6.ダンボールで囲いをします。ただし↓の画像は9月ごろの様子で、今(10月7日)はもっとダンボールを丸く曲げて容器を囲むようにしています。そして上にも保温のためダンボールで覆っています。
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7.上からのぞいたら
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8.そのまま10時間ぐらい放置したら出来上がり。
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9.出来たヨーグルトの一番上の部分を清潔なスプーンでとって、熱湯消毒した清潔な容器に入れて冷蔵庫に保管。次の種菌にします。
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というわけでいたって簡単にできます。でももうじき最高気温が25度を下回るとの予報なのでこの方法も難しくなります。

まあもっと気温が下がって、カスピメーカーがしっかり保温するようになるまでのつなぎということですね。

興味がおありの方、今が今年最後のチャンスです。(笑)


さてようやく今週木曜日に月組「パック」観劇です。初演があまりにもよかったので、今回はどうなることやら。


宝塚月組『PUCK(パック)』『CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-』の感想など

本当に久しぶりの宝塚です。なにしろ前回の観劇は星組公演なので2か月もの空白。これが100周年かと思うほど足が遠のいています。(笑)

ということで久々の大劇場なので、観劇日が近づくにつれて(ひいきの組ではなくても)だんだん期待が高まってきました。

観劇当日、朝食をとりながら、いつものとおり高速道路の渋滞情報をチェック。そして画面を見て大ビックリでした。阪神高速の2か所で渋滞が発生! それもかなり長い区間です。まあとにかく少しでも早く出かけようと、あわてて車に乗り込みました。

これが悪夢の始まりでした。

高速に乗る前の25号線でもすでにいつもより車が多く、焦りながら阪神高速へ。
阪神高速松原線に入ってしばらくすると、車が増えてきて、まもなく電光表示板に「池田まで120分」の表示。別々の原因の2か所の渋滞がつながってしまって、渋滞区間がさらに長くなっています。大阪市内に入っていない段階ですでにノロノロ運転になっていたので、表示を見た時点で9時45分をまわっていました。
普段でも宝塚へは阪神高速池田線・終点からさらに15分ぐらいかかりますから、大劇場到着は開演時間を1時間も過ぎた12時になってしまいます。

それで、このまま高速道路を行ってもどうしようもないので、直近の「文の里」出口で降りて、一般道で大劇場を目指すことにしました。
といっても、文の里は大阪市の南東部ですから、最低淀川を渡るまでひたすら一般道を走らなくてはなりません。
高速を降りても、大阪市内はいつもどおりの交通量で混んでいました。でも動いているだけマシ。ナビを頼りに、祈るような気持ちでプリウスを走らせました。もう二人ともものすごいストレスです。口数も減ってきていました。

なんとか新御堂筋を経由して淀川を渡り、そこでナビで「高速優先」でルートを再検索。
池田線の豊中入口に行けとのナビの指示に従ってしばらく走ると、見慣れた豊中入口につきました。高速に入るとウソのような車の少なさ。そして中国自動車道も渋滞なしで、なんとか屋内駐車場に滑り込んだのが10時56分。
場内でトイレを済ませて、大劇場に向け車いすをフルスピードで押して、劇場入り口到着が11時3分。もちろんもう始まっていました。とてもじゃないけど本来の席(8列上手側)には行けないので、スタッフに頼んでドア横の車いす席へ。幸い二人分空いていたので、なんとか観劇できることになりました。本当にヤレヤレでした。

舞台はちょうどパックの誕生場面が終わろうとするところでした。

ということで、観劇での遅刻経験でいえば(笑)、ほぼ『イーハトーボの劇列車』と同タイミングでした。途中の車内での、焦りと絶望感(笑)も同じでした。

ということで、ようやくの感想になります。(殴) 少々ネタバレありなので、未見の方はスルーしてください。
いつものとおり画像はタカラヅカスカイステージの「Now on Stage」の録画を再生したものをデジカメで撮影したものなので画質は悪いです。(^_^;) そして敬称略です。

パックの初演はもう二昔以上も前のことですが、なんといっても涼風真世と麻乃佳世のコンビが絶品で、今でもその印象は鮮やかに残っています。(といっても、細部はほとんど覚えていなかったことが今回判明(^_^;)
で、大体いい作品は初演を超えられないというセオリーを信じる私としては、それほど出来については期待していなかったのですが、これがなかなかの佳作になっていました。リピートとまではいかないし、プログラムも買っていませんが、一度は観るべき作品としておすすめできる芝居になっていました。(説得力ないなあ。^_^;)

でまずパックの龍真咲から。
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これまでどうも私には合わない人なので、トップ就任では二作目の観劇ですが(ただ第一作のベルバラはみりお目当てでした(殴))、今回の芝居はよかったです。
芝居もこれまでと違って自然で、セリフも気にならず、歌がこれまでのドヤ歌風ではなく(殴)細やかな感情のこもった歌い方で、「へぇー、こんな歌い方もできるんや」と見直しました。役柄からかなり無言を強いられる場面が長いのですが、妖精らしくみせようと健闘していました。耳がかなり目立ちますが、涼風の時もあんなに長かったのかな。
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愛希れいかのハーミアもよかったです。がんばってセカンドサイトを持つピュアな少女になっていました。
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この人も男役トップと同様に、私にはあまり合わないなと思っていたのですが、今回は素朴で純粋な感性を持った役柄をうまく演じていて、好感度大幅アップ。
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貴族のグレイビル家ですが、没落していって衣装も普通になっていきます。結局家屋敷はナショナルトラストの管理下になっていくのでしょうね。(笑)
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でも基本的に控えめな印象の役なので、どうしてもヘレン(沙央くらま)のほうが目立っていました。
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両手に花?ですね。
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もともときれいな顔ですが、出てきたときはしばらく誰かわからなかったですね。女役がぴったりで、これならもっと早く男役に転換していたほうがよかったかもと思ったり。大体男役から変わった娘役はみんな個性がはっきりしていて成功していますからね。

今回一番目立っていたのはホテル王の息子ダニー役の美弥るりか。大体いやな奴というのはインパクトがあっておいしい役ですが、今回の芝居でも儲け役でしたね。
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くっきりはっきりな顔立ちなので、演技に説得力が増します。歌がもう少し伸びれば言うことなしです。
貴族が没落し、替わって大資本が支配するようになった世相をよく表しています。

逆に同じく貴族の御曹司・ラリー役の凪七瑠海はちょっとものたりない役。典型的な脇役で(タカラヅカでは劇中で楽器を弾いている役というのは軽い役まわりみたいな傾向が‥(笑))、あまりしどころのない役です。昔と違って貴族といっても称号だけなので実生活は普通です。
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まあ美人のヘレンと一緒になったので、最後はそれほど可哀そうでもないかも。
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ダニーと同様に目立ったのが、森番の息子・ボビーの珠城りょう。おいしい役でした。ショーでもいい出番をもらっていて、トクしていましたね。
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観ていて、劇団がかなり売り込んでいるなあという感じが強かったです。そして珠城りょうもパワフルな演技でそれにこたえていました。

芝居の設定とはべつに、個人的に気に入ったのが妖精の王オベロン役の星条海斗です。まったく余談ですが、以前に「メリー・ウィドウ」の千秋楽のスカステのニュースで見た彼女の挨拶が強烈な印象で、それ以来ずっと気になる存在です。(笑)あ、その前のベルバラの衛兵隊長の好演の印象もありますね。
とにかくその挨拶、北翔海莉に対する感謝の言葉が尋常ではなく、それにつられて北翔海莉もホロリとするほど。こんなストレートに感情を出した挨拶は初めて見ました。それで大幅に好感度アップした状態で観た今回の芝居なので、ずっとオペラで追っていました。(笑)
なんとも貫禄十分な王様です。
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今回の「パック」、全体の感想としては、やはりうまい展開で脚本・演出とも間延びのしたところもなくてさすがですが、テーマの一つである環境問題が今となっては少し鮮度が落ちているのは、時代の変化で仕方がないですね。
初演の後、同じ演出家の「ルナ」とか、他にも熱帯雨林の乱開発だとか、同じようなリゾート開発を題材とした「ステラマリス」とかがあっていささか陳腐化した題材ですが、22年前にその先鞭をつけたという点では演出家の意図は大したものです。

それと、初演では演出家がその時のトップコンビに宛書して脚本を作るので、ベストな出来になってしまい、それを超えるのは難題ですね。

あと、運動会ネタのアドリブも入って、笑いを誘っていました。

今回の観劇ではショーのほうが楽しめました。
構成はタカラヅカ定番のものですが、衣装やセットのセンスが光っていて(レーザー光線で(殴))、構成もメリハリがあってよかったです。「イメージの結晶」というコンセプトで、舞台に据えられた大きな水晶のセットが目を引きました。

ショーでは自動人形の場面と、『しずくの結晶』が印象に残りました。

ショーでも沙央くらまが目立っていて、きれいです。
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それと人形役の愛希れいかが頑張っていました。大健闘! ダンスの力量を再認識しました。
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最後に人形が人間になるかと思っていたらそうならずプチ残念。(笑)

「しずく‥」では星条海斗のソロがよかったです。その前の場面でいなかったのでどうしたのかなと思っていたら期待通り登場。安心しました。(笑)
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目立ったといえば芝居同様に珠城りょう。凪七と美弥がセット販売されるのが多いのに(殴)、珠城りょうは単品販売(笑)。一人で歌うおいしい場面が多くてトクしていました。ただちょっともう貫禄ありすぎかな。
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あとはラテンのデュエットダンスがよかったです。二人のダンスも見ごたえありで、衣装もいい出来でした。
途中の客席降りでは通路側に座ったヨメさんが何度も生徒さんにタッチしてもらって大喜び。

というわけで、恐怖の往路のトラウマも、ショーを観終わったらすっかり解消して、売店でお土産の菓子などを買う余裕もでてきました。現金なものです。(笑)

帰途はスイスイで、快調に戻れました。

久しぶりの宝塚観劇でしたが、やはりいいですね。


今月は怒涛の観劇月間で(笑)、パックの2日後には兵庫芸文センターでこまつ座『きらめく星座』を観て(よかったですよ!)、明日(10月18日)は『炎 アンサンディ』と続き、ただでさえ枯渇気味の脳内リソースがさらに底をつきそうです。でもなんとか感想をアップしたいです。

期待せず(してないしてない)、お待ち下さい。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。m(__)m














こまつ座『きらめく星座』を観て いい脚本といい演技 至福のひと時でした

前回のこまつ座観劇は『太鼓叩いて笛吹いて』でした。なので本当に久しぶりに井上ひさしの世界とご対面です。

道中は全く問題なく、余裕で劇場に。
最近すっかり定番になった、劇場近くのチェーン店のイタリアンで昼食後ロビーに戻りました。兵庫芸文センターに通うようになってわかったのは、入り具合が開場前でもロビーの様子で大体予測できることです。この日はあまり活気がなく、ちょっと苦しいかなという感じでした。

席は最前列のほぼド真ん中。パソコンで予約した成果です。(笑)
座ってから振り返ったら、やはりR・S・T・U列の左右がぽっかり空いていました。もったいないです。

ちなみに、ご存じの方も多いと思いますが、最近まで日経新聞の「私の履歴書」欄に、名誉理事の植田紳爾氏が経歴や苦労話(自慢話も(笑))を連載していました。
これがいろいろ裏話が豊富で非常に面白いのですが、ある日の話として「一般の演劇は60%入れば採算が合う。しかしタカラヅカはその採算ラインは80%。なぜなら衣装とかの経費が豪華で経費が掛かっているから」といった意味のことを書いていました。

それでいうと今回のこまつ座公演はなんとかOKだったのでしょうが、そんな下世話な話は別にして、今回の「きらめく星座」は非常に面白くてしかも考えさせられる題材だったので、もっと多くの人に観てもらいたかったですね。

それと、タカラヅカでいえば、ここ数年でもその採算ラインのクリアが厳しそうな公演もけっこうあったので、歌劇団も大変だと思いましたね。植田紳爾氏自身が、駆け出しのころ不入りな舞台を担当して、苦境に立った体験を書いていて面白かったです。
演出家も本当に大変です。この連載、他にもいろいろ裏話があるので、タカラヅカファンでまだ読まれていない方はぜひ読んでみてください。

話が脱線しましたが、この『きらめく星座』は本当にいい舞台でした。帰宅してヨメさんと話して、これまでの井上ひさしの作品の中では初見の『黙阿弥オペラ』に次ぐ出来ということで一致しました。

それではいつもの散漫で薄い感想です。

話は『闇に咲く花』『雪やこんこん』とともに作者自身が『昭和庶民伝三部作』としている作品です。ストーリーは次第に戦時色を強める時代に、敵性音楽としてジャズなどが禁止されてレコードが叩き割られるような世相の中で、明るく暮らすレコード店の家族を描いています。

演出担当の栗山民也が
『‥日本を含めた世界中が諍いのきな臭い空気をただようこの時期に再び上演することになるとは、今の時代に求められた作品なのかもしれない』と記しているように、本当に時代に警鐘を鳴らすタイムリーな内容ですが、そんな固い題材でも井上ひさしは見事に楽しめる作品として私たちの前に提示してくれています。

本当にいつもの『むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに』という井上ひさしの口癖がそのまま作品化されていました。

それと印象的だったのは、当局に外国かぶれの敵性音楽とか、内容が退廃的・思想上不穏などとして禁止された音楽のきれいなこと。
中でも公演のタイトルである『燦めく星座』は耳に残る名曲ですが、それすら歌詞に陸軍の象徴である「星」を軽々しく使ったとして問題視され、レコード会社の代表は出頭させられて厳重な訓戒を受けたとのことです。こうなるともう言いがかりとしか言えないです。

でもこういう極端に振れる風潮が過去のことではなく、現在のヘイトスピーチの横行や、「特定秘密保護法」などに代表される「戦前レジームへの回帰」を目指す危うい政治とつながっているように思えて仕方がありません。

それはさておき、印象に残った順で出演者ごとに感想です。敬称略です。

今回の舞台で一番目立つ好演技だったのが秋山菜津子。
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レコード店「オデオン堂」の主人小笠原信吉の妻・ふじ役です。ふじは以前松竹少女歌劇団に所属、歌手を経験した後オデオン堂の後妻になります。
秋山菜津子は以前のこまつ座の「キネマの天地」や「藪原検校」の「お市」役で出演していたのを観ていますが、今回がベストだと思いました。いい役者さんです。

とにかく小笠原家はふじで回っています。芯が強く明るくポジティブな性格で、一家を襲ういろいろな出来事に対処していきます。
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台詞も歌もいうことなしです。義理の息子が応召するも脱走し、一家は憲兵に付きまとわれますが、そんな中でも気丈にふるまって苦境をしのいでいきます。そんなふじを過不足ない演技で造り上げています。途中の歌もよかったです。この人の舞台、また機会があれば観たいですね。

その夫・信吉役は久保酎吉。
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かなりふじとは年齢差があり、もう老境にさしかかっていて、性格も穏やかでいかにも好々爺です。どちらかといえばハデな経歴のふじとの関わりがナゾで、観ていて「この二人、なぜ一緒になったのかな」という疑念が付きまといますが(笑)、そんなわけアリの年の差婚の夫婦というのが逆に話にリアリティを与えています。世間にはそういう組み合わせがナゾな夫婦がかなりいますからね。(笑)

久保酎吉は手堅い演技を買われていろいろな舞台に出ています。私たちも『祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹~』とか『しゃばけ』、『それからのブンとフン』などでおなじみの役者さんです。今回の信吉も、目立たない役ながらしっかりとした存在感があって好感が持てました。
とても演技とは思えない自然さが光っていました。

長男・正一役は、本来田代万里夫が演じる予定でしたが、突然の怪我で急きょ峰崎亮介が代役することになったものです。
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でも彼はがんばって正一役をよく務めていていました。私は休憩時に買ったプログラムに挟まれていた「キャスト変更について」を見るまでは代役とは全く知りませんでした。
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しかし急な代役とは思えないいい出来で、素朴で純粋で一途な青年がピッタリ。全く違和感なく観られました。まだ全くの新人ですが、しっかりした演技と滑舌のいいセリフで先が楽しみです。

今回の公演で再見できてうれしかったのが長女みさを役の深谷美歩。
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頭痛肩こり樋口一葉』で一葉の妹・樋口邦子を絶妙の演技で好演していたので、今回楽しみにしていましたが、予想通りの出来栄えでした。よかったです。
前回「頭痛肩こり樋口一葉」の感想で私は、
「すっきり明快で耳に心地よく聞こえるセリフがまず印象的。それと、抑えた中にも芯の通った安定した演技が光っていました。姉を慕い、世間体を優先して家計を顧みない母・多喜にも辛抱強く従う邦子を自然体で好演。」と書いていますが、今回のみさをも似たような印象の女性でした。
今回も一家に降りかかった非国民という非難をかわすために進んで一家の犠牲になるみさをです。
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どうも井上ひさしはこういう「健気で、おとなしいけど芯のあるやさしい女性」というのがお気に入りなようですね。よく登場します。で私も、思わずそれに共感してしまったり。(笑)

みさをの夫となるのが傷痍軍人・高杉源次郎役の山西惇。
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この人も「相棒」シリーズなどテレビドラマでも活躍しているのでご存知の方も多いと思いますが、私も最近の『象』や『それからのブンとフン』などの舞台で観ていたので、安心の配役でした。
ガチガチの軍人ですが、まったく世界観の違う「オデオン堂」に来て、最初はギクシャクしながら次第になじんでいきます。そんな内面の変化の過程をよく演じていました。

小笠原家の人々とまったく異なる人物といえば、憲兵伍長・権藤三郎役の木村靖司。
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まじめで職務に熱心な憲兵です。出てきたとき思わず緊張しました。(笑)
脱走兵の正一の行方を追って頻繁にオデオン堂に顔を出します。でも強面の憲兵でありながら、どこか憎めないところがあって、まったくの悪役ではないのが井上ひさし流。この人はこれまで舞台ではお目にかかっていませんが、いい役者さんでした。
そういえば今回の芝居にも悪人は出てこないですね。

紹介が遅れましたが、うまい役者さんといえばなんといっても『キネマの天地』『太鼓たたいて笛吹いて』でおなじみの木場勝己。
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今回は広告代理店?で宣伝文句を作る仕事をしている竹田慶介を演じています。どうして小笠原家に出入りするようになったのか忘れましたが(殴)、昔はこういう、なんでその家に出入りするようになったか分らない人がいたりする穏やかな人間関係がありましたね。

今回の舞台で音楽を担当しているのが居候の森本忠夫役の後藤浩明。
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普段の演劇へのかかわりは作曲・演奏・音楽監督としてが中心だそうですが、今回は登場人物を兼ねながら、芝居の中で使われている歌謡曲やジャズのピアノ演奏も務めていて、楽しそうでした。

出番は少ないながら、防共護国団団員甲と電報配達の若者役の今泉薫や、同じく防共護国団団員乙と魚屋の店員役の長谷川直紀もそれぞれよくやっていました。

舞台は真珠湾攻撃が始まる直前で終わります。出演者全員が防毒マスクを付ける場面で幕となります。その幕切れが、その後の小笠原家をはじめすべての登場人物の運命を、観客が歴史上の事実を重ねながら、いろいろ想い描く余韻を作っています。

終わってみれば観客全員がスタンディングオベーション。舞台と観客席が一体となって井上作品を楽しめた証でした。よかったです。人物描写のしっかりしたよくできた脚本と、作者を熟知した手慣れた演出、そして芸達者の役者ぞろいで、こまつ座の芝居の醍醐味を味わえた至福の時間でした。

基本的に喜劇ですが、笑いながらもいろいろな思いに駆られる舞台でした。未見の方は機会があればぜひご覧ください。
おすすめです






兵庫芸文センターで「炎 アンサンディ」を観て 

このところ、クアッドコプタ・Phantom2にスッポリはまってしまって、暇を見ては飛ばしに行く始末。(殴)

なのでただでさえ遅いブログの更新がさらに滞っていますが、この辺でちょっとPhantom2のほうは休憩して、たまった観劇感想を書いていきます。m(__)m
その第一弾が兵庫芸文センターで観た『炎 アンサンディ』です。

題名がその前に観た『炎立つ』と似ているのでチケットを申し込んだ時点ではややこしかったのですが、当然内容は全く別物。

こちらの舞台はカナダ・モントリオールとレバノン。始まりはモントリオールからで、突然の母の死を前にして、双子の姉弟がそれぞれに託された母の遺言の中に込められた願いをかなえるため、母の祖国レバノンを訪れるという展開です。

姉弟それぞれの話を追っていくうちに、次第に明らかにされていく衝撃的な事実(まるで映画の安っぽい宣伝文句みたいですが^_^;)。
まあなんというか、ギリシャ悲劇のようで、最初のほうの芝居で若い二人がかわす現代風な会話から受ける舞台の印象が、途中からガラっと変わっていきます。内戦のレバノンでの深刻な抗争の中で展開される悲劇が重いです。

ギリシャ悲劇風であり、また謎解きのサスペンス風でもあるこの芝居、観ていくうちに「あれ、これどこかで見たような話だな」と思い始めました。それも最近見たような感じです。心の隅でどこで見たのかなと自問しながら舞台に見入っていました。

で、幕間にヨメさんにそのことをいうと「何言うてんの!この間見た『灼熱の魂』やんか。もう忘れたん?」
そうですね。WOWOWで見ていました。2010年のカナダ映画です。その時も見ながら「これギリシャ悲劇みたいやね」とか言っていたのも思い出しました。ちなみに劇の題名のアンサンディとは映画の原題「Incendies(火災とか火事の意味)」からとっているようですね。

でも映画と芝居ではストーリーは同じでも、また別の味わいがあります。映像に頼らない分、芝居のほうが直に感覚に伝わってきます。
なんといってもよく組み立てられた脚本で、重厚な中にもスリリングな展開がすごいです。

ということで、個別の感想です。いつものとおり敬称略です。

まず母親ナワル役の麻実れい。
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今回の舞台では座長芝居という感じでした。この舞台の素晴らしさは彼女の渾身の演技に負うところが大きいです。長年の麻実れいウォッチャーなヨメさんも、今回の舞台が一番よかったというほどの出来。
それぐらい力の入った演技でした。初演のフランス版では3人の女優が演じ分けたというタイムスパンの長い話ですが、それをセリフの声のトーンを巧みに変えたり、微妙に身のこなしを演じ分けたりして年齢の違いを表現していました。
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いつまでも衰えを見せない彼女の力量と努力に感心しました。

次に眼を引いたのがニハッドの岡本健一。
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初めてお目にかかりましたが、パンフレットの経歴を見たら、芸歴が豊富で、舞台では蜷川の『タイタス・アンドロニカス』にも出ていたようですね。麻実れいともそこで共演していますね。
でも私は当時ヨメさんに誘われてその舞台を観ていますが、全然記憶にありません。^_^;
しかし今回はしっかりと観られました。(笑) 寝なかったし。(殴)
台詞がちょっとジャニーズ事務所らしい風味が感じもしますが、演技はしっかりしていて大した役者ぶりです。しかも劇中で医師やガイドや墓地管理人や老人、ナワルの最初の恋人役など何役も務めていて大奮闘。よく台詞が回るものだと感心しました。

双子の姉弟のジャンヌを栗田桃子、シモンを小柳 友が演じています。
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この二人も複数の役を演じていて、栗田桃子はなんとナワルの祖母ナジーラも演じ、小柳 友も民兵を演じるなど頑張っていました。
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現代の若者が次第に変わっていく様子がよく演じられていて、好感度大な感想となりました。

まあ兼務といえばなんといっても中村彰男が頑張っていました。
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元看護士のアントワーヌに加えてシモンのボクシングコーチ・ラルフ、ナワルの故郷の村の長老、学校の門番、抵抗勢力のリーダー、産婆!、戦争写真家と大活躍。それも同じ役者とは到底思えないほどうまく演じ分けていて、すっかり騙されました。(笑)
演技に説得力があって大したものです。

ナワルの母ナジーラとナワルの友人サウダを演じたのが那須佐代子。
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渾身の怒りと悲しみ、魂の叫びをぶつける演技に圧倒されました。

中嶋しゅうの公証人エルミルはちょっと物足りない感想になりました。
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この人は、最近観た『おそるべき親たち』でも感じたのですが、割と存在感が薄いユルイ演技が持ち味?でしょうか、ちょっと私としては残念感のある役者さんです。
似たような残念感は、こまつ座の『藪原検校』で狂言回し役を務めた浅野和之にも感じました。

繰り返しになりますが、今回の舞台はなにより麻実れいが久しぶりに全力投球したいい作品になっていて、見ごたえ十分でした。その渾身の演技に呼応して他の役者さんもいい演技で、最後は全員総立ちで拍手。
しかもこの日が大千秋楽とあって、終演後担当プロデューサーが司会して、演出の上村聡史と麻実れい、岡本健一によるアフタートークもあり、大満足。この演出家にも今後注目したいですね。

予想以上の大作で、心地よい余韻を味わいながら、帰途につきました。いい一日でした。

さて次は今回の『炎 アンサンディ』と並ぶ今年の収穫といえそうな『鷗外の怪談』の感想です。頑張らないと。

さらに明日11月13日は久しぶりのタカラヅカ観劇です。どんな出来になっているでしょうか。




兵庫芸術文化センターで『鴎外の怪談』を観て 今年の観劇ベスト作品候補です!

最近、ひんぱんに兵庫芸文センターに通っていますが、11月8日(土)もここで二兎社公演『鴎外の怪談』観劇でした。
近頃よく渋滞する阪神高速ですが、幸いこの日は渋滞も大したことなく、1時間余りで到着。
いつもの障碍者スペースに駐車して、これまた最近定番の劇場近くのお手軽イタリアンで昼食を済ませて阪急中ホールへ。

今回も先行予約のおかげで最前列の良席が確保できました。最近ずっとこういう席すが、やはり臨場感がすごいです。クセになります。(笑)
舞台のセットは最近にないリアルな出来で、感心しました。後日劇場で買ったパンフレットを見ていたら、裏表紙に鴎外の旧宅の図面が掲載されていました。その図面と舞台セットが同じなので再度感心しました。12畳の洋間です。今回の芝居はすべてここで行われます。

ということで、いつもの薄味な感想です。例によって敬称略。画像はパンフレットから。

まず鴎外役の金田明夫。
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初めて舞台で観ましたが、小柄な人ですね。でも味のある演技で、鴎外とはこういう人物だったろうなと思わせる説得力がありました。
写真で見る鴎外は取り澄ましていて冷たい感じですが、実際はこんな人物だったかもと思ってしまう説得力がありました。

でその鴎外ですが、動揺常なきインテリです。
後妻と姑の苛烈な対立に悩み、また親友の元陸軍軍医・賀古(もう俗物もいいところで、なぜ付き合っているのか疑問)との交遊の一方で、その対極というべき雑誌「スバル」の編集人で大逆事件の弁護人・平出修とも付き合っているという矛盾した存在です。さらに若き日の永井荷風とも文学を論じ合うという、複雑な人間関係の中で生活しています。

こういう複雑で、まあ二股膏薬というか、ジキルとハイドというか、鵺のような存在の鴎外を、金田明夫は時にコミカルに時にはシリアスに丁寧に演じていました。いい役者さんですね。
そういえば昔鴎外の墓を見たことがありますが、大正デモクラシーを象徴する素朴で飾らないいい墓石でした。

本当に鴎外の交遊関係は複雑です。
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芝居を観ながら、森鴎外とはどういう人物だったのか、考えさせられました。
当時の軍医の最高位・軍医総監まで上り詰めながら、一方ではドイツ留学を契機に西欧の文学や、当時の最新の自由思想に触れて日本に紹介したり、それらをもとに次々と文学作品を発表。でも「ヰタ・セクスアリス」が風紀を乱すということで発禁処分を受けたりしています。
でも常識に囚われない進歩派だったかというと、留学中に知り合ったドイツ女性が、彼を追ってはるばる日本まできたのに冷たく追い返すという仕打ち。その一方で大逆事件で不当逮捕された人々の弁護にも手を貸すという二面性がナゾですね。まさに「鴎外の怪談」です。

その鴎外の後妻・森しげ役は水崎綾女。
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最初セットの廊下での台詞がやや聞き取りにくい感じだったので心配しましたが、その後の芝居では文句なしに聞き取りやすいセリフで安心しました。まだ若くて舞台経験も多くはなさそうですが、底意地の悪い姑の露骨な嫁いびりと互角に渡り合って大したものです。(笑)
きれいな容貌ですが、パンフレットの写真では実物のほうがさらに美人なようです。(殴)
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写真の説明にもあるように、文筆活動にも携わるなど才色兼備で気の強い女性だったとか。しかし鴎外もかなり面食いですね。

雑誌の編集者で文筆活動でも知られて、さらに弁護士の平出修役は内田朝陽。長身で、舞台のセットが窮屈そうです。
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平出 修は鴎外から、当時強まっていた西欧思想の排撃と言論統制で入手難になっていたプレハーノフやクロポトキンの本を借りて読むなどして、新しい西欧思想をどん欲に取り入れようとしています。
このあたりの場面には、演出家の、現在の日本の偏狭な国粋主義の風潮や、「特定秘密保護法」をはじめとする安倍政権の危険な動向に対する鋭い批判が込められていますね。
内田朝陽の平出 修は、大逆事件の被告を何とかして救おうと弁護に四苦八苦する姿をよく演じていました。
実際の裁判での平出の弁論は裁判の不当性をいろんな角度から指弾していて、死刑の不当判決を受けた被告たちの唯一の救いになったとか。被告たちの獄中からの手紙にはどれも平出の弁論に対する感謝が綴られていたそうです。森鴎外がその弁論構成に一役買ったというのは史実でしょうか。

一方当時の文化の最先端を行っていたのが永井荷風。佐藤祐基が演じています。
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彼も内田ほどできないですが長身です。なかなかのイケメン。演技も他の俳優同様安定していました。
私は知らなかったのですが、永井荷風はアメリカやフランスに留学するなど、時代の最先端のキザな生活を送っていて、後年の作品などから受ける私の作家の印象とは大きく異なっています。同じ海外留学経験のゆえか、荷風は鴎外の屋敷によく出入りしていたとか。

この芝居で一番インパクトのあった登場人物が、鴎外の母・森 峰役の大方斐紗子。
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もう100年の時空を超えて森 峰が蘇ってきて、大方斐紗子に憑りついたとしか思えないほどのリアルさ。意地悪さが演技とは思えません。いやほめてます。
ただし、史実では鴎外にしげとの再婚を勧めたのが峰だったりするので、複雑です。

本当に大方斐紗子は完璧な演技と台詞です。骨の髄まで憎々しいです。
この人、歌唱力にも定評があり、シャンソン・コンサート『エディット・ピアフに捧ぐ』をライフワークとしているとか。機会があればぜひ聴いてみたいですね。

リアルといえば賀古鶴所役の若松武史もなりきっていました。
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もう絶対いますね、こういう人物。俗っぽく計算づくで、上の顔色ばかりうかがっていて、常識から一歩も出ない人生観の持ち主。

でもそういう人物と、開明的な西洋思想に触れた経験のある鴎外とが親友関係にあるのがナゾです。これも怪談です。

若松武史はうまい役者さんですね。一つ一つの表情・セリフ・仕草から、嫌な奴のオーラが満ち満ちています。
感心しました。

今回の芝居で脚本の妙といえるのが、女中・スエ。演じているのが高柳絢子。
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スエは架空の人物ですが、これがなかなかのツボでした。
はじめのうちは、よくシリアスな芝居で設定される笑いを取るための癒し系というか、息抜きの役かと思っていたのですが、これが実はプチ・ドンデン返しな役。
まだ公演日程がありますのでこれ以上は書かないことにしますが、キーワードは大石誠之助です。
脚本・演出の永井 愛の大石誠之助に対する想いがスエという形で表現されているのだと思いますが、この設定、大好きです。私も大石誠之助について少し調べたこともあるので、こういう形で紹介されたのがうれしかったですね。
で、高柳絢子はこの意外な展開の役をうまく演じていて、観劇中から好感度極大。まだ若いけど、いい持ち味のある役者さんです。


ということで、今回は二兎社も、脚本・演出の永井愛も初めてなら、登場人物もみんな初めて観た役者さんばかり。
そして題名からしてどんな話なのかまったく見当がつかない観劇でしたが、すべてが満点。よかったです。

こまつ座とはまた違った味わいがあり、ぜひまた二兎社や永井愛の作品を観てみたいと思いました。

この公演、12月11日の北海道たかすメロディーホールまで全国ツアーが行われています。ぜひご覧ください。おすすめです。



さて次は宙組「白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』『PHOENIX 宝塚!! ―蘇る愛―』の感想です。
芝居のほうは、これまたいい舞台でした。さすが原田 諒先生です。

遅い更新ですが、またアップしたらご覧になってください。



宙組公演『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』 を観て

11月13日(木)に大劇場で宙組公演『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』『PHOENIX 宝塚!! ―蘇る愛―』を観てきました。
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PUCK以来で久しぶりの宝塚でしたが、大劇場の門まで車いすを押して行ったら、劇場の正面玄関横は高校生の大軍団。これまでも修学旅行らしい高校生の団体が観劇しているのに出くわしたことがありますが、今回はその人数が半端ではありません。劇場内でも二階席だけではなく一階まで座っていて、そのあおりで平日なのに立ち見が出るほど。
まあ将来のヅカファンを育成するために、高校生の団体観劇は劇団にとっても重要ですね。
そのほか一般の団体客も多く、盛況でした。

最近私たちの宙組への期待度は大幅に低下していて、「まあトップの退団公演だし、観ておこうか」程度の低いテンションでの観劇でした。ですが、観終えてみればこれが予期しなかった(殴)良作。
キャパ(これはスカステで放映されたものを観ただけですが)やモンテクリスト伯と同じかそれ以上のいい作品でした。

同じく退団公演の出来といえば、雪組の「『一夢庵風流記 前田慶次』も同様にいい作品でしたが、今回の作品も芝居の面白さを満喫できました。
基本的に厳しい鍛錬を経て生徒の伎倆レベルが高いタカラヅカでは、脚本の出来が公演の良否を左右する最大の要素ですが、今回の作品は完成度が高く、久しぶりに「リピートしてもいいね」と二人で話したほど。(チケ難でとても無理ですが‥)
原田センセイの脚本、大したものです。やはり宝塚(に限らず舞台全般ですが)は脚本の出来がすべてですね。

ということでまず全体の感想です。いつものとおり敬称略。なお画像は当日購入した公演プログラムのスキャン画像と、スカステで放映されたNow on Stageから切り出したものです。

出だしはよくある回想シーンと思ったら、そうではなくて幼少期の主人公グスタフとその幼馴染ヤコブのエピソードで、これが二人の未来の関係を暗示しいてます。この二人の関係がストーリー全体の縦糸となっています。

パリでの生活と、伯爵夫人(伶美うららがきれいです)との関係、パリで当時湧き起っていた自由主義思想に影響されたり、絶対王制に対する疑問を抱いたりしたあと、前王の死と急きょ即位する過程、そこでの王権を巡る暗闘と即位後の政略結婚、そして大国ロシアとの海戦での勝利。
まあこういう筋書きで結構ハイテンポで話が進んで、結局それでめでたしめでたしかと思ったら、それはあくまで話の前半。そこから話のトーンは暗転し、最後はグスタフの非業の死。こういう構成は映画「アラビアのロレンス」みたいです。

まあとても二本物とは思えない話の展開で、大海戦で勝利して大国ロシアとの和解で終わるとばかり思っていた私が浅はかでしたね。でもまあ短時間なのによく話を詰め込んだものだと感心しました。
ただ、やはり時間の関係で話が端折られた個所もいくつかあったので、本来ならじっくり一本物として造り上げてほしかったところですね。このあたり、『一夢庵風流記 前田慶次』でも感じたことですが、サヨナラ公演なので仕方がないか。

しかしショーのほうはちょっといただけない出来でした。
雪組の退団公演同様、今回のショーもサヨナラショーになっていましたが、フェニックスにこだわりすぎてどの場面も同じような印象になって単調・平板。藤井大介の作品としてはガッカリな結果となりました。

それでは芝居のほうから、個別の感想です。

まずグスタフIII世の凰稀かなめ。
プログラム表紙です↓
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実際のグスタフIII世はなかなか全体像を捉えるのが難しい複雑な人物ですね。

パリに遊学して当時の自由主義思想に触れたかと思うと、即位後は絶対王政を復活させたり、軍事的冒険主義の傾向があって戦争をよく仕掛けています。ただ、王制を強化したものの農民や市民から強い支持があったりと、複雑な時代に生きたユニークな人物のようです。まあいわゆる啓蒙君主の一人ですね。
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こういう多面的な才能を持ち、単純には括れない複雑な人物は凰稀かなめによくあっていると思います。実際演出家は宛書したと言っていますね。
憂いのある表情が生きています。
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歌のほうも、今回は以前のスカステのベルバラ公演関連ニュースで聞いてしまった破壊的な歌(殴)ではなく、ちゃんとした歌として聞くことが出来ました。(笑)
ベルバラとか「風と共に‥」が彼女に合っていなかったということですね。
演技は思うところが多く、深謀遠慮、懐の深い人物らしい演技で、本当にキャパやモンテクリスト以来久しぶりに見るいい出来でした。退団公演がいい作品になってよかったです。
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でも私の記憶では凰稀かなめのトップ作品には娘トップとの大恋愛ものというのがなかったと思いますが、今回も微妙な感じの夫婦(笑)でした。そもそもが絵に描いたような政略結婚なので、お互いに不本意極まりない気持ちで結婚。
グスタフの心はココにありみたいな感じで↓
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私は観ながら「これは実際のトップコンビの関係を宛書したのかな」などと思ったりしましたが(殴)、もちろんそんなことはなくて(と思いたい)、ソフィア・マグダレーナ・ア・ダンマルク(デンマーク王女)の実咲凜音はひそかに礼拝堂で夫の戦勝祈願したりしています。

でも、この観劇後スカステでNow on Stageを観ましたが、やはりなんともいえない微妙なトップコンビでしたね。
凰稀かなめは実咲凜音が話しているときは視線をそらしてほとんど笑顔を見せないし、実咲凜音も凰稀かなめを慕うようなそぶりをあまり見せずに自分の意見を語るという感じです。(笑)
そんな凰稀かなめを慮って、同席した出演者も微妙な距離を保って実咲凜音の話を聞いていたり。
他の組の同様の番組での様子と比べて、かな~り冷めた感じがそこはかとなく漂ってきます。
ええ、これはあくまで私たち夫婦の感想ですが。
史実ではこのグスタフグスタフIII世、女性関係では淡泊だったということです。それも原田センセイが題材に取り上げた理由だったりして。(殴)

それはさておき(それだけ言ってさておく?)、そのソフィア・マグダレーナ・ア・ダンマルクの実咲凜音です。
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今回の公演ではショーもですが、歌ウマぶりをいかんなく発揮する場面がとりわけ多く、目立っていました。

もともと細かったのにさらに体を絞っていて、ウエストのあまりの細さにビックリしました。ただほおがこけて見えるので、痛々しくあまりいい感じはしないですが。大体痩せた女性は好みではないし。(殴)

先に言ったように主人公と感情が交差する場面が少ない、しどころのない役で気の毒ですが、それでもいい夫婦に見えるように(笑)頑張っていました。

今回の芝居でのキーパーソンは、同じく退団する緒月遠麻の貴族ヤコブ・ヨハン・アンカーストレムです。 おいしい役で、特に後半に見せる暗い表情が異様に目立ちました。迫力があります。戦勝に沸き立つ国中で一人沈む彼の姿に目が離せなかったですね。
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ただ、やはり時間が足りず、彼の苦悩と離反の理由がもひとつ説明不足。幼馴染の関係から次第に離反していく心境の変化が描かれていたらもっと厚みのある舞台になっていたと思います。
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それにしても、安定した陰影豊かな演技でこれまでいろいろな役をこなしてきた緒月遠麻。
退団がもったいないですね。専科入りしてでも残ってほしかったですね。ヨメさんもしきりに同じことを言っています。
もう残念の一言。

そしてカール・ポンタス・リリホルン(スウェーデン近衛士官長)を演じるのが次期トップ朝夏まなとです。
退団する二人が絡む芝居なのでワリを喰って軽めの役ですが、初めは敵対する陣営に組してその手先となりながら、やがてグスタフの赦しを得て本来の職務で忠誠を尽くすというわかりやすい役柄(笑)で、なにより歌唱力が文句なしで、登場するたびにホッと安心したり。
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その、グスタフに敵対する貴族の元締めなのが大臣・クランツ役の寿つかさ。憎々しい根性の曲がった悪役です。面従腹背、利権を守るために手段を選ばない悪人ぶりがリアル。軽妙な役でもいい味を出していましたが、今回の敵役もなかなか。
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おいしい役といえば農民出の山賊稼業のニルスが七海ひろき。
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宮殿に忍び込んで農民たちの窮状を直訴したり、のちに軍人に取り立ててもらったりといい役回りです。あともう少し歌に進歩がほしいですね。

冒頭の子どもたちの撫育官テッシンが専科の汝鳥伶。定番の包容力のある温かな人柄がよく出ていました。
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先に書いたグスタフの初恋の人・エグモント伯爵夫人(イザベル)の伶美うららは透明感のある上品な美貌が目を引きます。
同じような絵ばかりですが↓
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この人ももっと歌唱力で伸びてくれれば無敵の娘役だと思いますね。

そして最後に、今回一番印象に残ったのがエカテリーナ女王の純矢ちとせでした。
画像がないのが残念ですが、貫録十分でしかも気品も威厳もあり、最初は「あれ、誰かな、もしかして専科?」と思ったほどの堂々とした演技。大したものです。

というわけで、芝居のほうは時間の制約で話が十分展開しきれていないきらいはあるものの、よく組み立てられた構成で、退団公演にふさわしい秀作になっていました。原田センセイ、今後がますます期待できます。

で、ショーのほうですが、凰稀かなめの「鳳」からフェニックスとなって、不死鳥伝説がテーマになっています。
でも肝心の場面の展開が変化に乏しくて(あくまで私の感想です)、つい睡魔が襲ってきてコックリとな。(殴)それをヨメさんに目ざとく見つけられたりして。
まるで星組の『ジャポニズム 序破急‥』のときのようでした。
ちょっと期待はずれでしたね。同じサヨナラショー的な作り方でも先の雪組のほうがいい出来だと思いました。

でも凰稀かなめは驚きの超長大なマントをまとってがんばっていました。平板な構成とはいえ、各場面では持ち前の大人のトップスターの魅力がひときわ輝くショーでした。
「伝説の宝鳥」では怪盗カナメールが七変化以上の化け方で見せてくれます。

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緒月遠麻も当然見せ場がたくさんで、
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刑事キタロールが笑わせてくれます。
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でもなんとしても惜しい!!

途中若手も出てきて揃い踏み
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朝夏まなとはサラマンダーの場面ではダンスを頑張っていました。
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そしてめでたく新旧バトンタッチ↓
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最後はお約束の黒燕尾軍団です
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そしてデュエットダンス
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フィナーレのパレードは意表を突くダブルエトワール!でした。まあ歌ウマをそろえて、次期トップお披露目も兼ねていて、納得でしたが。

というわけで、今回も長々と書いてきましたが、ここまで辛抱強くご覧いただき(笑)、ありがとうございました。

私たちの今年のタカラヅカ観劇はこれで終了です。来年はルパンから。果たしてどうなりますやら。

そして一般の観劇も、昨日11/30の兵庫芸文センター中ホールでの『familia -4月25日誕生の日-』(主演:大空祐飛)が最後でした。久しぶり~な大空祐飛でしたが、その感想はまた後日アップします。

興味がおありでしたらまたみてください。




兵庫芸文センターで『familia~4月25日誕生の日~』を観て

11/30(日) 兵庫芸文センターで大空祐飛主演の『familia~4月25日誕生の日~』を観てきました。退団以来久しぶりの大空祐飛さんの舞台で、演出・振付・作詞/謝 珠栄ということもあって大いに期待して出かけました。以下少々ネタバレアリ、そして大絶賛!!モードではないどころか最近にない辛口感想なので、これから観劇予定の方はスルーしたほうが吉です。

日曜日の11時公演とまるで宝塚大劇場みたいな日程ですが、2回公演なのでこうなったのでしょう。なので昼食は公演が終わってから。
この日と前日の土曜日はどういうわけか高速道路はどこもガラすき。ラッキーでした。ちょうど1時間で兵庫芸文センター地下駐車場に到着。しかし、今年はよく通いましたね。今回を入れると7回も。
劇場前のホールに行くと、すでにたくさんの観客でにぎわっていました。退団してかなりたっているのに、大空祐飛ファンらしい多くの女性客のグループがあちこちに集まっていました。最近にない活気です。そして開場10分前にはもう長蛇の列。
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大した動員力です。

花もたくさん飾られていました。
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さて、まず全体の感想です。

最初に書きましたが、私たちは今回の公演が謝珠栄作品ということで大いに期待していました。

で、感想の結論ですが、大空祐飛をはじめ出演者全員がんばっていました。でもその熱演にもかかわらず、かなり期待はずれなものになりました。その原因はプアーな脚本。芝居が始まって、観劇しながら、あれ、これがホントにあの謝 珠栄?の脚本?という疑問が湧いてきました。
とにかく話が薄い。演劇の脚本としては今年観たなかでは一番の不出来だと思いました。

あらすじは公式サイトに紹介されていますが、こうなっています。↓
TSミュージカルファンデーション familia~4月25日誕生の日~ 公演情報
1973年、ポルトガル。
独裁政権から続く圧政により、アフリカでの植民地戦争は凄惨を極め、人々は自由な思想や言論を奪 われ続けていた。
そんな民衆の姿が、親の顔も知らず孤児として生きてきたエヴァの目にはまるで、悲しみを抱えなが らも黙って耐える子供達の様に映る。
置き去りにしたままの過去から目を背け生きていくことは、自分も反発を忘れた民衆と同じだと思い、不安な気持ちを奮い立たせ、エヴァは自分を捨てた両親を探す為に首都リスボンへと向かう。
そこで出会ったのは陸軍少佐のフェルナンドと、革命派に身を投じた幼馴染、アリソンだった。
やがてラヂオから聞こえるファドの調べにのせて、エヴァと二人の人生は大きく交錯する。
そして1974年4月25日、“リスボンの春”が訪れる。ポルトガルの革命と共に、エヴァは自らの運命に立ち向かうのだった......。
それで、幕間の休憩時間に急いで公演パンフレットを確認したら、なんと脚本/斎藤 栄作とな!
謝 珠栄さんは演出・振付・作詞担当ということでした。^_^;

それでまあ納得、は出来ないけど納得。

芝居は上記の引用のように、ポルトガルで40年以上続いたアントニオ・サラザールとその後継者マルセロ・カエターノによる独裁体制を倒した「カーネーション革命」を背景に、大空祐飛演じる主人公エヴァが、見知らぬ両親を求めてリスボンでその行方を探すというものです。
話としてはあの「炎 アンサンディ」にも通じるものがありますが、出来は大違い。そういえば、両作品とも宝塚出身女優が主演というところも同じですね。

でも「炎‥」のほうは、母の過去の世界を姉弟がたどっていくなかで、それぞれの登場人物との関わりを通して、一人の人間としての母と、母の生きた時代そのもの、そしてその子である姉弟の衝撃のルーツが見事に明らかにされていきました。映画でもすごいと思いましたが、舞台ではまた違ったものに仕上がっていて、見ごたえ十分でした。

それに対して、今回の「ファミリア‥」では、革命前夜のポルトガルの状況が劇を通して描き出されるのではなく、その断片だけで、それもほとんどが説明台詞に頼っていて、それでも足らずに各場面で登場人物に狂言回しをさせたりと、脚本の仕上がりでは雲泥の差がありました。
こんなふうにすべて台詞で説明してしまったら紙芝居になってしまいますね。
そして話としても、孤児が3人も出てくるとか安易なご都合主義で、途中から結末が予測出来てしまうなど、芝居の面白さが感じられなかったのは残念としか言いようがありません。

そもそも長期にわたる独裁政権のもとで、その政治的腐敗や、それに対する民衆の怒り、植民地政策をめぐる軍内部での対立と抗争など、芝居として格好の材料が豊富にあるのに、通り一遍の説明的な描き方になっています。このあたり、よく謝珠栄サンがゴーサイン出したものだとおもったほど。

というわけで全体としては残念な結果でしたが、これは脚本の問題なので、以下主な出演者ごとに感想を書いてみます。
例によって敬称略。画像は公演パンフレットから部分引用しています。

まずは主人公エヴァの大空祐飛。
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うまく俗世界に馴染んでちゃんと女優していますね~(殴)。
宝塚を退団すると聞いたとき、そんな姿が想像できなかった(殴)ので、舞台に登場したとき、本当に新鮮な感じでした。
完璧に女優しています!

退団公演以来久しぶりの舞台姿を間近(B列でしたからね)に観て、結構メリハリの効いたナイスなスタイルやな(殴)とか、あらぬことを考えていました。(笑)
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台詞も聞きやすくいい声で、演技も在団当時と変わらぬ力量を見せてくれましたが、なにしろ脚本がアレなもので‥^^;。
↓練習風景です。
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ただ歌はヅカ時代と変わらぬ縮緬ビブラートなのでちょっと私には合わない感じ。

今回の舞台では女優は大空祐飛だけで、あとはむくつけき男どもばかり(笑)。しかも結構若い人が多くて、初めて見る人がほとんど。そんな中で、知っていた唯一の役者さんがアニーバルの福井貴一。
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1989年の「レ・ミゼラブル」のアンジョラス役が印象に残っていますが、あれから幾星霜、今やヒゲの似合う中年男になっています(笑)。
男優陣が全体に若いので、この人が出てくるとさすがの演技で、歌も聞かせてくれて舞台が引き締まります。
でも肝心の話の結末は完璧に予想の範囲。(笑) あと二ひねりぐらいして欲しかったですね。

フェルナンドの岸祐二と、ラモンの坂元健児もともに歌唱力や演技力が際立っていました。
いずれもはじめて観ましたが、精悍ないい役者さんです。

↓フェルナンドの岸祐二
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↓ラモンの坂元健児
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この芝居での若手男優の代表格になっていたのがアリソン役の柳下大です。
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私は知らないですが、ホールには花も飾られていたので、人気があるのでしょうね。
パンフレットではTVドラマや映画、ミュージカルにも多数出演して活躍中とか。ただ今回の舞台では終始台詞のテンポが遅い感じで、他の役者さんとの掛け合いではちょっと違和感がありました。

しかしくどいようですが今回の舞台、全体として芸達者な俳優ばかりだったので、なおさら残念感がありましたね。
それと、ミュージカルなので当然歌が多いのですが、その歌のために話が途切れるので、余計話の展開が深まらなかったように思いました。観劇しながら、宝塚をはじめ他のミュージカルの脚本はよく出来ているものだなと改めて感心したり。

今回は大空祐飛の新たな活躍ぶりと福井貴一の近況がわかっただけでもよしとしましょう。

余談ですが、最初この公演の題名「familia~4月25日誕生の日~」を見て、それがポルトガル革命にちなんだものと分かったたとき、懐かしかったです。そして話の中でもリスボンのサンタアポローニア駅が出てきたり、カモンエスの詩やアズレージョのことが紹介されたりして、ますます懐旧の情がフツフツと湧いてきました(笑)。

2000年の4月下旬にポルトガル一周のパック旅行に参加して、ちょうど4月25日に「4月25日橋」をバスで渡ってリスボンに入りし、翌日の自由行動では私が途中で急に腹が痛くなってサンタアポローニア駅構内で必死になってトイレを探したりしたこととか。(笑)
ちなみにトイレのサインはなんとWC。もう死語かと思っていました。

4月25日橋です↓
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そしてカモンエスの有名な「~ここで地果て、ここより海はじまる~」という詩の紹介場面ではロカ岬のその碑を思い出したり。
↓ロカ岬 リスボンから30km西。ユーラシア大陸の西の果てです。ちょっとランズエンドに似ています。
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当時は隣国スペインと比べて格段に治安がよく、言葉が通じなくてもリスボンの街歩きが楽しめましたが、今はどうなっているのでしょうか。
というとりとめのない話で(笑)、今回の感想は終わりとします。

今年はこれで観劇予定はすべて終了しました。気まぐれで偏見に満ちた当ブログをご覧いただいたみなさんには心から感謝の意を表させていただきます。どうもありがとうございました。

これからもよろしくお願いいたします。



帯状疱疹発症!! 痛かったが、何とか完治です

あけましておめでとうございます。

本年もきわめて気まぐれな更新のブログですが、よろしくお願いいたします。

今回は、新年早々縁起でもないと思われるでしょうが、暮れに帯状疱疹を発症したお話です。

この帯状疱疹、発症した人はお分かりでしょうが、他の皮膚炎と違って結構やっかいで、わかりにくい経過をたどりますね。

発端は、12月に入って、左上半身のあちこちにチクチク・ピリピリした神経の痛みを感じるようになったことから。
場所は左上腕部から脇、そして食道のあたりの神経がひきつるように痛むのです。

当初は時々程度だったのが、次第に常時痛むようになってきました。
焦ってネットでググってみたりしましたが、「神経の痛み」みたいな漠然としたキーワードでは、いくら検索しても特定できず。
とくに食道からみぞおちにかけてよく痛んだので、胃酸過多かなとか早とちりして、ドラッグストアで薬を買ったりの悪あがき。(笑)

そして12月9日になって、風呂上りにふと鏡を見たら、左上半身、左腕から左胸にかけて赤い斑点が帯状に並んでいるのを発見。
状態はあちこちのサイトに出ている帯状疱疹の事例どおりで、全身ではなく半身に出ていて、神経の痛む所と完全に一致していました。
でもそれでようやく病名がわかって、まあ蕁麻疹程度だろうと正直ホッとしたり。

とにかく痛いので、12月11日にあの楽しい皮膚科のある市立病院に駆け込みました。前夜は痛みが激しく、夜中にバッファリンを飲んでようやく寝られたほど。
前回のヤケドのときは予約制でしたが、もうそれはなくなっていました。

気になる例の女医さんはまだ皮膚科におられましたが二診担当で、私が呼ばれたのは一診の男性医師のほうでした。(笑)

でもその男の若い先生もいいお医者さんでした。
丁寧に症状や今後の経過、処方する薬について説明してくれて、以前民間の皮膚科にかかった時とは大違いで、改めて公立病院も大したものだなと再認識。
先生は発疹の状態を見てすぐ、「帯状疱疹ですね」といって、帯状疱疹が水疱瘡のウイルスで発症することも説明してくれました。
↓文中の画像はすべて薬局でもらったマルホ株式会社のパンフレット「帯状疱疹 こんな病気」の一部です

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そして先生は「念のため顕微鏡で検査します」といって、赤く少し盛り上がった斑点の中から体液を採取。
プレパラートにつけて顕微鏡で見ています。でもウイルスは電子顕微鏡でないと見えないはずなのに、あんな(しょぼい)顕微鏡で見えるのかなと思っていたら、「間違いなく帯状疱疹ですね。ウイルスによって作られた細胞の塊が見えます」とのこと。当たり前ですが、直接ウイルスを見ていたわけではなかったのですね。

で、治療として、テラ・コートリル軟膏を発疹している箇所に塗ってくれました。塗るというより置いていくという感じでかなり厚塗りです。
しかし発疹は治っても、その後の痛みの治療は長期戦になるとのことでガックリ。

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病院内の売店でガーゼと絆創膏を買い、近くの薬局で5日分の薬をもらって帰宅しました。
そして同月16日に再び病院へ。この時は鎮痛剤の腎臓への影響を確認するために血液検査もありましたが、異常なし。
発疹は大半がカサブタ状になってきていたので、残っていた2本を使い切るように指示されて軟膏は終了。ペインクリニック中心に変わりました。

鎮痛剤の種類が増え、服用パターンも朝・毎食後・夜のみ・就寝前と複雑になってきました。普段薬を飲みつけない私にとっては結構薬の管理が大変です。
痛み止めの内服薬は
・ファムビル錠
・メチコバール錠 ←これはビタミン剤です
・メロキシカム(モービック)錠
・カロナール錠
・リリカカプセル(25mgと75mg)

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でも、なんといっても処方された薬のおかげで痛みが大幅に緩和されて、熟睡できるようになったのがうれしかったですね。
そして発疹も日々おさまって行って、ベタベタ薬を塗らなくてもいいようになったのもうれしかったです。

そして12月26日に最後の受診。
その2日前から痛みを感じなくなったので、先生に「もう鎮痛剤を飲まなくても痛まないのですが」というと、「それはよかったですね~、よく治りましたね」と驚いていました。言外に「アンタの年だと痛みが続くハズなのだが」という意外感がヒシヒシ伝わってきましたが(笑)、「それではこれで治療は終わりです」と完治宣言してくれました。

先生の話では、帯状疱疹は痛みの取れない人も多く、現に今も七転八倒の痛みで入院中の人がいて、麻酔を打たないといけないほどとか。
薬局のパンフレットでも「帯状疱疹後神経痛」について書かれていました。本当に後を引かなくてよかったです。
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結局私の場合は、痛みを感じ始めたのが12月3日ごろ。そして12月9日に発疹を確認、11日に受診して治療開始しました。途中16日に診察を受け、完治確認が26日ということで、3週間以上かかりました。まあ平均的な経過ですね。
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でも心配した後遺症の神経痛がなくて本当によかったですが、この帯状疱疹、せいぜい蕁麻疹程度だろうと思っていましたが、とんでもない厄介な病気ですね。

原因は上のパンフレットにもあるように、子どものときかかった水ぼうそうのウイルス。その水痘・帯状疱疹ウイルスが体内の神経節にずっと潜み続け、幾星霜を経て、加齢やストレス、過労などで免疫力が低下した時を見計らって暴れ出すというやっかいなものです。まあヘルペスも同じようなものですが、強い痛みが発疹に先行するというのがこの病気の特徴です。

パンフレットによれば発症年齢は50歳代から70歳代がピークですが、過労やストレスが引き金になると若い人でも発症します。

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そして発症部位は上肢~胸背部にかけてが最も多いのですが、顔に出ると眼に角膜炎や結膜炎を起こしたりするので厄介です。今回の場合は、上記の年齢とか発症部位など、ピッタリ統計データどおり。典型的な症例でした。でも神経の損傷が軽くて本当にラッキーでした。
痛みの軽減には入浴が効果的でした。それと使い捨てカイロ。カイロは直接肌に張ると低温やけどになるので、下着の上に張って、就寝中患部を温めるようにしましたが、痛みの緩和と発疹の回復に大変効果がありました。
処方された薬はよく効くものの、結構な副作用もあるようで、飲み続けるのも不安がありましたし。
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最後に先生は、これで20年は大丈夫なほど強力な免疫ができたので、もう発症することはありませんと太鼓判。

まあ言い換えれば、「アンタの20年後はもうないですよ」ということで、ちと寂しい気もしますが。


梅田芸術劇場で『モーツァルト!』を観て

今年最初の観劇は、1月8日の梅芸メインホールでの「モーツァルト!」からスタートしました。年金生活者にはチトお高いチケットでしたが、なにしろ豪華キャストなので、ネットでポチッとな。でも人気公演で2階席しかなく、ヨメさんにはムリ。事前に劇場に連絡して車いすスペースに変更してもらいました。

当日は正月明けとあって道路はもうガラすき。予定通りに地下駐車場に到着。12時半開演といういささか変則パターンでしたが、いつもの店で昼食も済ませて、スタッフに案内されて余裕で劇場内に。

以下は、その感想です。全然絶賛していないので、観劇されて今も感動に浸っておられる方はスルーしてください。ただし、印象だけの感想なので、ネタバレはほぼありません。(笑)

例によって敬称は略させてもらっています。
(画像は当日購入の公演プログラム(2,000円もしました!)から部分的にスキャン)

私たちが観たのはヴォルフガング・モーツァルトが井上芳雄で、
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モーツァルトの妻・コンスタンツェが平野綾、
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ヴァルトシュテッテン男爵夫人が春野寿美礼というバージョン。
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で、いきなり全体の結論ですが、残念ながらいささか期待はずれでした。ドラマチックな盛り上がりに欠ける脚本でガッカリ。特に前半が同じような場面が続くため退屈でした。後半になってようやく面白くなってきたものの、全体としては「こんなはずでは」感がぬぐえなかったですね。
それと、音響効果が最近体験したことのないほど悪く感じました。せっかくの生演奏ですが、音声より音量が大きくて、歌詞にかぶって聞き取りにくく、おまけに台詞のかわりに歌をつないで舞台が進行するので、話がよくわかりませんでした。

そんな中で一番よかったのがヴァルトシュテッテン男爵夫人で今回初参加の春野寿美礼。私たちはこの人の舞台を観るのは「ア ソング フォー ユー」以来。
本当に久しぶりで、私たちとしてはWキャストの香寿たつきも観たかったのですが、チケットの都合で春野寿美礼になったものの、再見が楽しみでした。で、結果ですが、彼女の歌う「星から降る金」、よかったですねぇ~。
とにかく春野寿美礼が非常に気持ちよさそうに歌っていて、その気持ち良さがこちらにもモロに伝わってきて、一体となって引き込まれました。劇場の音響の悪さも、ソロで歌う場面だと目立たなくなったのが救いでした。
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「ア ソング フォー ユー」以来の懐かしささえ感じる(笑)歌唱力に加えて、曲も今回の舞台随一の流麗な旋律。
まったく春野寿美礼の独壇場でした。香寿たつきも、彼女ならではの深みのある好場面になったことと思いますが、春野寿美礼の持ち味の伸びのある歌声で聞かせてくれました。これが最大の収穫。

あと収穫といえば、やはり全く衰えを見せない花總まりの容姿。それほど見せ場がない姉のナンネール役なので、ちょっともったいない感がありますが、エリザベートの初演時からの時間の経過を考えたら、驚きの若さです。
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もっと華のある役で、歌う場面も多かったらと残念でしたが、父レオポルド役の市村正親とのやりとりもしっとりとして自然な演技でいい感じでした。本当に賞味期限が長いですねぇ~(殴)
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まだまだ今後の活躍が期待できますね。
(宝塚といえば、「モーツァルト!」の常連の秋園美緒も、変わらぬ美声で活躍、健在ぶりを示していました。)

その市村正親はさすがに大病を経たせいか、舞台では以前と比べたらちょっと小さく感じましたが、「それからのブンとフン」のコミカルな演技とは違うシリアスな父親像を見せてくれました。頑張ってほしいです。

でようやくヴォルフガング・モーツァルトの井上芳雄について。

私たちがこの人の舞台を観るのは三回目です。最初はこまつ座の「組曲虐殺」で、初めて見る彼の舞台でしたが、いい演技で好印象を受けました。さらにその印象が深まったのが同じくこまつ座の「イーハトーボの劇列車」
さわやかな宮沢賢治で、セリフも演技も明快で本当に好青年。まあ実際の宮沢賢治とは違うかもしれませんが、感情移入のできる人物で、一挙に井上芳雄をひいきにしたくなりましたね。
でも今回はそんな冴えがない役回りで、音響の悪さと脚本のせいで歌もセリフも前二作ほどこちらに伝わってくるものがなかったのは残念でした。
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その妻コンスタンツェが平野綾です。
この人、公演プログラムで小池修一郎が書いているように、童女のようなキャラクタです。平たく言えば小娘的で、それが受けるのでしょうが、「レディ ベス」同様にちょっと違和感がありました。これはまったく私の好みの問題なので、ひいきの方には申し訳ないですが。

そういえば「レディベス」と今回の「モーツァルト!」は順序は逆ですが、クンツェ・リーヴァイ・小池のトリオが手掛けるシリーズ作品で、キャストもかぶり、全体の印象も似ていますが、やはり「エリザベート」を超えることはできていませんね。「エリザベート」の偉大さを改めて再認識しました。ミュージカルはまず曲の出来栄えが第一だとつくづく思いますね。いくら「エリザベート」を生んだ名手トリオといえども、それを超えるのは至難の業だとも思いました。

好みといえば、コロレド大司教の山口祐一郎も頑張っていましたが
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イマイチしっくりしない感じで、私としては「レディベス」で見た石丸幹二がやってくれたらもっとよかったのにと思ったり。
ええ、これも個人的な嗜好の問題です。

というわけで、本公演初観劇でしたが、あまり気乗りのしない感想になってしまいました。
とにかく音響の悪さが気になりました。それは座る位置でも違うのでしょうが、少なくとも私たちの座った、客席上手から下手へと横断する通路の上手端では、歌もセリフも明瞭とはいかず、ただバックの演奏だけが響くという感じで興ざめでした。まるで二昔前ぐらいの大劇場みたいでした。(笑)
それに、史実によるモーツァルトの生涯はかなり波乱にみちたものですが、脚本では掘り下げ不足。それは歌を多用し過ぎる構成にも因ると思いました。
それで、とくに一幕ではついコックリ。終わっても感動のスタンディングという気分にはなれなかったのが残念でした。

さて今週はいよいよ宝塚です。なかなか好評のようなので楽しみです。




Phantom2いじりあれこれ その1

Phantom2Visionを昨年8月に購入して、9月から飛ばし始め、以来ヨメさんがデイケアで外出するたびに出かけて、今や出動日数は30日を突破、飛行回数も100回を軽く超えました。
おかげでこれまで一人では出かけることのなかった生活は一変。悪天候で飛ばせない日は撮りためた200GB超の動画を、アドビのプレミアエレメンツ13で編集するなど、充実した日々(笑)。 
(でもそのせいでブログの更新が滞っているのは反省していますm(__)m)

当初機材はPhantom2Vision+(以後P2V+)1機だけでしたが、
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なぜか10月からPhantom2(P2)が加わって(殴)、
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2機体制で空撮を楽しんできました。
大昔、27Mhz帯の真空管式送受信機でフラフラ不安定な飛行を経験してきた身には、Phantom2の超安定飛行は驚異的。たかだか30cm程度の小型ヘリが、糸を引くように安定した飛行をするだけでもすごいのに、フルHD動画がプロ並みに撮れるのですら、技術の進歩には感動します。

ただ、私の経験では、どういうわけかP2V+とP2では飛ばしてきてちょっと差を感じています。
P2V+はFPV機能があり、飛行中に撮影している動画が送信機につけたスマホやタブレットでWi-Fi経由でモニターできます。
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ただしそのモニター映像はフルHDではありませんが。
でもただ一度だけですが、P2は原因不明の暴走事故で大破し、モーター1個とボディを交換。さらに11月には、バッテリーセルのアンバランスで突然プロペラが停止して河原に落下する(低空だったので損害は小規模)など、トラブルも多かったですね。
最初の暴走事故では、50mぐらい離れたところに巨大なアマチュア無線アンテナを屋根に林立させた家があったので、あるいはそれからの混信が原因だったのかもしれません。いずれにせよ以降はそこでの飛行は断念。

バッテリーについては飛行前にアシスタントソフトで異常をチェックして飛ばすようにしています。
でもP2V+は全くトラブルフリー。

今は人のいない河原で飛行させているので、事故対策はOKですが、やはり2.4Ghzと周波数の高いP2より、FPVのために920Mhzと比較的周波数の低いP2V+の送受信機のほうが電波の回り込みが期待できるので安心かなと最近思うようになってきました。ええ、単なる素人の思い込みにすぎませんが。

と思っていたある日、とあるPhantom2の販売サイトでP2V+の送受信機セットが8千円程度で販売されているのを発見。たまらずポチッとして、P2の送受信機と交換することにしました。格好の冬休みの工作です。
↓送られてきた送信機の箱と受信機です。P2V+用と書かれています。ただし、説明書や保証書は一切なし。いわゆるバルク品みたいなものですね。
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受信機といっても小さな基板だけ。

送信機はP2v+用をそのまま使用し、受信機だけ機体から外して交換です。
ボディを分解して、
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作業は2本のネジを緩めて、もとの受信機・基板を外して交換するだけ。ただし二か所のケーブルコネクタを間違えないように要注意です。それとアンテナ線も基板に固定されているので、交換前に脚から外しておく必要があります。

そして元通りボディを組み立てて、バインドしたらOKです。

超簡単といいたいところですが、確かバインドボタンが緑点灯のはずなのに光らずあわてました。でも操作はできるので、ネットで調べたら不点灯で正常とのこと。念のためP2V+で確認したら、やはり不点灯だったので一安心。(笑)
周波数が違うので、アンテナの長さもこのとおり↓
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ただ、P2V+の送信機には当然ながらカメラチルトレバーはついていません。でもそのままではジンバルが45度で固定されたままになるので、操作レバー一式を元のP2送信機から外して移植しました。
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この作業中に、既存のP2V+の送信機にもレバーをつければ純正カメラの角度調整ができるかも!と思いついて、これまた以前に税込3,888円の格安価格で購入済みの予備用のP2の送信機から、手抜きで裏蓋ごとP2V+の送信機に装着しました。
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そして恐る恐るキャリブレーションしたら、見事にP2同様に純正カメラの調整がレバーで出来るようになりました。このメリットは大きいですね。
BT-200の操作性の悪いタッチパネルでカメラの角度調整をしなくてもよくなったのは大進歩です。(いや後退かな?)(笑)
これでBT-200のFPV画面に集中しながら自在に角度調整できるので最強!と思っていたら、今年発売が噂されているP3?では初めからついているみたいですね。やはり誰の考えも一緒です。

これまで角度変更が面倒なのであまり変えずに飛ばして単調だったP2V+の空撮動画が改善できるのはうれしいですね。これで飛行回数も大幅に増えそうです。
↑これは失敗でした。
今日20日に今年最初のP2・P2V+の揃い踏みをやろうと準備作業をしていたら、P2V+のvisionアプリを立ち上げたとたんにチルトレバーに反応しなくなりました。^_^;
アプリを起動するまでは反応しているので、この機能はアプリ優先になっていますね。てっきりオーバーライドできるものとばかり思い込んでいました。
アプリ起動前に操作した角度はそのまま保持されていますが、いったんアプリを起動したら、レバーはP2V+本体の電源を入れなおすまではアプリ終了後も無反応のまま。これでは無意味なので、即裏蓋を元に戻しました。残念でした!!(1/20追記)

P2の試験飛行は1月9・13・16日にわたって実施。13日の飛行では、P2のジンバルが左に傾くトラブルが発生して焦りましたが、帰宅後スティック・キャリブレーションを実施してヨー軸の補正をしたら水平に戻りました。ジンバルの傾きとヨー軸のズレは連動しているようです。ただし、P2V+のレバー装着後の試験飛行はまだ実施していません。


(これから折を見て、これまで実施したPhantom2いじりについて、少しずつ書いていきますが、↑のように的外れなものも多々あると思いますので、決して真似しないでください。)


雪組公演『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!-』と『ファンシー・ガイ!』を観て

宝塚大劇場で、雪組公演ミュージカル『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』とショー『ファンシー・ガイ!』を観てきました。
といってももう先月の話で、大劇場は終わっていますが(笑)、ついアップが遅れていました。^^;

平日なので阪神高速の渋滞が心配でしたが、出発前に報じられていた事故渋滞も通過時には解消していて、順調に大劇場に着きました。前回宙組観劇時と同様、今回も高校生?らしい団体の観劇があり、そのせいか立ち見の盛況ぶり。


という前置きはこのぐらいにして、いつもの薄味・塩分控えめの感想です。少々ネタバレアリです。

例によって敬称は略です。
今回はネット予約で何とか確保した8列目・上手側端での観劇。やはり前は快適ですね。でも下手側を観るにはオペラも必須。

開演前に客席がにわかにざわめいたので、見れば龍真咲と轟悠両人のご観劇でした。

で唐突ですが、いきなり結論です。

面白かった! 

芝居は新トップコンビのお披露目公演+101年目の正月公演にふさわしい内容で(ハッピーエンドがなにより!)、ショーのほうも奇をてらわず正統派の構成で観応えがありました。トップも仲が良さそうで一安心。(殴)

幕が上がってしばらくは、観ていてなんだかドタバタ続きで、これは安手のギャグ連発のスラプスティック・コメディかとちょっと引きそうになりましたが、18世紀にタイムスリップ後は俄然面白くなってきて、一睡もせずに(殴)最後まで舞台に見入ってしまいました。この芝居は、お気楽モードで観ないとダメですな。演じるほうはかなりアニメを意識してやっているので、そう思ってみないと入りこめないということがわかって、早急にモードを切り替えました。(笑)

荒唐無稽な話ですが、それを細かい伏線をちりばめて無理なく展開、なにより今の雪組メンバーに宛書したような配役の妙で、最後はうまくハッピーエンドが用意されていて、コメディ巧者な小柳奈穂子脚本・演出ならではのさすがの出来でした!
現代のヴェルサイユ宮殿から一気に18世紀にタイムスリップして、タカラヅカお得意のロココ調の時代へと土俵を移すあたり、演出家の話づくりのうまさが冴えていました。
過去を変えてしまって、劇中でもチラッと話が出てきたタイムパラドックスの危惧はどうなったの?と言いたくなりますが、それは野暮というもの。肩の力を抜いて楽しんで観ることがこの公演では必須です。

出演者では、まずルパンの早霧せいながよかった。心配していた歌も十分許容範囲内。身を固くして歌の終わるのを待つ(殴)などということにはならず、普通に聞けました。それよりもこの公演がトップ就任初とは思えない軽妙で自由な演技で、タカラヅカ版ルパンとしてまったく違和感なく、頑張っていました。
画像は当日購入したプログラムの画像から部分スキャンしたものと、スカステのナウオンステージの動画をキャプチャしたものです。なので後者はピンボケ満載です。
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それと、脚本が下級生にまで台詞を与えていること、組子の個性をよく引き出す配役が効果的で、以前の地味な印象だった雪組を見直しました。
壮一帆から組の雰囲気が明るくなったと思っていましたが、今回の観劇でいっそうその感を強くしました。

ショーのほうも変化に富んだ展開で飽きさせず。私たちの世代にはなじみの名曲のメドレーといううれしい構成で、いい作品に仕上がっていました。前回の雪組『My Dream TAKARAZUKA』以来久しぶりに楽しめたショーでした。

ただ、ショーは場面が次々に流れていくので、私には作者の意図などたった一度の観劇で把握するのはとうてい無理です。(笑)
どうしてもそのあたりの予備知識が欲しいという方は、ぜひスカステのナウオンステージを事前にチェックしておくことをお勧めします。私たちは観劇後にそれを見たので、「ああそういうことだったのか」と事後納得。(笑)
でも当然ながら、見ていなくても十分楽しめます。客席降りもあって大サービスです。

以下、芝居のほうから、出演者別の感想です。

早霧せいなのルパン三世。
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この人は私はこれまでほとんど注目することはなかったです。最近観た舞台は奥村助右衛門役でしたが、なにかというと寂しく笛ばかり吹いていて(笑)、最後は裏切るという陰気な役(殴)であまりインパクトがなくいい印象なし。その前のダンスの教師役もちょっと感情移入できない役だったので、正直言うとトップ就任は大丈夫かなと思っていました。

でも、今回は余計な心配が軽く吹き飛ぶ楽しいルパンで、ちょっと前田慶次のときは聞き取りにくかったセリフもスッキリ明瞭。舞台狭しと駆け回る姿が新鮮でしたね。コメディセンスが光っています。見直しました。

漫画やアニメそっくりなほど足細いです。↓ 衣装もセオリーどおり、赤いジャケットに黄色いネクタイ。
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余裕のアドリブで、随所で笑いをとっていました。これでもう少し歌が強くなればいうことなし。今のままでも充分私の許容範囲内ですが。

続いてマリー・アントワネットの咲妃みゆ。
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この人の舞台は、スカステで報じられていた『THE MERRY WIDOW』の千秋楽の様子を見て、初観劇を期待していましたが、それに違わず、いい娘トップでした。
インタビューやナウオンなどでは、か細い声で今時ありえないほどブリっ子な感じ(笑)ですが、話の内容自体は極めてしっかりしていて、よく考えながら演技していることが伝わってきます。
相当な年の差カップルですが(殴)、よく息があっていました。
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そして一たび舞台に上がれば、童顔に似合わず、歌も演技も台詞も実力充分というギャップが面白いです。
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ただ、ショーもそうですが、もっと歌を聞きたかったですね。

そして銭形警部の夢乃聖夏。
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若いと思っていたのにもう退団とは‥。
改めて歳月の移り変わりの速さに驚きます。もっと活躍する姿が見たかったのに、本当に惜しいです。

最初に彼女を見たのは、スカイ・フェアリーズに選ばれてスカステに登場した時です。(そういえば早霧せいなも沙央くらまも同時期に選ばれていましたね。)
正直言ってその時はファニーフェイスだな程度の印象でしたが、いつのまにか安定した中堅どころになっていて、とくに眼の力のある演技で、最近では往年の鳳蘭を髣髴とさせるパワフルな舞台姿で私たちも注目していました。
なのにもう退団。惜しいです。今は退団後の活躍を期待したいですね。

で、今回は銭形警部ですが、もう弾けまくっていました。出てくるだけで笑いを呼ぶ演技。パワフルでキレのあるエネルギッシュな身のこなしで注目の的でした。
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おまけですが、ナウオンステージの最後では、恒例となった花束贈呈がありましたが、周囲の表情が温かいです。
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次は新メンバーになった望海風斗のカリオストロ伯爵。
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彼女のルッキーニが歴代の同役でも出色の出来だったので、これまた期待しての観劇でした。そして予想通りの堂々とした詐欺師・ペテン師ぶりで(これ、褒めています^^;)、安定感と迫力がありました。歌も演技もすでに老成した感すらあって、いうことなしです。

カリオストロ伯爵は実在した人物だそうで、もちろん原作の漫画でも登場しますが、漫画では精巧なニセ札づくりとして登場しています。まあ錬金術師も現代ではニセ札づくりということか。
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続いては峰不二子役の大湖せしる。
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彼女も他の生徒同様に事前にアニメなどで研究したといっていましたが、ナイスなバディを生かしてまあなんとも色っぽい不二子です。ただ、ちょっとクネクネし過ぎな演出で、まるでプログラムの壊れたアンドロイドみたいで(笑)ちょっと過剰な気が‥。
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男役経験を生かして立ち回りもド迫力。ルパンより強そうだったりして(笑)
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でも最近の彼女を見ていると、どの公演でもいい役続きで、転向が奏功して本当によかったですね。
そういえば他の組でも、男→女の転向組はみんな成功しているような気がします。逆パターンはありませんが、あっても面白いかも。(笑)


ルパン一味では石川五エ門役の彩凪翔と次元大介役の彩風咲奈も面白く演じていました。どうでもいいですがこの二人、彩凪と彩風で字面のよく似た芸名ですね。

石川五エ門役の彩凪翔です。
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私は他の芝居でも、刀を鞘に戻す場面に出くわすと、ちゃんと入るかなとつい見入ってしまいますが、今回ももちろん注目。(笑)
で結果は、早いとは言えませんが、うまく納めていましたね。ナウオンでは、本人も毎回気にしているとのことでした。

次元大介役の彩風咲奈です。素顔では女顔&童顔なのに、舞台では男っぽい次元大介になっていました。タカラヅカ化粧は怖いです。(笑)
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ショーでのイリュージョンもびっくりでした。

歌で目立っていたのがマリー・ルゲイ(一座の主演女優)の舞咲りん。怪演ぶりもうまく、面白さでは一番のツボでした。
こういう場面を入れるところがコメディ巧者な小柳奈穂子の本領発揮です。
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あと芝居では画像がなくて残念ですが、ジャンヌ・ド・ラ・モット伯爵夫人の透水さらさもいい感じでした。歌では舞咲りんとともにショーでも大活躍でよかったです。
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ルパンを漫画を読んだのははるかな昔で、アニメはほとんど見ていませんが、そんな私でも面白かったので、舞台作品としての完成度は大したものです。いつものことですが、原作を読まないとわからないような作品ではいけませんね。
破天荒ですがその展開には無理がなく、配役も多彩で、下級生までセリフが配分されているのは民主的です。(笑)

続いてショーのほうです。
でも、細かいストーリー設定とかは覚えていません(殴)。というか、わからなかった。(笑)
なにせ次々に変わっていく場面を眺めて、歌とダンスに浸るだけですから。
でも、プロローグの機関車のようなフリの場面の衣装の色だけはちょっと抵抗があったものの、全体として好みにあった佳作になっていました。

使われている曲の選択も名曲ばかりでいいし、しっとりとしながらも爽快感があって、新トップのお披露目と101周年の幕開きにふさわしい作品でした。

以下、ショーの様子です
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いいメンバーなのでもう一度↓^^;
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プレスリーが繁殖していました
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ピンクスポットを浴びて登場
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トップのデュエット場面もピッタリ息が合って麗しく、
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最後のパレードは夢乃聖夏のエトワールで
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いつもの締めくくりとなります
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以上で感想は終わりです。ここまで忍耐強くご覧いただき、ありがとうございました。

感想のアップをさぼっていたらもう大劇場は星組公演。
こちらはファイナル公演ですね。有終の美となることを期待したいですが。

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