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花組公演『愛と革命の詩−アンドレア・シェニエ−/Mr. Swing!』を観て

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もう初日から約2週間近くたってからの観劇です(いつものとおり敬称略です)。

劇場までの道は途中少々渋滞があったものの基本的に順調に予定時間どおり到着。
しかし、劇場に向かう歩道が工事で通行不可能なので何かと見たら、以前チケット売り場だった建物が解体されて更地に。あとは何が出来るんでしょうか。

劇場内はまだ早いのに結構な賑わいでした。当日券を買い求める人の列も長かったです。これって人気があるのかないのか?(笑)

まず売店で例のタカラヅカフィナンシェをお土産も含め3個ゲット。切手を買ってから横で昼食用のサンドイッチと盛合せを買って劇場へ。

今月2回の観劇は、兵庫と大劇場ともに良席での観劇です♪。
この日のチケットはWeb会員で頑張って9列目を確保。上手側の右端ブロックですが、いい席でした。

今回の「アンドレア・シェニエ」(植田景子脚本、演出)はベースとしてイタリアオペラの「アンドレア・シェニェ」があり、ストーリーも最初と最後の回想シーンの挿入以外はほぼそれに忠実に作られています。
 
話としては、「ベルサイユのばら」の続編あるいは後日談というべきフランス革命にまつわる悲劇です。しかしベルばらと違ってよくできた脚本で、これを観たら改めてベルばらの化石化・陳腐さ・型芝居ぶりがよくわかりました。(笑)
歌劇団も早く老害の呪縛から脱して古くさい演目をリニューアルしないとファンから見放されてしまいますよ。

本題に戻りますが、今回の作品、ベースがあるとはいえよく宝塚化・ミュージカル化されていました。
人物の造形も細部まで丁寧で、キャスティングも現花組メンバーの持ち味がよく生かされるなど、出色の出来ばえ。
なんでも蘭寿とむが「大恋愛物をやりたい」とリクエストし続けていたのに植田センセイが応えてくれたとか。なので、今回の芝居、ほぼあてがきと言ってもいい出来でした
日程さえ合えばまた観たいと思ったほど。今年上演のオリジナル作品としては一番の出来ですね。

舞台の全体の印象としては、セリフは少ないものの群衆シーンでは下級生をよく使っていて迫力がありました。群衆場面の演出はキムシンがうまいですが、植田景子はもっと細やかな感じの演出でいい仕事でした。たまたま最近スカステで放送していた「ハプスブルクの宝剣」を観ましたが、この人は最近とみに安定した力を身につけてきていますね。

写真ではわかりにくいですが、白と黒の天使が描かれています↓


幕が上がると、フランス革命から25年後のパリの文学サロン。

望海風斗扮するパンジュ侯爵が、革命末期ジャコバン党の恐怖政治の犠牲となった詩人アンドレア・シェニエを回想するところから始まります。
ここからフランス革命直前のパリ郊外コワニー伯爵の邸宅での夜会の場面に変わります。今回の場面転換はどれもよく考えられていて洒落た感じでした。

舞台装置も斬新でした。
巨大な天使の羽根が舞台を覆うように現れたときはびっくり。その羽根に当てる照明の変化とか、表裏を場面ごとに使い分けることで変化をもたらしています。舞台装置のデザインを松井るみが担当したと知って納得でした。
 
ストーリーは観てのお楽しみということでこのくらいにして、主な出演者ごとの感想です。

まずはアンドレアの蘭寿とむ。
彼女、容貌はますます痩せてきて少し痛々しいくらいですが、演技のほうは変わらずていねいで台詞も明瞭、歌も気になりません(殴)。
しかし舞台の進行とともに「復活」の主人公を思い出しました。実直で人格高潔、誠実を絵にかいたような役柄がそっくりです。「オーシャンズ11」のようないささか不似合いなチョイ悪役よりこういう役のほうがハマっています。
(以下、画像はすべてスカイステージ・「Now on Stage」から)


こういう信念に生きた詩人の詩はさぞやと思いましたが、歌詞やセリフに取り入れられていたものの劇中ではあまり紹介されていないのは物足りないところです。

マッダレーナ・ド・コワニーの蘭乃はな、まず気が付くのは歌。
ファントムではそれほどうまいと思わなかったのですが、「復活」とか「オーシャンズ」を観て歌ウマぶりを認識しました。今回は、のびのある歌にますます磨きがかかっていました。聞き心地のいい歌でした。

マッダレーナは、初めて出会った夜会ではアンドレアをからかったりして、ただのかわいいが無知な貴族の令嬢でしたが、革命勃発後の逃避生活のなかで、夜会でアンドレアに指摘された言葉を胸に秘めて生きていくうちに、たまたま目にした彼の作品を読んで次第にアンドレアを慕うようになっていきます。このあたりの苦難の生活ぶりとその下での人間としての成長ぶりをよく演じていました。


トップコンビのダンス、斬新な振り付けできれいです。


明日海りおのカルロ・ジェラールは、「スカピン」のショーヴランの延長のような役で、初めは春風弥里のジュール・モランとカブる厳しい反革命の摘発者役ですが、後半では主人公の人柄に共感して行く変化が演じどころでした。



花組に来て最初の大劇場の舞台ですが、すでにすっかり組になじんで安定した2番手ぶりでした。

ジェラールの同志である春風弥里のジュール・モランは厳格なジャコバン党員です。貧しい環境で育った彼は、反革命の摘発にひたすら没頭して片っ端からギロチンにかけています。こちらは最後まで冷酷な人物です。


望海風斗は回想シーンでの老後と劇中のリアルタイムのパンジュ侯爵を演じて安定した演技力を披露していました。この人の歌や演技は、オーシャンズを観てから強く印象づけられましたね。貫録さえ感じられました。


アンドレアの弟マリー=ジョゼフ・シェニエは華形ひかる。
彼の役は、おなじ詩人でも理想主義の兄とは好対照の、世間的な利害を優先する計算高い俗物です。でもすべてが欲得ずくかというとそうではなく、心の底では金銭に無頓着にあくまで芸術至上主義を貫く兄に対する敬意があり、それゆえに最後では兄を助け出そうと奔走します。この辺の屈折した人物をよく演じていました。

はじめは何というイヤなやつだと思いましたが。

後、全体の印象として印象的だったのは(男トップは別にして^^;)花組メンバーの歌のうまいこと。みんな演技力もあって、本当に若手からベテランまで層が厚いです。
とくに教会の腐敗を告発する歌を歌ったユディットの朝月希和と、最終の場面でマッダレーナと替わるレグリエ嬢役の乙羽映見が大抜擢されただけあって大した歌唱力でした。

よくできた脚本で、下級生まで役が多かったのですが、欲を言えば上で言ったようにセリフが少ないのが残念なところ。
それと、白い天使と黒い天使が善と悪を表現していますが、これは疑問でした。
あまりにも「エリザベート」や「ロミジュリ」と似すぎなので、せっかくのオリジナル作品なのにデジャブ感が強すぎ。両天使の役割もそれほどはっきりしていないので、敢えて入れるまでもないのにと思いました。

ショーのほうは歌場面が多く見応えがある作品でした。

Mr. Swingというだけあって男役が強く押し出された構成でした。最初の黒いスーツ軍団を率いる赤スーツの蘭とむが迫力のあるダンスで出だしから盛り上げます。最後もお約束の黒燕尾軍団で締めて、このショーは男役パワー全開。




フィナーレ↓


プロローグのトロピカルムードから船上ショー(短くて残念)や野球の場面、蘭とむと男役瀬戸かずや(3人の役替わり)の妖しいデュエットダンスの場面などがあったりと、いいショーになっていました。望海風斗の「マスカレード」もしっとり聞かせてくれます。
もっと見たかったセーラーの場面↓


全体的にショーのセットは、芝居の巨大な羽根に予算がとられたのか(笑)やや物足りなく感じましたが、場面ごとのセンスのある色彩の衣装となじみのある選曲で楽しめました。
何より、つまらないショーだとすぐ寝る私が一睡もしなかったのですから、間違いなくいいショーでした。(殴)

あとホッコリ気分になったのは、退団する春風弥里のために出番と歌詞の内容に暖かい配慮が見られたこと。
こういう気配りがタカラヅカらしくてうれしかったですね。




押されがちな娘役を代表して蘭はなも頑張って美声を聞かせてくれました。


そしてこの人が最後をしめくくり


花組は決してひいきな組ではなかったのですが、最近観た公演はみんな予想以上の出来でした。
今回の公演も、日程さえ許せばもう一度観たいと思ういい作品でした。

未見の方はぜひご覧ください。おすすめです。



ヤケド、治りました。湿潤療法、大したものです♪

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今回は、以前に書いた、スパーダのオイル交換後の試乗の際、灼熱の排気管でふくらはぎにやけどを負ってしまった話の後日談です。
3cm×7cmぐらいの火傷なので、これまでの経験から長引くだろうと思っていたのですが、8月13日から治療を開始して、まさに日にち薬、日に日に良くなっていきました。そして2週間たたずに新しい皮膚が覆ってきて完治。楽しい女医さん(笑)から「これで終了ですね」と言われました。思ったより早く、しかもきれいに治ってラッキーでした。

これまでの私の知識では、やけどは出来るだけ傷口を乾燥させるのがいいと思い込んでいました。
ただ、今回のように広くベロッと皮膚が剥がれてしまった場合は、傷口に当てたガーゼが体液などでくっついて、それを交換するたびにせっかく出来てきた新しい皮膚が一緒にはがれるという繰り返しになるので、相当時間がかかるだろうと思っていたわけです。
実際これまでの火傷では、新しい皮膚が傷を覆うまでかなり時間がかかっていました。付着したガーゼをはがすのも痛かったし。(^^;

でも今はそういう治療法は過去のものですね。今は患部を乾燥させるのではなく、できるだけ湿潤に保つ療法が主流だそうです。

Wikipediaの定義では、
「傷口の内部に消毒薬を入れることを避け、再生組織を殺さないように創部を湿潤状態に保ち、なおかつ感染症の誘因となる壊死組織や異物を十分除去(デブリードマン)し、皮膚常在菌による細菌叢を保持し有害な病原菌の侵入を阻害することで創部の再生を促すものである。」
となっています。
↑なにやら難しい表現ですが、具体的には簡単で、
1.患部は水道水で洗い流して清潔にする
2.皮膚の再生を妨げる消毒・殺菌薬は使わない
3.患部を樹脂フィルム等で覆って常に湿潤状態を保つ
ということです。

で、私の治療ですが、いきなり上記2と反してしまいますが、まずは菌が付着しているかもしれないとのことで、先生が傷口を消毒。
ちょっと刺激がありました。ガーゼが傷についたら嫌だなと思っていましたが、その言葉にちょっと安心しました。

次に何やら液体をかけて傷口を洗い流してから、「くっつかないガーゼを当てますからね」とプラスチックフィルム付きのガーゼに軟膏を塗って、包帯をまいてくれました。そして、家で薬を塗る際は、まず風呂で傷口にシャワーの湯を当ててきれいにしてくださいと指示されました。
「えっ、シャワーを当てる?」とびびりましたが、「ソフトな水流なら大丈夫です。」とのこと。シャワーの水で表面の古い軟膏や表面の浸出液の塊みたいなものを流してから、保湿ガーゼに軟膏を塗って固定してくださいとの指示でした。使用したガーゼの残りは「家で使ってください」といいながら手渡してくれました。

そのガーゼ、特殊な製品みたいなので、薬局でもらえるように処方箋に書いてくれるよう頼みましたが、包帯やガーゼは保険の対象外といわれました。ただ、薬局で注文したら手に入ると教えてくれて、パンフレットもくれました。早速帰りに薬を受け取る際に注文しました。
ガーゼは薬の卸会社?に在庫があったとのことで、その日の午後には病院横の薬局に入荷し、自宅に連絡がありました。

これです↓。メロリンという商品名で各サイズがあるようですが、私は10cm×10cmのサイズを購入しました。10枚入りです。値段は忘れましたが、1箱700円ぐらいだったと思います。念のため2箱買いましたが、1箱余りました。(^^;)


で、最初のうちは化膿防止のために、この軟膏↓を処方されました。リンデロンVG軟膏といいます。


でも3度目の診察の時からこれに変わりました↓。プロスタンディン軟膏で褥瘡などの治療薬ですね。


自宅での治療は、入浴後、たっぷりプロスタンディン軟膏を塗ったメロリンを傷に当てて固定するだけ。簡単です。
ただ、今年の異常な酷暑で包帯の下にアセモが出来始めたので、早いうちに包帯の使用はやめ、ドラッグストアで購入したネットに切り替えました。これです↓。


一週間ぐらいでガーゼに付着した体液の滲出跡がほぼなくなってきて、きれいな薄皮が出来てきました。ガードするフィルムのおかげでガーゼは傷に全く付着せず、毎回きれいにはがれてくれます。これだけで感動モノ!
ただ、私が「ラップではだめですか?」と聞いたら、皮膚科の看護士さんと先生は即座に「ラップはダメです!」と否定しました。ある程度の通気性が必要なのでしょうね。

傷はサラミかイチジクの実の切断面みたいな赤い色(笑)ですが、表面はツルツルとしてきれいです。とはいえ、他人が見るとかなり気持ちが悪いと思うので、画像のアップは自粛します。(笑)

そして13日目の診察で、「もう大丈夫ですが、念のためもう一回来られますか?」と女医さんに聞かれました。楽しく明るい皮膚科の雰囲気にはかなり惹かれるものがありましたが、それで通院するのは本末転倒というものなので、「いえ、できればもうこれで」とお断りすることにしました。(笑)

診察を終えて先生は「治ったように見えてもまだ皮膚は薄いので、できたら市販の保護パッドなどを貼ってガードしてくださいね」と言ってくれましたが、どうもそんなひ弱な表皮に何かを貼るのは気が進まなくて、その後はむき出しのまま。(殴)
ただ傷はふくらはぎの下部でせいぜい掃除機のホースが当たるぐらいなので、用心深く注意すればなしでもOKでした。

結局、メロリンは1箱も使い切らず、軟膏も残りました。伸縮ネットのおかげでアセモもすぐに消えてなくなりました。そしてなぜか、受傷時から今まで火傷の痛みは一切なし。ただ消毒薬をかけられた時などはヒリヒリしたので神経は大丈夫です。

本当に一時はどうなることかと落ち込みましたが、この湿潤療法のおかげできわめて順調に治りました。

火傷の治療、進歩してますね。この治療法、擦過傷などでも有効とのことでした。

朗読劇 「藤沢周平『蝉しぐれ』より−永遠の初恋、ふく−」を観て

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8月の「頭痛肩こり樋口一葉」から約3週間ぶりの兵庫県立芸術文化センターで、岸恵子の朗読劇を観てきました。(聞いてきましたという方が正確かも)
当日買ったパンフレットです↓


この公演、関西では一回きりの公演です。
開演が午後2時なので、昼食は自宅で済ませてから出発。ほぼ1時間で到着、劇場前のホールへ。開演まで時間があるのに、ホールは岸恵子のファンなのか、敬老の日のイベント会場(殴)みたいになっていました。お年寄りは集まるのが早いです。もちろん私たちもその一員(笑)。
前回の「頭痛肩こり樋口一葉」より確実に年齢層は高く、女性の比率も高かったです。

さて朗読劇ですが、演者は岸恵子。そして題材は「蝉しぐれ」。ただ私はあまり気が進まなかったのですが、ヨメさんは演者と題材が気に入ってチケットを買うことにしたようです。
なぜ私があまり気が進まなかったというと、「蝉しぐれ」のような長い話をどう台本にするのかということと、岸恵子の年齢。なにしろ1932年にこの世にデビューですから、滑舌の黒柳徹子化(殴)は避けられないだろうし。

ホームページから↓


でも幕が上がって、すっきりと立った岸恵子の姿を見て、年齢の不安はかき消されました(と思った)。
和服を連想させる衣装で、60歳代でも通るほどの、衰えを見せない(ように見えた?)容姿(ウィッグ提供:アートネーチャーだそうです)と、(マイクがいいので?)思ったより聞きやすい台詞。
舞台のセットは彼女のパリの自宅をイメージしたというカーテンのついた窓枠のセットと、大きな帆立貝のような背もたれのついた籐椅子など。シンプルですが効果的でした。

岸恵子は最近小説を書いたとのことで、始まる前の挨拶でも自著の小説(老いらくの恋な感じ)と今回の朗読劇と結びつけた内容のことを話していました。彼女、結構この小説には自信があるのか、当日買ったパンフレットでも触れていますね。

パンフレットより

 
さて脚本です。
演題通り、ふくと文四郎が絡む場面を中心に、要領よくまとめられていました。ヤマカガシの話、文四郎の父の非業の死と荷車の話、藩内の陰謀に巻き込まれてふくとその子を助け出す話、そして最後の密会へと、まあ常道とはいえよくできた台本になっていました。
ちょっと話はそれますが、私的には、「蝉しぐれ」の劇化ベストはNHKのドラマです。
でも、宝塚の「若き日の‥」もよくできていますね。なんといっても、上記ドラマ化のはるか前に、「蝉しぐれ」に着目してミュージカル化した先見性とまとまりの良さには脱帽です。ワーストは映画。NHKのドラマを手掛けた人物が監督を務めたとは思えない出来の悪さにがっかりしました。

それはさておき、岸恵子の朗読劇ですが、結論としてはガッカリでした。
最初のうちはそうでもなかったのですが、お疲れなのか後半はセリフをカミまくり。台本を前にして、それを読みながらなんで言い間違う?と思うほど頻発。前半はいい感じだっただけに、後半のダメージは大きかったです。

これまでの観劇でも一度や二度はあってまあ許容範囲、ご愛嬌というところですが、今回はとにかく多かった。
それも、単純な単語の言い損ない→すぐ訂正というレベルならまだしも、例えば「ふく」というところを別の名前と間違えたり(そこは間違わないだろう、普通)、何度も訂正しようとして間違ってしまうなど、ちょっと見たことがないミスが続きました。

はじめはこちらもセリフが滑って興が削がれても、なんとか集中しようとしましたが、持ち直しつつあるところで再発するとだんだんシラケてきますね。

一番ダメだったのは、最後の逢瀬の場面。ふくと文四郎のそれぞれの長い想いを確かめ合うクライマックスですね。
そこでかんでしまったらダメでしょう。それも主語+述語で間違って言い直すという(私的には)致命的なレベル。なんとかこちらもいろいろあったけど、まあいい朗読劇だったねと言い聞かせて帰途に就きたいところでダメ出しされてしまったので、最後の拍手もお付き合い気分。

舞台俳優として本格的にトレーニングされていない彼女の限界(年齢的?)を見てしまった観劇でした。こういう舞台としては毬谷友子の「弥々」とか、麻実れいの「停電の夜に」とかを観ましたが、噛んだりすべったりとかの記憶は全くありません。
大体セリフの量としてはもっと多い芝居がたくさんあります。今回の台本は覚えられない量ではないと思いますね。台本を観ながら何度も間違うのが不思議でした(裸眼のように見えましたが、ひょっとして遠近両用コンタクト?)。

よかった点を挙げると(今頃言うか?)、やはり台本の中でセリフになるとちゃんと演技していましたね。情感を込めたセリフは大したものでした。舞台の経験は少ないですが、演技は確かでした。
それだけに余計、残念感が強かったです。

全くネガティブな感想になってしまいましたが、これを書いている時点でまだこの公演は各地で行われますから、なんとか汚名返上してほしいと思いました。みなさん期待して観劇されることと思いますから、それにこたえてほしいですね。

付け足しですが、藤沢周平が全作品を読むほど好んでいた作家がカロッサとシュトルムであったことをパンフレットで知ったのは、うれしかったですね。今回の観劇のせめてもの収穫でした。


激遅Vistaノートパソコンの更生、頼まれました

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メールで知らせてきたパソコンの品番はPST4021CWS81R。OSはVistaとのことです。
とにかく動きが遅く、しかも使っているうちにさらに遅くなるといっていました。

Vistaなら遅いのも当然と思いながら品番をググってみたら、東芝サテライトT40という機種でした。
当時の定価で19万円前後!という高いパソコンでした。CPUはセレロンながらクロック周波数は高く、USBも2.0、オフィスアプリとインターネット程度という使用パターンなら十分現役。
ハードディスクが80GBというのは心もとないですが、これはいつでも交換できるので今回はパス。
しかし問題はメモリです。
なんと極貧の512MB!。
これでVistaを動かそうとは、なんとも暴挙というか無謀というか。東芝さん、この商品を実際に動かしてみたのでしょうか。今時512MBとは、Vistaに比べたらはるかに軽いXpですら、最初期の素・Xpならいざ知らず、SP3の現在ではとても快適とは言えません。

とりあえず友人には、Windows7とメモリを購入するように伝えました。メモリはチップセットの制約で1スロットに1GBがリミットなので、2スロットに各1GBで計2GBとなります。ほどなくして両方ゲット!との報告が入ったので、翌週の月曜日に予定のボランティア先での作業となりました。

当日、メモリ交換のためのドライバーセットを持参して作業する事務所に行きました。私が着いてからしばらくして友人も到着。

まずは現状把握と、スイッチオン。

ところが、久しぶりにVistaのロゴが拝めるかと少し期待していたら、画面に出てきたのはフツーのXpのロゴ。
「えっ、これVistaじゃないの?」と聞くと、「いえ、パソコンの底面にVistaと書いてあったので」(殴)。
いわゆるダウングレードサービスというやつですね。
はじめからこうなっていたとのことで、さすがに東芝さんもVistaで出荷するのは気が咎めたのでしょう。

で、一応Xpはサービスパック3が適用されていました。これが命取りでもあったのですね。
先に書いたように、XpでもSP3となるとメモリ512MBでは無理です。メモリ不足でハードディスクスワップが発生し、もたつくのは当然。ただ、使っているうちにさらに遅くなるというのは別問題ですね。

というわけで、パソコンをひっくり返して底を見ると、案の定CPU冷却ファン周辺のメッシュ部に埃がびっしり。ファンにも綿ボコリが詰まっています。これでは冷えません。

それで、パソコンを起動してしばらくたったら排熱不良で熱がこもり、システム保護のためにCPUのクロックが自動的に下げられてしまっていたのでしょう。彼も見て驚いていました。購入してから一度も掃除したことがないとのことです。
早速事務所の古い掃除機で、ヒートシンク・ファンと冷却空気吸入口付近の綿ぼこりをきれいに吸い取りました。
この作業で注意するのは、冷却ファンに掃除機のノズルを直接当てないことです。直にノズルを当てるとファンが過回転してモーターを痛める恐れがあります。少し離してファンの回転を上げすぎないように、そして手早く作業を終えることが大事です。

次にメモリを増設するため、パソコン底のメモリ・ベイの蓋を外しました。スロットの両サイドのストッパーを外して既存の512MBのメモリを外し、1GB×2枚を装着。この作業は静電気に要注意です。使っていなかった方のスロットは同じく掃除機で埃をとってきれいにしました。

友人はメモリ(バッファローの製品)を3,420円で購入したそうです。安いですね。


私が調べたノーブランド品と同じぐらいでした。ちなみに発売時の標準搭載メモリはやはり512MBのDDR2 667 SD−RAMで、1GBは追加21,000円也のオプションでした。それから幾星霜、いまや同じものが10分の1!以下で買えるようになりました。

蓋を閉めてXpのコントロールパネルのシステムでメモリ量が増えていることを確認してからWindows7のインストールです。


前に書きましたが、Windows7のインストールは超簡単ですが、今回はクリーンインストールするのでマイドキュメントのデータは事前にUSBメモリに退避。といっても、デジカメのデータはその都度CDに焼いていたとのことで、ハードディスクに保存されていたのは文書ファイル程度。ハードディスクの全体の使用量も数GBでした。

Windows7のインストールで今回わかったのはインストール作業時にLAN経由で最新データをチェックしたあと、そのネットワークの設定がそのままインストール完了後も保存されているのが驚きでした。なので完了後即インターネットOK。便利になっていますね。

あとはパソコン添付のオフィス2007のディスクからアプリを入れて、カスタマイズ用のユーティリティ類をマイドキュメントにコピーして終了。インターネットエクスプローラーは10を入れました。

作業が終わって、見違えるようにキビキビサクサクと動くようになりました。友人も喜んでくれたのでこちらもプチ満足。

今秋公開される新Windows8はマイナーチェンジ程度なので、今もWindows7の価値は十分あります。大体、Windows8はなんちゃってタブレット機能を付けたWindows7みたいなもので、スタートメニューがなくなった分かえって不便になっていますからね。

来年強行される(怒)という消費税増税と、マイクロソフトのXpサポート打切りが時期的に重なるので、マイクロソフトやインテル、各パソコンメーカーは買替え需要を当て込んでいるようですが、Xpがすぐ使えなくなるわけではありません。
現用のパソコンにメモリが増設可能であれば、Windows7への切り替えで十分パソコン自体の延命は可能です。

現に私がこのブログ記事更新に使用しているMS-1057は2006年製ですが、メモリ増設とCPU交換でWindows7がサクサク使えています。

日本経済のためにはパソコンの買い替えも少しは意味があるかも知れませんが(笑)、やはり使えるものは使い倒すのが吉です。メモリが安くなっている今、ぜひ検討してください。

昔の高価だった名残で、パソコンというとつい金銭感覚がマヒしてしまいがちですが、洗濯機や掃除機、冷蔵庫などの家電製品と比べたら、その有用性では今でも法外な高価格商品ですね(お前がそれを言うか!)。

というわけで、少しはエコに貢献できたかなという自己満足な話でした。





宝塚宙組公演 「風と共に去りぬ」を観て

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10月5日の午前8時45分に出発。この日は運動会のシーズンからか、交通量も少なくて順調に駐車場へ。
劇場の屋内駐車場から劇場の門までの歩道は、前回に引き続きまだ工事中でした。前のチケット売り場の跡ですが、なにやら100周年の記念施設ができるとか(ヨメさん情報)。でも歩道が通れないので、車椅子では本当に不便です。

劇場周辺は団体客が目立ちました。まずお菓子の売り場でバラのフィナンシェを親戚の土産に買って、昼食のサンドイッチと盛り合わせを買ったりして時間調整。
今回の席は、私がWeb会員先行販売にドジッて、19列の上手の席(泣)。でも私たちの前の席に座った方が座高の高くない女性客ばかりだったので見やすくラッキーでした。劇場内は団体客が多いせいか、男率も高かったですね。
一階席はほぼ満席。

まあどうでもいい話はこれくらいにして、本題に入ります。いつもの通り敬称略です。

今回の「風と共に去りぬ」で一番のビックリはなんといってもスカーレット。
当然実咲 凜音と思っていたら、あろうことか朝夏 まなとと七海 ひろきの役替わりとは。さらにアシュレとスカーレットII、ルネも役替わり。でも歌劇団、いいかげんにこんな奇をてらった役替わりの濫用はやめてほしいです。生徒の負担も大変だし、役の作りこみも難しいだろうし。
なんといっても実咲 凜音がかわいそうです。

私たちの観たのはAパターンなのでスカーレットは朝夏 まなと、アシュレが悠未 ひろ、スカーレットIIが純矢 ちとせでした。
以下、配役ごとの感想です。

まず凰稀 かなめのレット・バトラー。


歌はなかなかいい出来です(ただし本人比で^^;)。でも、根本的にこの人は甘い声と整った容貌が邪魔をして、レット役には合わない感じがします。ヒゲも本人がスカイステージの「Now on Stage」で「なかなかぴったりするヒゲができなかった」と言っていたように、あまり似合っていませんね。それと、最近かなりやせてきているので、あまり貫禄がなく痛々しい感じです。ちょっと老けた感じが強いのも‥。


レットはたくましく商才があって世渡り上手のやり手の色男の半面、情におぼれるところもあるといった、スカーレットと共通したキャラクターだと思いますが、凰稀 かなめのレット・バトラーはそれが少し弱いですね。

このあたりは、どうしても私の原体験である麻実れいのレットの出来と比べてしまうので気の毒ですが。ただ、最後の名場面、傷心のまま別れを告げて立ち去るところは、やはり泣かせどころでしたね。

それとなんといっても決定的なのは出番が少なすぎること。これはひどいです。先の番組の中でも凰稀 かなめが「(舞台稽古で)出番より待っている時間の方が長かったので、みんなの芝居がよく見られた」といっていましたが、かわいそうな話です。

次はスカーレットの朝夏 まなと。

スカイステージのタカラヅカニュースの映像を見ただけではよくわからなかったのですが、実際に舞台を観るとちゃんと「女」していて違和感なく、体形も表情も女そのもの!(変な話ですが)で、ありがちな「オカマ臭」(殴)がしなかったのはさすが。


今回の男役→女役パターンの中では一番きれいです。

でも、これまた遥 くららが私の脳内に強烈に刷り込まれているので、比べてしまって気の毒でした。
激情に駆られて相手に詰め寄ったりする場面では、どうしても素の表情が出てしまいますが、遥 くららはそんな感情的な場面でも本当にきれいでしたから。
まあスカーレットという役は、役柄がはっきりしている分、やりやすそうに思えますが、感情の起伏が激しいので本当は難しいのでしょうね。
実際、遥 くららのあと、神奈 美帆がスカーレットを演じた公演を観てそう感じました。
彼女、「三つのワルツ」でびっくりの歌唱力と演技力だったので大いに期待したのですが、とにかく張り切り過ぎて演技過剰。結果としてただの自己中なツンデレ女(笑)になってしまって落胆した記憶があります。でもそのあとの「レッドヘッド」は本当によかったですね。版権のせいなのか、なぜこれを再演しないのか不思議なほど面白い舞台でした。

今回の朝夏 まなとのスカーレットもやや頑張りすぎのきらいがありましたが、二幕目ではそれほど気になりませんでした。
ただ、今回の「風‥」では劇団側の朝夏 まなとへの肩入れぶりが半端じゃないですね。実質スカーレット編といっていいほどです。

↓これが私の原体験です^^;


そしてアシュレ・ウィルクスの悠未 ひろ。
退団がもったいないほど円熟した演技で、光っていました。この人が出てきて歌いだすとホッとします。


ただやはり存在感が強く、とてもアシュレのイメージではないですね。本人も「いつもは絶対負けない強くて濃い役ですが、今回はそうではないので眼つきなどできるだけやさしく見えるように努力しています」といったことを「Now on Stage」で言っていたのが面白かったです。オペラで観ていて、そのあたりの苦心がよくわかりましたね。


またまた余談ですが、この番組で、凰稀 かなめが、「宙組に来た当初いろいろ慣れないこともあって心細かったり戸惑ったりしたが、悠未 ひろが細かいところまでよく気を配って支えてくれて、本当にうれしかった」といった意味の感謝の気持ちを披露していたのが印象的でした。いい話でした。

私的に一番印象的だったのが、ベル・ワットリングの緒月 遠麻。


この人も大きいのにオカマ臭は感じられず(ただセリフになるとちょっと香ってきますが(殴))、なんとも濃くて魅力的な娼館の女主人でした。劇中口さがない上流階級の婦人連に散々いじめられますが、彼女だったらなんなく一蹴できるのではと思えるほど強そうです(笑)。
でもこの人も出番が少なくなっていて、もったいないです。そう思っていたらフィナーレで男になって出てきたので、オペラでじっくり観察させてもらいました。(笑)


そのあとまた最後のパレードではベルの姿で出てきました。本当にこの人の女役、野性味もあって、ちょっとレナ・オリンを連想したりして、気に入りました。よかったです。

そしてようやく実咲 凜音のメラニー・ハミルトンの感想です。


配役を初めて知った時、なんでこの人がメラニー?と、ヨメさんと顔を見合わせたものです。
(実咲 凜音はスカイステージの対談番組などの会話では??とKYな時もありますが)なんといっても演技力と歌唱力では今のトップ娘役では一番といえると思うのに、なんでこうなるの?と二人とも疑問でした。
そういう思いを持って観たメラニーですが、いい出来でしたね。
同じ美人娘役でもあのだんちゃんと違って(でもアムネリスは高く買っていますよ)、演技力は大したもので、メラニーは本当に絵にかいたような良い人ぶり。聖女・天女が降臨したような感じでした。

緒月 遠麻が必死で祈っていたのがよく理解できました。(笑)


実咲 凜音はなんといってもせっかくの歌の場面がないのが残念。まあフィナーレでは、意趣返しかとおもうほどの美声で文句なしのこれぞエトワールぶりでしたが。
脇役ですがピカイチの演技だったので、結果的には儲け役だったのかも。これで腐らずがんばってほしいですね。

そして私が観るのを期待していたもう一人がスカーレットIIの純矢 ちとせ。
期待通りの歌と、ぴったりの違和感がまったくないスカーレットIIの演技。朝夏 まなとのスカーレットとまさに一心同体でした。余裕の歌唱力で満足でした。本当に大したものです。歌劇ですから歌ウマがなによりですが、演技も余裕でこなしていますね。


あとはミード博士の寿 つかさとか、

マミーの汝鳥 伶がさすがの存在感で場面を引き締めていましたが、

とにかく全体に役が少なすぎて行き渡らず勿体ないです。
ルネの七海 ひろきもほんの少しセリフがあるだけの影の薄い役。

それでもましな方で、ジョージの蓮水 ゆうやなどはまったく目立たず、オペラで探しまくりました。

というところでこの芝居の全体の印象に移りますが、とにかく演出が古臭い。もう完全にシーラカンス状態。ベルばらといい勝負の「塩漬け状態」です。
まず場面転換が、今時レアで陳腐な幕多用なこと。盆もセリも少なく、まるで全ツー公演です。

また、無駄に笑いを取りに行っているところも白けます。笑いあり涙ありという泥臭い演出から抜け出せない感じです。
そして説明台詞の多いこと。劇の中で展開すべきところをセリフで言わせてしまうのは安易すぎです。
さらに場面によってはくどく冗漫な演出(南部の文化や風土の紹介とか、アシュレとスカーレットのスキャンダルが町で評判になるところとか)があるのに、全体としては以前の公演であったはずの場面が省略されたりして話の密度が薄くなってしまっています。レットが最後に立ち去る場面の演出も以前より手抜きで悪くなっていました。
「アンドレア・シェニエ」とか「モンテクリスト伯」などの、洒落た場面転換と豪華なセット、濃密なストーリーの舞台(いずれもショーとの2本ものです!)を観た後では、とても一本物とはいえないスカスカ舞台でした。
(ただ蒸気機関車だけは仰天の豪華な出来栄え!でしたが、これとて登場したのはたった一度きり。前線から傷病兵が送られてくるところとかで活用できるのにもったいないです。まるであのコードロン・シムーンと同じです)
アトランタの街並みも薄手のカーテンに絵を描いただけで、それも戦前と戦後が同じものというチープさ。演出家の頭にあったのはコストカットだけかと思いたくなりました。

この「風‥」という話は、いろんな切り口での舞台化が可能なほど内容が豊かだと思いますが(ただ、黒人の扱い方とか、黒人の奴隷労働を前提とした農園経営とか、KKK団を肯定していたりとかの時代的限界はありますが)、いつまでも初演時の演出家の意見を墨守して上演を重ねているのは本当に疑問があります。
これはベルばらにもいえることですが、老演出家のセンセイもここはひとつ後進の演出家に道を譲って、若い才能にまかせて思う存分現代風にリアルにリニューアルさせたら、いずれも思白い舞台になると思うのですが。
誰も言い出せないのでしょうね。

で、私なりの結論としては、この公演をスカーレット編として配役し直すなら、
レット・バトラーは悠未 ひろ。この人の存在感で出番の少なさは十分カバーできます。(笑)
で、スカーレットはもちろん凰稀 かなめ。この人もまったくオカマ臭はしないし、何より演技力は折り紙つきなので適役です。
アシュレは朝夏 まなとか。あとはそのままでもいいかな。これで長年の悠未 ひろの貢献に報いられるし、いいと思いますが。(笑)
ただ演出家はもちろん交代が前提。

ということで、悠未 ひろのフィナーレでの晴れ姿(顔が映っていないのはマズかったですが)とタカラヅカニュースの映像でこの妄想観劇記録を終わります。




今回もご覧いただきありがとうございました。m(__)m




宝塚バウホール公演「第二章」を観て

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10月14日にバウホールで「第二章」を観てきました。
直前にスカイステージのニュースで初日の様子を見て面白そうなので、物は試しとココをチェックしたら、なんと結構な数のチケットが売りに出ていました。
価格も販売締め切りの前日とあって売り急がれたのか、@4,000円という良心的な設定でラッキーでした。ここの販売システムはしっかりしているので安心ですが、問題は申し込みから代金支払いまでの時間がわずか30分しかないこと。(笑)
今回は午後8時過ぎに申し込んだので、バイクで近くのコンビニに走りました。

連休最後の日でしたが、今回も道路はスイスイ。余裕で到着。まだ正門横の工事は続いていましたが、何やら建物もできつつありました。

ところで私たちのバウホール観劇は11年ぶり。2004年のヨメさんの発病後は初めてのバウホールになります。それで客席へのアクセスが心配でしたが、ちゃんと後付けのエレベーターが設置されていてOKでした。
時間が来たら鎖を外してくれました。


バウホールの席は12列の最下手の席でしたが、客席の傾斜が強く舞台が見やすいので快適でした。


今回の「第二章」はストレートプレイで、原作がニール・サイモン。脚本・演出は石田昌也。このセンセイ、最近はいい仕事していますね。

1977年には映画化されています。ヨメさんはその映画を見たことがあるといっていましたが、私は未見。どんな話か全く知らないままの観劇でした。以下、いつものとおり敬称略です。

幕が上がると、舞台は主人公の書斎。
大変な蔵書の量で、大学の図書館のように天井まで届く大きな書棚に本がぎっしり。思わずダブリンのトリニティカレッジを思い出しました。

ちなみにこの書斎の左にジェニファーのアパートのセットがあり、この2つの部屋を要領よく切り替えながら話は進行します。短期間の公演にもかかわ らずよくできたセットでした。書斎にさりげなくかかっている絵はすべて轟悠の描いた本物の絵だそうです。

その書斎に、12年連れ添った妻を亡くしたショックから立ち直れずにいる小説家、ジョージがいます。
兄思いの弟レオが悲しみを癒すためにあの手この手の励ましを試みますが功を奏さず、ジョージは折に触れ妻を思い出してはメソメソと涙に暮れる日々を送っています。


レオは傷心の兄を恋で癒そうと次々と女性を引き合わせるが、ジョージにとってそれはお節介以外の何物でもありません。


一方、6年間の結婚が破たんして、元夫との生活に時間を浪費してしまったことへの後悔と、他方、パートナーを失った寂しさを抱えつつむなしい生活を送る女優、ジェニファー。こちらも、親友のフェイが紹介する男性たちには一向に魅力を感じられずにいます。


今回の芝居は、亡き妻を忘れられないジョージと、失った時間を取り戻したいが新しい伴侶を探すのには臆病になっているジェニフアーが、一本の間違い電話をきっかけにはからずも“デートをすることになるところから展開していきます。
その後スピード結婚後に破綻の危機があって、それを再び2人が乗り越えてめでたしめでたしという結末になります。まあ、話としては予測可能でシンプルですね。
でもこの話、劇場で買ったプログラムではコメディとなっていますが、笑いの連続といった気楽な展開ではありません。
人生の「第二章」を前に、過去にとらわれてなかなか前に踏み出せないで立ちすくむジョージとジェニファーの、不器用で手探りの恋。その行方を出演4人の「言葉のボクシング(脚本家石田昌也の弁です)」で綴っていく正真正銘のストレートプレイでした。

余談ですが、俗に「妻と死別した男に後妻で入るのは難しい」といいますが、今回の芝居のストーリーでもそれがいえますね。男の脳内では亡妻は実際以上に美化された存在になっていますから、それと比較される後妻さんは大変です。でも夢咲ねねはそんな貧乏くじの役まわり(笑)を頑張って演じていました。
逆にジョージは、ダメダメ・マッチョ男の代わりなのでハードルは低く(笑)、かなり有利ですね。


以下、4名の出演者に沿って薄ーい感想を書いてみます。

まずはジョージ役の轟悠から。

↓プログラムより


数多くの「エリザベート」の公演を観ても、いまだに轟悠を超えるルッキーニは観たことがありませんね。彼女の演じた、狂気に満ちた鬼気迫る感のあるアナーキスト・ルッキーニは、今も目に鮮やかです。

でも、この「第二章」を観る前に、この人について「好きか嫌いか?」と聞かれたら、迷わず後者と答えたでしょうね。
というのは、ルッキーニ後の彼女の演技は、セリフの言い回しがなにか勿体ぶった感じが強くなって、喉を締め付けながら喋っているようで苦手でした。歌もうまいに違いないけど「ドヤ歌」(PAT出願中(笑))で魅力が感じられないのです。演技も固くてダイナミックレンジが狭そう。

しかし今回の観劇で大幅に好感度アップしました。まず苦手ではなくなりましたね。劇中では表情も豊かで、喜怒哀楽も自然で見直しました。ただセリフだけはやはりこもる感じが残っていて聞き取りにくいところもありましたが。
今更ながら、彼女、笑った顔などかなりきれいですね。(殴)

今回の芝居では3台の電話機が重要な役割を果たしています。2人の電話しあうシーンが多いです。




劇中、ジェニファーと初めて「試験デート」するあたりは軽妙な演技で面白かったです。

この人、まじめな性格なのか演技が固くなりがちですが、今回のような肩の力が抜けた役のほうがあっているのかも知れません。

次はジェニファーの夢咲ねね。
↓プログラムより


もともと我が家では(といっても二人だけですが)、夢咲ねねは基本何をやってもストライク(笑)ですが、今回のようなストレートプレイでも完全に合格点。いつもの「ブリブリ演出の呪縛」がなく、のびのびとした演技がよかったです。声も自然な感じで聴いていて気持ちがよかったですね。
超ブリッコが彼女の本領ではないことがよくわかりました。(笑)

これも電話する場面






こちらはジョージを励ますジェニファー




フィナーレではあの「セ・マニフィーク」を髣髴とさせる弾けぶりで客席を魅了していました。
今回も本当に気持ちよさそうに歌って踊っていました。
彼女、低めの声の方が力があって耳に心地よい声です。完全に娘役を脱皮して女役を好演でさらに好感度アップです。

今回の公演では轟悠との対比を考えてペッタンコの靴で通していましたが、それでも手足の長い恵まれた肢体でスタイル抜群、とくにフィナーレのダンスは圧巻でした。もっと観たかった。

弟レオ役は英真なおきです。
この人も星組組長時代から我が家では好感度大でひいきの1人でした。今回も兄思いでちょっとチンピラ風で軽妙な役柄をよく演じていました。セリフはいつもの「英真なおき風」ですが、それがいい味になっていました。


この人の組長挨拶はいつ聞いても「シミジミ感」にあふれていて、組子に慕われるのも納得の気持ちのこもったいい挨拶でしたね。
フィナーレでは歌ウマぶりを思う存分披露してくれました。ただ、カーテンコールでは出遅れたのか、照れ笑いしながら登場して、一人端っこで「反省」ポーズして笑いを誘っていました。

4人目はフェイ役の早乙女わかば。
まだ若いのに、そして経験もあまりないだろうに、堂々と3人を相手に頑張っていました。ヨメさんは「良くなっている!」としきりに感心していましたが、私は良くなるも何も、これまで全く知りませんでした。






でも、宝塚芝居と違って「俗世間(笑)」でも十分通用する演技で、3人に伍してよく演じていましたね。期待の娘役ですね。

ということで、コメディというよりけっこうシリアスな恋愛ものになっていましたが、心配された脚本家の十八番の「き
わどいセリフ」(笑)も許容範囲に収まっていて、なかなか完成度の高い舞台でした。ただ、「じぇじぇ」などの現代用語は満載。(笑)
こんな面白い舞台がバーゲン価格で観られて大満足でした。
そして最後のフィナーレでは、そんな地味な印象を吹っ飛ばすノリノリのショーになっていて、本当にお得感たっぷり。

これを機に、バウ公演もチェックすることにしました。今回はバウホール公演だけですが、ぜひ他の劇場でもやってほしいと思います。おすすめです。

今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。



おまけはフィナーレの映像です。
客席降りもたっぷり↓












幕が下がってきました


幕が下がってきても手を振ってくれています





こまつ座&ホリプロ 音楽劇「それからのブンとフン」を観て感じたこと

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井上ひさしの作品を観るようになって今回で6作目です。最初の観劇は「黙阿弥オペラ」。前に井上ひさしの作品の感想を書いた際に「組曲虐殺」が一番といいましたが、今振り返ってみると、最初の衝撃を差し引いても、「黙阿弥オペラ」が一番だと思います。謹んで訂正いたします。とくに好きだったのは釣りの浪人でした。
次に見たのが「キネマの天地」。これも面白かったですね。作者一流の凝ったドンデン返しの展開が痛快でした。女優陣が豪華でした。そしてインパクトの強かった「藪原検校」に続いて、小品ながらよくできた「芭蕉通夜舟」。

今年に入っては「頭痛肩こり樋口一葉」、そして今回の「それからのブンとフン」になります。まあ短期間によく観たものです。

今回の「それからのブンとフン」は、井上ひさしの初めての小説「ブンとフン」(1969年刊)を、1975年に作者自らが戯曲化したものです。そんな小説や芝居があるとは全く知らなかったのですが、38年ぶりの公演と聞いて、販売開始まもなくチケットを購入。今月20日の観劇となりました。

当日はあいにくの雨で、シアター・ブラバにはすでに劇場入り口の小さい庇の下で雨宿りする観客がたくさん詰めかけて開場を待っていました。
この劇場、現在の水準からいうと本当に設備がお粗末。でもスタッフは親切でした。

今回の芝居は、井上ひさしが、まだ戯曲を手掛け始めた時期の1975年に、劇団テアトル・エコーのために書き下ろしたものです。
話としては、自らの小説「ブンとフン」を基本に、出版後の時代の変化を反映して後日談を書きくわえたものとなっています。

当時は70年安保闘争を挟んで社会は大きく変動していて、オリジナル小説の、ある意味では平和な結末ではとてもその変化に対応しきれないので、後日談を加えて「それからの‥」となったのでしょうね。

演出は、生前から井上ひさしの信頼が厚かった栗山民也。そして主人公の作家フンを演じるのは、意外にも井上ひさし作品には初出演という市村正親ということで、大いに期待しての観劇でした。
シンプルな舞台装置ですが、効果的でいい仕事です。誰かと思ったらアンドレア・シェニエ松井るみが手掛けたとのこと。
この人、現在の日本の舞台公演を多数手掛けていますが、こまつ座でも常連だったんですね。
演奏は朴 勝哲で、手練れでした。

あらすじは、大きく変化した結末を除けば、大部分小説「ブンとフン」のままです。

幕が上がると、舞台は売れない貧乏作家・大友憤(おおともふん・憤慨のフンとのこと)の、文字通り赤貧洗うがごとき暮らしぶりの紹介から始まります。
市村正親、さすがに堂に入った演技で、余裕の客席いじりで笑わせてくれました。この人自体、最近とみにむさくるしさが増加しているので(殴)、今回の役はぴったりでした。

話は、全く売れたことがなかったフンの小説がベストセラーになると同時に、世界中で不可解な事件が次々と起こり始め、その後は「ひさしワールド」全開の奇想天外な話となります。
シマウマのシマが盗まれ、別のシマウマにそのシマが加わってタテヨコ十字模様のシマウマになったり、自由の女神が突然消えたり、奈良の大仏が瞬間移動で、鎌倉の大仏の隣に現れたり、大学対抗ボートレースの最中、競技が行われているテームズ川の水が消えてしまったり、日本中のアンパンからヘソが消えたと思ったら、カエルにそのヘソがくっついたりとか‥。
小説ではこの盗難事件がもっと大規模に多方面に起こっていて笑わせてくれます。

ただし、今回事前に原作小説を手に入れたのは大失敗でした。観劇しながら後悔しきりでした。
というのは、観劇前夜に、予備知識を得ようとそれをかなり読み進んでしまったので、本来ワクワクしながら観るはずの連続盗難事件が、全然面白くなかったのです!(泣)

↑新潮社も商売熱心で公演の宣伝も入れています(笑)。
原作とはいえ、舞台化するに当たってはかなり脚本も変わっているだろうと思い込んだのが大間違い。
省略された箇所はあっても、残された所はほぼ小説どおり。これは辛かったです。話に入るより、両者の違いをチェックする方に関心が行ってしまって白け気分。同時に瞼も下がってきました。(殴)

教訓:長編文芸大作の舞台化などと違って、今回のように作者自らが小説を戯曲化したような舞台は、絶対事前に読んではいけませんね。読むのは観劇後にしましょう。

それでもまだ救いがあったのは、読んだ範囲が半分程度だったこと。(笑)それで、一幕目の後半あたりから気を入れて観劇できるようになりました。うまい具合にそのころから話も俄然盛り上がり、面白くなってきました。

話の筋に戻って、この奇妙で荒唐無稽な犯罪の犯人が、4次元の大泥棒・ブンの仕業とわかってきます。
フンについて小説ではこう書いています。
『ブンとは何者か。ブンとは時間を超え、空間を超え、神出鬼没、やること奇抜、なすこと抜群、なにひとつ不可能はなくすべてが可能、どのような願い事でもかなう大泥棒である』。

その主人公が、突然、小説から抜けだして活動し始めたのです。そしてブンが犯人と分かったとたんに、小説『ブン』はさらに売れて、世界中でベストセラーに。
そしてそれぞれの本から本の数だけブンが出現し、世界は無法地帯になってしまいます。そのうち大泥棒ブンは、形のあるものを盗むことをやめ、人間の見栄、権威、虚栄心、記憶、歴史など形のないものを盗み始めます。ここからが井上ひさしの真骨頂。劇中で「歴史に学ばないのだから、人間に記憶など無用」というのは痛烈です。

小さくて見にくいですが歌詞は↓のとおり
↓プログラムの画像です


いやなやつからいやなところをとったら、残りはいいところばかりになりますね。
悪いやつから悪いところをとったら、善人になるしかありません。
この歌を聴いていて、なんとなく「組曲虐殺」の劇中の「絶望するには、いい人が多すぎる。」「希望を持つには、悪いやつが多すぎる。」「どこかに綱のようなものを担いで、絶望から希望へ橋渡しをする人がいないだろうか。‥いや、いないことはない」というフレーズを想起していました。
まさに「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに〜」ですね。

「全ブン闘」の世界大会のあと、ブンたちの収容されたリゾートホテル顔負けの刑務所に、微罪を犯して入所を希望する多数の人々が押し寄せるというところで終わるのが小説版ですが、「それから‥」では焚書坑儒ならぬフンへの弾圧と作品の発禁処分、ブンが死んでからまたフンが自分の血で執筆活動を再開して、またブンたちも復活していくというところで終わっていました。

その違いは、小説の書かれた時期から戯曲化に至る数年の間の社会情勢の変化を反映しています。あっけらかんとした小説の結末とそぐわないほどいろいろな状況の変化があり、作者自身それを書かずにはいられなかったのでしょうね。
それほど井上ひさしは時代に寄り添いながら、しかもそれに流されることなく根柢にあるものを凝視していたのだと思います。

私のきわめて個人的なツボは、「全ブン闘」の世界大会で「偽ブン」が演説するところ。小説に書かれていて劇では削られていた「日本共産党代々木派(懐かしい!)」に対する野次(これは帰宅してから小説を読んで確認(笑))がなくても、偽ブンが何を指しているのかその場ですぐわかって1人で「異議なし」と笑って観ていました。そのあと偽ブンは刺殺されますから、何とも過激です。(笑)

次に簡単に出演者について。(敬称略です)
まずはフンこと市村正親。
初めに書いたように、最近急速にむさくるしく濃くなってきたという印象ですが(殴)、今回の役はまさにはまり役。彼が井上ひさし作品に初出演とは意外でしたが、作者一流のコミカルな脚本をぴったりの演技で完全消化。楽しんで演じている様子がよく伝わってきました。

あるインタビューで彼は「俳優生活40年目に、井上先生の魂に触れる役に出合え本当にうれしい」と話し、「約40年前に書かれた『ブンとフン』が、今の時代を言い当てていて驚いています。改憲や国民総背番号の話も出る。井上先生の分身のようなフン役、先生の思いがにじむようにやりたいです」と抱負を述べていましたが、そのとおりですね。
今回の観劇で市村正親を改めて見直しました。
↓以下すべてプログラムからの画像です


次に光っていたのがメインのブンを演じた小池栄子。
着物に束ねた髪という作者のイメージ通りだったと思います。スッキリの立ち姿に明瞭なセリフ。テレビドラマ出演でデビューとは思えないほどしっかりした発声で、演技も上々、歌も水準に達していました。初めて眼にした舞台ですが、よかったです。


インパクトがあったのはヒットラーみたいな警察長官の橋本じゅん。うまいです。悪役でも魅力的なのはキャラクターによるものでしょうね。登場しただけで笑ってしまいました。


もう一人大活躍だったのが悪魔の新妻聖子。「‥樋口一葉」の若村麻由美の幽霊といい、今回の悪魔といい、こまつ座の芝居に出てくる魑魅魍魎はどれも憑りつかれたいと思うほど魅力的で蠱惑的です。(笑)
そして歌もびっくりの歌唱力で、大したものでした。歌といえば今回の出演者、みんなうまかったですね。音楽劇だから当然とはいえ、眼福で耳福な舞台でした。


その他、山西 惇や久保酎吉(いい味出していました)、さとうこうじ、吉田メタル、辰巳智秋、飯野めぐみ(猫がなんとも魅力的)、北野雄大、角川裕明、保 可南、あべこ、など芸達者の顔ぶれで、みんな宝塚顔負けの役替わりと早変わりに奮闘していました。そのおかげで役者の数は実人数以上に多く感じました。
でもみなさん、衣装の着替えだけでも大変だったようです。













観終わって、こまつ座が今この芝居を上演した意味について自分なりに考えながら帰途につきました。
芝居の中で「各国代表のブンたち」が語っていたことや、劇中の政府による情報統制の動きと出版物の発禁処分、国民総背番号制、隣国との紛争などなど。井上ひさしが挙げたことは今も何一つ変わっていないどころか、ますます悪くなっていますね。

今回も「面白うて やがて悲しき 鵜舟かな」という観劇でした。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

次回の観劇は、同じ井上でもいのうえひでのりの「いのうえシェイクスピア 鉈切り丸」。(てか、それ、明日(10月24日!)のことですよ、明日。)
筆が遅くて追いつかず、なかなか更新のお約束も果たせないまま観劇が続きますが、ご容赦ください。m(__)m

"いのうえシェイクスピア"「鉈切り丸」、絢爛豪華な舞台でした

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今回は同じ井上でもいのうえひでのり演出の舞台です。初めての観劇となります。
私たちが観たのは10月24日(木)。上演されるのはもう久しく行っていない劇場なので事前に調べたら、直営の駐車場はなし。でも契約パーキングはあるので、そこに停めれば3時間500円の補助券がもらえるとのこと。
ただし結構離れているので、台風接近とあって天候が心配でしたが、当日はまさかの好天。車椅子でも大丈夫でラッキーでした。
正午に劇場前に着いたら、すでに開場を待つ大勢の人が歩道や近くの公園に集まっていました。まもなく劇場内に入れてくれたので、中で開場時間まで待つことができました。このあたり、直前のシアター・ブラバとは大違いです。
待っている間にスタッフの女性が声をかけてくれて、客席の状況などを説明してくれました。その後トイレに行って時間を調整。

その間に気付いたのですが、この劇場、オリックス劇場として2012年に再オープンした際に全面改装して、最新鋭の舞台設備に更新され、同時にエレベーターの新設や女性用トイレの増設、完全バリアフリー化なども実施されたとか。
実際障害者トイレも最新の設備で快適、さらに今回利用した車椅子スペースが、席番号でいうと11列の17・18番相当のものすごく見やすい場所。

そこに行くまでの経路も完全にフラットで感激しました。こんな見やすい車椅子スペースはこれまで経験したことがありません。それだけでもうれしくなりました。障害者の利用しやすさでは関西一(いや日本一かも)。

今回は主人公のファンなのか、若い女性客が目立ちました。

さてようやく感想です。(またまた長い前フリです。m(__)m 文中例によって敬称略です)

開演前にプログラムを買いました。ずっしり重く大部で、値段も2,000円と高価!でも情報豊かな内容で、買う価値はありました。

それを読んでいるうちにオープニングのテーマミュージック?がかかりましたが、映画のテーマのような迫力のある音楽です。それを聞いてさらに期待が高まりました。ちなみに劇中の音楽は生演奏で(録音も併用)、キーボードとパーカッション、篳篥でいい効果を上げていました。

舞台には幕がなく、代わりに竹藪の植わった木製のセットが全体を覆っています。この出し入れで場面転換されるのですが、舞台の一か所になにか突起でもあるのか、毎回左右に分かれて動かすたびにゴトンと音がするのが気になりました(笑)。

1時にスタート。
最初の立ち回りの場面、舞台上方からミストのような水が降ってきて、そのカーテンで雨を表現しています。
立ち回りのシーンはさすがにタカラヅカのスローモーションなゆるい斬り合い(笑)と違って、迫力があります。
そして森田 剛扮する主人公・鉈切り丸こと源範頼が登場。
生まれつき背中に大きな瘤を背負い、片足を引きずり、顔には醜い傷があるという設定。鉈でへその緒を切ったから「鉈切り丸」の幼名となった源範頼が、シェイクスピアの「リチャード3世」という想定でした。

森田 剛、この鉈切り丸を渾身の演技で頑張っていました。観ているうちにようやく「祈りと怪物 〜ウィルヴィルの三姉妹〜」のトビーアスを思い出しました。(そういえば、あの感想では一切森田剛について触れていませんでしたね。申し訳ない。(殴))
ただ、後半では見た目の老け具合と、若い声がますます合わなくなる感じがやや惜しいかな。でも、前回の観劇と違って、今回は建礼門院と共にこの芝居の流れをリードする重要な役割を十分に演じていて印象に残りました。
(↓以下、すべて 当日購入のプログラムより)


史実で伝えられている源範頼と異なり、今回の「鉈切り丸」の範頼は生来の悪役ですが、同じような極悪人として描かれた「藪原検校」ほどドライなワルではありませんね。後者のスコーンと突き抜けたような血も涙もない悪逆非道ぶりの痛快さと比べると、鉈切り丸はセリフも常に同情を誘う詠嘆調(笑)で、シェイクスピア風というより「和」のテイストが強いです。(笑)

続いて他の役者の感想になりますが、まずネガティブなところから行くと、成海璃子の巴御前が最大のミスキャストに感じました。


この役、冒頭から最後まで話に絡む重要な役ですが、この女優にはまだ荷が重すぎ。セリフも演技も水準とはいえず、観初めて即座に「ああ、アカン」と思いました。
義仲に逃げろと言われたとき、本当にこんな巴御前では足手まといになるだけだと思ってしまいました。
もっと野性的で芯のあるキャラクタのはずなのに、全然表現できていないのが残念でした。
とくに今回、女優陣があまりにも豪華な顔ぶれなので、その差は歴然、彼女の登場する場面は本当に長く感じて辛かったです。
でもこれは本人の責任ではなく、選んだ方の責任だと思いますね。興業的な打算で登用するのではなく、実力本位で選んでほしかったです。
これが例えば最近見た「それからのブンとフン」の新妻聖子とか小池栄子だったらどんなに良かっただろうと、観劇しながら考えていました。

ネガティブな評価としてはこれぐらいにして、良かった順ではなんといっても若村麻由美。




この人が演じる「北条雅子」の前では、頼朝も形無し。演出家の想定では「リチャード3世」でのエリザベスだそうですが、本当に強い女性でした。頼朝をアゴで使っていましたからね(笑)。とにかくセリフの力がすごいし、メリハリの利いた表情でどんな役にもなりきれるダイナミックレンジの広さが強みですね。それでいて、たまに入るコミカルな演技もうまくこなして、大したものでした。
余談ですが、たまたま今テレビを見たら、三宅裕司の「コントの劇場 10月号」が放送されていて、若村麻由美がゲスト出演。途中からでしたが面白く、即興でよくできるものだと感心しました。ちなみに北村有起哉も出ていて思わず黙阿弥オペラの「釣竿の浪人」を思い出したり。

若村麻由美と並ぶのが「建礼門院」の麻実れい。平家の怨念を象徴する生霊役で、これまたすごい存在感。出てくるだけで周囲を圧するのはさすがですが、二人とも低い声も高い声も、大きな声も小さい声もくっきり明瞭でした。
建礼門院は鉈切り丸と並んで狂言回し的な役廻りです。でも同じ狂言回しでも、建礼門院はすでに滅亡してしまった平家の怨霊なので、歴史の進行に影響を及ぼす力はありませんが、鉈切り丸のほうは、傍流とはいえ歴史の勝者・源氏側なので、頼朝を操ってどんどん現実を変えていきます。
そんな怨念の象徴でも、麻実れいがやると凄い迫力で、出番は少ないものの強いインパクトがありました。


頼朝は生瀬勝久。この舞台を観る前はいつものパターンで、狷介で嫉妬心や猜疑心が強いいやな権力者という頼朝像を予測していましたが、現れたのはそれとは正反対。まったく政子のいいなりのままのダメ夫ですが、そんな彼が時折見せるコミカルな演技が、重苦しい話を適度にほぐす役割を果たしていました。この人の眼の演技が印象に残りました。時折かましてくれるギャグが秀逸でした。全く意表を突かれた頼朝像でした。


女優ではイト役の秋山菜津子もベテランらしい安定した演技で、感情の起伏の多い難しい汚れ役を十分に演じ切っていました。
終わりの方で、母として鉈切り丸と対面して激しくやりあう場面でも堂々と伍していて大したもの。この人、「藪原検校」での好演もまだ記憶に新しいところです。


梶原景時の渡辺いっけいも味のある演技で、弁慶の千葉哲也とともに脇を固めていました。この二人が芝居に厚みを出していましたね。全編権謀術数が渦巻くこの芝居で、いつ梶原景時が裏切るのかというのも興味がありましたが、かろうじて踏みとどまっていましたね(笑)。
弁慶の立ち往生もうまくできていました。この芝居、血しぶきを上げて切られるシーンとか、随所に凝った仕掛けも見られます。




義経は須賀健太。頑張っていましたが、まだ発展途上の印象。私としてはビジュアル的に義経のイメージには合わないと思いました。もっと絵にかいたような美青年であってほしかったなあ。


演技では木村了の和田義盛が、真っ直ぐな人柄をよく演じていました。立ち回りはキレがあり、台詞もハッキリスッキリ聞きやすい。男優では一番台詞がよかったと思いました。


逆にやや聞こえにくくで残念だったのは大江広元役の山内圭哉。ふだんの会話をドモらせる演出もどうかと思いますが、吾妻鑑を読むときは明瞭なはずがちょっと聴き取れなかったりしたのが残念でした。この人もコミカルな部類のけっこうおいしい役回りでした。


あと、宮地雅子が被り物で笑わせてくれました。比丘尼役も演じていて、余裕の演技で座を和ませていていい仕事ぶり。初めの被り物は移動とか大変そうです。詳しくは観てのお楽しみ。


全体としては、なんといっても青木豪の脚本が素晴らしい。スケールが大きくて大作の風格たっぷりです。細部も鉈切り丸が頼朝をそそのかし、思うままに操っていく筋書きなども説得力があります。頼朝でなくても納得しますね。観劇しながら、和物の題材でもこれだけの脚本ができるのかと感心しました。宝塚の座付作者も奮起してほしいものです。
宝塚と言えば、今回の演出では随所にタカラヅカ的な要素が見られました。セレモニーの場面での群舞とか、建礼門院の羽根の衣装とか、まんま使えそうです。
それと音楽が効果的でした。篳篥の生演奏で歴史ものらしい雰囲気が強調されていました。
舞台装置では最初に書いたように竹藪の生け垣のセットが場面転換で効果的でした。このセットを見ていて、マクベスの動く森を連想しましたね。そういえば巴御前とイト、そして建礼門院が3人の魔女みたいにも思えたり。後、不気味にリアルな生首とか(笑)。

最後は圧巻の立ち回り。「祈りと怪物‥蜷川バージョン」のラストみたいな演出で、主人公は大変だなあと同情しました。詳細は観てのお楽しみということで触れずにおきます。(笑)

繰り返しますが、本当に見ごたえのある舞台でした。最後に客席は全員感動のスタンディング!!

同じいのうえでも、いのうえひでのりはまた違った味わいのある演出で、楽しい10月の観劇となりました。また同じ劇場で、この脚本家+演出家の作品が上演されればぜひ観てみたいです。

「鉈ぎり丸」、おすすめです!






悪あがきも空しく、iP7500がとうとうご臨終。

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2005年に購入したキヤノンのインクジェットプリンタ・iP7500がとうとうご臨終。
今回はその顛末についてご報告です。

私が最初に買ったプリンタは、NECのPC-9801VX21と同時購入の、NECのドットインパクトプリンタPC-PR201です。複写用紙に印刷するため猛烈にうるさく、文字もドットが荒くて汚いので、間もなくキヤノンのバブルジェットプリンタを追加購入。
このプリンタ、当時としては印字がきれいで満足していましたが、Windows95が発売されてまもなく買ったエプソンのPM-750Cのカラー印刷の見事さに驚き、まもなくキヤノンはお払い箱。テキストの印刷には十分使えたので、商売に使うという知人に譲りました。
しかしその期待のPM-750Cは極めて短命で、その後継として購入したPM-820Cも同様に長くはもたず、さらにPM-930Cの購入となりました。でもこれもすぐ壊れました。
どれも保証期間が過ぎてすぐ故障するなど、よくできたタイマーでした。

このエプソンの余りの短命ぶりに愛想が尽きて、そろそろ画質に引けを取らなくなったキヤノンiP7500に乗り換えを決意。
エプソンと違っていろいろ快適で、気持ち良く使ってきましたが、やがて電源が入りにくくなって修理。復活して、そのあと、謎の自動電源オンオフ機能を見つけたりして使い続けてきましたが、とうとう全く電源が入らなくなりました。何をやってもダメ。
まあそれでも、iP7500はエプソンの各機種に比べたら遥かに長寿命でしたが。

しかし、ここで廃棄するには、買いためていた手持ちのインクがもったいない。
詰め替え用のインクや、ICのリセッターなどを合わせたら大体9,000円以上になるでしょうか。
知り合いに譲るにも、もはや7eというインクを使っている者も身近にいないので、本体と一緒に廃棄するしかありません。なんとか無駄にしないようにと、適当な同型のジャンク品でも入手して、部品どりで再生して延命できないかと、悪あがきにチャレンジすることにしました。

タイミングよく某オークションで入札期限が近い手ごろな不動品を見つけました。値段は500円ですが、送料が1,500円かかるのが微妙なところです。でもまあお遊びと思って応札。落札して送られてきたのがコレ↓でした。


きちんと梱包されていました。↓


見たところはまあまあですが、この状態で電源ボタンを押したら一瞬LEDが光りました。一瞬だけですが。(笑)
これは良品かも!と淡い期待を抱きながら、とりあえず解体にかかりました。

キヤノンの製品は現在の工業製品の典型で、外装はネジ不使用です。
左右のカバーは指定箇所をマイナスドライバーでちょっとこじればパカンとはずれます。


その下にある一体になった黒いカバーは、まず背面の2箇所の穴にマイナスドライバーの先を差し込めばストッパーが外れて少し持ち上がります。




後ろを浮かせたまま今度は、前部にあるシャーシー部左右との組み合わせ部を横にずらすと外れます。






先の通りスイッチ基板は使えそうなので、メイン基板をチェック。基板をよくよく見ると、壊れた私のiP7500より古いロット番号が記されていました。
それで、まずジャンク品からスイッチ基板だけ私のiP7500に移植。でも全く反応なし。(^^;

次にメイン基板もジャンクから移植したら、今度はあっけなく電源は入りました。







カタカタと聞きなれた音がしています。ヤッタ〜、成功と思ったのも束の間、エラーLEDが点滅してそれ以上動きません。点滅回数は2回。


これはキヤノンのサイトでは「用紙がセットされていない /給紙ができない」エラーとのことですが、用紙はカセットに入れてセット済み。何度セットしなおしても点滅は止まりません。
対処方法はいろいろ書かれていますが、最後は「それでも直らない場合は、修理が必要な可能性があります。」とのこと。

カセット差込口周辺を見てもそれらしいセンサーは見当たらず、なにより第一にインクタンクのLEDがすべて消えたままなので、どうやら根本的なところがダメみたいです。最後に、私のiP7500のメイン基板+ジャンク品のスイッチ基板の組み合わせをジャンクiP7500に移植してみましたが、これは全く電源が入らずダメ。

ガックリでしたが、まあこれで買い替えの決心がつきました。(笑) おかげで基板の交換作業はプロ並みに慣れました。(殴)

教訓:スキルなしの悪あがきは時間とお金の浪費。何事も諦めが肝心。(笑)

後継機種としては、iP7500と比べたらインクタンクが小さくなって

いますが、まあPIXUS MG7130ぐらいかと安いところを調べていたら、昨年発売のMG6330と仕様の差異がほとんどないことが判明。値段も半額近く格段に安いので、MG6330にしました。
Wifi設定も簡単で、自動電源オンオフにも対応していて便利です。

ただし、残念なのは、これまでキヤノンの美点だった透明のインクタンクが真っ黒・不透明なケースになってしまったこと。これでエプソン同様に、目視での残量確認が出来なくなりましたね。キヤノンもとうとうインクが残っていても交換させるエプソン流の販売戦略に転換でしょうか。
それと流行のツルピカ外装もすぐスリ傷がついてしまうのはいただけないです。

iP75002台は先週、まとめて不燃ゴミの日に回収されていきました。8年使えた長寿命の機種だったのに残念です。

さて、なんとか7eのインクの引き取り先を探さなくては。^^;




タカラヅカスカイステージ/ 「The Back Stage #2 ~舞台進行・公演大道具~」 究極のキュー!

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前回は宝塚の大道具製作についての放送をご紹介しましたが、今回の番組テーマは「舞台進行・公演大道具」というものです。

舞台進行と公演大道具という2つのタイトルになっていますが、実際は舞台進行が中心となっています。前回は大道具でも製作の裏話で、今回は出来上がったその大道具をどう使うかも含めた、舞台進行のカギとなる「きっかけ」、つまりキューの作成にまつわるお話です。

いつも観劇していて思っていたのですが、宝塚の舞台は、舞台上の大勢の出演者の演技と、それと一体となった生演奏、そして多彩な照明、スピーディーな場面転換のための大がかりな舞台機構が魅力ですが、それらを誰が、どうやって同期させているのだろうかというのが知りたいところでした。一応その答えとなっているのが今回の番組です。

以下、番組の内容を放映順にキャプチャ画像とあわせて書いていきます。

7月23日、稽古場では花組の「サンテクジュペリ」と「コンガ」の通し稽古が行われています。


稽古の様子を見守るたくさんのスタッフ。数人の黒シャツ軍団にご注意。


彼らの台本には場面ごとの絵コンテ?のようなものが描かれています。この段階ではおおよその流れをチェックしているようです。


こちらは舞台進行担当さん。台本と見比べながら稽古を見守ります。


彼の職名は正式には「劇場部宝塚公園課進行・楽屋担当」


自分の担当する舞台進行とはどういうものかを語っています。

舞台進行とは?と聞かれた阪田さんは、
「進行担当の一番大きな仕事は『きっかけを出す』ということ。
稽古場の時点から演出家と話をさせていただいて、どこでこの道具を動かすのか、どこで吊りものを飛ばしていくのか、しかもそれが安全に、しっかりと舞台を運営できるようにということを考えながら、すべての『きっかけ』を作っていくということが進行の大きな仕事になりますね。」と語っています。

7月25日「サンテクジュペリ」の舞台稽古。演出助手の大野拓史さんと阪田さんがプロローグのけいこを観ながら相談しているところ。


再び阪田さん:
「プロローグの場面ですと、セリをこういう順番で使いたいと、この歌の何小節目でセリを動かしたいとかの話を受けまして、そのほかドライアイスを使いたいとか、煙を出したいとかのお話を事前に演出部の大野さんからいただきまして、それを進行担当としては舞台装置を使うので大道具さんにも話をしに行ったりしまして、で、舞台機構的に床機構などちゃんと動かせるのかということをすべて調整をして、実際の舞台稽古に臨んでいくということをしています。」

宝塚歌劇の魅力のひとつでもある大規模な舞台機構。でもそれを動かしたり止めたりするスタッフに「きっかけ」を出す仕事は大変です。話の中ではコンピュータでタイミング管理をしているとかの話も。

ナレーター
「今回の作品で苦労した点はどこなのでしょうか?」
阪田さん:
「今回の公演では、プロローグが一番きっかけが多いところですが、(演出部から)当初いただいた計画では舞台機構が動かせないということがわかって、どうしたらコンピュータで枠を作って動かせるのかというところで、舞台稽古の段階で大道具さんとか演出部と話をして、それぞれ動かすタイミングを決めていったところが一番苦労したところですね。」
長年やってきているはずなのに、舞台機構が動かせないようなプランが演出部から出たりするというところが面白いです。

さて映像は変わってプロローグでの舞台下の奈落の場面。そこでは複数のスタッフが出番でセリに乗った蘭トムの状態を確認して、口々に「OKです〜」「はい、上がりまーす」とか声をかけています。ただ画像は真っ暗でよく見えず(笑)。


丸い台座の中にはセリが仕込まれています


そしてセリが上がってきて蘭トムが登場。


阪田さん:
「次に苦労したのは、飛行機をセリを使って高いところから下げてくるところ。しかも飛行機を盆を使って2回転させて、さらにそこにはドライアイスを使いたいとか、盆が止まったら吊ものを下したいとか、ま、実際には椰子が降りてくるのですけれど、それらが本当に動くかどうか検証していくところが大変だったところですね」

実際の舞台上ではこんな場面になっていますが、


舞台裏ではすでに飛行機を大道具のスタッフが押していってスタンバイ。まだ翼は畳まれています。


やがて翼も伸ばされて


登場です。盆が回りドライアイスも出ています。


操作しているのはこちら。



まるでSF映画の宇宙船か潜水艦のオペレーションルームです。シーンごとにパソコンのプログラムによって順番に各パートのボタンが光り、それを実際の進行を確認しながらスタッフが押すことで各部署が動いているみたいですが、詳細は不明です。

公演大道具さんの感想
「宝塚は舞台のスケールの大きさがウリの一つでセットが大仕掛けなので一人ではできませんね。なので、みんなで息を合わせて一斉に動かすというのが必要で、でも自分たちがそれを客席から見る機会は基本的にまずありませんから、きれいに息が合っていると見栄えがするやろうなとイメージしながら動かしています」


進行の阪田さんは
「進行係は舞台稽古から初日、千秋楽まで演出部と一番長く話をしていく部署になると思うのですが、初日の幕が上がり、舞台が終わって最後に緞帳が降りたあとのお客さんの拍手や歓声を聞いた瞬間というのが、一番達成感があるといいますか、肩の荷が降りたといいますか、ホッとする瞬間ではありますね」


ショー「コンガ」の方は舞台進行は別の担当になっています。なぜか東京公演課の舞台進行13年のベテラン宮脇さん。


てきぱきと指示を出していますが、演出サイドからの要求通りに進行できない場合もあるようです。

「演出的にはここで動かしたくても、いろいろ安全面での条件とか、そのほか視覚的な条件とか整わない場合はやはりキューは出せなかったり、また無理な条件としては人員的なもの、具体的には大道具は上下(かみしも)7人・7人と、あと舞台機構を動かすオペレータが3人、小道具が大劇場でしたら上手4人・下手3人の7人、あと進行の係が上下に2人ずついますので合計28人。この28人でやっていくしかないので、それで手が回らないときには転換を2段階に分けてもらうとか、そういうやり取りをしながら決めていくことが多いですね。」


↓蘭の花を出すところです




舞台上では


<ナレーション>
舞台転換の速さでは世界一といわれる宝塚歌劇。進行係さんはどう思っているのでしょうか

宮脇さんは語ります
「ぼくは宝塚に入る前も比較的キューを出す仕事が多かったのですが、歌劇の仕事をやらせていただいたときに、はじめは面食らいましたね。こんなにもキューがあるのかと。
入った当時は1000days劇場からのスタートだったので、床機構が全くない状態で、吊もののきっかけを出すのが中心だったのですが、それでもこの仕事をするにあたって、宝塚のテンポ感の速さとかに体が慣れるまでものすごい時間がかかったことを今でも憶えています。
その後も外の現場とかの仕事をやってまた宝塚に戻ったりすると、かなりリハビリをする時間がかかりました。
意識とかをタカラヅカモードに変えていかないととてもやっていけないですし、ここまで忙しく転換をやっているカンパニーは他にはないのではないでしょうか。
まあ今回のコンガは比較的少ない方で、まあキューも数えたら50くらいでしょうが、多いものでは一幕もので120とか150とかのキューになることもありますので、そういう意味では宝塚の舞台進行、要するにキューを出していく仕事というのは気が抜けないですね。」


最後に各担当さんの感想が紹介されていました。

まず大道具の福岡さん:
「速さを求められるという点では新入社員のころから急げ急げというのがあるんですけど、私たちは自分の身も守らないといけないし、出演者を守らなくてはいけないのはもちろんですから、とにかく安全第一を心掛けて、その中で速くということを追求していくことで、ご覧いただいた皆さんに『どうやっているんだろう?』と思っていただければ僕らの仕事としては成功やと思っています。」

進行担当の阪田さん:
「裏方としてはこの転換の速さですとか、それはまあ大道具さんがしっかりとした技術を持ってやってくれているから出来ることなんですが、宝塚の一番の魅力と言いますとやはり華麗な衣装ですとか、裏方としては素早い転換というのが見せ場と言いますか、そういうところも見ていただけれるうれしいですね」

進行担当の宮脇さん:
「ぼく個人としてはまだまだ日々学ぶことが多くて、13年ぐらいですかこの宝塚の仕事を始めて。でもまだまだスキル的に上げていかなくてはいけないなと、自分の中で能力の足りていないなというところを毎回感じることが多いので、ま、それを一つ一つなくしていき、それでお客様が舞台を喜んでいただければいいかなと思っています」

最後に舞台裏もわかる貴重な画像が映されて終わっています。

セットするのに見えているだけでも8人のスタッフが動員されています↓


この吊ものは↓


なんと手動で上下しています↓


フィナーレですが↓


このシーンの後方にご注意


楽しく踊っていますが↓


大道具さんが頑張っています


今回も面白い放送でした。

多くの持ち場の協働で成り立っている舞台の場面転換が、芝居の流れにぴったりシンクロするためには「キュー出し・きっかけ出し」がキーポイントですね。話の中で紹介されていた150ものキューとなるとそのタイミング調整だけでも大変です。
たまに座った席によってはセットの裏に大道具さんが見えたりすることもありますが、この放送を見た後は、その苦労が偲ばれて仕事とはいえ本当によくやっているなあと感心するばかりです。
こういう話、もっと深めてまた放送してほしいですね。

ご覧いただきましてありがとうございました。m(__)m

次回はシリーズ #3 「電飾・照明」です。
できるだけ早くアップするよう心がけますので、ご覧いただければ幸いです。



特定秘密保護法案、「何が秘密?それは秘密!」のとんでもない悪法

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今回はいつもと違ってお堅い話ですが、どうしても書かずにはいられませんでした。
今国会で審議中の「特定秘密保護法」(以下、『秘密保護法』)案です。

これについては朝日や毎日二紙がその危険性を連日報じていますが、東京新聞の最近の記事でも分かりやすくその危険な本質を書いていました。
ちなみに11月16日には、とうとう日本経済新聞も社説で反対の意思表示をしていました。財界の広報紙の日経でさえ反対せざるを得なくなったということです。

この秘密保護法案、自民党政府は「外交や防衛など国の安全保障にかかわる重要な情報を守るため」とその必要性を強調しています。それを聞いたら多くの人は「国を守るためには秘密保護も仕方がない」と思うでしょうが、この法案を作る狙いは別のところにあると11月1日付・東京新聞の記事が指摘しています。

以下、その記事を要約しながら紹介することにします。

秘密保護法案の対象となるのは、
 1.防衛
 2.外交
 3.特定有害活動の防止
 4.テロの防止
の4つの分野とされています。

しかし1と2についてはすでに法律があります。
防衛分野では2001年10月に改正された「自衛隊法」と、日米間では「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」(1954年施行)および「日米地位協定に伴う刑事特別法」」(1952年施行)があり、それ以外にも既存の法律があるので十分カバー可能です。
外交関係では、「外務公務員法」」(1952年施行)に加えて国家と地方両方の公務員法があるので、今新たに法を作る必要は全くありません。

それでは、今回の秘密保護法案が本当に意図しているのはなんでしょうか。それは3の「特定有害活動の防止」と4の「テロの防止」にあります。これを担当するのは警察です。

この法案を作成したのは内閣官房内閣情報調査室(内調)。その職員290人のうち、約90人の生え抜き職員以外は、各省庁からの出向者です。このうちトップの室長をはじめ一番多数が警察。さらにその主軸となっているのは公安警察です。
公安警察の前身は、前に感想を書いたこまつ座の「組曲虐殺」の特高警察そのものですね。

法案の別表には秘密とする情報の対象が定義されていますが、これがまったく定義になっていない。というのは、別表の最後に「その他の重要な情報」という一文が入っているからです。官僚の嫌らしいところで、これでオールマイティ、実質的に対象が無制限です。

ところで、この秘密保護法案で対象と想定される情報件数はどれくらいだと思いますか?

これがなんと、現段階で41万件とのこと。

これは、11月18日放送のNHKの「ラジオあさいちばん」という番組中の「ニュースアップ」で報じられていたものです。
現在でも驚きの件数ですが、この法案が通ってしまえば、公安警察の活動をはじめ、国民の目に触れさせたくない情報はすべて官僚の裁量だけでどんどん指定できてしまいます。
その歯止めとして「指定に当たっては総理大臣が承認する」とした野党の修正案すら自民党は拒否。もっとも修正を受け入れたとしても、担当官僚が書類を山のように机上に積み上げて「さあ承認を」といえば、首相がいちいち眼を通して決済するのは不可能だと思いますが。

おまけに指定された情報が公開されるのは最長30年先。でも例外規定があり、今日の日経朝刊ではそれが60年先とも報じられています。30年でも責任者はとっくに辞めて責任を問われることはないと思われるのに、60年先となれば実質永久非公開と同じです。

公安警察の活動は現在でもベールに包まれていますが、それでも少しずつ違法な捜査活動が露見しています。最近ではイスラム教徒を監視していた捜査情報がネット上に流出。警察協力者のリストも明らかにされて問題となっています。

今でも問題なのに、この法律ができてしまえば、公安警察の活動がさらにおおっびらになり、「合法化された違法捜査」が大手を振ってまかり通ってしまいます。
福島第一原発事故ではメルトダウンが隠ぺいされ、SPEEDIの情報公開も必要な時期に公開されませんでした。法律の成立後はますます政府に都合の悪い情報は「その他の重要な情報」として公開されなくなるでしょうね。原発関連では、事故や放射能汚染の状況、その対処方法、原発の構造や周辺地図、使用済み核燃料やMOX燃料の輸送等、全てが非公開にされる危険が指摘されています。それを知ろうとしただけで逮捕できるのですから恐ろしいです。マスコミも委縮して何も報道しなくなります。


繰り返しになりますが、秘密保護法の危険性の根本は、警察トップをはじめ行政のトップ、すなわち官僚が恣意的に秘密の範囲を指定できること。
予算や人員、活動内容などを一切国民の目から隠して、国会でさえ監視やコントロールできなくなってしまいます。
要するに防衛や外交についての秘密保護は現行法規で十分カバーできていますが、安倍政権が狙っているのは自分の政策に反対するものをすべて「特定有害活動の防止」とか「テロ防止」として取り締まるために公安警察を野放しにするということです。

「集団的自衛権の行使」「積極平和主義」を掲げて戦争への道を開きくためNSCを新設し、反対する国民はすべて秘密保護法で取り締まる。
本当に戦前への回帰が始まろうとしています。安倍首相は自分の祖父・岸信介が戦犯となったことがよほど悔しいのでしょうね。で、孫である自分が再び同じような方向にふたたび日本を導いて、祖父の「汚名」を雪ごうとしているのでしょう。首相は普段から、日本の過去の侵略行為をあいまいにして、「侵略かどうかの歴史的評価は後世の歴史家に判断を任せる」などと述べていますが、法制定後は肝心の重要公文書が闇から闇へと葬られてしまって、後世の歴史家も正しい判断や検証ができなくなりますね。

本当に今、日本は危険な分岐点に来ていると思います。
私も遅まきながら周りの人に呼び掛けて、何とか成立させないために微力ですが行動したいと思います。

皆さんもこの法律について、よく考えていただければと思います。

最後になりますが、毎日新聞に面白い記事が載っていました。以下、参考までに全文引用します。ただし読みやすいように改行しています。

余録:少年忍者を主人公にした漫画「ワタリ」…

毎日新聞 2013年11月17日
少年忍者を主人公にした漫画「ワタリ」に「死の掟(おきて)」という話が出てくる。下層の忍者たちは掟を破ると支配者から殺されてしまう。ところがその掟の中身とは何なのか、支配者以外は誰も知らないのだ
▲「その掟を知らねば掟の守りようがないではござりませぬか」。忍者たちは見えない掟に恐れおののき、疑心暗鬼になり、支配者に服従するしかない。実は掟とは支配者が衆人を都合よく統制するために編み出した秘密のことで、その秘密を知った者は消されていくのだ
▲ならば現代の「死の掟」となりはしないのか。国会で審議が進む特定秘密保護法案のことである。情報を行政機関だけの判断で特定秘密に指定し、その秘密の中身が何かを国民は一切知ることができない。秘密を知ろうと近づけば、場合によっては逮捕され、処罰される
▲作者は「カムイ伝」「サスケ」などで知られる漫画家の白土三平(しらと・さんぺい)さん(81)。プロレタリア画家だった父や軍国主義教育を受けた自身の体験を踏まえ、権力支配の有りように鋭い批判の目を向けた作品が多い。彼の目に法案はどう映るのか
▲「(特定秘密という)わからないもののために罰せられるというのは理不尽。背景にはこの法案を作り上げた精神や雰囲気のようなものがあるはずで、それが広がっていくようであれば大きな問題です」。白土さんはそう懸念する
▲「ワタリ」では、忍者たちが最後に団結して支配者を捕らえ、掟の呪縛(じゅばく)から解き放たれる。「理不尽なことを押しつけてくるものに対して、我々国民の側は正当に防衛する権利を行使できるはずです」。白土さんは世論の高まりに期待する。

こまつ座第101回公演「イーハトーボの劇列車」を観て

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今回はがんばって劇場の先行予約で最前列の席をゲット。


ただあまりにも舞台に近いので、熱演する出演者の口から出る飛沫(はっきり見えました(笑))を浴びるのではと心配したほどでした。(笑) 自分の前に観客が誰もいないというのはすごいです。本当に久しぶり。とにかくすっぽり浸れる臨場感です。

最初は出演者全員の挨拶から。「農民たちによる注文の多い序景」の場です。
↓以下画像は当日購入した「the座」に掲載された「稽古場風景」と役者紹介の記事の写真の一部です


挨拶に続いて、「大正七(1918)年十二月二十六日夜の上野行き上り急行二○二列車の車内」の場面へ。

向かい合わせの列車の椅子と窓枠がやや傾斜した楕円形の盆の上に置かれています。


ここは賢治が上京するところ。汽車の擬音が愉快です。

まずここでいきなり宮沢賢治役の井上芳雄↓が目と耳に飛び込んできました。うまかったですねー、セリフも演技も。


まず東北弁がよかった。(笑)もっとも、非関西在住の役者の関西弁が関西在住者には違和感を感じることがあるように、東北の方が聞かれたらしっくりこないかもしれませんが、とにかく彼の東北弁のセリフはきわめて明快で、自然に聞き取れるところにびっくり。東北弁独特の抑揚がクセになります。(笑)
まあ明快な東北弁というのも変かもしれませんが(殴)、朴訥とした語り口でありながら、あの時代の青年らしい純なキャラクタで極めて好印象。大したものでした。私は「組曲虐殺」では彼についてはさほど印象に残らなかったのですが、今回の観劇で見直しました。いい役者です。それと学生服が実にカッコよく、似合っていました!

この列車には、人買いで曲馬団団長の神野仁吉(田村勝彦)と、


その人買いに買われた娘(鹿野真央)、


西根山の山男(小椋毅)と


熊打ちの淵沢三十郎(土屋良太)


が乗り合わせています。

井上ひさしの作品には真の悪人はいないといわれますが、田村勝彦演ずる人買いの曲馬団団長もそうですね。
人買いというと、私などの世代は子供の時に聞かされた「サーカスに売られる」といったイメージが強く、また「女工哀史」なども連想しますが、この神野仁吉はどこか温かくて憎めないところがあり、彼も彼なりに、サーカス団で働かせることでなんとか当時の悲惨な農民の家族を救おうとしたいい人だったのではなどと考えたりします。(笑)

人買いに売られた娘役の鹿野真央は今回が初舞台とのこと。でも周りのベテラン勢に臆せず頑張っていて、最初のウブで売られたわが身の不幸を嘆くばかりだった少女から、世間の荒波に揉まれながらしたたかな大人の女に変わっていくあたりをうまく演じていました。セリフは「お食べ」だけですが。(笑)
とても初舞台とは思えなかったです。

小椋毅の「山男」は、急速に近代化しつつあった当時の日本から取り残されたような東北・岩手県を象徴する土俗的な存在として描かれています。同時にこれは宮沢賢治の分身のようで、彼の内的な世界を表象したような存在でもあります。

その後、病院のベッドが2つ置かれた場面になります。ここが今回の観劇で一番ハマったところです。
ベッドには賢治の妹・とし子(大和田美帆)と


福地ケイ子(松永玲子)がいます。


大和田美帆もあまりセリフがないのですが(この芝居は全体的に女優のセリフが少ないですね)、実際に仲が良かったといわれている兄妹の間柄が偲ばれるひたむきに賢治を慕うとし子をうまく演じていました。小顔が印象的です。

福地ケイ子役の松永玲子も同様あまりセリフがないので、どういうキャラクタの役なのかわかりにくかったのですが、少ないながらも兄・福地第一郎役の石橋徹郎と息の合ったセリフのキャッチボールが良かったですね。この兄妹も仲がいいです。


で、その福地第一郎役の石橋徹郎。うまい役者さんです!
第一郎は三菱の社員で、当時の殖産興業のシンボルみたいな役です。初めて知った役者ですが、井上ひさしの十八番、膨大なセリフを立て板に水、見事にこなしていて、本当に観ごたえ・聞きごたえがありました。まだまだ知らない役者さんが多いです。セリフ劇としてまずこの石橋徹郎と井上芳雄のバトルがすごかったですね。

そして彼と、賢治役の井上芳雄(彼のセリフ量も半端じゃないです)がそれぞれの妹の見舞いに来て顔を合わせます。
対極といえるこの2人の兄のコミカルで息の合った掛け合いを通して、明治という時代、その時代を生きた宮沢賢治の価値観や人生観などが笑いとともに展開されていくところは、これぞ井上ひさしワールド!ですね。こちらも観ていて盛り上がったところです。

人間の肉食についての「ベコ」の話とか、財閥三菱と賢治の父の生業を批判した「物を左右に動かすだけで儲けたり、金を貸して利子で儲けるなどは人の労働じゃない」という賢治のセリフは、今の時代にこそあてはまる批判ですね。

あと、母親役と稲垣未亡人の二役を演じた木野花、うまいのはいうまでもないところですが、この人も登場場面が少ないので二人の区別がつき辛いのが気の毒です。名前を聞くまでどちらの役か区別がわかりにくかったです。


順が逆になりましたが、重要な役が残っていました(殴)。
辻萬長とみのすけです。

辻萬帳は賢治の父親と、思想警察の刑事の二役ですが、すごい存在感。父親役としてはまさに家父長そのもので、刑事も得体のしれない凄みのある存在です。父親は、賢治とは宗教や処世感が全く違っていて対立していますが、それでいて賢治に仕送りするなど、複雑な親子関係がよく演じられていて説得力がありました。
思想警察の刑事役も味のある演技で「組曲虐殺」の刑事にも一脈通じるところがあって、これも根っからの悪人ではないかなと思ってしまいますね。脇役として十二分にいい演技をみせていてました。

みのすけの車掌は、唯一吊りもので登場する派手な存在です。さまざまな事情を抱えて、道半ばで意に反してこの世を去らざるを得なかった人々の思いを「思い残し切符」として後世に配る、この世とあの世の橋渡し役を務めています。
劇の最後にこの「思い残し切符」が客席に撒かれましたが、これは作家から私たちへのメッセージそのものですね。拾おうかどうか迷っている間にどなたかに拾われてしまいましたが。(笑)

劇の進行では中盤でやや中だるみ的なところがあったり、最後の場面ではかなりクサいセリフが気になったりしましたが、まあ実際の宮沢賢治自体、啓蒙主義的でやや農民に対する教化主義の傾向が感じられるので、作家自身これは確信犯的に演出したのでしょうね。

演出では場面転換を出演者が行ったり、役者自身が擬音などで効果音の代わりにしていたりで、手作り感たっぷり。素朴でエコな宮沢賢治らしさが出ていました。

ちなみに私はこの芝居を観て初めて、賢治が裕福な家庭の長男でけっこうな親のすねかじり(笑)だったことを知りました。
それまでは、きっと貧農の生まれで、苦学して農学校を出て教師になったのだろうと思い込んでいましたが、そうではなかったのですね。そのあたりの賢治の立ち位置の甘さを痛烈に批判する農民の言葉が衝撃的でした。
知っていたつもりでも宮沢賢治について知らないことばかりでした。劇の中で紹介されていた賢治のいろいろなエピソード(親子の宗教的対立など)も面白かったです。

いつものことですが、観劇後いろいろなことを考えていました。とくに最近発表された政府のTPP参加に合わせた減反政策廃止決定などを聞くにつけ、これからの農業政策について考えてしまいますね。

まあそんな下世話な話は別にして、今回の舞台、本当に全員芸達者ぞろいで観ごたえ十分でした。おすすめです。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回のこまつ座公演観劇は来年2月の「太鼓たたいて笛ふいて」からスタートです。楽しみです。

宝塚雪組公演 『Shall we ダンス?』『CONGRATULATIONS 宝塚!!』を観て

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前回の兵庫芸文センターでのイーハトーボ観劇は、途中予期せぬ渋滞に巻き込まれてハラハラの連続だったので、今回はゆとりを持って大劇場へ。やはり途中少し渋滞したものの、10時には駐車場に到着。
冷たい風の中を車椅子を押して大劇場に向かいました。前々回の観劇からずっと工事中だった旧チケット売り場の跡は、なんと新しい入り口に変わっていました。


それに伴い従来の門は囲いで覆われて工事中。劇場の建物も、スロープ側は従来のままですが、通常の階段入り口のドアは閉ざされていました。まだ改修工事は続くようです。

劇場内は修学旅行の女子高生軍団で活気があり、大挙して土産物売り場で買い物していました。この日ばかりはレジもフル稼働、混雑していました。私たちも宝塚フィナンシェと天下もちを買って劇場内へ。

席は先行予約でゲットした9列の下手よりの良席でした。見やすい席でした。

というわけで、ようやく観劇の感想になります。

で、いきなり全体の感想から。(笑)

芝居は、脚本・演出ともに良くできていました。担当は小柳奈穂子でまだ若手ですが、要領よくまとめていてGood Job!
でも、それはバウホールでやればの話です。大劇場でフルメンバーでやるのは厳しいですね。
なにせ原作の映画からして登場人物が少なく、役の振りようがないので、とてもじゃないけど大劇場向きとはいえません。なので通行人にたくさんの生徒を動員している場面など観たときは、ちらっと正塚作品を連想してしまいましたね。(殴)
話自体も、平凡なサラリーマンがふとしたはずみ(かな〜り不純な動機ですが(笑))でダンスを始めたことから起きた騒動程度なので盛り上がりに欠けますね。

それでも演出では気の利いた場面転換や、効果的なプロジェクタ利用、舞台もダンスの練習風景とかエキシビジョン、競技会などの見せ場では頑張って華やかに盛り上げていましたが。
というわけで、芝居を観終えての感想は、二人とも「なんとも小さい世界やねぇ」で一致しました。(笑)
まあアンドレア・シェニェを観てしまった後なので、比べられる演出家も気の毒ですが。

ちなみに当日買ったプログラムによれば、今回の芝居の話は歌劇団が小柳奈穂子に担当するよう命じたそうで、演出家の発案ではないとのこと。歌劇団としては、映画が日米で大ヒットした作品なのでその人気を当て込んだのかもしれませんが、どちらかといえば渋めの話。それを99年の締めくくり・100年の幕開けとなる節目の公演に選定した意図は私などの理解を超えるものがあります。

プログラムの表紙です↓


そんなわけで、演出家の努力は評価できるし、壮一帆を先頭に雪組メンバーも頑張っていて、それなりに楽しめたのですが、とてもリピートとはいきませんね。でもオリジナル作品だし、一度は観ておくべきとは思いますよ(ちと説得力ないかな)。

以下、主な出演者別の感想です。

まずは壮一帆から。

この人、いい意味で肩すかしでしたね。(笑)
実は最近のスカステなどを見ていてちよっと壮一帆は敬遠気味でした。なにがというと、とにかくこの人、口を開くと饒舌多弁アグレッシブ、すぐ演説調になるのが少々辛いので。(笑) サービス精神から来るのか、話に分厚い衣を付け過ぎで、聞いていてこちらが息苦しくなるのがプチ残念。
「Now on Stage」などで普通にみんなと話しているときは自然で話も面白いのですが。

以下、画像はスカイステージの「Now on Stage」の画面撮りです。モアレで汚いです。^^;↓


なので、演技もきっとやりすぎでコテコテになるのではと、ちょっと期待薄でした。でも芝居を観始めたら、これがなんとよく抑えたいい演技でした! 予想外で驚きました。考えてみたら、私たちにとっては今回の公演が彼女の雪トップ就任後初の観劇でしたね。
本当に、リチャード・ギアや役所広司のヘイリー・ハーツと比べても、「平凡」「普通」なサラリーマン度では負けていないほど(ちょっとホメすぎかな)抑制のきいた落ち着いた演技ですっかり見直しました。


ただ、いくら平凡とかフツーといわれてもね、働いているオフィスから見える高層ビル群とか、社内の様子、部下に付き合って残業しながら居眠りしている安楽なポジション、郊外とはいえ家も新築したなど、今のご時世では到底平凡とかフツーとは思えないのがやや難。原作の役所広司の会社がボタン会社(地味です)だったのに比べると全体にハイソ(死語!)ですね。

それと、マジメ一筋の彼がダンスを始めようと思い至った心境の変化などがやや説明不足。まあこれは彼女の演技の問題ではないですが。
とにかく壮一帆は、演技だけでなく歌でも、これまでの「ドヤ歌」(笑)はなくなり、芝居でもショーでも感情がこめられたいい歌になっていたのも好感度大。こんな風に芝居も歌もできるんや!と認識を改めました。
最初はこんなふうに両手に花となればと思っていたのでしょうか。↓

夢は限りなく、でも現実は厳しいです。^^;

次は妻ジョセリン役の愛加あゆです。
3Kな娘トップですね。「健康」で「健全」で「健気」な雰囲気が全身から発散されているから3K。(殴)
ふっくらしていて安心です。役ももう見るからに良妻賢母。着ている服はかなり若いですが。(笑)


でもこれまで疑ったことがなかった夫の行状に疑心暗鬼となり、探偵社に素行調査を依頼します。




芝居では自然な演技が光っていました。
ちなみに私はいつも彼女を見て、実の姉よりも彩乃かなみのほうが似ていると思って仕方がないですね。すぐ太る体質とか(殴)、歌のうまいところとか。

次はダンス教師・エラ役の早霧せいな。



ヘイリーのスケベ心を見透かすように「私を目当てにダンスに来るのは迷惑です!」とバシっと冷水を浴びせる役が似合っています。

ヘイリーもいっぺんに目が覚めたでしょうね。
早霧せいなは大人の女として全く違和感なく、声も聴きやすく自然でした。心に傷を負った影のある元トップダンサーの女性というエラをよく体現していました。硬質なキャラクターが印象的です。
ただ、少しヤセ過ぎ感があり、ちょっと痛々しい感じさえしますね。雪2番手のポジションは間違いないでしょうが、今からこんなに痩せていたら先が心配になります。

エラとは逆に、地味な今回の芝居で一番元気だったのがヘイリーの会社同僚ドニー・カーティス役の夢乃聖夏。


カクカク・クネクネと歩くだけで笑いを取っていました。

ただ、カツラを落としても頭が禿げていないのが残念(笑)。やはりここは丸禿げでないと衝撃度は少ないですね(笑)。
出番も多くて目立つ役で今回一番おいしい役でした。ただ仕事では大失敗するし、絵にかいたようなダメ社員ですがちょっとやり過ぎていてリアリティが希薄な感じが残念。

続いて目立っていたのはヘイリーの会社の同僚でドニーを目の敵にしているキャシー役の透水さらさと、ダンス教室の生徒でド派手な女性・バーバラ役の大湖せしる。どちらも美人で、ついオペラで追ってしまったり。(笑) ともにキャラクターがはっきりした役です。大湖せしるはネイティブな女役(笑)といってもいいほどきれいで、しかも大柄で目立っていましたね。夢乃聖夏と並んで今回はトクな役をもらっていました。
スカイステージの「Now on Stage」の画面撮りから↓


いつも自信満々なバーバラと対照的なヘイリー


誰に対しても強気です


でもこの後悲劇(いやコメディなので喜劇かな)が襲います↓


結末場面でキャシーとドニーの立場が逆転するのも、おきまりのパターンとはいえ楽しいです。

あと、探偵クリストファーの奏乃はるととその助手ポール・帆風成海(代役)がいい味出していました。普通だと探偵が悪い方に持っていって探偵料を稼ごうとしますが、この探偵社は良心的です。

ジョセリンにいろいろ慰めてやったりしてやさしい探偵です。年の功でしょうか。ポールが軽く狂言回しになっています。

あとは世話好きなダンス教師シーラの梨花ますみが味のある役。そしてダンスホールの歌手ジェニファーの麻樹ゆめみも歌ウマが印象に残りました。

逆に印象の薄い役が気の毒だったのがダンス教室に通う不器用な生徒ジャンの鳳翔大。
なんとも目立たない役で気の毒です。


ところで今回購入したプログラムにはこんな紙が↓。


でも休演していなくても未涼亜希が予定していたアルバート役は出番が少なかったですね。芝居では二場面ぐらいかな。
エラの相手で、競技ダンス界のトップダンサーという割には影の薄い役でした。代役の彩凪翔も少ない出番ながら頑張っていましたが。

ショー「CONGRATULATIONS 宝塚!!」は藤井大介。
100周年の祝祭ショーですね。ひたすらCONGRATULATIONSの連発。自分でお祝いとはタカラヅカらしくて能天気です。(笑)


ショーのオープニングの直後はびっくりの白衣の大軍団。なかなかインパクトがあります。白いコートを翻して踊るところは大迫力です。おまけに大挙して客席降りの大サービス。今回は客席降りも多かったです。舞台が空になりそうなほど。(笑)





衣装も白衣とその下の喪服みたいな(殴)黒っぽいもの、尼僧の衣装以外は華やかです。

びっくりといえば壮一帆の女王!といいたいところですが、最近はこの手の演出が定番で少々食傷気味ですね。脚はさすがにすんなりきれいでしたが、顔はコラージュ画像みたい(殴)で‥。^^;

私が気に入ったのはまずラテンの場面。ギターの音色がすばらしく、落ち着いた曲がよかったですね。そしてビックリだったのは早霧せいなのロックシンガー「SAGIRI」の登場するところ。良かったですね。
何がというと、歌です。歌。
彼女、芝居の方では???な心もとない歌でしたが、ショーのSAGIRIはまるで別人で、これは口パク?新手のカゲソロ?(殴)と思ったほど聴かせる迫力のロックシンガーぶり。ほんとは歌ウマだったのかと印象を改めました。これだけでもモトが取れました。(笑) あと思い残すところはもっとふっくらしてほしいことだけです。(笑)




ショーでも芝居同様、夢乃聖夏が目立っていましたね。タカラヅカ化粧が似合っていて眼にチカラがあって成長が目立ちますね。
それとショーでももっと登用してほしかったのは鳳翔大。大柄で演技力もあり私たちは期待しているのですが、ちよっとガッカリ(でもドッキリ衣装があったりでまあいいか)。今後に期待することにしましょう。

パレードのエトワールはやはり愛加あゆでした。さすがの歌で、きっと姉と違うDNAが伝えられたのでしよう。(姉にももう少し入っていたら最強ですが)


というわけで、今回も中途半端で内容希薄な感想になりましたがm(__)m、最後までお読みいただきありがとうございました。

もう私たちの今年のタカラヅカ観劇は予定終了です。新年公演のナポレオン、楽しみですね。



冬支度Ver.2とバックアップランプのLED化 プリウスのカスタマイズ その8

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だんだんプリウスいじりも小ネタになってきました。

まずラジエーターグリル塞ぎです。11月下旬になって冷え込みが強くなってきたので、そろそろプリウスには対策が必要です。
これから冬に向かって暖房のためだけに頻繁にエンジンがかかるようになり、結果として燃費が悪くなる対策でプリウスのグリル塞ぎは必須です。もちろんエンジンが稼働中は発電しているわけで、丸々無駄というわけではないのですが。
そういえば昔、オーバークール防止のためにラジエーターグリルにキルティングみたいなカバーをしている車も多かったですね。

で、去年はこんなふうにグリル塞ぎしていましたが、


今年はさらに塞ぐ面積を増やすことにしました。

というのは、ネットで自動シャッター・「スマートエコグリル」とその説明記事を見たからです。

この自動ラジエーターシャッターについては、すでにレクサスの一部車種に標準装備されていたり、外車でもこのように標準装備になっている例も増えています。

私が読んだ商品の説明では、シャッターは形状記憶合金製のスプリングだけで開閉させるため外部電源などの必要がなく、極めてシンプルな原理とのこと。装着も簡単とのことです。
危うく私もポチりそうになりましたが、値段も値段だし、なによりもデザインがどうも派手というかマガマガしいというか、どうもしっくりせず、早々に見なかったことにしました。(笑)
もう一つ思いとどまった理由は、この製品、シャッター全閉になるのが気温12度、全開が35度というところ。
全閉はまだしも(気温の低い冬なら、下のグリルが全閉でも上にインバーター冷却用グリルがありますから)、全開が猛暑日!並みの35度以上とは意外でしたね。
メーカーの説明では、プリウスの燃費が最もよくなる吸気温度は45度ということで、それを目指したためだそうです。でもこれではエンジンルーム内が高温になりすぎる懸念があります。
エンジンはできるだけ高温で運転する方が高効率とはいえ、エンジン周辺の補機類とか、ECUなどの電子デバイスを考えると心配になりますね。

でも、これを読んで、逆に私のグリル塞ぎ程度ではまだまだ甘いということもよくわかりました。(笑)

なので今年はグリル下端側も塞ぐことにしました。でも全部閉めないのは気が小さいせいです。(笑)


用意したのはコーナン不祥事(殴)じゃなくてコーナン商事のこれ↓

商品名はコーナーガード。ウレタンのスポンジで1本600円程度です。長さはプリウスのグリルにぴったりサイズ。

センター部は去年と同じくコーナーガード・大を結束バンドで固定します。3か所で充分です。

実は最初はこんなふうに↓最下段だけオープンにする予定でしたが、



真ん中のコーナーガードの固定ができないので変更しました。

新たに塞ぐ下段側は万一オーバーヒート気味になってもすぐ外せるように、コーナーガード・小をただ押し込むだけにしました。

グリル内のルーバーの縦の固定部をよけるため、コーナーガードには切り込みを入れて奥まで入るようにしました。
これ↓は大のほうに加工


こちら↓は小のほうです


15分で作業終了。下段が波打っているのが気になりますが、まあこんなところをしげしげと見る人は私ぐらいでしよう。


その後今日(12月2日)まで最高気温が10〜15度ぐらいの日々が続いていますが、水温計で見る限り、始動時の暖機運転以外は
運転中の保温のためのエンジン始動はなく、逆に高速走行中でも最高水温90度と適正なのでこのまま様子を見ることにしました。

ただし、これを読んで自分もやってみようと思われた方は、安全のため水温計↓の増設をお勧めします。


今回のグリル塞ぎでの目標は、現在のメーター表示・燃費25km/l台を冬の間維持することです。さてどうなりますか。

もう一つのプリウスいじりはバックアップランプのLED化。
実は前回のウインカーバルブのLED化で灯火類はすべてLEDになったと思い込んでいましたが、これが勘違い。
すっぽりが抜け落ちていました。

この10月に、ご近所がプリウスに乗り換えられて、プリウスについて聞いてこられた際、ガレージでMyプリウスを前にいろいろ説明していて気付いたというお粗末です。^^;
で、やはりこれも換えなくてはと、ポチッ。

送られてきたのはコレ↓




バルブ形状はウインカーと同じT20ですが、色は規定通り白色。商品を選ぶ際にとくにこだわった点はありませんが、LEDのメーカーがSAMSUNGなので中華LEDよりは耐久性がありそうなのと、LEDはけっこう発熱するので、その対策でバルブボディにヒートシンク(らしき)形状を採用したというコレに決定。値段もまあまあリーズナブル。


長寿命がウリのLEDですが、手持ちのLED懐中電灯の例ではけっこう点灯しなくなったり、光量が落ちてきたりしていますから、LED自体とあわせて制御基板の出来も重要ですが、今回はそこまでは確認していません。

交換自体はラゲッジルームの左右の小パネルを外せばソケットが見えるのであっという間、といいたいのですが、トヨタ流のコストカットでコードが短かいので、ソケットを抜くのが結構固いです。


それと助手席側のソケットはロックがユルユルなのに、運転席側は妙に硬くて手こずりました。


今回装着したLEDバルブには極性があるので、車体に装着する前に点灯して確認する必要があります。私の場合、事前点灯させたら、左右とも点灯しませんでした。^^; でも逆にしたら問題なく点灯したので安心。
真っ白な光がまんべんなく広がっていて、効果がありそうでした。






装着したのが11月初めだったので、夕方のガレージへのバックでの入庫時も差があまりわからなかったのですが、日暮れが早くなった今は効果がはっきり確認できます。ルームミラーでもガレージの奥まで真っ白に光っているのがわかりました。見やすく安全です。実は一連のLED化ではこれが一番実用的だったりして^^;。

これで、ようやくLED化が完了です。


2013年の観劇Myベストは? なかなか難問です。

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改めて今年観た舞台を振り返ってみたら、20回の観劇でした。結構観ていました。
その中でどれがベストかと考えてみましたが、なかなか難問です。
とにかく一口に舞台といってもジャンルが違うので、単純に比較できないですね。

でそれを考える前にまず今年観た舞台の記事を時系列で古いものから並べてみました。日付は投稿日です。

1. こまつ座&ホリプロ公演「組曲虐殺」を観て 井上ひさしに脱帽です (2013-01-23 19:27:56 | 観劇)

2. 宝塚月組公演 「『ベルサイユのばら』 明日海オスカル編」を観て  (2013-02-04 15:53:09 | 宝塚)

3.「祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹〜」 蜷川バージョンを観て  (2013-02-14 00:26:50 | 観劇)

4. 「テイキング サイド〜ヒトラーに翻弄された指揮者が裁かれる日〜」を観て (2013-02-25 14:59:13 | 観劇)

5. 宝塚花組公演 『オーシャンズ11』を観て感じたこと (2013-03-11 14:25:13 | 宝塚)

6. 宝塚宙組公演『モンテ・クリスト伯』『Amour de 99!!−99年の愛−』を観て (2013-04-01 12:39:08 | 宝塚)

7. アトリエ・ダンカン公演「しゃばけ」@新歌舞伎座を観て (2013-05-11 13:41:55 | 観劇)

8. 兵庫芸術文化センター・「完全姉妹」の不完全な感想  (2013-05-26 00:08:30 | 観劇)

9. 宝塚星組公演「ロミオとジュリエット」を観て  (2013-06-28 17:08:40 | 宝塚)

10. 宝塚宙組全国ツアー「うたかたの恋」「Amour de 99!!−99年の愛−」を観て (2013-07-24 12:10:56 | 宝塚)

11. 兵庫県立芸術文化センターで「象」を観て (2013-08-06 12:13:16 | 観劇)

12. こまつ座第100回公演「頭痛肩こり樋口一葉」を観て (2013-08-20 12:06:27 | 観劇)

13. 花組公演『愛と革命の詩−アンドレア・シェニエ−/Mr. Swing!』を観て  (2013-09-02 13:33:05 | 宝塚)

14. 朗読劇 「藤沢周平『蝉しぐれ』より−永遠の初恋、ふく−」を観て  (2013-09-15 11:47:30 | 観劇)

15. 宝塚宙組公演 「風と共に去りぬ」を観て  (2013-10-07 13:47:19 | 宝塚)

16. 宝塚バウホール公演「第二章」を観て  (2013-10-16 12:36:10 | 宝塚)

17. こまつ座&ホリプロ 音楽劇「それからのブンとフン」を観て感じたこと  (2013-10-23 13:05:12 | 観劇)

18. "いのうえシェイクスピア"「鉈切り丸」、絢爛豪華な舞台でした  (2013-10-26 15:51:14 | 観劇)

19. こまつ座第101回公演「イーハトーボの劇列車」を観て  (2013-11-27 13:39:55 | 観劇)

20. 宝塚雪組公演 『Shall we ダンス?』『CONGRATULATIONS 宝塚!!』を観て  (2013-11-30 16:23:38 | 宝塚)

まあ結構観ていますね。やはり宝塚が一番多く、次はこまつ座です。

で、まずそれぞれの記事について、1月から今日12月10日までの間の、1日ごとの訪問者数をグーグル・アナリティクスで集計してみました。ただし、この数はあくまでもグーグルが把握したものなので、gooブログのアクセス解析で調べた実際の閲覧数と比べるとおよそ3割〜4割程度少ない数字になっています。

なので、絶対数で見れば順位が逆転している記事があるかもしれませんが、gooのアクセス解析は3か月間のデータしかないので、ページごとの1年単位での正確な訪問者数は把握できません。ということで、以下はあくまでグーグル・アナリティクスでみたこのブログの観劇記事の順位ということになります。
もうひとつ、記事をアップしてからの期間が長いと、当然訪問者数も多くなるので、その点も割り引いて見てください。

それと、もともと観劇記事そのものが私たち夫婦の偏った選択(笑)で観劇した感想ですので、極めて客観性に乏しいということもご理解ください。(笑)

というわけでいろいろ注釈が多くなりましたが、以下訪問者数のランキングです。

ページ別訪問数でトップだったのは6月の星組公演「ロミオとジュリエット」の感想で5,646でした。まあ初演から2度目の公演ですが、やはりトップコンビの人気が反映していますね。
もうかなり以前の記事ですが、今でも少ないながらもアクセスが続いています。


2位は花組公演「愛と革命の詩−アンドレア・シェニエ−/Mr. Swing!」で4,447。私たちは今年のタカラヅカでは1番の出来と思っていたので、順当なところだと思います。本当にもう1度観たいと思った舞台でした。退団発表でさらに人気に拍車がかかっていました。この記事も、公演終了後もコンスタントにアクセスがあります。

全く余談ですが、印象的だったのは東京公演の千秋楽のニュース。
最後のあいさつの中で蘭トムが、退団する春風弥里に対して惜しみないはなむけの言葉を送っていました。最近とみに涙腺の緩い私などは、思わずウルウル。(笑)
今回だけでなくこれまでも、このような場で何度も蘭トムは組メンバーであったもの・新たに組メンバーに加わったもの・そしてめでたくトップに昇格したものに対して、真情にあふれた偽りのない言葉をかけていますが、私の知る限り、これらは並み居るトップ、歴代のトップの中でも稀有なことだと思います。彼女の人柄が偲ばれて心が温まりました。

3位も花組で、「オーシャンズ11」の3,773。花組、健闘しています。星オーシャンズとは違ったトップコンビをはじめとする花組の持ち味が出ていました。予想以上の出来でした。

4位は宙組公演『風と共に去りぬ』で、結構ネガティブな感想(笑)だったのに3位に迫る3,610となりました。これも好演終了から時間がたっていないこともあってアクセスが続いています。もうすぐ3位に上がるかも。
あまりいい評価が出来ない企画でしたが、どちらかというとAパターンのほうがまだよかったと思います。でもやはりあの内容で一本ものとは辛いですね。

5位も宙組で、全国ツアー「うたかたの恋」「Amour de 99!!−99年の愛−」で3,387。全ツーとして久しぶりの観劇でしたが、やや古さを感じたものの、「風‥」よりはいいと思いました。

6位は月組公演「『ベルサイユのばら』 明日海オスカル編」の感想で2,862です。月組観劇はこれだけでした。^^; まあもう何度も観た化石芝居なのであまり期待していなかったのですが、オスカルの美しさは予想以上でした。最近は閲覧も停止状態になりつつあります。

7位は宙組公演「『モンテ・クリスト伯』『Amour de 99!!?99年の愛?』」で2,661です。この舞台だけ2回観たので記事も続編をアップしています。ちなみに続編の閲覧数は1,972ですが、ダブるので除外しています。
こちらは凰稀かなめの演技が期待通りで良かったですね〜。勢いで2度観てしまいました。いい芝居は2度観るべきですね。(チケットがあればの話ですが(笑))でもアクセスは伸びなかったです。^^;

8位は初めて宝塚以外の舞台でいのうえシェイクスピア「鉈切り丸」の感想です。2,175と健闘しています。主演の森田剛人気ですね。でも私たちにとっては脇の若村麻由美と麻実れいの演技がツボで、逆に巴御前がかなりの難アリという印象です。やたら血しぶき・水しぶきの飛ぶド派手な舞台でした。

9位も宝塚以外で「祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹〜」 蜷川バージョンの感想で1,759。これは出演者と演出家
両方の知名度でしょうか。ストーリーは途中で追うのをあきらめました。(笑) それでも、前年に観た同じ演出家の「ボクの四谷怪談」よりはよほどまともでした。(笑)

10位はこまつ座第100回公演「頭痛肩こり樋口一葉」で1,092。
ただし、これは最近NHKのBSで録画が放映されたのを受けて突然アクセスが急上昇したので、ちょっとアンフェアかも知れません。でも今年上演されたこまつ座の舞台としては1番人気があるのは間違いないでしょうね。主人公の描き方に脚本家の世界観がよく出ていました。
このあたりで閲覧数は1,000を切っています。

で11位は、宝塚に戻ってバウホール公演の「第二章」で825。
まあバウなので観客数が限られていたのでこの数は妥当かと思いますが、舞台は小品とはいえいい出来でした。
最近になって急にアクセスが増えて来たので不思議でしたが(笑)、来年5月に再演されるとのことで、納得しました。轟 悠、英真なおき、夢咲 ねね、早乙女わかば、それぞれ個性と持ち味がよく生かされた作品でした。楽しいフィナーレが最高!(笑)

12位が仰天の結果。現在上演中の宝塚雪組公演『Shall we ダンス?』『CONGRATULATIONS宝塚!!』 がわずか589のアクセス数でした。まあ巷にあふれる絶賛上演中!!な感想じゃなかったので敬遠されたのか、意外でした。作品としては破たんしていないし(誉めてないか)、壮一帆をはじめ出演者もみんながんばっていたのですが、やはり他にもっといい作品があるので絶賛とはいかなかったです。^^;

13位はこれも意外な結果で朗読劇「藤沢周平『蝉しぐれ』より−永遠の初恋、ふく−」の感想で273。もう全くのネガティブ感想ですが、やはり岸恵子のネームバリューですね。感情のこもった朗読だったので「すべらないバージョン」があれば高評価間違いなしですが。

14位はこまつ座の「組曲虐殺」で263。
内容が重いし上演期間も短かったので閲覧数は少ないですが、井上ひさしが生前よく口にしていた『むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに』がそのまま劇化されていて面目躍如、感動しました。

15位はアトリエ・ダンカン公演「しゃばけ」@新歌舞伎座で200/strong>ちょうど。出演者も多彩で個々に役者を見ればそれなりの出来だったのですが、主人公のセリフに難があり、演出のしつこさが鼻について、全体としてはいい感想とはいかなかったですね。麻実れいが儲け役で目立っていました。(笑)

16位は兵庫芸術文化センター・「完全姉妹」の感想で154。これはちよっと期待していたのですが、姉妹でもかなり力量に差があったのは経歴の差でもあるのでしょうか。

17位はこまつ座第101回公演「イーハトーボの劇列車」で135。このあたりになると「人跡まれ」な感じですが、でも私的には本当にいい芝居でした。まず井上芳雄の宮沢賢治が爽やかでピュアで滑舌もよく素晴らしい。実物の賢治がさわやかだったかどうかは?ですが(笑)。
それと、感想でも書いたように、宮沢賢治が経済的に恵まれた家に生まれて、結構親のスネかじりだったというのも新発見。
脇を固める役者の層も厚く、それぞれ芸達者だったのもオトク感がありました。

18位はこれもこまつ座の「それからのブンとフン」で118。
いつになく事前に原作を読んでしまったのが失敗で、途中まで台本を復唱しているみたいな観劇になったのが残念でした。(笑)
これからは事前調査などしないと心に決めました。
遊び心たっぷりの芝居で、市村正親・小池栄子・新妻聖子などよく役にはまっていて面白い観劇でした。

19位は兵庫県立芸術文化センターで観た「象」で74。不条理劇ですが、テーマとするところは現在の日本の状況との暗合を示唆していて深いものがありました。大杉漣の舞台演技を初めて観ましたが、さすがにうまかったです。あとの木村了や奥菜恵、山西惇、金成均、 野村修一、橋本健司、神野三鈴なども好演していました。
地味な芝居で、公演期間も短く、観られた方も少なかったので、この閲覧結果になりました。

最後の20位は「テイキング サイド〜ヒトラーに翻弄された指揮者が裁かれる日〜」。閲覧数は71でした。ただ、これも政治と芸術、芸術の戦争責任という重いテーマを取り上げていて、過去の話ではなく今もなお普遍性のある面白い内容でした。
筧利夫と平幹二朗のセリフのバトル、脇の福田沙紀や小島聖、小林隆、鈴木亮平もよかったです。それだけに閲覧された方が思ったより少なかったのが意外でした。

以上が私のブログ記事の閲覧ランキングです。

全体の感想としては、宝塚はまあ星ロミジュリがトップなのは総合的な人気からみて順当ですが、再演なのでやや新鮮味に欠けますね。新作という点では2位の花組「アンドレア・シェニエ」が一番だと思いました。舞台装置も素晴らしいし、蘭トムにぴったりの主人公で観ごたえがありました。これで二本物ですからCP高いです。(笑)
あとは雪組を除けば順当だと思います。

こまつ座はどれも甲乙つけがたく、順位を考えても答えは出ませんでした。敢えて分類したら、内容の重さ・特定秘密保護法案など現代の状況にあったタイムリーさでは「組曲虐殺」、出演者の豪華さでは「頭痛肩こり樋口一葉」、これも特定秘密保護法案で示されている表現の自由の危機とも関連するものの、どちらかというと肩の凝らない面白さでは「それからのブンとフン」、絶妙のキャスティングが光った「イーハトーボの劇列車」というところでしょうか。

というわけで、Myベストといってみたものの、結局はいつものとおりの竜頭蛇尾・締まりのない結末になりました。m(__)m

さて皆さんは、今年一年について、どういった観劇ランキングになったでしょうか。

来年は星組のナポレオンから観劇スタートですが、続く2月のこまつ座の「太鼓たたいて笛吹いて」ともに期待しています。

そして新しい1年どんな観劇の体験となるか、楽しみです。










グーグルアナリティクス 突然ピークのナゾ

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昨夜(12月15日)たまたまパソコンでグーグルアナリティクスでブログのリアルタイム・アクセスを表示させていたら、突然来訪者が跳ね上がっているのを発見!
普段はリアルタイムのアクセス数では数人、多くても7〜9人程度という零細ブログ(笑)ですが、このときは(午後11時前ぐらいです)20人近くの訪問者という表示になっていました。

何が起こっているのかとビックリしながら閲覧中のページタイトルを一覧表示させてみたら、「こまつ座第100回公演『頭痛肩こり樋口一葉』を観て」にアクセスが集中していました。
ちょうどその時間帯はNHKのBSで「劇作家・井上ひさし 誕生の物語」が放映(午後10時〜11時)中だったので、それを視聴された方がネット検索してたまたまこちらに来られたということでした。私たちも録画中の同番組の最初の部分を後追い再生で見ていたところだったので納得でした。

ドラマのほうはすぐ再生を止めたのでまだ見終わっていませんが、主人公には黙阿弥オペラの浪人を好演した北村有起哉が起用されていて、チラ見しただけでもいい「井上ひさし」(笑)だったので、続きを見るのが楽しみです。

で、そのアクセス結果を今日の朝gooのアクセス解析で確認したら、以下のようになっていました。


当該ページの15日のアクセスは72で、上から2番目のアクセス数です。

ちなみに前日は↓のとおり、20位にも入っていませんね。


で、グーグルアナリティクスの時間別サマリーでは、はっきり集中している時間が見て取れます。


ただ、「こまつ座第100回公演『頭痛肩こり樋口一葉』を観て」のアクセスが最も多かったのは別の日でした。
それは12月2日で、こんな数字になっています。↓

これ、ページあたりの1日のアクセスでは当ブログ最多記録です。(笑)

当初は、なんで記事をアップしてからかなりの日数が過ぎているのにこんなに多くなったのかは疑問でしたが、これまた時間別サマリーで一目瞭然でした。(笑)


ご覧になられた方はお分かりだと思いますが、上記サマリーでのピーク時間帯に、これもNHKのBSで、こまつ座第100回公演「頭痛肩こり樋口一葉」が放映されていたのですね。これ、事前に全く知らず、このアクセス結果を見てからわかった次第で、本当に残念でした。録画したかった!(泣)

それにしても、テレビの影響力はすごいです。とくに後者の番組の放映は深夜でしたが、多くの方がリアルタイムに検索されていたのには驚きました。


ちなみに、当ブログで最大アクセス数を記録しているのが「電子レンジのエラーコードH98とは?」で、アクセス数はすでに20,000を超えています。
そして今なお日々記録更新中(上の画像でも2日が26、14日が39、15日が32となっています)で、いかにパナソニック(旧ナショナル)の電子レンジの故障が大規模で長期間発生しているかがよくわかります。

これを放置し続けているパナソニックの企業姿勢には本当にあきれます。

23年ぶりのテレビドアホンの交換でした

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23年前に、現在の建売住宅を買ったときに設置されていたテレビドアホン、使い始めて10年ぐらいでドアホンの押しボタンスイッチが壊れて使用できなくなりました。
それで、日本橋で同種の部品を購入して交換。使用可能となったのですが、交換した部品の接点がヤワなものだったので、5年ぐらいでまた破損。それにこりて、今度は手持ちの不用PCケース用の一回り大きな電源スイッチに交換して、その後は現在に至るまで使用できていました。
ただ、最近になってドアホンからの音声が聞こえなくなり、レンズ部も曇って映像も不鮮明になってきたので、23年ぶりに交換することにしました。問題となるのは通信線ですが、既設の2本線の配線が使えることがわかったので、過日ヨドバシ梅田で購入しました。
買ったのはコレです。27,000円でしたが、ポイントが10%つくので、価格コムなどの値段とそれほど差がなかったのでまあいいかと納得。

そして師走の某日、作業を開始しました。

元のドアホンは今となっては珍しい白黒ブラウン管式のモニタのついたもので、各種の警報機能の備わった商品でした。




でもほとんどどこにも結線されていないので、警報機能は見せ掛けだけ、宝の持ち腐れでした。

しかし今回購入したVL-SWD300KLの親機はその半分ぐらいの大きさ。

なので、旧ドアホンの取付け部が埋めきれずに穴が開いてしまいます。

合板で覆って似たような壁紙をはるのが正攻法でしょうが、そんな面倒なことを私のスキルでできるとは思えないので、ここは簡単に手持ちのアルミ板で覆って、そこに両面テープでドアホン親機の取り付け金具を張り付けて固定することにしました。相変わらずのやっつけ仕事です。(笑)

方針が決まったので、古いドアホンを撤去。警報用に多数の配線がドアホン親機本体の基板とコネクタでつながっていましたが、その先はどこにもつながっておらず、壁の内側で宙に浮いたままでした。なんちゃって多機能です。(笑) 

さて古いドアホンは、親機と5C2Vの同軸ケーブルでつながっていました。これは当時のナショナルのドアホンの仕様みたいですね。


その後、普通の通信用の2本の単芯線で配線するように変わったようです。

なので、今回のドアホンも端子形状が単芯2線用になっていました。でも、居間から門柱までの地中配管から既設のアンテナケーブルを抜いて、新たに通信用の配線材を通すのは経路がわからないのでちょっと躊躇してしまいます。ということで、このアンテナケーブルの両端を加工して配線材とすることにしました。

手持ちの2mm厚のアルミ板がほぼ旧ドアホン親機の取付け部をカバーできる大きさだったので、これで塞ぐことに。
で、アルミ板にドアホンとの通信用アンテナケーブルを通す穴をあけて、アルミ板を壁に取り付ける準備をしました。


まずアンテナ線の先に普通の撚り線芯の並行コードを半田付け。



そして、他方の先端は親機の接点に合わせて単線の圧着端子を付けました。


親機裏にある接点部の小さなボタンを押しながらコードの圧着端子を差し込んで接続。


私は有資格者ではないので電源は直結せず、近くのコンセントから給電することにしました。
下のような姿になりました。左にぶら下がっているのは例のガレージのリモコンです。^^;


次にドアホン部の作業です。


旧ドアホンを撤去してから、

白いものはケーブル接続部の防水のためのシリコンコーキングの名残です。

同軸ケーブルの先を加工して新ドアホンに接続しました。今回も接続端子とケーブルにはコーキング処理しました。ちなみに2線には極性がありません。


そのあと、2階の子機も撤去。ただしカバーだけはそのままにして穴が開かないようにしています。その近くに添付のワイヤレスモニター付き子機を設置しました。

これで作業は完了。親機のコンセントを差し込んでテストしました。親機のモニターボタンを押したら、ちゃんと絵が出ました。

前の道路を走る車もその音も確認できました。ワイヤレス子機とのカップリングもいとも簡単でした。ドアホンのレンズの位置が新旧でやや異なりますが、無調整でOKでした。しばらくしてヨメさんがデイケアから帰ってきたので、私が屋外に出てドアホンのボタンを押して作動を確認しました。

このテレビドアホンは、来訪者が呼び出しボタンを押すたびに静止画が自動的に8枚録画されます。また親機からの操作でも録画可能です。
白黒からカラーになり、他にも便利な機能がついているので、23年の進化がよくわかりましたね。
たった2本の線で、音声のやり取りやドアホンへの給電、映像信号や呼び出し信号の送信が行われるわけですから、映像へのノイズなどの影響も気になるところですが、そんな心配は無用でした。
まあ今時のデジカメの背面液晶と比べたらややピントが甘い印象を受けますが、暗い時はLED照明が点くなど、実用上は十分です。

さて、このドアホンが寿命になるまで、今度は私自身が持つかどうか。(笑)

宝塚星組公演 『眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)に― 』を観て その1

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今回はいつもと違い、久々の家族4人での観劇。ですが、チケット難のため二手に分かれて、いずれも座席は1階席後方でした。でも豪華な舞台装置の全体が見られたので、これもアリかなとも思ったり。

劇場までの道は順調で、予定時刻前に到着。工事中だった正門は完成していました。スペイン風というか、アーチがアクセントのなかなかの出来です。


13時公演なのでまずは腹ごしらえ。正月で食べ過ぎ気味だったので、↓の親子丼で済ませました。

でもこの丼、コスパ抜群、おいしかったです。

あと、時間つぶしに見て回ったら、劇場内はいろいろ配置換えがあったりで、いつものフイナンシェの売り場も移動していました。

例によってフィナンシェと天下もちをゲット。(笑)

新たに売り場が設置されたジェラートが高価でも納得の美味でした。



というわけで退屈な前フリはこのぐらいにして、観劇の感想です。いつものとおり敬称は略させていただきます。


でいきなり結論ですが、私は良くできていると思いました。小池修一郎の歴史観にも同意できました。
ナポレオンが文字通りボナパって行く過程がよく描かれていました。革命で打倒したはずの王政を民衆が再び熱狂的に支持する歴史のアイロニーがよくわかります。

ただし、同行のうち二人はそういう感想ではなくて、一人は「ええことないわ」、一人(ヨメさんです)は「まあ及第かな」という辛口の評価。でも詳しいことは聞いていません。

それはさておき、私の全体としての印象では、まず一番感じたのが100周年の年頭にふさわしい超デラックスな舞台であること。
舞台装置も衣装も超豪華。相当手間暇かけて作っているのがよくわかります。ただ、あとで書きますが使い方がもったいない。
それとトップ二人をはじめ、星組全員の頑張りと、専科の四人の演技も好印象です。中でも美穂圭子と北翔海莉の歌が光っていました。もちろん一樹千尋と英真なおきも安定した演技で芝居に厚みを与えていました。

芝居としては、華麗なラブロマンス!・大恋愛劇ではなくて(笑)、「ナポレオン年代記」あるいは「ナポレオン伝」、そして演出家自身が言うように叙事詩といった仕上がりになっています。このため史実にも忠実で、不学な私にはこの芝居を観て初めてわかったこととかたくさんあって、なにやら井上ひさし風な味わいも感じたりしました。初歩的なことですが、ジョセフィーヌがバツイチで、先夫との間に二人の子供がいて、ナポレオンより年上だったとか、初めて知りました。
総じてオリジナルの脚本として、ナポレオンの生涯をよく劇化していると思いました。

ただ、年代記として描くためにタイムスパンが長くなって、よく言えばスピード感のある展開ですが、その分ナポレオンとジョセフィーヌの恋愛感情のディテールや、本当に二人がお互いの関係をどう考えていたのかといった部分の描写は弱かったと思いますね。
ナポレオンはもちろんですが、ジョセフィーヌもかなり上昇志向の強い野心家だったようで、ナポレオンに接近したのも単なる恋愛感情にとどまらない打算や手練手管が見えてきたり。簡単に調べてみても、この二人の関係はなかなか複雑ですね。
で結果的に脚本が長くなって、舞台進行に無理が出たのか、場面のカット割に疑問を感じたところも何箇所かあり。

それと最大のガッカリだったのが劇中の楽曲。
今回の公演でのウリの一つが、「ロミジュリ」のジェラール・プレスギュルヴィックが作曲するということですね。私もそれを期待しての観劇でしたが、観終えて帰宅する途中にメロディを口ずさめるような歌、例えば「ヴェローナ」みたいな曲はなかったです。これはかなり痛かったです。やはりミュージカルはまず歌ですから。
歌劇団も大枚はたいたであろうに、当てが外れてガッカリしているだろうと思います。でもまあもう一度観るので、そこで耳に残る歌が見つけられることを期待したいですが。

これらのことについては、公演プログラムで小池修一郎みずから語っていることがすべてですね。
詳しくはプログラムを読んでいただければいいのですが、要するに「50曲になんなんとする楽曲に台詞を嵌め込みつつ稽古も、舞台の制作も進めねばならな」かったこと、「上演時間オーバーでの度重なるカットや、歌詞の変更に」よって生徒たちに多大の負担をかけたと率直に語っているところが印象的です。
結果的には座付作曲家のみなさんを起用するほうが、すべてにわたって良かったのではと思ってしまいますね。

さて、今回は主な配役限定の感想です。もうすぐ2回目の観劇なので続編を書く予定ですが、時期はあまり期待しないでください。(笑)

オープニングはロミジュリとかエリザみたいな感じです。

まずは柚希礼音。頑張っていました。やはり眼にチカラがあり、地方の貧乏貴族から這い上がろうとするギラギラした野心が全身からあふれ出ています。本人が目標としていたロミオとの違いがはっきり体現出来ていて、いつものことですが演技力のダイナミックレンジの広さではピカイチですね。
個人的にはこの人はショーブラン役が一番のアタリ役で強烈なインパクトがありましたが、今回はそれに次ぐ出来だと感じました。
以下画像はすべてスカイステージの初日映像から




ジョセフィーヌに出会って




そしてパリの役所で婚姻届にサイン


圧巻だったのが戴冠式。これが今回のクライマックスで衣装も舞台装置も圧倒的な豪華さ。




ところが、この場面が拍子抜けするほど短い!えっ、もう終わり?と誰もが思ったと思います。ローマ法王を呼びつけながら、ナポレオンが自らの手で式を行うところなどでもう少し展開があるかと思ったのですが、なにもなし。ちょっともったいない使い方でした。
そうそう、舞台装置といえば最初のクレーンを使った登場が面白いです。ただ、油圧コントロール?がぎこちなく、アームの動きがカクカク気味だったのはご愛嬌。(笑)

しかし柚希礼音の演技と歌は本当に大したものです。100周年という節目を飾るのにふさわしい存在だと思いました。

次はジョセフィーヌの夢咲ねね。
彼女もジュリエットの超ブリブリとは好対照の、海千山千の大人の女になりきっていました。台詞も低い地声が新鮮な印象です。
歌も本人比長足の進歩が見られました。けっこう音域の広い歌を何曲もがんばって歌っていました。
ただ、今回の話はジョセフィーヌのほうがナポレオンより何枚も上手のしたたかさで、なかなか2人の関係を純愛風に描くのは説得力がなく難しいですね。もっと二人の性格などを強調したほうがいいと思いました。


どう見てもジョセフィーヌがたぶらかしているとしか見えない(殴)


夢咲ねねも芸のダイナミックレンジが広いです。ロミジュリや第二章、そして今回のジョセフィーヌ、どれが彼女の地に近いのか私にはわかりませんね。(笑)

マルモンの紅ゆずるは晩年を英真なおきにバトンタッチしていて、この芝居の狂言回しでもありますが、この老若の組み合わせはかなり無理筋です。(笑)
老けたらこうなるといわれても、なかなか同意しがたいですね。
マルモンはナポレオンとは士官学校で同期とかで、ずっと一緒に各地を転戦していきますが、最後は袂を分かちます。
青年将校らしいさわやかさが印象的ですが、老いたらあの変わりようとは‥。(まだ言うか)





紅の歌は今回は歌い込みの時間が足りなかったのか、やや消化不良の感がありました。これは回を重ねることで解消されるでしょう。
次回が楽しみです。

歌で私が注目させられたのがミュラの真風涼帆。ますますよくなっていて、目立つ存在でした。

これは↓フィナーレ。


歌といえばなんといってもナポレオンの母レティツィア役の専科・美穂圭子ですね。今回最も印象に残った歌でした。今回は楽曲があまり耳に残らないといいましたが、彼女は別格。すごい感情表現で客席を鷲掴みにしていました。


今回随一のおいしい役回りだったのが北翔海莉。もちろん歌は定評があるところで、今回も美穂圭子と共に目立っていました。それと私が見直したのは演技の方。腹黒い黒幕で、ナポレオンを利用しつくして、最後には退位を迫るという役を抑えた演技(いつもはやり過ぎ感が強いですが)で好演していました。以前のカサブランカでの演技もよかったですが、私的には今回が一番いい演技だと思いました。
なにしろ稽古に途中参加ですから、よく入り込めたものだと思います。これも人柄でしょうか。それにしても歌劇団の配慮もかなりのものですね。




専科ではあとのお二人、バラス/フランツI世の一樹千尋と老マルモン役の英真なおきも星組公演にはなくてはならない芸達者で、今回も存在感はさすがでした。専科ここにありといった感のある芝居でしたね。
存在感ではメッテルニヒ/シェイエスの美城れんも眼が行きました。

あと、歌で忘れてはいけないのがテレーズの音花ゆりです。この人が歌いだすと場が締まりますね。画像がないのが残念。

ちょっと書ききれないのでその他の出演者の感想は次回観劇の感想にまわしますが、群衆シーンも迫力があってよかったです。

フィナーレは割とあっさり目でした。芝居本編の方で時間がとられて配分できなくなったのでしょうね。






トップのデュエットは黒を基調とした衣装で落ち着いた印象でした。






最後のパレードでは、北翔海莉のエトワールがよかったです。なにせ贔屓なもので(笑)。

以上簡単な感想です。いろいろ書きましたが、リピートの価値は大アリな大作でした。お勧めです。

次回はもう少し前の席になりますので、もっと出演者の表情なども見られると思います。今回の舞台は日々かなり変化し続けているとのことですから、楽しみにしています。

去年同様のつたない感想をここまでお読みいただいき、ありがとうございました。

今年もどうぞよろしくお願いします。


宝塚星組公演「眠らない男−ナポレオン」を観て その2

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約十日ぶりのナポレオンとの再会。
木曜日なのに立ち見の出るびっくりの盛況ぶり。幸先良いスタートでご同慶の至りです。

で、再度観劇した感想ですが、やはり二度観ると、新たに見えてくるものがありますね。記念すべき年の年頭を飾るにふさわしいいい出来栄えでした。宝塚ならではの豪華な舞台装置と衣装は何度見ても圧倒されますが、それよりなにより、オリジナル脚本としてよくできていたと思いました。
それと、この観劇後にスカステのNow on Stageを見ましたが、そこでもトップコンビをはじめ出演者全員の苦心と頑張りがよく伝わってきました。
以下の画像は全てスカステNow on Stageより

前回はかなり醒めた感想だったヨメさんも、今回観劇して評価を大幅にアップしていました。

以下、今回の観劇とスカステの上記番組を見て、それに出演しているメンバーを中心とした感想です。

やはり最初の印象どおり、この芝居に出てくる人物のキャラクターとしては、ジョセフィーヌが一番勝っていますね。
ねねは役作りに際して小池御大から「オカミさんを入れて」と言われたそうで、そのとおりこれまで演じてこなかった、したたかなバイタリティと奔放さを持った強いジョセフィーヌをうまく演じていました。
自分が女王になれるという予言を信じつつ社交界で浮名を流し、そこで有望株のナポレオンに目を付けてまんまと結婚した後も、臆面もなく愛人を連れて歩くなど奔放さは治まりません。一方で姑や小姑などとの葛藤もあり、最後には落魄したナポレオンの配流先についてロシアの将軍に嘆願するなど、人間的なエピソードも豊富です。


それに比べると、主人公のナポレオンはいささか影が薄いです。(笑)というか、ジョセフィーヌ以外はみんな役を際立たせるエピソードが少ないので、それぞれ役作りに苦労しています。

ナポレオンの基本的な性格としては、即断即決・直情径行なのはわかりますが、彼が波乱の人生をどういう思いを持ちながら駆け抜けていったのか、一介の軍人から究極の栄誉を得たのちの敗北と挫折、そこでの葛藤とか苦悩については余り描かれていません。このあたり、叙事詩的・年代記的に描こうとした脚本家の意図からくるものかもしれませんが、もう少しナポレオンの人間像がわかる材料などがあれば、観客ももっと感情移入しやすかっただろうと思いました。
でもそんなナポレオンを、柚希礼音はさらにがんばって演じていました。今の宝塚のトップでは最も安定した力量がある存在だといえると思います。

↓冒頭の空飛ぶ勉強机。結構揺れていて、まるでダンプの運転席(殴)。

精悍な風貌で迫力があります




他の出演者の感想ですが、今回とくに印象的だったのは真風涼帆でした。

役そのものはそれほど目立つものではないのですが、それでも光る演技と歌で印象に残りました。特に声の質が歌にしても台詞にしても耳に気持ちよく響いてきて、思わずオペラで確認したことが何回かありました。

北翔海莉のタレーランも、革命後の無政府状態の中で、王党派を抑えながら同時に民衆の蜂起も押さえ込むために巧みにナポレオンを利用し、果ては退位を迫るという新興ブルジョア階級の時代と利害を象徴する存在として、出色の演技でした。これまで見た彼女の演技のなかでは一番印象に残りました。

ちなみに髪型は演出家の注文だそうです。


フィナーレではなんとエトワールまで


余談ですが、彼女の専科への移籍を聞いたとき、私たちはかなり落胆したものですが、その後の活躍を見ていると「これでいいのかも」と思えてきたりしました。さらに先日、スカステ・ニュースで『THE MERRY WIDOW』の千秋楽での星条海斗の北翔への感謝にあふれた挨拶と、それに対する北翔海莉の飾らない感謝の様子を見てからは、これがベストなのだと思いましたね。そして今回の公演での歌劇団の配慮ぶり。いいポジションに落ち着いたと思います。

真風と対比すると、紅ゆずるは歌が少々物足りなく思いました。今の組でのポジションに見あうように、かなり精進してもらう必要があると思いました。Now on Stageでは歌や役作りについて努力していることがわかりますが、今はまだそれが結実していないように思えました。今後に期待したいですね。




十輝いりすのジョセフは今回の公演では兄弟姉妹の諍い以外はあまりしどころのない役で気の毒でした。なので、民間人のはずなのにあちこち顔を出しています。前半はただそこにいるだけみたいな感じが多いですが。^^;





つぎに音楽について。
二度目の観劇なので、ストーリーを追うのに余念がなかった前回と違って、今回は曲を楽しむ余裕がありました。
で、まずオープニングのコーラスがよかった。すぐ口ずさめるほどではないですが、いい曲でした。
今回一番耳に残ったのは「嵐のように生きた男」です。これはROM化できました。(笑)
その他の曲も、みんな歌いなれてきたのか耳によくなじんできました。ただ、さすがにプレスギュルヴイック!と絶賛するまでには至らなかったですが。

歌といえばウジェーヌ役の礼真琴の歌もよかったですね。新公ではナポレオンをやるとのことで、小柄なので適役かと思いますが、他の役になるとその点がちょっと難しいのが残念ですね。
それに対してアレクサンドルI世の麻央侑希は長身を生かしてなかなか見ごたえのある姿でよかったです。最後しか出てこないのが気の毒ですが。逆に彼女の場合は、ルックスは申し分ないので、もっと歌や芝居で伸びてくれればと思いますが、なかなかうまくいかないですね。

レティツィアの美穂圭子や、テレーズの音花ゆりの歌はさすがの出来。安心して浸れます。前後しますが、夢咲ねねの歌も本人比さらにうまくなっていて、前回みたいに思わず体を固くして緊張しながら聞く(笑)といったことがなかったのは良かったです。セリフの声もよく通って耳になじみました。

さて、二回の観劇を終えて、今回の公演について振り返ってみると、なんといっても今の星組全体の充実した力量を感じました。
レオンとねねを先頭に頑張っています。それに加えて専科のみなさんの文句なしの好演で、重厚なナポレオン年代記になっていました。

ただ、劇化しているタイムスパンが長いので登場人物も増え、さらに楽曲が多いのでその分台詞が減って、結果的には話の掘り下げが足りなくなった感じです。もう少し場面を整理して、とくにナポレオンの人物像を描くことに注力したほうがよかったのではないかと思いました。
革命後の混乱と無政府状態のなかで、王党派の台頭を封じながら「革命の守護神」として登場(まさにボナパったわけですね)しながら、だんだん軸足を「民衆」からブルジョア階級に移していく変節の過程、そしてロシア遠征の敗北後タレーランから退位を迫られていく落魄の末期まで、彼がどう感じて生きてきたのか、その折々の内面の葛藤、そして歴史における彼の役割などについて触れるストーリー展開があればさらによくなったと思います。

ともあれ、今回の観劇で、久しく考えたことのなかったナポレオンとその時代について、あれこれ私なりに考えることができてよかったです。王と皇帝の違いなども面白かったです。

宝塚らしい豪華な作品なので、ぜひ皆さんもご覧になってください。
↓プログラムより


今回も、いつもながらの薄い内容の感想をご覧いただいたき、大変ありがとうございました。

『眠らない男−ナポレオン』は『愛あれば命は永遠に』の進化形?

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某日、台所で夕食の後片付けを終えて、食器を食洗機にセットしたりしていたら、ヨメさんが見ている居間のテレビからなんとも懐かしい歌声が。で、「ひょっとしたら高汐巴?」と聞いたら「そう」との返事。なにかなとテレビを見に行くと、なんとこれがナポレオンもの。
ナポレオンは当時花組トップの高汐巴が演じていて、ジョセフィーヌは若葉ひろみ。ジョセフィーヌの愛人シャルル大尉には大浦みずきが演じていました。それで私もそのあとも家事をしながら(故あって主夫してます^^;)チラ見していましたが、話のあらすじがかなり今回の星組公演と重なっているので、手すきになったときにスカステのホームページで番組の説明を覗いてみました。

それによるとこれは『愛あれば命は永遠に』という'85年花組の公演で、正式の題名は『愛あれば命は永遠に−ナポレオンとジョセフィーヌ』というものでした。「稀代の英傑ナポレオンと奔放に生きる社交界の名花ジョセフィーヌとの波瀾の恋を描いたロマン大作」だそうです。

まあ見たところ、脚本・演出担当の某理事お得意の説明台詞多用のお芝居。どこかで見たような場面も多いです。そして今となってみれば衣装や舞台装置もなんともほほえましく、時代を感じさせます。
でもあらすじを見ると、今回の小池作品に大きく影響を与えたことがよくわかりますね。

以下Wikipediaからの引用です↓
1795年暮。パリ・オペラ座に政府軍総司令官バラス将軍をはじめとする社交界の名士が顔をそろえていた。そこには若き軍人ナポレオンの姿もあった。ナポレオンは、社交界の花とうたわれるジョゼフィーヌの虜となる。バラスをパトロンとしていたジョゼフィーヌには、年下の無骨な軍人ナポレオンの愛は重荷なだけ。だが、その一途さにやがて心を打たれる。バラスのとりなしもあり、2人は1796年に結婚する。だが結婚直後からナポレオンは遠征に明け暮れ、パリに残ったジョゼフィーヌはシャルル大尉と浮名を流す。ナポレオンは愛と憎しみにさいなまれる……。

ところでご存知の方も多いと思いますが、高汐巴の歌とかセリフ、きわめて個性的でしたね。歌はうまい下手を超越した(笑)独特の味があって、誰でも一度聴いたら忘れられないと思います。
まあ息が少し漏れているというか(殴)、独特の発声で、でもそれがそこはかとなく哀愁とか憂いとかを感じさせて個性になっていました。
とはいえ私は彼女の舞台については『琥珀色の雨に濡れて』しか観ていませんが、これが絶品。今でもこの演目は高汐巴バージョンが一番だと思います。歌唱力でいえばのちの春野寿美礼などのほうがはるかにいいのですが、でもその歌がきれいすぎて、この芝居の主題に合った味には合わなかつたのが難点です。

ただ、高汐巴もナポレオンとなるといささか無理がありました。特に今回の柚希ナポレオンを観た後では、精悍さとか成り上がっていくギラギラした野心とか、戦上手らしさなどがまるで感じられない、やさしそうな高汐ナポレオンでした。(笑)

逆にジョセフィーヌのほうは若葉ひろみがピッタリで、持ち味の姉御風なキャラクタがよく似合っていて、いかにもという感じでした。

この放送を見て、はじめて100周年にあたってナポレオンを取り上げた理由がわかったような気がしました。小池修一郎は今回の公演にあたって、いくつかの題材を用意したと語っていますが、その中からナポレオンが選定されたのは植田理事サンの意向がかなり強く働いていたのでしょうね。そう思って見たら、昨年から今年の公演ラインナップに占める「化石芝居」の量で感じた違和感も納得でした。
まだまだ植田理事サンの天下が続きそうです。

今回の「眠らない男‥」と「愛あれば‥」を比べたら、完成度の違いは明らかです。なんといっても前者には、ナポレオンの時代を俯瞰する脚本家の歴史観が全編に貫かれていて、それを最も体現しているのがタレーランですね。
それと狂言回しのマルモンとがあいまって、ナポレオンにより沿いながらも、彼を客観的に描こうとする意図がよく表れていました。小池先生の手にかかれば同じテーマでもいかに変わるかという見本になっていました。
(ついでに「風‥」とか「ベルばら」も存分に料理してほしいものですが)
もっとも後者については、放送ネタが昔の関西テレビから提供されたものらしく、当時の放送時間の制約からダイジェスト版になっていて、オリジナルそのものではないので正確に出来不出来を語れません。ですが、それでも今回のナポレオンと比べたら密度の低い脚本であることは明らかです。

本当に今回の放送を見る前は、「眠らない男‥」のベース作品があるとは全く知りませんでした。番組ガイドによれば1月に3回も放映されていたとのことで、観劇の前に見ていたらまた違った楽しみ方もできたかもしれません。
せっかくスカステに加入していながら事前に見られなかったのが少々残念でした。

今回のナポレオン以外にも、例えば「スカーレットピンパーネル」と1979年の「紅はこべ」など、同じ題材でも違った形で舞台化されている例がけっこうありますね。
そう思って宝塚100年の公演史を見てみるといろいろ発見があるかもしれませんね。

スカステさん、もう一度よく見たいので、また「愛あれば‥」を放送してくれませんか?








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