2月18日にホドラー展を観てから3週間ばかり後の3月某日、また神戸に出かけました。目的は神戸市立博物館で開催中の『チューリッヒ美術館展』を観るため。
今回の展覧会はピカソ・シャガール・セザンヌ・モネ・ゴッホ・ドガ・ゴーギャン・カンディンスキー・ルソー・ダリ・マグリット・マティス・クレー・ミロと、ビッグネームぞろいの豪華さ!
展覧会のホームページでも、
圧巻!すべてが代表作
スイスが誇る美の殿堂チューリヒ美術館のコレクションを、日本で初めてまとめて紹介します。出品されるのは幅6メートルにおよぶモネの大作やシャガールの代表作6点に加え、ホドラーやクレーといったスイスを代表する作家の珠玉の絵画、さらにはマティス、ピカソ、ミロといった20世紀美術の巨匠の作品など、これまでなかなか来日の実現しなかった印象派からシュルレアリスムまでの傑作70点以上。スケッチや習作がほとんどない、まさに「すべてが代表作」といえるラインアップです。
と、これを見逃すと一生後悔しますよ、みたいな感じで宣伝しています。
ちなみに会期等は以下の通り。
■ 場所: 神戸市立博物館(神戸・旧居留地) www.city.kobe.lg.jp/museum/
〒650-0034 神戸市中央区京町24
■ 会期: 2015年1月31日(土)〜5月10日(日)休館日毎週月曜日 ただし、5月4日(月・祝)は開館
■ 開館時間:午前9時30分〜午後5時30分 土曜日は午後7時まで
ということで、晴れの予報だったので、公園に行ったほうがいいかなと最後まで迷いつつ(笑)、神戸に行くことにしました。
でも美術展にしてよかったですね。途中の天候は予報に反して、どんよりした曇り空。
途中渋滞もなく、9時に出発して快走、1時間もかからず博物館に到着。近くのタイムズに駐車して館内へ。
木曜だったせいか会場もそれほど混雑しておらず、車椅子でも楽しく観ることができました。
来るたびに思いますが、神戸市立博物館は本当に車椅子にやさしい。
まあ障碍者手帳の提示で本人と付添1名を無料にしてもらえるというのもありますが(笑)、それよりなにより、施設の配置が利用者本位、館内は明るくトイレやエレベーターのサインもわかりやすく、適所に配置されたスタッフも親切。このあたり、兵庫県立美術館とはまったく対照的です。
でも今回の企画展は、日本スイス国交樹立150年記念催事の一環として、その兵庫県立美術館のホドラー展とタイアップしています。(笑)
なので、美術館でホドラー展の当日券を購入する際にチューリヒ美術館展の観覧券(半券可)を見せると100円引き、逆に博物館でホドラー展のチケットを見せると、チューリッヒ展のチケットが同額の割引になるとのことです。ただしホドラー展のほうが早く終わるので、相互割引も終了しますが。
今回も、マイペースで気楽に観るのがいいので、解説のヘッドホンは借りませんでした。途中でわかったのですが、解説マークの付いた絵も少ないので、あまり意味もない感じです。(笑)
会場内はそこそこの人出。でも並んで押し合いへし合いではなくて、車椅子を押しながらでも、周りにそれほど気兼ねせずに鑑賞することができました。
会場は14のセクションに分かれていて、本来は3階から観て、2階に行くというのがコースですが、私たちはエレベーターの階番号を確認せずに降りたため、2階から観てしまいました。^^;
ということで、変則的ですが「ムンク」コーナーから観始めました。ムンクといえば「叫び」でしょう。しかも今回の展覧会のキャッチフレーズが「すべてが代表作」となっているので当然「叫び」があるかと思ったら、これがムンク?な作品ばかり。でもいい絵です。(笑)
この肖像画↓など、とてもムンクとは思えないです。
解説ではこれを描いたのは生活のためでもあるとのこと。でも肖像画としてある種のインパクトはありますね。思わずこんな絵も描けるんや!でした。ちょっと以前のデュフィ展で見た肖像画に似た感じです。
続いて「表現主義」のコーナーではベックマンが目を引きました。
デフォルメが入っていますが、「マックス・レーガーの肖像」など、モデルの人柄がよくわかる気がします。
次の「フォーヴィスムとキュビスム」のピカソはいかにも!でしたが、「シャガール」のコーナーは意外というか新鮮なシャガールばかり。
この↓「婚礼」という作品も初めて観ました。
ユダヤ人だったシャガールは大戦中、ナチスの迫害から逃れるためアメリカへ亡命、その最中に、最愛の妻ベラを亡くしていますが、この作品は1945年の作品で、失意を乗り越えて妻との婚礼の記憶を描いたものだそうです。同じ画家の「戦争」や「窓から見えるブレア島」もいい絵でした。
2階の最後のコーナーは「シュルレアリスム」。
ダリが大好きな私は今回一番楽しみにしていました。でもダリの絵を観て思わず「ちっさー!」
絵柄はダリそのものですが、予想に反し35×27cmという小さい絵。ちょっとガッカリ。^^;
それと、同じコーナーのマグリットですが、私的には彼の代表作といばあの浮遊する岩の絵だったり、「顔のない人物」とか巨大なリンゴだったりしますが、展示されていたのは、「9月16日」という結構地味な絵でした。これもそれほど大きくない絵です。
で展示は終わりとなったので、ヨメさんとこれはおかしいねということで、近くのスタッフに聞いて入口を間違えていたことに気づきました。それで急きょ3階に移動。
会場で眼に入ったのはあのセガンティーニ。この画家の絵は2011年に佐川美術館で「特別企画展 アルプスの画家セガンティーニ -光と山-」で初めて観ましたが、なかなかわかりやすくて(笑)いい絵ばかりでした。
今回展示されていたのは「虚栄(ヴァニタス)」と「淫蕩な女たちへの懲罰」の2点。これは確かに代表作といえそうです。
で、その横があのホドラー。(笑)
確かに展示されていたのは代表作ですね。中で一番気に入ったのはこれ↓ 「日没のマッジア川とモンテ・ヴェリテ」です。
ホドラーの風景画では一番馴染めます。(殴)
でもモネとなるとちょっとね。
「睡蓮」だそうですが、もう朦朧としています。最近観たターナーの例↓のとおり、
多くの画家がその最晩年になると絵の輪郭がぼやけてきたりしますが、モネも同じ。大作ですが、よくわからない絵。
同じ場所にあったドガの「競馬」も、意表を突く作品。
チューリッヒ美術館の歴代の蒐集担当は只者ではないです。(笑)
次の「ポスト印象派」もかなりユニークでした。
ゴッホの「サント=マリーの白い小屋」とか↓
ゴーギャンの静物画や
セザンヌの「サント=ヴィクトワール山」など
アンリ・ルソーは「X氏の肖像」といういかにもな作品です↓
次の「ナビ派」ではボナールの「犬と一緒にいる女性」が印象的。
ということで、このチューリッヒ美術館展、かなり意外性のある作品が多くて、それなりに面白かったです。
先に紹介したキャッチコピーの「すべてが代表作」というのはちょっと強引ですが、それに続く説明文が「近代美術史を彩る巨匠たちの傑作や、画業を代表する名品ばかり74点が集結。」というのはまあまあ妥当かな。(笑)
でもこの美術展は、先のホドラー展とは対照的に、多彩な画家の多彩な絵が観られるので、かなりお得でお勧めです。
さて次の神戸行きは、2015年4月18日より開催される兵庫県立美術館「堀文子 一所不住・旅」展です。楽しみです。
今回の展覧会はピカソ・シャガール・セザンヌ・モネ・ゴッホ・ドガ・ゴーギャン・カンディンスキー・ルソー・ダリ・マグリット・マティス・クレー・ミロと、ビッグネームぞろいの豪華さ!
展覧会のホームページでも、
圧巻!すべてが代表作
スイスが誇る美の殿堂チューリヒ美術館のコレクションを、日本で初めてまとめて紹介します。出品されるのは幅6メートルにおよぶモネの大作やシャガールの代表作6点に加え、ホドラーやクレーといったスイスを代表する作家の珠玉の絵画、さらにはマティス、ピカソ、ミロといった20世紀美術の巨匠の作品など、これまでなかなか来日の実現しなかった印象派からシュルレアリスムまでの傑作70点以上。スケッチや習作がほとんどない、まさに「すべてが代表作」といえるラインアップです。
と、これを見逃すと一生後悔しますよ、みたいな感じで宣伝しています。
ちなみに会期等は以下の通り。
■ 場所: 神戸市立博物館(神戸・旧居留地) www.city.kobe.lg.jp/museum/
〒650-0034 神戸市中央区京町24
■ 会期: 2015年1月31日(土)〜5月10日(日)休館日毎週月曜日 ただし、5月4日(月・祝)は開館
■ 開館時間:午前9時30分〜午後5時30分 土曜日は午後7時まで
ということで、晴れの予報だったので、公園に行ったほうがいいかなと最後まで迷いつつ(笑)、神戸に行くことにしました。
でも美術展にしてよかったですね。途中の天候は予報に反して、どんよりした曇り空。
途中渋滞もなく、9時に出発して快走、1時間もかからず博物館に到着。近くのタイムズに駐車して館内へ。
木曜だったせいか会場もそれほど混雑しておらず、車椅子でも楽しく観ることができました。
来るたびに思いますが、神戸市立博物館は本当に車椅子にやさしい。
まあ障碍者手帳の提示で本人と付添1名を無料にしてもらえるというのもありますが(笑)、それよりなにより、施設の配置が利用者本位、館内は明るくトイレやエレベーターのサインもわかりやすく、適所に配置されたスタッフも親切。このあたり、兵庫県立美術館とはまったく対照的です。
でも今回の企画展は、日本スイス国交樹立150年記念催事の一環として、その兵庫県立美術館のホドラー展とタイアップしています。(笑)
なので、美術館でホドラー展の当日券を購入する際にチューリヒ美術館展の観覧券(半券可)を見せると100円引き、逆に博物館でホドラー展のチケットを見せると、チューリッヒ展のチケットが同額の割引になるとのことです。ただしホドラー展のほうが早く終わるので、相互割引も終了しますが。
今回も、マイペースで気楽に観るのがいいので、解説のヘッドホンは借りませんでした。途中でわかったのですが、解説マークの付いた絵も少ないので、あまり意味もない感じです。(笑)
会場内はそこそこの人出。でも並んで押し合いへし合いではなくて、車椅子を押しながらでも、周りにそれほど気兼ねせずに鑑賞することができました。
会場は14のセクションに分かれていて、本来は3階から観て、2階に行くというのがコースですが、私たちはエレベーターの階番号を確認せずに降りたため、2階から観てしまいました。^^;
ということで、変則的ですが「ムンク」コーナーから観始めました。ムンクといえば「叫び」でしょう。しかも今回の展覧会のキャッチフレーズが「すべてが代表作」となっているので当然「叫び」があるかと思ったら、これがムンク?な作品ばかり。でもいい絵です。(笑)
この肖像画↓など、とてもムンクとは思えないです。
解説ではこれを描いたのは生活のためでもあるとのこと。でも肖像画としてある種のインパクトはありますね。思わずこんな絵も描けるんや!でした。ちょっと以前のデュフィ展で見た肖像画に似た感じです。
続いて「表現主義」のコーナーではベックマンが目を引きました。
デフォルメが入っていますが、「マックス・レーガーの肖像」など、モデルの人柄がよくわかる気がします。
次の「フォーヴィスムとキュビスム」のピカソはいかにも!でしたが、「シャガール」のコーナーは意外というか新鮮なシャガールばかり。
この↓「婚礼」という作品も初めて観ました。
ユダヤ人だったシャガールは大戦中、ナチスの迫害から逃れるためアメリカへ亡命、その最中に、最愛の妻ベラを亡くしていますが、この作品は1945年の作品で、失意を乗り越えて妻との婚礼の記憶を描いたものだそうです。同じ画家の「戦争」や「窓から見えるブレア島」もいい絵でした。
2階の最後のコーナーは「シュルレアリスム」。
ダリが大好きな私は今回一番楽しみにしていました。でもダリの絵を観て思わず「ちっさー!」
絵柄はダリそのものですが、予想に反し35×27cmという小さい絵。ちょっとガッカリ。^^;
それと、同じコーナーのマグリットですが、私的には彼の代表作といばあの浮遊する岩の絵だったり、「顔のない人物」とか巨大なリンゴだったりしますが、展示されていたのは、「9月16日」という結構地味な絵でした。これもそれほど大きくない絵です。
で展示は終わりとなったので、ヨメさんとこれはおかしいねということで、近くのスタッフに聞いて入口を間違えていたことに気づきました。それで急きょ3階に移動。
会場で眼に入ったのはあのセガンティーニ。この画家の絵は2011年に佐川美術館で「特別企画展 アルプスの画家セガンティーニ -光と山-」で初めて観ましたが、なかなかわかりやすくて(笑)いい絵ばかりでした。
今回展示されていたのは「虚栄(ヴァニタス)」と「淫蕩な女たちへの懲罰」の2点。これは確かに代表作といえそうです。
で、その横があのホドラー。(笑)
確かに展示されていたのは代表作ですね。中で一番気に入ったのはこれ↓ 「日没のマッジア川とモンテ・ヴェリテ」です。
ホドラーの風景画では一番馴染めます。(殴)
でもモネとなるとちょっとね。
「睡蓮」だそうですが、もう朦朧としています。最近観たターナーの例↓のとおり、
多くの画家がその最晩年になると絵の輪郭がぼやけてきたりしますが、モネも同じ。大作ですが、よくわからない絵。
同じ場所にあったドガの「競馬」も、意表を突く作品。
チューリッヒ美術館の歴代の蒐集担当は只者ではないです。(笑)
次の「ポスト印象派」もかなりユニークでした。
ゴッホの「サント=マリーの白い小屋」とか↓
ゴーギャンの静物画や
セザンヌの「サント=ヴィクトワール山」など
アンリ・ルソーは「X氏の肖像」といういかにもな作品です↓
次の「ナビ派」ではボナールの「犬と一緒にいる女性」が印象的。
ということで、このチューリッヒ美術館展、かなり意外性のある作品が多くて、それなりに面白かったです。
先に紹介したキャッチコピーの「すべてが代表作」というのはちょっと強引ですが、それに続く説明文が「近代美術史を彩る巨匠たちの傑作や、画業を代表する名品ばかり74点が集結。」というのはまあまあ妥当かな。(笑)
でもこの美術展は、先のホドラー展とは対照的に、多彩な画家の多彩な絵が観られるので、かなりお得でお勧めです。
さて次の神戸行きは、2015年4月18日より開催される兵庫県立美術館「堀文子 一所不住・旅」展です。楽しみです。