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大阪市立美術館で『こども展』を観てきました

ハルカスでビュフィを観て、次は万博公園や花の文化園にでも出かけようかと思っていましたが、今はどこも見ごろの花が少なく断念。と思っていたらヨメさんが『こども展』を観たいとのこと。

はじめは何で子供の描いた絵など観たいのかなと怪訝に思いましたが、子供が描いた絵ではなく、こどもを描いた絵の展覧会だったのですね。(笑)

で、会場は大阪市立美術館。天王寺公園の中にある美術館です。初めて行ったのは「ボストン美術館 日本美術の至宝」(大阪展)でしたが、早いものでもう一年以上前のことになります。
このときはかなりの観客で混雑したので、今回はどうかなと思ったのですが、まあとにかく行ってみようと、出かけることにしました。

朝9時すこし前に出発。阪神高速の天王寺出口を出たらすぐ駐車場の入口です。天王寺公園の地下にある駐車場内はまだガラ空きでした。
障害者スペースに停めましたが、場内の案内表示板に従うと美術館への出口はそこからかなり離れています。
最初はその案内板に従ってその出口まで車椅子を押して行き、車もその付近まで移動させようと私はまた車に戻りました。そして車を移動させていると、ヨメさんの車椅子が誰かに押されてこちらに来るのが見えました。押してくれているのは清掃作業をされている女性スタッフです。
近づいたらヨメさんが「あの出口は階段しかないので、もとの障害者スペースの横にあるアベチカ入り口横のエレベーターでないと車椅子は地上に上がれないらしいよ」と。
件の女性、それを教えてくれた上に、わざわざ元の位置まで車椅子を押してくれたのです。本当に親切でした。
私もお礼を言って、再び車を戻し、アベチカ通路のエレベーターで地上に出ました。考えてみれば前回もそうしたはずなのにすっかり忘れていました。

公園の入場口で手帳を見せたら、本人と付添の私は無料にしてくれました。

公園ではもう秋バラが咲き始めていました。前回は建設途中だったハルカスが園内から見られます。

美術館に着いたら観客の長蛇の列ではなく、閑散としています。

美術館でふたたび手帳を見せて展覧会場へ。入り口で音声ガイドを借りて中へ。外の様子と違って中にはそこそこの観客が来ていました。ちなみに音声ガイドは竹内まりやの解説で聞き取りやすく、途中彼女の歌も入っていたり、解説内容も的確でお値打ちでした。

展覧会の正式名称は『こども展 名画に見るこどもと画家の絆』でした。展示は序章から第6章まで7つのエリアに分けられています。
展示作品は全部で87点。


入り口では閑散としていても中はそこそこの先客がいました。

『序章』で眼に入ってきたのはクロード=マリー・デュビュッフの作品です。いずれも正統派の肖像画です。

『第1章 家族』ではデュビュッフの『デュビュッフ一家の肖像、1820年』が古典的な精緻な画法でよかったです。でも解説にあったように家族の視線がバラバラなのが面白いです。
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裕福そうな上記作品とは対照的なのがアルフレッド・ロールの『故郷を後に』でした。
ぐったりと元気のない子どもを心配そうに覗き込む農民のような夫婦の姿が胸を打ちます。まるでロシア・移動展派の作品みたいな絵です。

『第2章 模範的な子どもたち』ではアンリ・ルソーの『人形を抱く子ども』が異彩を放っていました。
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どうみても子どもに見えなかったり。(笑)

それと全く異なるリアルな作品が、アンリ・ジュール・ジャン・ジョフロワ(長い名前です)の『教室にて、子どもたちの学習』です。子どもたちがさまざまな表情や姿で生き生きと描かれていて、資料的にも興味深い絵でした。当時の学校教育の一面がよくわかる絵です。
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このコーナーで一番好きな絵はアンリ・デティエンヌの『娘、あるいはS嬢の肖像』です。
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まるでメアリー・スティーンバージェンを少女時代に描いたらこうなったみたいな絵です。(笑)

『第3章 印象派』ではベルト・モリゾの『庭のウジェーヌ・マネとその娘』も印象に残るいい絵でした。
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でもこのコーナーの一番の目玉はやはりルノワールですね。
『遊ぶクロード・ルノワール』とか
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『ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども』をはじめ4点も展示されていました。
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ただ私的にはルノワールってみんな同じ人物に見えてしまうのですが、『ジュリー・マネの肖像』についてはユニークで新鮮な人物像で気に入りました。

次は『第4章 ポスト印象派とナビ派』
ポスト印象派とはセザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンとその周辺の画家を指すとのことですが、この展覧会のテーマの子どもとなるとゴッホは生涯独身で子どもはなく、ゴーギャンも家族と別居状態になって子どもを描いていないということで、残るはセザンヌですが、その作品は大阪では展示されていません。なのでちょっと羊頭狗肉な感ありです。(笑)
多かったのはモーリス・ドニの作品で4点が展示されていました。
このコーナーではエドゥアール・ヴュイヤールの2作品が好みでした。とくに『ジェヌヴィエーヴ・ベルネーム・ド・ヴィレール』がなぜかインパクトがあってよかったのですか、絵葉書にはなっておらず残念でした。

『第5章 フォーヴィスムとキュビスム』はマティスやドラン、ピカソと巨匠の作品が展示されていました。
まあピカソはやはりピカソなので(笑)ちょっと好みではありませんが、↓の絵はいいと思いました。『ポーランドの衣装を着たクロード』です。
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あと、アンドレ・ドランの『画家の姪』もこのコーナーでは逆に普通な絵(笑)で、かえって目立っていましたね。
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最後は『第6章 20世紀のレアリスト』。
キスリング、パスキン、フジタなどのエコール・ド・パリの画家たちの絵をはじめ、20世紀の具象画が展示されていました。
ここではやはりレオナール・フジタの作品が人気でしたね。↓はそのひとつで『フランスの48の富』と
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『機械化の時代』です。
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『機械化の時代』では当時のフランスの最新の工業製品の代表として斬新なデザインで注目されていたシトロエンの乗用車や、飛行機のシュド ボートゥールがかなり正確に描かれています。
どちらの絵もユーモラスな描き方で、フジタとしては明るい楽観的な印象の絵でした。

作品を観終わって、思ったより内容の充実した展覧会だったので、観に来た甲斐があったと二人とも満足でした。観客も時間が早かったので少なくて観やすかったし。私たちが帰る頃(11半頃です)になって多くの人が詰めかけていました。
駐車場では料金が出口の受付で割引処理してもらえて感謝でした。やはり車で来られるというのは手軽でいいですね。

この展覧会、10月13日まで開かれています。19世紀から20世紀にわたる巨匠たちの描いた子どもの絵をテーマとした展覧会、ぜひご覧ください。




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