今年2回目の展覧会として、2月1日に、神戸市立博物館で「ターナー」展に行ってきました。
ターナー展開催のニュースなどを聞いても当初余り気乗りしなかったのですが、それは画家だけでなく、神戸周辺は道路の渋滞とか、前回の「マウリッツハイス美術館展」みたいな入館待ちの長蛇の列だったらとか、周辺の駐車場探しも難儀しそうとか、行きたくない理由も多々ありました。
でもヨメさんは観たそうにしていたし、当日朝、途中の高速道路や博物館周辺道路の状況をチェックしたらそれほど大した渋滞もなかったので、思い切って行くことにしました。
ところが道路は渋滞ゼロ、あっけないほどよく流れていて、50分程度で神戸に到着。10時の開館時間を少し過ぎたぐらいに博物館につきました。駐車場も最短距離のタイムズに停められたうえ、博物館前にも誰も並んでいません。去年とはえらい違いでした。ちょうど今頃が中だるみなのでしょうか。
駐車場から車椅子を押して博物館前に行き、看板の前で写真を交代で撮っていたら、近くで荷物を車から下ろしていた若い女性がニコニコしながら近づいてこられて、「一緒にお撮りしましょうか」とありがたいお申し出。自然な親切が身に染みました。お言葉に甘えて撮ってもらってから館内へ。
この博物館はまだ2度目ですが、館内の施設のレイアウトがわかりやすく、サインも各所に表示されているので迷うことはありません。その上親切なスタッフが大勢配置されているので快適に移動できます。エレベーターの配置もわかりやすいです。
この辺は、兵庫県立美術館の迷路のような不便さとは対極にあります。
チケット売り場に行って障害者手帳を提示したら、本人と付添1名は無料とのことでちょっとびっくり。
公共施設の場合ではこれは普通のことですが、上記の兵庫県立美術館では割引はあっても無料ではなかったので、神戸の施設はどこも同じだろうと思い込んでいたのです。温かい印象がさらに強くなってホッコリ気分で会場へ。
入口で音声ガイド@500円を借りて、鑑賞開始です。
↓博物館内で配布されていた子供用の鑑賞ガイドですが、よくできています。
展示作品はロンドンのテート美術館所蔵のジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775−1851年)の油彩画・水彩画・スケッチなど計113点。
展示会場は「初期」「「崇高」の追及」「戦時下の牧歌的風景」「イタリア」「英国における新たな平和」「ヨーロッパ大陸への旅行」「ヴェネツィア」「色彩と雰囲気を巡る実験」「後期の海景画」「晩年の作品」の9つのセクションに分けられていました。
今回は観客はそれほど多くなく、車椅子でもよく観ることが出来ました。
以下の絵は私たちの印象深かった作品です。
当日購入した絵葉書からスキャンしました。
「セント・ジョン村からハモウズの入江を望む、コーンウォール」(油彩)
(セント・ジョン村はコーンウォールのプリマスの近くに位置しています。)
「河畔の家、木立と羊の群れ」(油彩)↓
「田舎の鍛冶屋」(油彩)↓風景画の多いターナーですが、こんな民衆の生活を描いた絵も描いていたのですね
「スピツトヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」↓
これは上の「子供のための鑑賞ガイド」からの画像なので小さいです^^;
「スカボロー」(水彩)
(このスカボローは行ってないですが、近くのウィットビーはたまたまバンクホリデーの時に行ってえらい目にあったことがあります。(^^;)
こうやってみると「戦時下の牧歌的風景」に気に入った絵が多かったですね。
「イタリア」コーナーでは、「ヴァティカンから望むローマ」(油彩)に人気が集中していました。ラファエロが描かれていたりします↓
「ヴェネツィア」コーナーでは「ヴェネツィア、嘆きの橋」がよかったです。ただ、今回観た限りでは、ターナーは余り人物のデッサンが上手くない感じでした。
観て回って感じたことですが、やはりターナーの絵は予期した通りでした。
一目見た印象は、デジカメ画像で例えればコントラスト・彩度・ガンマ値が低くてくすんで眠い感じが強い(笑)のと、絵そのものもあまり魅力的な題材でないのが多いと思いました。
でもすべてがそうではなくて、例えば「レグルス」は画面からあふれ出てくる光が眼を引いてインパクトがありますね。
「レグルス」↓
ただ、今回の感想としては、油彩の大作よりも画集のために描かれた水彩の原画群などのほうが魅力的な作品が多かったです。でも小品のせいか絵葉書がなかったのが本当に残念。
油彩では風景画より帆船や海を描いたもののほうが好みでした。
でもその帆船、上記の拿捕されたデンマーク船の絵は船の形が正確ですが、「トラファルガー海戦のための第二スケッチ」の戦艦は当時も批判された通り子供の絵みたいな出来。この落差には驚きでした。
風景を描いてきたターナーも、晩年の絵になると何が描かれているかわからないほど形が朦朧としてきています。
これは晩年に属する「平和−水葬」という絵です。帆ははっきり描かれていますが、他はかなり輪郭がぼやけてきて代わりに光の表現が強くなってきています。
そして最晩年のこれ↓などは、一応「湖に沈む夕陽」とされていますが、実際のところターナー本人が何を描いたのかははさだかではないとか。
まるでルノワールみたいで、ほとんど別人の絵になっていますね。
こういう変化をたどってみるのもまた面白いかもしれません。
もうひとつ興味深かったのが、ターナーの人間臭いところ。パトロンの意向に沿うべく苦心して絵を描いていたのがわかって親しみを感じました。早い話、彼の絵画制作動機にはかなり打算的で俗っぽいところがあります。
今回の展覧会、油彩画が少ないのが物足りない感じでしたが、これでもかなり大規模な回顧展だそうです。
まあ昔観たレンブラントとかドラクロア、モディリアーニクラスの展覧会になると観終えてかなり疲れたりしますが、今回は幸か不幸かそれほど疲れなくて(殴)よかったです。
まあ会場が空いていて、観やすかったことも多分に影響していますが。
会場の出口のショップで絵葉書@150円を6枚買ってからトイレへ。そして前回同様また昼食のために館内のカフェ「エトワール」に行きました。
前回の超混雑の展覧会でも空いていた所なので、安心して店内へ。
期待した通りの落ち着いたレトロな雰囲気の店内で、ゆったりくつろげました。
私はミックスサンドとウィンナコーヒー(久しぶりでした)を注文しましたが、どちらもおいしかったです。
駐車場に戻って道路に出るときも相変わらず周辺道路は空いていました。
阪神高速も全く渋滞はなく、往路と同じ所要時間で帰宅できました。いつもこうあってほしいのですが。
出発前のプリウスの燃費表示は24.9km/lでしたが、帰ってガレージに入れた時点では26.2km/l。冬では望外の好燃費でちょっと満足。
ターナー展開催のニュースなどを聞いても当初余り気乗りしなかったのですが、それは画家だけでなく、神戸周辺は道路の渋滞とか、前回の「マウリッツハイス美術館展」みたいな入館待ちの長蛇の列だったらとか、周辺の駐車場探しも難儀しそうとか、行きたくない理由も多々ありました。
でもヨメさんは観たそうにしていたし、当日朝、途中の高速道路や博物館周辺道路の状況をチェックしたらそれほど大した渋滞もなかったので、思い切って行くことにしました。
ところが道路は渋滞ゼロ、あっけないほどよく流れていて、50分程度で神戸に到着。10時の開館時間を少し過ぎたぐらいに博物館につきました。駐車場も最短距離のタイムズに停められたうえ、博物館前にも誰も並んでいません。去年とはえらい違いでした。ちょうど今頃が中だるみなのでしょうか。
駐車場から車椅子を押して博物館前に行き、看板の前で写真を交代で撮っていたら、近くで荷物を車から下ろしていた若い女性がニコニコしながら近づいてこられて、「一緒にお撮りしましょうか」とありがたいお申し出。自然な親切が身に染みました。お言葉に甘えて撮ってもらってから館内へ。
この博物館はまだ2度目ですが、館内の施設のレイアウトがわかりやすく、サインも各所に表示されているので迷うことはありません。その上親切なスタッフが大勢配置されているので快適に移動できます。エレベーターの配置もわかりやすいです。
この辺は、兵庫県立美術館の迷路のような不便さとは対極にあります。
チケット売り場に行って障害者手帳を提示したら、本人と付添1名は無料とのことでちょっとびっくり。
公共施設の場合ではこれは普通のことですが、上記の兵庫県立美術館では割引はあっても無料ではなかったので、神戸の施設はどこも同じだろうと思い込んでいたのです。温かい印象がさらに強くなってホッコリ気分で会場へ。
入口で音声ガイド@500円を借りて、鑑賞開始です。
↓博物館内で配布されていた子供用の鑑賞ガイドですが、よくできています。
展示作品はロンドンのテート美術館所蔵のジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775−1851年)の油彩画・水彩画・スケッチなど計113点。
展示会場は「初期」「「崇高」の追及」「戦時下の牧歌的風景」「イタリア」「英国における新たな平和」「ヨーロッパ大陸への旅行」「ヴェネツィア」「色彩と雰囲気を巡る実験」「後期の海景画」「晩年の作品」の9つのセクションに分けられていました。
今回は観客はそれほど多くなく、車椅子でもよく観ることが出来ました。
以下の絵は私たちの印象深かった作品です。
当日購入した絵葉書からスキャンしました。
「セント・ジョン村からハモウズの入江を望む、コーンウォール」(油彩)
(セント・ジョン村はコーンウォールのプリマスの近くに位置しています。)
「河畔の家、木立と羊の群れ」(油彩)↓
「田舎の鍛冶屋」(油彩)↓風景画の多いターナーですが、こんな民衆の生活を描いた絵も描いていたのですね
「スピツトヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」↓
これは上の「子供のための鑑賞ガイド」からの画像なので小さいです^^;
「スカボロー」(水彩)
(このスカボローは行ってないですが、近くのウィットビーはたまたまバンクホリデーの時に行ってえらい目にあったことがあります。(^^;)
こうやってみると「戦時下の牧歌的風景」に気に入った絵が多かったですね。
「イタリア」コーナーでは、「ヴァティカンから望むローマ」(油彩)に人気が集中していました。ラファエロが描かれていたりします↓
「ヴェネツィア」コーナーでは「ヴェネツィア、嘆きの橋」がよかったです。ただ、今回観た限りでは、ターナーは余り人物のデッサンが上手くない感じでした。
観て回って感じたことですが、やはりターナーの絵は予期した通りでした。
一目見た印象は、デジカメ画像で例えればコントラスト・彩度・ガンマ値が低くてくすんで眠い感じが強い(笑)のと、絵そのものもあまり魅力的な題材でないのが多いと思いました。
でもすべてがそうではなくて、例えば「レグルス」は画面からあふれ出てくる光が眼を引いてインパクトがありますね。
「レグルス」↓
ただ、今回の感想としては、油彩の大作よりも画集のために描かれた水彩の原画群などのほうが魅力的な作品が多かったです。でも小品のせいか絵葉書がなかったのが本当に残念。
油彩では風景画より帆船や海を描いたもののほうが好みでした。
でもその帆船、上記の拿捕されたデンマーク船の絵は船の形が正確ですが、「トラファルガー海戦のための第二スケッチ」の戦艦は当時も批判された通り子供の絵みたいな出来。この落差には驚きでした。
風景を描いてきたターナーも、晩年の絵になると何が描かれているかわからないほど形が朦朧としてきています。
これは晩年に属する「平和−水葬」という絵です。帆ははっきり描かれていますが、他はかなり輪郭がぼやけてきて代わりに光の表現が強くなってきています。
そして最晩年のこれ↓などは、一応「湖に沈む夕陽」とされていますが、実際のところターナー本人が何を描いたのかははさだかではないとか。
まるでルノワールみたいで、ほとんど別人の絵になっていますね。
こういう変化をたどってみるのもまた面白いかもしれません。
もうひとつ興味深かったのが、ターナーの人間臭いところ。パトロンの意向に沿うべく苦心して絵を描いていたのがわかって親しみを感じました。早い話、彼の絵画制作動機にはかなり打算的で俗っぽいところがあります。
今回の展覧会、油彩画が少ないのが物足りない感じでしたが、これでもかなり大規模な回顧展だそうです。
まあ昔観たレンブラントとかドラクロア、モディリアーニクラスの展覧会になると観終えてかなり疲れたりしますが、今回は幸か不幸かそれほど疲れなくて(殴)よかったです。
まあ会場が空いていて、観やすかったことも多分に影響していますが。
会場の出口のショップで絵葉書@150円を6枚買ってからトイレへ。そして前回同様また昼食のために館内のカフェ「エトワール」に行きました。
前回の超混雑の展覧会でも空いていた所なので、安心して店内へ。
期待した通りの落ち着いたレトロな雰囲気の店内で、ゆったりくつろげました。
私はミックスサンドとウィンナコーヒー(久しぶりでした)を注文しましたが、どちらもおいしかったです。
駐車場に戻って道路に出るときも相変わらず周辺道路は空いていました。
阪神高速も全く渋滞はなく、往路と同じ所要時間で帰宅できました。いつもこうあってほしいのですが。
出発前のプリウスの燃費表示は24.9km/lでしたが、帰ってガレージに入れた時点では26.2km/l。冬では望外の好燃費でちょっと満足。