某日、台所で夕食の後片付けを終えて、食器を食洗機にセットしたりしていたら、ヨメさんが見ている居間のテレビからなんとも懐かしい歌声が。で、「ひょっとしたら高汐巴?」と聞いたら「そう」との返事。なにかなとテレビを見に行くと、なんとこれがナポレオンもの。
ナポレオンは当時花組トップの高汐巴が演じていて、ジョセフィーヌは若葉ひろみ。ジョセフィーヌの愛人シャルル大尉には大浦みずきが演じていました。それで私もそのあとも家事をしながら(故あって主夫してます^^;)チラ見していましたが、話のあらすじがかなり今回の星組公演と重なっているので、手すきになったときにスカステのホームページで番組の説明を覗いてみました。
それによるとこれは『愛あれば命は永遠に』という'85年花組の公演で、正式の題名は『愛あれば命は永遠に−ナポレオンとジョセフィーヌ』というものでした。「稀代の英傑ナポレオンと奔放に生きる社交界の名花ジョセフィーヌとの波瀾の恋を描いたロマン大作」だそうです。
まあ見たところ、脚本・演出担当の某理事お得意の説明台詞多用のお芝居。どこかで見たような場面も多いです。そして今となってみれば衣装や舞台装置もなんともほほえましく、時代を感じさせます。
でもあらすじを見ると、今回の小池作品に大きく影響を与えたことがよくわかりますね。
以下Wikipediaからの引用です↓
1795年暮。パリ・オペラ座に政府軍総司令官バラス将軍をはじめとする社交界の名士が顔をそろえていた。そこには若き軍人ナポレオンの姿もあった。ナポレオンは、社交界の花とうたわれるジョゼフィーヌの虜となる。バラスをパトロンとしていたジョゼフィーヌには、年下の無骨な軍人ナポレオンの愛は重荷なだけ。だが、その一途さにやがて心を打たれる。バラスのとりなしもあり、2人は1796年に結婚する。だが結婚直後からナポレオンは遠征に明け暮れ、パリに残ったジョゼフィーヌはシャルル大尉と浮名を流す。ナポレオンは愛と憎しみにさいなまれる……。
ところでご存知の方も多いと思いますが、高汐巴の歌とかセリフ、きわめて個性的でしたね。歌はうまい下手を超越した(笑)独特の味があって、誰でも一度聴いたら忘れられないと思います。
まあ息が少し漏れているというか(殴)、独特の発声で、でもそれがそこはかとなく哀愁とか憂いとかを感じさせて個性になっていました。
とはいえ私は彼女の舞台については『琥珀色の雨に濡れて』しか観ていませんが、これが絶品。今でもこの演目は高汐巴バージョンが一番だと思います。歌唱力でいえばのちの春野寿美礼などのほうがはるかにいいのですが、でもその歌がきれいすぎて、この芝居の主題に合った味には合わなかつたのが難点です。
ただ、高汐巴もナポレオンとなるといささか無理がありました。特に今回の柚希ナポレオンを観た後では、精悍さとか成り上がっていくギラギラした野心とか、戦上手らしさなどがまるで感じられない、やさしそうな高汐ナポレオンでした。(笑)
逆にジョセフィーヌのほうは若葉ひろみがピッタリで、持ち味の姉御風なキャラクタがよく似合っていて、いかにもという感じでした。
この放送を見て、はじめて100周年にあたってナポレオンを取り上げた理由がわかったような気がしました。小池修一郎は今回の公演にあたって、いくつかの題材を用意したと語っていますが、その中からナポレオンが選定されたのは植田理事サンの意向がかなり強く働いていたのでしょうね。そう思って見たら、昨年から今年の公演ラインナップに占める「化石芝居」の量で感じた違和感も納得でした。
まだまだ植田理事サンの天下が続きそうです。
今回の「眠らない男‥」と「愛あれば‥」を比べたら、完成度の違いは明らかです。なんといっても前者には、ナポレオンの時代を俯瞰する脚本家の歴史観が全編に貫かれていて、それを最も体現しているのがタレーランですね。
それと狂言回しのマルモンとがあいまって、ナポレオンにより沿いながらも、彼を客観的に描こうとする意図がよく表れていました。小池先生の手にかかれば同じテーマでもいかに変わるかという見本になっていました。
(ついでに「風‥」とか「ベルばら」も存分に料理してほしいものですが)
もっとも後者については、放送ネタが昔の関西テレビから提供されたものらしく、当時の放送時間の制約からダイジェスト版になっていて、オリジナルそのものではないので正確に出来不出来を語れません。ですが、それでも今回のナポレオンと比べたら密度の低い脚本であることは明らかです。
本当に今回の放送を見る前は、「眠らない男‥」のベース作品があるとは全く知りませんでした。番組ガイドによれば1月に3回も放映されていたとのことで、観劇の前に見ていたらまた違った楽しみ方もできたかもしれません。
せっかくスカステに加入していながら事前に見られなかったのが少々残念でした。
今回のナポレオン以外にも、例えば「スカーレットピンパーネル」と1979年の「紅はこべ」など、同じ題材でも違った形で舞台化されている例がけっこうありますね。
そう思って宝塚100年の公演史を見てみるといろいろ発見があるかもしれませんね。
スカステさん、もう一度よく見たいので、また「愛あれば‥」を放送してくれませんか?
ナポレオンは当時花組トップの高汐巴が演じていて、ジョセフィーヌは若葉ひろみ。ジョセフィーヌの愛人シャルル大尉には大浦みずきが演じていました。それで私もそのあとも家事をしながら(故あって主夫してます^^;)チラ見していましたが、話のあらすじがかなり今回の星組公演と重なっているので、手すきになったときにスカステのホームページで番組の説明を覗いてみました。
それによるとこれは『愛あれば命は永遠に』という'85年花組の公演で、正式の題名は『愛あれば命は永遠に−ナポレオンとジョセフィーヌ』というものでした。「稀代の英傑ナポレオンと奔放に生きる社交界の名花ジョセフィーヌとの波瀾の恋を描いたロマン大作」だそうです。
まあ見たところ、脚本・演出担当の某理事お得意の説明台詞多用のお芝居。どこかで見たような場面も多いです。そして今となってみれば衣装や舞台装置もなんともほほえましく、時代を感じさせます。
でもあらすじを見ると、今回の小池作品に大きく影響を与えたことがよくわかりますね。
以下Wikipediaからの引用です↓
1795年暮。パリ・オペラ座に政府軍総司令官バラス将軍をはじめとする社交界の名士が顔をそろえていた。そこには若き軍人ナポレオンの姿もあった。ナポレオンは、社交界の花とうたわれるジョゼフィーヌの虜となる。バラスをパトロンとしていたジョゼフィーヌには、年下の無骨な軍人ナポレオンの愛は重荷なだけ。だが、その一途さにやがて心を打たれる。バラスのとりなしもあり、2人は1796年に結婚する。だが結婚直後からナポレオンは遠征に明け暮れ、パリに残ったジョゼフィーヌはシャルル大尉と浮名を流す。ナポレオンは愛と憎しみにさいなまれる……。
ところでご存知の方も多いと思いますが、高汐巴の歌とかセリフ、きわめて個性的でしたね。歌はうまい下手を超越した(笑)独特の味があって、誰でも一度聴いたら忘れられないと思います。
まあ息が少し漏れているというか(殴)、独特の発声で、でもそれがそこはかとなく哀愁とか憂いとかを感じさせて個性になっていました。
とはいえ私は彼女の舞台については『琥珀色の雨に濡れて』しか観ていませんが、これが絶品。今でもこの演目は高汐巴バージョンが一番だと思います。歌唱力でいえばのちの春野寿美礼などのほうがはるかにいいのですが、でもその歌がきれいすぎて、この芝居の主題に合った味には合わなかつたのが難点です。
ただ、高汐巴もナポレオンとなるといささか無理がありました。特に今回の柚希ナポレオンを観た後では、精悍さとか成り上がっていくギラギラした野心とか、戦上手らしさなどがまるで感じられない、やさしそうな高汐ナポレオンでした。(笑)
逆にジョセフィーヌのほうは若葉ひろみがピッタリで、持ち味の姉御風なキャラクタがよく似合っていて、いかにもという感じでした。
この放送を見て、はじめて100周年にあたってナポレオンを取り上げた理由がわかったような気がしました。小池修一郎は今回の公演にあたって、いくつかの題材を用意したと語っていますが、その中からナポレオンが選定されたのは植田理事サンの意向がかなり強く働いていたのでしょうね。そう思って見たら、昨年から今年の公演ラインナップに占める「化石芝居」の量で感じた違和感も納得でした。
まだまだ植田理事サンの天下が続きそうです。
今回の「眠らない男‥」と「愛あれば‥」を比べたら、完成度の違いは明らかです。なんといっても前者には、ナポレオンの時代を俯瞰する脚本家の歴史観が全編に貫かれていて、それを最も体現しているのがタレーランですね。
それと狂言回しのマルモンとがあいまって、ナポレオンにより沿いながらも、彼を客観的に描こうとする意図がよく表れていました。小池先生の手にかかれば同じテーマでもいかに変わるかという見本になっていました。
(ついでに「風‥」とか「ベルばら」も存分に料理してほしいものですが)
もっとも後者については、放送ネタが昔の関西テレビから提供されたものらしく、当時の放送時間の制約からダイジェスト版になっていて、オリジナルそのものではないので正確に出来不出来を語れません。ですが、それでも今回のナポレオンと比べたら密度の低い脚本であることは明らかです。
本当に今回の放送を見る前は、「眠らない男‥」のベース作品があるとは全く知りませんでした。番組ガイドによれば1月に3回も放映されていたとのことで、観劇の前に見ていたらまた違った楽しみ方もできたかもしれません。
せっかくスカステに加入していながら事前に見られなかったのが少々残念でした。
今回のナポレオン以外にも、例えば「スカーレットピンパーネル」と1979年の「紅はこべ」など、同じ題材でも違った形で舞台化されている例がけっこうありますね。
そう思って宝塚100年の公演史を見てみるといろいろ発見があるかもしれませんね。
スカステさん、もう一度よく見たいので、また「愛あれば‥」を放送してくれませんか?