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雪組大劇場公演『私立探偵ケイレブ・ハント』&『Greatest HITS!』の観劇メモ

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私が直近に観た正塚先生の公演といえば『ダンサセレナータ』。
でもこれがかなり期待外れだったので、今回は期待と不安が入り混じった中での観劇でした。

『ダンサ~』は、それまでの『マリポーサの花』とか『ブエノスアイレスの風』、『ラ・エスペランサ』などを適当に
切り貼りしたような(殴)、デジャブ感満載の話だったし、『ホテル・ステラマリス』に至っては大ガッカリな舞台だったので、
さすがの正塚大先生も、もうネタ切れかな(殴)とか、失礼なことを夫婦で話していたのですが、今回はテレビドラマや
映画を思わせるリアルな台詞のキャッチボールと、テンポのいい場面転換で、久しぶりの正統派・正塚ワールドに浸る
ことが出来ました。
(ただ、たまたま先日スカステを観ていたら、バウホール公演の『アンダーライン』が放映されていて、似たような場面が出てきたのはちょっとビックリでしたが)

まず、ハリウッドの撮影所での映画撮影から始まるオープニングがよく出来ていました。

映画監督(奏乃はると)の依頼で探偵事務所の所長のケイレブ(早霧せいな)が訪ねてくるという設定で、ケイレブも同席しての映画撮影中に、エキストラの女性が死亡する事故が発生するというつかみが秀逸。
そこから次々に起こる事件を追う中で、次第に客席の私たちも話に引き込まれて行って、まるでサスペンス映画やドラマ
を観ているような緊張感が心地よかったです。

早霧せいなはやはりこういう都会的な役がよく合いますね。レザースーツと細身のパンツという格好はルパンを思わ
せて、スタイリッシュでぴったりでした。
緊迫した場面が連続する中でも、恋人のイヴォンヌ(咲妃みゆ)とのラブシーンがいいアクセントになっていて、話が単
調にならずよかったです。

同じ事務所の仲間のジム(望海風斗)とカズノ(彩風咲奈)とのチームワークの良さも正塚作品らしく、それにロサンゼ
ルス警察のホレイショー(彩凪翔)と部下のライアン(永久輝せあ)が絡んで事件が展開していきます。

私は最初、望海風斗がケイレブを裏切って敵役になるのだろうと思っていましたが、正真正銘の仲間とわかって一安心(笑)。
なにしろ望海風斗のほうが腕力では圧倒的に強そうなので、相手にするとかなり手を焼く存在になりますからね。

で、彼らと対決するのは、芸能プロ社長のマクシミリアン(月城かなと)で、後半になってやっと舞台に登場します。まさ
に「真打は遅れてやってくる」。(笑)
その月城かなとのマクシミリアンを観て、とっさに『オーシャンズ11』のテリー・ベネディクトを思い出していました。
でもこのマクシミリアン、けっこう押し出しも利いて、しかも美形なので、出番は遅くても存在感はかなりなもの。
おいしい儲け役でした。たった一人で探偵事務所と警察を相手にするのですから、大したものです。(笑)

スタイリストのイヴォンヌ役の咲妃みゆは、これまで舞台では『星逢一夜』や『るろうに~」のような日本物の役しか観
ていなかった私たちには新鮮でした。
ケイレブとも対等に接する自立した女性ですが、彼をを心から愛している気持ちはよく伝わってきました。大人の女
役をよくこなしていて、早霧せいなと似合いのいいカップルです。


探偵事務所の共同出資者ジムの望海とカズノの彩風も、ケイレブと息の合ったいいチームワークでした。
ただジム役は、望海風斗には少々役不足感があって、もう少し濃い味付けにしてほしかったとも思ったり。
あと、経理係ダドリー(真那春人)や、事務員コートニー(早花まこ)、元事務所の秘書グレース(桃花ひな)、雑用係
トレバー(縣千)などの役も、正塚作品らしく役どころがリアル&細部まで丁寧に書き込まれていて楽しかったです。
(コーヒーメーカーのトラブルとか笑わせてくれます)

そして「男の友情」が大好きな正塚先生ゆえにケイレブの戦友ナイジェル(香綾しずる)が登場、でもあまり印象に残ら
ない役だなと思っていたら、これがちゃんとした伏線になっていて、最後に大きな役割を果たすというのも面白かったで
す。
というわけで、最後まで気持ちのいい緊張感が持続する舞台でした。

あと、劇中で使われている曲が耳によく馴染むきれいなメロディラインで、初めに主人公が歌っているときはあまり気に
留まらなかったのですが、望海風斗が歌う場面で俄然「ああいい曲だな」と感心。(殴)

今回の作品は、『二人だけの戦場』級の傑作とはいかなくても、一度は観ておくべき佳作だと思いました。

ショーの方はタイトル通りで、舞台のジュークボックスからヒット曲が次々に流れるという構成です。でも趣味のいい色
彩のいい衣装と、お馴染みの曲目でも陳腐にならず、巧みな曲順で楽しいショーでした。ただ、東京公演に合わせたため
に、10月にクリスマスソングメドレーを聞かされて、かなり場違い感があって残念でした。
それとベートーベンの「運命」を使った場面もちょっと馴染めず。ヨメさんにはかなり不評を買っていました。
でもそのあと、望海と彩風を中心とした大群舞から「オーバー・ザ・レインボウ」のデュエットダンスに続くところは見
どころ満載で満足の出来でした。

というわけで、遅すぎ・薄すぎの感想はおしまいです。m(__)m
ここまでご覧いただきありがとうございました。

10月はあと一作「雪まろげ」の感想が残っていますが、これぞ芝居の醍醐味という作品だったので、何とか近いうちにアップで
きそうです。

でも期待せずに(してないしてない)、またお立ち寄りいただければ幸いです。



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