Quantcast
Channel: 思いつくままに書いています
Viewing all articles
Browse latest Browse all 705

私たちにも、ようやく春がきてくれました。

$
0
0
もう3月になろうとしています。

昨日、近くの公園に、春の兆しを探しにいきました。

なにか春の予兆があれば、スマホで撮ってFに見せようと思ったのです。

そしたらなんと、もう土筆が生えていました。

それももうかなりトウの立った、長く伸びた土筆が何本も生えていました。

今年の冬は本当に寒かったので、土筆がもう出てきているとは思いも寄らず、うれしかったです。

でも、今日病院に行ったら、さらにうれしいことが待っていました。


今日、いつもの通り病室に行ったら、Fは久しぶりに穏やかな優しい表情で迎えてくれました。


実はその前の2月25日も、Fの表情は穏やかで、痰も少ないのか呼吸も静かで、私が右手でベッド横の収納庫の扉に貼った写真を指さしたら、その写真をじっと見てくれたり、別の写真を眼の前にかざして私が説明すると、視線を動かして見入ってくれて、うれしい1日でした。

うれしくて、いつも心配してくれている友人たちにも喜んでもらおうと、そのことをメールで知らせました。

ところが、翌26日と、翌々日の27日はあまり反応してくれず、ちょっとガッカリ。

でも一直線に良くなるわけはないと気を取り直し、今日も病院に向かったのですが、今日はまたFは25日同様のいい反応をしてくれました。

語りかける内容にじっと聞き入るような様子で、私の顔を追うように視線も動くので、疲れを全く感じず、ずっとFに話しかけ続けました。


しかし今日は、もっとうれしいことが2つもありました。


午後3時ごろ、看護師さんが痰を吸引しに来てくれました。

以前から見舞っている私によく話しかけてくれる看護師さんで、気さくに明るく励ましてくれるので好印象でしたが、その彼女が、私に伝えたくてたまらなかったというような笑顔で、
「今日午前中に痰の吸引をしていたら、突然『いーたーい』と言ってくれましたよ」
と教えてくれたのです。

以前、まだHCUにいた時に、別人の話でぬか喜びさせられた経験があるので、一瞬本当かなとも思ったのですが、聞いたのは看護師さんだけではなく、その場に居合わせた言語療法士二人(一人は課長とのこと)もはっきり聞いていて、昼の打ち合わせの場でも報告されたとのこと。

もうびっくりで、同時にうれしくて、吸引が終わってまだ苦しそうにしているFに、「声を出してくれてありがとう、ありがとう」と何度も話しかけてしまいました。

これまでも、「あー」とか「ううー」と何か話そうとするようなそぶりはあったのですが、はっきり言葉を発したというのは初めてで、本当にうれしかったです。

さらにうれしかったのは、帰り際に、Fがはじめて感情を露わにして泣いてくれたことでした。

今日の天気予報では、夕方爆弾低気圧の影響で天気が急変するということだったので、5時になってFに

「もう今日は帰るからね、また明日来るからね、寂しいだろうけど辛抱してね」と話しかけた途端、突然泣き出したのです。

声こそあげなかったものの、それまでの穏やかな顔を急変させ、悲しそうに泣き出したので、胸を突かれました。

あわててFをなだめていたら、だんだん泣き顔を収めてくれました。

Fが泣いたのは衝撃的でしたが、私が帰るといった言葉を理解して、それが悲しくて泣いてくれたことは本当にうれしくて、感動しました。

1月16日の緊急入院以来、はじめてFと気持ちが通じ合えた思いでした。

立ち去りがたい気持ちが募りましたが、ちょうどその時スタッフさんが体を拭きにきてくれたので、それを機に、後ろ髪を引かれる思いで病棟を出ました。


もっと喋ってくれるようになったら、嚥下機能も向上してくれるでしょう。

そうなれば、胃ろうと並行して、口からの栄養摂取もできるようになるだろうし、体力もついてくるだろうと思います。


やっと、春の到来が実感できた1日でした。


玄関わきの梅も、いつの間にか5分咲きになっていました。




Viewing all articles
Browse latest Browse all 705

Trending Articles